今日の産経ニュース(2019年5月23日分)(追記あり)

シリアのイドリブ県で戦闘が激化するなか、政府軍が再び化学兵器攻撃か?(青山弘之) - 個人 - Yahoo!ニュース
 「何だかなあ(無力感)」ですね。というのは「アサド政権の毒ガス使用疑惑」の指摘は今回が初めてではないからです。
 過去においては「アサド側が使用した(反アサド派)」「いや使用してない。もし使用した者が居るなら我々以外だ(アサド)」で水掛け論となり、お互い「言っただけで終わり」、そしてしばらくするとまた「アサド政権の毒ガス使用疑惑が浮上」というパターンが何度も続いてますのでねえ。


【正論】人材育成に偉人教育の活用を 日本財団会長・笹川陽平 - 産経ニュース

 戦後の教育の場で、偉人の伝記などが教材として活用されるケースは驚くほど減った。戦後の占領政策連合国軍総司令部(GHQ)が、戦前の教育すべてを否定する教育政策を強引に推し進めた結果である。

 やれやれですね。GHQが偉人教育を否定したなんて事実はどこにもないでしょうよ。
 「征韓論西郷隆盛」「安重根に暗殺された元韓国統監・伊藤博文」「真珠湾攻撃山本五十六」のような下手に取り上げると外交問題になりかねない人物ならともかく「夏目漱石」だの「湯川秀樹」だの取り上げることに何の問題もないわけですから。さすが右翼フィクサー・笹川某(競艇利権の所有者)の息子だけのことはあると言うべきでしょうか。


小嶺容疑者写真、別人配信 時事通信がミス、フジテレビも使用 - 産経ニュース
 そもそも写真を出す必要があるのかどうかが問題でしょう。


【単刀直言】「共産党と組めるか」鷲尾英一郎衆院議員 野党を見限った理由(1/2ページ) - 産経ニュース
 確かに鷲尾*1が反共右翼なのは事実でしょうが、こんなことは自民入りを正当化できる理由には全くなりません。
 「非共産、非自民」の立場をとればいいだけですから。反共でも前原*2なんぞは今のところ自民入りしないわけですから。
 そして「共産党を含む共闘」と関係なく、つまり「立民や国民民主党が現在、公然と共産を敵視していたとしても」鷲尾は自民に入党したでしょう。「寄らば大樹の陰」という党利党略での自民入党でしかないからです。
 大体、共産党との共闘は「遅くとも岡田代表時代からの話」であってそれに文句があるならそのときに鷲尾は離党すればいい話です。
 大体、共産党との共闘内容は「脱原発」「安保法廃止」などであって別に共産色が強いわけでもない。それに対し「原発や安保法は必要だと民主党所属当時から思ってた」とはふざけるにもほどがあります。仮にも政治家がよくもそんな恥知らずなことが言えたもんです。
 「自民党に入ったのは選挙に勝つためだ。選挙が一番大事だ*3」とはさすがに公然とはいえず、政策云々で強弁するに当たり、単に「鷲尾の支持層(反共ウヨが多い?)」に受けがいいと鷲尾が思う話「共産云々」を鷲尾がしただけです。
 「都合が悪くなれば自民入り*4」する鷲尾や細野*5のような野郎の自民党批判などインチキだという話です。そもそも産経相手にこんなことを言っても鷲尾に共感してくれる人間は自民党支持層ですらどれほどいるか。多くの自民支持層は「共産党云々に関係なくお前は自民に入党したろう?」「共産との共闘に文句があるなら岡田*6代表時代にとっとと離党しろよ」などと鷲尾なんぞ見下してるでしょう。
 一方言うまでもなく野党支持層は鷲尾なんぞ評価しません。


【産経抄】5月23日 - 産経ニュース

 首相官邸のホームページの英語版では、安倍晋三首相の名前は、「Shinzo Abe」となっている。中国の習近平国家主席や韓国の文在寅大統領の表記のように、日本語の語順通り「姓+名」にできないのか。
 ▼なるほど、河野太郎外相の指摘はもっともである。柴山昌彦文科相とタッグを組んで、来年の東京五輪パラリンピックを機に、これまでの慣習を見直す腹づもりらしい。ローマ字にするとなぜ日本人の姓と名が入れ替わるのか。深く考えず、ボーッと生きてきた。チコちゃんに叱られそうだ。
 ▼英語教育史が専門の江利川春雄*7・和歌山大教授によると、幕末の開国時は日本式の「姓+名」が主流だった。明治中期に入り政府の欧化政策の下、知識人や政治家の間で欧米式の「名+姓」の表記が広まっていく。
 ▼英語が敵国語とされた先の戦争中でさえ、見直されることはなかった。昭和19年に刊行された準国定の中学の英語の教科書*8では、山本五十六は、Isoroku Yamamotoとなっている。敗戦後、ほぼすべての国民が英語を学ぶようになり、「国民の常識」となった。
 ▼実は19年前、文化庁の国語審議会は表記を日本式にするよう答申している。民族固有の言語や文化を尊重しようとする、当時の世界の風潮が背景にあった。答申がきっかけとなり、英語教科書の多くは「姓+名」の順番に変更した。
 ▼それでも、世の中に浸透しているとはとてもいえない。小欄も突然外国人に自己紹介する機会が訪れたら、名字を先に口にする自信はない。江利川さんに言わせれば、姓と名の転倒は、西洋に対する「精神の自己植民地化の遺物*9」である。日本人はいつになったら、その呪縛から逃れられるのか。

 長くなりますが全文引用しました。

・幕末の開国時は日本式の「姓+名」が主流だった。
・実は19年前、文化庁の国語審議会は表記を日本式にするよう答申している(ボーガス注:にもかかわらず文化庁すら今までそうしてこなかったというのも興味深い話です)。
・英語教科書の多くは「姓+名」の順番に変更した。

というのは無知で知りませんでしたが、それはさておき。
 「それ、本多勝一*10が確か、かなり昔(40年以上前)から言うとるがな(残念ながらググっても、それについて、いい記事がヒットしないのですが)」「本多さんが言うと無視して、河野や柴山が言うと絶賛とはお前らわかりやすいな、産経」ですね。
 ちなみに氏名か名氏、それが問題だ | inti-solのブログ - 楽天ブログでinti-sol氏も

・私自身は、外国語の中でも日本人の氏名は氏名の順にすべしという主張を、本多勝一の著作で知ったのですが、これは本多氏だけの主張ではなく、かなり広範囲に主張されているようで、国語審議会も、姓名をローマ字表記する際にも氏名の順にすることが望ましいという答申を2000年に出しています。
 当然のことだと私は思います。どう考えたって、日本語で話すときに「名氏」で名乗る人なんかいないんだから、「氏名」の順こそが日本の文化なのです。
・選択的夫婦別姓制反対派のように、私はそれをすべての日本人に押しつける気はまったくありませんけれど、少なくとも私自身は、もう長いこと自分の名前は、英語でもスペイン語でも「氏名」の順で名乗っています。

と書かれています(追記:その後、inti-sol氏はこの「日本人名の英語表記」の件についてこれは正しいし、私もそうしている | inti-solのブログ - 楽天ブログを書いています)。
 なお、

▼英語が敵国語とされた先の戦争中でさえ、見直されることはなかった。昭和19年に刊行された準国定の中学の英語の教科書では、山本五十六は、Isoroku Yamamotoとなっている。

については、「太平洋戦争開戦後、敗戦1年前」の昭和19年でも「準国定の中学の英語の教科書」というのが俺的に驚きですね。完全な英語追放など「英語教育の必要性の観点」から現実としてとても出来なかったわけです。

【参考】

東京新聞:ローマ字表記「姓・名」順で 文科相要請へ:政治(TOKYO Web)
 柴山昌彦文部科学相は21日の記者会見で、日本人の氏名をローマ字で表記する際、国内外で一般的とされる「名・姓」の順番ではなく、日本語表記と同様に「姓・名」の順にするよう政府機関や都道府県などに要請する考えを明らかにした。文化庁が近く通知する。
 菅義偉官房長官は会見で「これまでの慣例など考慮すべき要素が多々ある」と、慎重な対応が必要との認識を示した。
 文化庁の国語審議会は2000年に「言語や文化の多様性を意識し、生かしていくべきだ。ローマ字表記においても姓・名の順が望ましい」との答申を出した。文化庁は当時、政府機関や都道府県、国公私立大、新聞放送出版業界に対応を要請した。
 柴山氏は趣旨が共有されていないとした上で「改めて周知を図る」と強調した。文科省のホームページでも名・姓の順で表記された部分があり、今後は姓・名の順に変更する。
 河野太郎外相も会見で、日本人名のローマ字表記を名・姓の順から姓・名の順に変更するよう海外の報道機関に要請する考えを表明。中国の習近平(しゅうきんぺい)国家主席や韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領を姓・名の順に記している報道機関が多いとし「安倍晋三首相もABE・SHINZO*11と表記してもらうのが望ましい」と述べた。
 河野氏は3月、日本人名に関し、外務省の英語表記を姓・名順に変更する検討を表明した。

 まあ「目立ちたがり屋の河野らしい」ですが、「元号強要のように強要しない限り」悪いことではない気はします。

【追記】

ヘボン式の表記か訓令式にするかなど、問題はいろいろですね。

というコメントを頂きましたが、まあ人によってはその通りですね。
 例えば本多「勝一」氏などは訓令式だと「katuiti」、ヘボン式だと「katsuichi」に確かなります
 他にも「福島」香織→「hukusima(訓令式)」「fukushima(ヘボン式)」などと表記が変わります。もちろん訓令式ヘボン式で表記が全く変わらない場合もありますが(というか多分その方が多い)。
 なお、俺の記憶では確か本多氏は

ヘボンの様な外国人はともかく『サシスセソのうち、シだけshi』『タチツテトのうち、チだけchi、ツだけtsu』『ハヒフヘホのうちフだけfu』と書く意味が日本人にはない。
・むしろ『sプラス母音(サシスセソ)』『tプラス母音(タチツテト)』『hプラス母音(ハヒフヘホ)』と全て同じ書き方の訓令式の方が覚えやすい。

として「訓令式」支持です。

*1:野田内閣で農水大臣政務官

*2:鳩山内閣国交相菅内閣外相、野田内閣国家戦略担当相、民主党政調会長(野田代表時代)、民進党代表など歴任

*3:一方で自民党にとってもそれなりの選挙地盤がある鷲尾の入党は都合がいいわけです。

*4:細野の場合はまだ「自民入党含みの二階派入り」ですが。

*5:野田内閣環境相民主党幹事長(海江田代表時代)、政調会長岡田代表時代)、民進党代表代行(蓮舫代表時代)など歴任

*6:鳩山、菅内閣外相、民主党幹事長(菅代表時代)、野田内閣副総理・行革相、民主党代表代行(海江田代表時代)、民主党代表を歴任

*7:著書『近代日本の英語科教育史』(2006年、東信堂)、『日本人は英語をどう学んできたか:英語教育の社会文化史』(2008年、研究社)、『英語教育のポリティクス:競争から協同へ』(2009年、三友社出版)、『受験英語と日本人』(2011年、研究社)、『英語教科書は〈戦争〉をどう教えてきたか』(2015年、研究社)、『英語と日本軍:知られざる外国語教育史』(2016年、NHKブックス) など

*8:むしろ昭和19年でも「準国定の中学の英語の教科書」というのが俺的に驚きですね。完全な英語追放など「英語教育の必要性の観点」から現実としてとても出来なかったわけです。

*9:本多氏も全く同じ事を言っていたかと思います。つうか記憶が定かではないのですが、本多エッセイで「英語学者の江利川氏も私・本多と同意見だ」という形で江利川氏が紹介されていたかもしれません。

*10:著書『中学生からの作文技術』(朝日選書)、『新・アメリカ合州国』(朝日文芸文庫)、『アイヌ民族』、『アメリカ合州国』、『アラビア遊牧民』、『植村直己の冒険』、『NHK受信料拒否の論理』、『カナダ=エスキモー』、『きたぐにの動物たち』、『釧路湿原:日本環境の現在』、『検証・カンボジア大虐殺』、『50歳から再開した山歩き』、『子供たちの復讐』、『殺される側の論理』、『殺す側の論理』、『事実とは何か』、『実戦・日本語の作文技術』、『しゃがむ姿勢はカッコ悪いか?』、『憧憬のヒマラヤ』、『職業としてのジャーナリスト』、『先住民族アイヌの現在』、『戦場の村』、『そして我が祖国・日本』、『中国の旅』、『天皇の軍隊』、『南京への道』、『日本環境報告』、『新版・日本語の作文技術』、『ニューギニア高地人』、『冒険と日本人』、『北海道探検記』、『滅びゆくジャーナリズム』、『マスコミかジャーナリズムか』、『マゼランが来た』、『新版 山を考える』、『リーダーは何をしていたか』、『ルポルタージュの方法』(以上、朝日文庫)、『本多勝一戦争論』、『本多勝一の日本論:ロシア、アメリカとの関係を問う』(以上、新日本出版社)など

*11:これはヘボン式ですね。訓令式だと「sinzo」になります。