今日の中国ニュース(2019年5月23日分)

「 台湾が危ない、中国の侵略阻止に力を貸せ 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト
 よしこも「自分ですら信じてないデマ」を良くも公言できるもんです。
 中国の台湾軍事侵攻なんて1950年代にしかされていません。それが失敗して「物理的に無理」と軍事侵攻を諦めた中国がとった策が有名な「一つの中国」です。
 で中国は「台湾が独立宣言しない限り」、あるいは「台湾の独立を欧米など世界の主要国が支援しない限り」、台湾侵攻などしないと公言してずっとやってきた。そして台湾も独立を宣言せず、欧米もそんな独立宣言は支援しない立場でずっとやってきた。
 「トウ小平江沢民胡錦濤習近平(中国)」「李登輝陳水扁馬英九蔡英文(台湾)」と中台の政権トップが変わってもその中国の方針に変化はなかった。「馬政権時代に比べ中国から距離を置いた」蔡英文政権の誕生後に中国のした行為は、せいぜい「台湾と国交を結ぶ国を中国と国交を結ばせ台湾と断交させた」などの政治的経済的締め付けに過ぎません。
 イランや北朝鮮の核開発を非難する米国ですら、戦争などしなかったように「中国に限らず」戦争などそう簡単にできる話ではない。
 「今その中国の方針に変化が起こり、台湾侵攻の危機が高まった」なんて事実はどこにもない。むしろ台湾侵攻の危機は低くなってるでしょう。蔡英文の人気が下降傾向で、一方、「民進党にお灸を据えたい」という意識から、国民党の政権奪取の可能性が高まってるからです。
 「国民党の政権」なら馬総統時代のような「台中友好」が期待できる。侵攻する理由がない。

 日本にとっても頼氏の台湾総統就任は非常に望ましい。第一に氏は馬英九氏に代表される国民党の政治家のような親中派ではない。

 おいおいですね。親中国であることは別に「反日本」ではない。そして親中国と言っても「国民党のそれ」は「中国を敵視しては台湾経済は成り立たない」という現実主義に基づくもんです。国民党は中国言いなりの傀儡ではない。
 よしこのようなことを言うのは「反中国右翼」だけです。我々日本人にとっては「親日的」ならそれ以外のことはあえて言えばどうでもいい。

 熊本地震の時には、台湾の人々の義援金を抱えていち早く被災地に駆けつけた大変な親日家である。

 政治家のこうした行為を本心だと思ったらただのバカです(よしこもそこまでバカではないでしょうが)。大体義援金ならよしこが大嫌いな中国や韓国も送っています。

 習近平主席は今年1月2日、年頭の演説で台湾に、香港と同様の一国二制度を受け入れよ、92年合意(中国と台湾がひとつの国であると互いに認めたとする合意)を認めよと要求したうえで、台湾への武力行使は放棄しないと明言した。

 よしこらしい「誤読狙いの下劣な文(消防署の方から来ました、論法)(ご飯論法)」ですね。これでは読み手は「一国二制度や92年合意の受け入れ」をしないと「武力行使だ」と習主席が恫喝してるように見えますが、習主席の「軍事侵攻もありうる」の前提条件は「台湾が独立宣言すれば」です。
 「92年合意受け入れ」を否定する蔡英文を「独立の意思があるのではないか」と批判する中国も「92年合意受け入れ否定」それ自体を独立宣言扱いはしていません。もちろん「一国二制度型統一の否定」は独立宣言ではない。むしろ習主席が「一国二制度」を公言し「平和統一が原則」と改めて表明したことに注目すべきでしょう。どう見ても軍事侵攻の危機は低い。

 台湾情勢を見詰めるとき抱く懸念は、まず第一に、頼氏が表明したような危機意識を台湾の人々が共有しているとは思えないことだ。世論調査は、蔡政権の経済政策への失望から、中国に飲みこまれる恐れがあるにも拘わらず国民党への支持がふえていることを示している。経済が少々悪くてもいまは我慢して、中国に国を奪われないように台湾人の政党を支持しようと考える有権者は、少なくとも現時点では少数派である。

 そりゃ思わないでしょうねえ。中国を敵視した経済運営など現実的ではないからです。もちろん中国との経済交流を進めれば「中国からの政治的影響は当然あり得る」でしょう。しかしだからといってよしこ的中国敵視は現実的ではありません。

 来年1月、万が一、民進党が敗北して国民党が政権を奪還すれば、単なる政権交替に終わらず、事実上の国家の交替となる可能性が高い。台湾人が統治する台湾から、中国人が統治する中国の一省としての台湾へと変わってしまうであろう。

 「陳水扁民進党)から馬英九(国民党)への政権交代においてそんなことなかったやん」で終わる話です。台湾人にこんなデマが通用するわけもない。

 そう断言する理由は、国民党の候補者、たとえば元国民党主席の朱立倫氏も、総統選に名乗りを上げる場合、どの候補者よりも強力だと見られる高雄市長の韓国瑜氏も、台湾の経済成長を押し上げるという理由で中国との平和協定締結に積極的であることだ。

 「平和協定」とは文字通り「平和協定」でしかない。正式には終戦してない国共内戦を正式に終戦させる話でしかない。それの何が統一なのか。

 平和協定について頼氏が警告した。
「絶対に受け入れてはなりません。過去の中国の実績を見れば明らかです。チベットは中国と平和協定を結びましたが、チベットには平和も経済発展ももたらされません*1でした。逆に彼らは国土を奪われ、ダライ・ラマ法王は亡命しました。中国に苦しめられる悲劇の平和協定には絶対に反対です。一国二制度も同様で、台湾は第二の香港にはなりません」

 当時のチベットと今の台湾は全く政治状況が違うので悪質なデマですね。本当にこんなことをよしこ相手に言ったのなら頼の愚劣さには呆れて二の句が継げません。

 台湾大手のテレビ局TVBSの世論調査は、いま(ボーガス注:総統選の)選挙が行われれば完全に国民党が勝利するという結果をはじき出した。調査では蔡氏は野党国民党のおよそどの候補者にも勝てない。頼氏なら勝てる見込みは少し高くなる。

 つまりは台湾住民大多数は誰もよしこのようなことは考えてないと言うことです。

 私は蔡氏に幾度か会ったことがあるが、(中略)中国への信頼感が想像以上に強い。蔡氏は中国の要求する92年合意を拒否したところまではよかったが、中国とは摩擦を起こしたくない、話し合いで解決したいという姿勢だった。

 蔡英文が親中国とはとても思えませんがよしこの期待する反中国のレベルには達してなかったという話です。


【主張】中国の邦人判決 重刑の乱発を見過ごすな - 産経ニュース

 安倍晋三首相は日中関係が「完全に正常な軌道」に戻ったとの判断を示している。
 だが日本側が重ねて求めてきた拘束日本人の釈放、帰国を無視され、それでもなお日中関係を「正常」と呼べるのか。
 日中関係を正常な軌道に戻す本当の出発点は、日本人被告らの早期帰国であるべきだ。

 産経が安倍の対中国にかなりの不満を感じてることが改めて伺えます。
 なお、「スパイかどうかは分かりません」ので判決の是非は分かりません。
 ただこの件で安倍政権が完全に弱腰であることには「おいおい」ですね。
 産経の場合、「日朝関係での拉致問題」などと同様、今回の件は単に「自らの反中国」を正当化するためのネタでしかない。しかし、一方で「早期釈放を目指す、とはっきり公言しない(できない?)」、この件で何をやってるのかさっぱりわからない安倍政権にはげんなりします。
 とはいえ、この件があろうとも産経のような「異常な反中国」はばかげていますが。日中の経済関係を考えればそんなことは出来るはずもない。
 かつこの件は「外交交渉でしかおそらく解決せず」、外交交渉をするには「それなりに良好な関係」が必要です。産経のような反中国は明らかにこうした問題の解決に逆行します。

*1:平和はともかく経済発展は明らかにもたらされています。