今日の中国ニュース(2019年10月2日分)

リベラル21 中国経済をどう見るか阿部治平
 内容の是非はひとまず置く*1としてもばかばかしくて吹き出さざるを得ない代物です。
 阿部*2という人は「チベットには詳しい」とはいえても「経済に詳しい」とはとてもいえないでしょう。
 「中国経済について阿部が自ブログに記事を書く」のはもちろん彼の勝手です。
 しかし「阿部の個人ブログではない」リベラル21に「阿部の中国経済分析をアップする」とは素直に考えれば「リベラル21は、中国経済分析の最適任者として阿部を選んだ」と評価するしかないんですが、そういう理解されていいんですかねえ?
 まあ、実際には「中国経済について書ける人間がいない」「阿部が『中国経済について書きたい』と言いだし、阿部とズブズブのリベラル21はそれを拒否できなかった(断って阿部との関係が悪化するのを恐れた)」つう話でしかないでしょうが。

 ジャーナリストの福島香織氏は中国経済崩壊論を繰返してきた人物だが、近著でもそれに対する反省はない(『習近平の敗北――紅い帝国・中国の危機』(ワニブックス 2019)。

 阿部という人は決して中国に好意的ではないですが、その彼からしても「福島の最近のデマ垂れ流し」は目に余るものがあるのでしょう。
 別に中国経済の専門家でもない俺や阿部氏のような人物でも「中国経済減速してるようやけど、どう見ても崩壊なんかありえへんやろ。日本のバブル崩壊後の不況を『日本経済崩壊』と大騒ぎするのよりも酷いと思うで」「つうか崩壊したらまず真っ先に困るのは中国を市場とする日本経済やで」と最近の福島にうんざりするのは当然だと思います。
 ちなみに阿部氏の言う「繰返してきた中国経済崩壊論」とは、ウィキペディア福島香織」によれば

・『中国バブル崩壊の全内幕:2017年、習近平は失脚する』(石平*3宮崎正弘*4との共著、2016年、宝島社)
・『赤い帝国・中国が滅びる日』(2016年、ベストセラーズ
・『「中国の悪夢」を習近平が準備する』(2017年、徳間書店
・『米中の危険なゲームが始まった:赤い帝国中国崩壊の方程式』(2017年、ビジネス社)
・『中国大自滅:世界から排除される「ウソと略奪」の中華帝国の末路』(渡邉哲也*5との共著、2019年、徳間書店

ですね。

・『滅びる』『悪夢』『崩壊』『大自滅』『末路』

など、著書名*6や共著者名(中国崩壊論者*7ばかり)だけでも「常軌を逸した中国崩壊論だ」とわかるあたりがもはや「なんともかんとも(呆)」です。
 むしろ『崩壊』『大自滅』し『末路』を迎えてるのは福島の方でしょう。もはや世間は福島を「ただの反中国右翼デマゴーグ」「産経・阿比留や古森の同類」としかみなしてないでしょう。
 ちなみに福島が早期退職者募集*8に応じて、産経を退職*9したのが2009年(ウィキペディア福島香織」参照)であり、退職後しばらくは『中国食品工場のブラックホール』(2104年、扶桑社新書)、『本当は日本が大好きな中国人』(2015年、朝日新書)などおそらくまともな著書*10を書いていたものの食えなかったからか、2016年を契機に一気に福島は劣化したわけです。
 「俺のひいき目(?)、誤解」かもしれませんが俺の認識では、福島はそもそも中国政府に好意的ではありませんが、それにしてもここまで反中国で劣化したのは「2009年の産経退職後」だと思います。つまり退職してから食えないことが劣化の原因であり退職しなければ劣化しなかった可能性が高いわけです。まあ、なんとも哀れですね。

 私は中国で貧困の農村ばかりを見ているためか、庶民の生活水準がさほど向上したとは思えない。

 いや向上はさすがにしてるでしょうね。
 大体こういうときに統計データを持ち出すのならともかく「阿部の個人的感想」なんか持ち出しても何の説得力もないんですが。

【追記】
 なお、「中国経済」でググってヒットした以下の書籍は「比較的定評のある出版社の書籍(かつ新書や文庫なので入手しやすい)」と思うので参考に紹介しておきます。

【刊行順→著者名順】
丸川知雄*11『現代中国経済』(2013年、有斐閣アルマ)
・梶谷懐*12中国経済講義』(2018年、中公新書)
・石原享一*13習近平中国経済』(2019年、ちくま新書)

*1:なお、これは「俺が阿部の文章を評価している」と言うことではなく、単に「俺が中国経済素人であり阿部の主張について適切に評価できない(ざっと見た限りでは素人の俺ですら突っ込めるような部分がほとんどなかった)」つうだけの話です。

*2:著書『もうひとつのチベット現代史:プンツォク=ワンギェルの夢と革命の生涯』(2006年、明石書店

*3:最近の「中国崩壊論」の著書として『習近平がゾンビ中国経済にトドメを刺す時』(渡邉哲也との共著、2019年、ビジネス社)、『こんなに借金大国・中国 習近平は自滅へ!』(宮崎正弘との共著、2019年、ワック)。

*4:最近の「中国崩壊論」の著書として『中国発の金融恐慌に備えよ!』(田村秀男との共著、2019年、徳間書店)、『世界から追い出され壊れ始めた中国:各国で見てきたチャイナパワーの終わり 』(2019年、徳間書店)。

*5:最近の「中国崩壊論」の著書として『2019年アメリカはどこまで中国を崩壊させるか、そして日本が歩む繁栄の道』(2018年、徳間書店)、『「中国大崩壊」入門』(2019年、徳間書店)。

*6:この著書名で「中国崩壊論でない」ということはありえないでしょうし、もし「中国崩壊論ではない」なら「著書名に偽りあり」という別の意味で問題です。

*7:宮崎正弘なんか、『人民元大崩壊:中国発「世界連鎖恐慌」の衝撃』(1998年、徳間書店)ということで20年前から「中国経済崩壊論本」を書いてますからね(そして1998~現在までの20年間で中国経済は崩壊どころか発展した)。もはや「中国経済に崩壊してほしいと願う常軌を逸した反中国右翼」相手のデマ本を金儲けのために書いてるとしか理解できないでしょう。

*8:よほど経営がやばい企業でない限り「早期退職者なんか募集してて経営が大丈夫なの?」と「評判が落ちる」ため、こんなことしませんので産経が「よほど経営がやばい」と言うことが良く理解できる話です。

*9:勿論、退職金は自己都合退職よりもアップされます。

*10:少なくとも2016年以降ほどには著書名は酷くありません。

*11:著書『現代中国の産業』(2007年、中公新書)、『チャイニーズ・ドリーム』(2013年、ちくま新書)など

*12:著書『現代中国の財政金融システム』(2011年、名古屋大学出版会)、『日本と中国経済』(2016年、ちくま新書)など

*13:著書『戦後日本の経済と社会』(2015年、岩波ジュニア新書)など