今日の朝鮮・韓国ニュース(2019年10月15日分)(追記あり)

【追記】
 金丸信吾氏のこの発言に、拉致被害者家族らはどのように反応するのか(無視だろうが、それではどうしようもないというものだ) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)でご紹介頂きました。ありがとうございます。
【追記終わり】

金丸信吾氏「拉致問題解決は国交正常化こそが一番の近道」|日刊ゲンダイDIGITAL

■金丸
 私は北を素晴らしい国だと言ったことは一度もありませんし、いまだに理解し難いところはたくさんあります。しかし、戦前の日本も(北と)似た時代がありました。「富国強兵」「一億玉砕」などと言って。太平洋戦争だって、日本の良識ある軍人は米国には勝てないと反対していたが、「ABCD包囲網」という(鉄鋼*1や石油の禁輸を伴う)経済封鎖を強いられ、戦争せざるを得ない状況*2に追い込まれた。父*3が言っていたのは、北を(かつての日本のように)暴発させてはならない。国際舞台に引っ張り出す努力を常にしないといけないと。日朝関係が悪い時だからこそ、頻繁に交流する必要があると思います。
(中略)
 私は拉致被害者が生存していてほしいと心の底から思っています。とはいえ、(ボーガス注:小泉訪朝から17年も経った今)そろそろ(ボーガス注:生存可能性は低いという)現実を見る時期に来ているのではないか。そうならないのは、日本政府が、北の説明が事実だった場合の家族会やメディアに対するシミュレーションを持っていないからでしょう。ただ、これはメディアにも責任があると思います。
 そもそも日本国内で拉致被害者の「生存説」が広まったのは、脱北者といわれる人たちの目撃情報です。「平壌拉致被害者を見た」とかね。しかし、よく考えてほしいのは、脱北者が厳重な監視下にあった拉致被害者と遭遇する確率はほぼありません。仮に目撃したとしても、「この人は拉致被害者」と分かるはずがないのです。そういう真偽不明で、事実検証も不可能な話が「事実」として扱われ、報じられ、国民に植え付けられてきた面は否めません。
(中略)
 北はずっと拉致を認めず、全否定してきました。拉致自体を隠してきた国が、拉致被害者の埋葬場所を他者に明確に分かるようにするわけがない。理不尽で許せない話ですが、きちんとした墓誌も残していないでしょう。ただ、ここら辺に埋葬したということは認めていて、彼らなりに「これではないか」という場所で遺骨を収集したのでしょう。要するに北も確たる自信がないのです。
(中略)
 私は国交正常化こそが拉致問題解決の一番の近道だと考えています。国交正常化すれば日本政府は平壌に大使館を開設できる。外務省や警察庁防衛省の担当者を配置し、常駐すれば拉致の調査や、両国間で情報交換もスムーズにできるからです。
 (ボーガス注:拉致問題が解決するのであれば)私は北に対する圧力や経済制裁を否定するつもりはありません。強硬政策で拉致問題が一歩でも二歩でも前進するのであれば、結構なこと。しかし、安倍さんが強硬政策を始めてから、拉致問題は進まないどころか、むしろ後退している。つまり、圧力や経済制裁拉致問題は解決しないと考えています。
 関係を進展させるには、対話と協調しかありません。対話の重要性は米朝首脳会談でも証明されたはず。歴史をみれば、ああいう独裁体制の国が未来永劫、続くわけがない。かといって、ここ数年で崩れるわけもない。そうであれば、「ケシカラン」と拳を振り上げるばかりではなく、理解して付き合っていくしかない。隣国なのですから。
(中略)
 安倍さんは「対話と制裁」と言いながら、実際は制裁だけです。これでは、信頼関係は生まれません。今回の訪朝でも、帰国すると羽田の税関で参加者は皆、土産品没収です。数十、数百万円分の土産品であれば、経済制裁に反した行為と指摘されても仕方がない。しかし、500円の菓子や1000円の朝鮮ニンジン入りクリームを没収してどうなるのか。それでいて「無条件の首脳会談」は無理です。
日刊ゲンダイ
 安倍政権は本気で北朝鮮問題を解決する気があると思いますか。
■金丸
 少なくとも私にはそう見えません。昨年10月末の訪朝時、私が個人的な提案として、超党派の国会議員が訪朝の意思を示した場合、あなた方(北)は受け入れるのかと質問すると、喜んで受け入れると答え、確約しました。そこで自民党の二階幹事長に「あなたが団長として超党派で訪朝してほしい」と頼んだのですが、二階幹事長は「官邸と相談」と言って、その後はウヤムヤ。
日刊ゲンダイ
 日朝関係進展のカギは何でしょうか。
■金丸
 これだけ拉致問題が長期化し、混迷してしまうと、もはや日朝関係解決の方法は見つからない。だから、私は北に対して米朝関係を進めた方がいいと言っています。米朝関係改善に重点的に取り組み、両国で平和条約なりが成立すれば、日本は米国に黙って従うでしょう。

 こうした記事がタブロイド紙にのる。一時に比べ、救う会、家族会の政治力も落ちてきたと言うことでしょうか?
 なお、俺も金丸氏に概ね同感です。
 ただしこの主張は「拉致解決を最優先するならば国交正常化が必要」と言う話です。
 つまり「拉致解決よりも大事なもの(打倒北朝鮮?)がある」なら話は別です。
 そして「拉致が解決しようとも、拉致解決よりも大事なもののために国交正常化など出来ない」というのはもはや「客観的に正しい、正しくない」と言う問題ではなく「価値観の問題」「主観的な問題」です。「1プラス1は2」のような客観的な話ではない。
 それが「正しいと思う人間(金丸氏や俺)」にとっては「正しい」し、「間違ってると思う人間(救う会や家族会)」にとっては「間違ってる」(まあ大抵の政治問題はそうでしょう)。
 ただし「国交正常化しなくても拉致は解決する」というのは「事実認識の問題」として「事実に反する間違い」だと思います。

*1:正しくは「鉄くず」だと思います。

*2:ハルノートを受け入れれば対米戦争は回避できたし、当時においてすらそれが一番現実的な政策だったと思う俺としては「戦争せざるを得ない状況」と言う認識には異論があります。まあ「下手に北朝鮮を追い詰めると戦前日本のように暴発する危険がある」つうならそれは間違いではないでしょうが。

*3:自民党幹事長(中曽根総裁時代)、副総裁(宮沢総裁時代)などを歴任した金丸信氏のこと