高世仁に突っ込む(2020年7/1日分)(追記あり)

香港の自由弾圧法がスピード可決 - 高世仁の「諸悪莫作」日記
 横田滋死後は北朝鮮拉致記事の多かった高世ですが、最近は新型コロナの他は
中国政府による香港の完全破壊が始まった(周庭) - 高世仁の「諸悪莫作」日記
「国家安全法制」導入で再び緊迫する香港 - 高世仁の「諸悪莫作」日記
と香港関連記事が多く、今回の記事もそうした物の一つです。
 なお、香港の香港国家安全維持法案可決については
けっきょく香港の中国における相対的地位の低下、利用価値の低下に話は尽きると思う - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)も紹介しておきます。

 民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏がリーダーを務める民主派政党「香港衆志(デモシスト)」は解散し、すべての活動を停止するとフェイスブックで発表した。この政党の存在自体が処罰の対象になる可能性があるからだ。
 黄氏のほか、幹部の羅冠聰(ネイサン・ロー)氏、周庭(アグネス・チョウ)氏らもデモシストからの離脱を発表した。

 「何だかなあ」ですね。これで「香港での民主化活動が完全に終了し、民主化活動が原則、香港の外(欧米や台湾など)での活動になる」場合は勿論「香港の民主化運動自体は続く(ただし従来よりは力が弱まる)」場合でも「何だかなあ」ですね。
 「処罰される危険性があっても活動しろ」と無責任なことも言えませんが、「香港デモが盛んだった頃」はさんざん中国批判を叫んでいたくせに、こうした中国の反撃の動きには、新型コロナの影響もあってか「例の条例案反対運動(条例案撤回に香港行政当局を追い込む)」ほどの反対運動を展開できなかったのか、「法案可決を阻止できず」、なすすべも無く、あげく「法案成立直後に活動停止を即発表」とは民主派支持者の多くが「黄之鋒(ジョシュア・ウォン)らへの失望を禁じ得ない」でしょう。
 今後、彼らがそうした失望を「雲散霧消させるほどの新たな活動」ができればいいですが、果たしてそれは可能なのか。
 こうなると、香港の中国批判派が何をしようと「いずれはこうなった」のかもしれませんが、「例の条例案がデモ隊の意見を受け入れた香港行政当局によって撤回されても、中国や香港行政当局が受け入れる可能性の低い行政長官更迭や長官直接選挙(長官公選)などを要求してデモ隊が活動を終わらせず、それどころか中には*1、『中国シンパと見なした企業の店舗を破壊する』などの暴力デモまで起こったこと」は「デモ隊の重大なミス」だったのではないか。
 あそこで「不満はあるけど、当初要求だった条例案撤回は実現したし、まあ、今回はデモはひとまず収束させるわ」「行政長官公選などを諦めたわけじゃ無いが、今回はそこまで要求しないわ(長期計画で行政長官公選などは目指すわ)byデモ隊」であれば「条例案撤回を結局呑んだ」中国もこうした強硬手段には出にくかったでしょう。
 「いずれはこうなった」のかもしれませんが、少なくとも「こうなる日はもっと遅かった」のではないか。
 まあ「早かろうと遅かろうと関係ない」と言う立場なら話は別ですが、俺は「条例案撤回後のデモの収束によって、もっと遅くなる可能性が少しでもあるなら、暴力デモまでが横行したことは中国批判派の重大な判断ミス」と言う理解です。
 高世や周庭(アグネス・チョウ)などはツイッターなどで暴力デモまで正当化していましたが、彼らは過去のそうした言動を今、反省すべきではないか。といっても多分反省せず、俺のような「反省を求める意見」には「中国を擁護するのか!」などと逆ギレするであろう事は今から予想できますが。大体「具体的な中国の反撃がどうなるか」までは予想できないにしても暴力デモなんかやらかしたら、「反発した中国が強硬措置に打って出る危険性」なんか「中国がこの法案を提出する前(暴力デモ当時)」から容易に予想できると思いますがね。
 結局、中国批判派が
1)「自らの政治的力量&欧米の中国批判」を過大評価するとともに
2)「中国の政治的意思」を過小評価していた
のでしょう。で、実際に中国が法案提出したら、思ったほど「香港の反対運動」も「国際社会の中国批判」も盛り上がらず、中国も法案撤回の意思を見せず、予想通り可決されて、将来はともかく現時点では「民主派運動が展望を見いだせず、混迷している」と言うお粗末な話なのでしょう。

 (ボーガス注:法案が可決された6/30の翌日で法の施行日である)7月1日は香港返還23年目の記念日

 つまりは「7/1の施行」は偶然では無いだろうと言うことです。
 「法案が可決された」6/30(返還の前日)には

香港返還 - Wikipedia
 1997年6月30日、チャールズ皇太子江沢民国家主席トニー・ブレア首相と李鵬首相の出席のもと、盛大な返還式典が行われ、世界各国で中継放送された。式典は30日24時をまたいで行われ、24時直前にイギリス国歌の演奏のもとイギリス国旗が降納され、時報とともに今度は中国国歌に合わせて中国国旗が掲揚されるというセレモニーが行われた。

そうです。

 国家分裂(ボーガス注:政権転覆、外国勢力との結託)など4つの処罰対象の定義が曖昧な点だ。若者たちがデモで訴える「香港独立」の主張や中国共産党への批判、欧米に中国への制裁を求めるといった活動が違法とみなされる恐れがある。

 少なくとも「香港独立=国家分裂罪に該当」だけは確かでしょう。まあ香港は自給自足など出来ないので、つまり「マレーシアとシンガポールのような関係」なので独立を仮にするとしても*2、独立後も「中国とのそれなりに円満な関係」は不可欠です。その辺りを香港の「自称独立派」がまともに考えていたようにはとても思えません。

 (ボーガス注:香港と日本は)経済活動や人的交流で深い結びつきがある。19年6月時点で香港に拠点を置く日本企業数は1413社と中国企業に次ぐ多さで、香港の在留邦人は2万5千人超に上る。日本産農林水産物の輸出額は国・地域別でトップだ。香港からの訪日客は229万人に上り、約3人に1人が訪日している計算になる。

 とはいえ、けっきょく香港の中国における相対的地位の低下、利用価値の低下に話は尽きると思う - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)も書くようにそれでも「香港の経済的地位は低下している」、つまりは「日本と中国本土の経済関係」の方が大きいわけです。


【追記】
香港民主派幹部「生きてさえいれば希望ある」 - 産経ニュース

 言論や集会の自由に制限を加える「香港国家安全維持法」の成立を受け、香港の政治団体「香港衆志」(デモシスト)からの脱退を表明した幹部の周庭(アグネス・チョウ)氏(23)は6月30日、SNSで「私、周庭は、本日をもって、政治団体デモシストから脱退致します。これは重く、しかし、もう避けることができない決定です。絶望の中にあっても、いつもお互いのことを想い、私たちはもっと強く生きなければなりません。生きてさえいれば、希望があります」とコメントした。

 「投獄の危険性がある」のに無責任に部外者の俺が「戦え」ともいえません。
 それにしたって上でも既に書きましたが「政治団体デモシストから脱退致します」「(ボーガス注:政治活動しなくても?)生きてさえいれば、希望があります」と速攻で逃げ出すとは「羽振りのいいときは散々中国批判してたくせに何だよ!(呆)」ですね。
 周庭(アグネス・チョウ)らは「恥知らず」「無能で無責任」の批判をされても仕方ないと思います。

*1:あくまでも「中には」であって全てのデモが暴力デモでは無いですが、「警察が無視できないレベルに暴れ回って、マスコミにも報道されていた」のは事実でしょう。

*2:まあ現実問題無理でしょうが。「英国のスコットランド」「カナダのケベック」「スペインのカタルーニャ」(将来はともかく今のところ認めてない)でわかるように欧米民主国家だって「自国の一部の独立運動」なんか認めはしません。「シンガポール独立」などレアケースだと言うことです。