都倉俊一(作曲家)が文化庁長官と偶然気づく

【産経抄】3月27日 - 産経ニュース

文化庁の移転*1は、東京一極集中の是正や地方創生などのため中央省庁の移転が検討される中で決まった。「全面移転」は初めてと注目されるが、引っ越すのは都倉俊一長官をはじめ、9課*2のうち、総合調整や広報などを担当する政策課や文化資源活用課など5課だ。
▼中途半端との批判もあろうが、京都からの情報発信に注目したい。
 文化経済・国際課など4課が東京に残るのは(ボーガス注:芸団協(日本芸能実演家団体協議会)、JASRAC日本音楽著作権協会)、新宗連新日本宗教団体連合会)など文化庁の)関係団体などが首都圏に多いからだという。
▼移転のネックには永田町(ボーガス注:つまり閣僚や与野党の国会議員)への根回しがやりづらくなることも挙げられている。

 赤字部分には「へえ、そうなんや」ですね。こうした役職を引き受けるとはもはや都倉*3(2021年4月から長官)も「現役と言うより、一線を退いた長老」なのでしょう。
 なお、文化庁長官は「文部官僚出身」も勿論います(と言うかそちらの方がダントツで多い*4)が、戸倉以前も

文化庁 - Wikipedia参照
今日出海(1903~1984年:在籍1968~1972年)
 作家。1950年、小説「天皇の帽子」で、直木賞受章。1978年、文化功労者
三浦朱門(1926~2017年:在籍1985~1986年)
 作家。1999年、産経『正論』大賞、文化功労者
河合隼雄(1928~2007年:在籍2002~2006年)
 京都大学名誉教授(心理学)。著書『カウンセリングの実際』、『心理療法序説』、『ユング心理学入門』(以上、2009年、岩波現代文庫)、『ユング心理学と仏教』(2010年、岩波現代文庫)など。2000年、文化功労者
青木保(1938年生まれ:在籍2007~2009年)
 大阪大学名誉教授(文化人類学)。元日本民族学会会長。著書『御岳巡礼』(1994年、講談社学術文庫)、『「日本文化論」の変容』(1999年、中公文庫)、『異文化理解』(2001年、岩波新書)、『多文化世界』(2003年、岩波新書)、『儀礼の象徴性』(2006年、岩波現代文庫)など。
青柳正規(1944年生まれ:在籍2013~2016年)
 東京大学名誉教授(西洋美術史)。元国立西洋美術館館長。著書『ローマ帝国』(2004年、岩波ジュニア新書)、『逸楽と飽食の古代ローマ:『トリマルキオの饗宴』を読む』(2012年、講談社学術文庫)など。2021年、文化功労者
宮田亮平(1945年生まれ:在籍2016~2021年)
 東京芸術大学名誉教授。元東京芸術大学学長。

ということで文化人・学者の長官就任が何件かあります(最近はそうした長官が多い傾向)。
 まあ、コメント欄で指摘があるように学者はともかく、今、三浦なんてのは完全に自民党寄りの右派ですね。
 言うまでもないですがこういうときに

◆今や三浦のような作家
 井上ひさし九条の会呼びかけ人)、大江健三郎

だのとはならないわけです。向こうも引き受けないでしょうが。

*1:財務省、外務省、経産省(旧通産省)等と比べ「政治力の弱い三流官庁(海部、森氏を除き首相になった文相は皆無。しかも海部氏は傍流の三木派で、リクルート事件で「宮沢蔵相」「安倍幹事長」「渡辺政調会長」など自民幹部連中が身動きできなくなったことによるリリーフ的首相。一方、「池田勇人(吉田、岸内閣で蔵相、通産相)」「佐藤栄作(岸内閣蔵相、池田内閣通産相)」「田中角栄(池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相)」「福田赳夫(佐藤内閣蔵相、外相、田中内閣蔵相)」「大平正芳(池田、田中内閣外相、佐藤内閣通産相、田中、三木内閣蔵相)」「宮沢喜一(佐藤内閣通産相、三木内閣外相、中曽根、竹下内閣蔵相)」「橋本龍太郎(海部内閣蔵相、村山内閣通産相)」など財務相(蔵相)、外相、経産相通産相)経験者の首相は多数)」と言われる「文科省」の中でも「特に政治力の弱い文化庁法務省での公安調査庁のような存在)」に「京都移転のごり押し」がされたように見えますね。ほかの官庁でここまで大規模な移転はどこもないと思います。なお、文科省の「三流官庁」性については、寺脇研文部科学省:「三流官庁」の知られざる素顔』(2013年、中公新書ラクレ)として文科省OBの寺脇氏も自嘲しています。

*2:文化庁 - Wikipediaによれば政策課、企画調整課、文化経済・国際課、国語課、著作権課、文化資源活用課、文化財第一課、文化財第二課、宗務課

*3:1948年生まれ。1970年代に阿久悠(1937~2007年)とのコンビで、ピンク・レディーペッパー警部」(1976年:ピンク・レディーのデビュー曲)、「UFO」(1977年:ピンク・レディーがこの曲で1978年の日本レコード大賞を受賞)等のヒットを飛ばした。2010~2016年までJASRAC日本音楽著作権協会)会長。2018年、文化功労者イスラエルハンガリースウェーデンアイスランド大使を歴任した都倉栄二は父(都倉俊一 - Wikipedia参照)

*4:その場合「文化庁長官で退官」が多いようです。