韓国の大統領はなぜ捕まるのか(1月7日のショートメッセージ): 荒木和博BLOG
令和3年1月7日木曜日のショートメッセージ(Vol.280)。これは前にもお話ししたことがあったと思いますが、しょっちゅう受ける質問で「なんで韓国の大統領は皆退任すると捕まったり自殺したり悲惨な最期になるんでしょう」というのがあります。それについてお話ししました。
6分程度の動画です。「そんなことと拉致問題と何の関係があるんだ?」ですね。
なお「皆」ではないですね。金泳三(金大中の前任)、金大中(盧武鉉の前任で盧と近い立場)はそんなことにはなっていませんので。
逮捕されたのは「全斗煥、盧泰愚(金泳三の前任者たちで金とは対立する立場)」「李明博*1、朴槿恵(現在の文在寅*2の前任者たちで文とは対立する立場)」、自殺に追い込まれたのは「盧武鉉(李明博の前任で李とは対立する立場)」です。つまりは「後任大統領が前任者の政敵の場合」、過去の問題行為について、政治的、法律的に追及されることがある、と言うだけの話です。
日本だって「三木武夫*3首相」の時代に「三木の政敵・田中*4(前首相)」はロッキード事件で逮捕されています。
あるいは台湾でも「馬英九*5総統(国民党)」の時代に「馬の政敵・陳水扁*6(前総統、民進党)」が汚職で逮捕されています。俺が知らないだけでそうしたケースは他にも色々あるでしょう。何も韓国限定の話ではない。
日本の場合、戦後「自民党長期政権」で政権交代がほとんどない(非自民政権は片山*7内閣、芦田*8内閣、細川*9内閣、羽田*10内閣、鳩山*11内閣、菅直人*12内閣、野田*13内閣のみで多くが短命内閣)上に、今の菅(安倍前首相の元部下、第一次安倍内閣総務相、第二~四次安倍内閣官房長官。安倍政権を支えた二階*14幹事長、麻生*15副総理・財務相などの支持で総裁に就任)など典型ですが
自由民主党総裁選挙 - Wikipediaなど参照
◆池田*16首相(岸*17内閣で蔵相、通産相)
自民党総裁選において岸派の支援も得て勝利(岸からの事実上の禅譲)。
◆佐藤*18首相(池田内閣で通産相、科学技術庁長官)
病気退任した池田が後継に指名(総裁選は行わず)
◆竹下*19首相(中曽根内閣蔵相、自民党幹事長(中曽根総裁時代)など歴任)
中曽根*20が後継に指名(総裁選は行わず)
◆宇野*21首相(竹下内閣で外相)
竹下が後継に指名(総裁選は行わず)
◆海部*22首相
自民党総裁選において竹下派の支援も得て勝利
などということで「前任首相からの禅譲ケースが多い」ので「前任首相」の不正を追及したがらないだけの話です。
中曽根や竹下がわかりやすいですが「リクルート事件で名前が浮上した彼ら」がクリーンなわけもない。
日本が政治的に清潔なわけでも何でもない。むしろ「政権交代によりそうした追及がされる」韓国の方がずっとましでしょう。
*1:ソウル市長を経て大統領
*2:盧武鉉政権大統領秘書室長、「共に民主党」代表などを経て大統領
*3:国民協同党書記長、委員長、片山内閣逓信相、改進党幹事長(重光総裁時代)、鳩山内閣運輸相、自民党幹事長(石橋総裁時代)、政調会長(岸総裁時代)、岸内閣科学技術庁長官(経済企画庁長官兼務)、池田内閣経済企画庁長官、自民党政調会長、幹事長(池田総裁時代)、佐藤内閣通産相、外相、田中内閣副総理・環境庁長官などを経て首相
*4:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相、自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)などを経て首相
*8:幣原内閣厚生相、日本自由党政調会長、民主党幹事長、総裁、片山内閣副総理・外相、首相を歴任
*10:中曽根、竹下内閣農水相、宮沢内閣蔵相、新生党党首、細川内閣副総理・外相などを経て首相。首相退任後も太陽党党首、民政党党首など歴任
*11:新党さきがけ代表幹事、細川内閣官房副長官、民主党幹事長などを経て首相
*12:社民連副代表、新党さきがけ政調会長、橋本内閣厚生相、民主党幹事長、鳩山内閣副総理・財務相、首相などを経て現在、立憲民主党最高顧問
*13:鳩山内閣財務副大臣、菅内閣財務相、首相、民進党幹事長(蓮舫代表時代)などを経て現在、立憲民主党最高顧問
*14:小渕、森内閣運輸相、小泉。福田、麻生内閣経産相、自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)などを経て現在、幹事長
*15:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、外相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)、首相、第二~四次安倍内閣副総理・財務相などを経て現在、菅内閣副総理・財務相
*16:大蔵次官から政界入り。自由党政調会長、吉田内閣蔵相、通産相、石橋内閣蔵相、岸内閣蔵相、通産相などを経て首相
*17:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、日本民主党幹事長、自民党幹事長(鳩山総裁時代)、石橋内閣外相を経て首相
*18:運輸次官から政界入り。自由党幹事長、吉田内閣郵政相、建設相、岸内閣蔵相、自民党総務会長(岸総裁時代)、池田内閣通産相、科学技術庁長官などを経て首相
*19:佐藤、田中内閣官房長官、三木内閣建設相、大平、中曽根内閣蔵相、自民党幹事長(中曽根総裁時代)などを経て首相
*20:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相、自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官などを経て首相
*21:田中内閣防衛庁長官、自民党国対委員長(三木総裁時代)、福田内閣科学技術庁長官、大平内閣行政管理庁長官、中曽根内閣通産相、竹下内閣外相などを経て首相