今週の週刊漫画タイムズ&週刊漫画ゴラク(2023年8/18記載)

 読まないと理解できない感想が多いですがご容赦ください。読んだ本 - 情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明へのコメントの形で書いていきます。

週漫
 シリーズ新連載。以前の読切から連載化。薬物中毒は、自身のフラッシュバックとかもだけど、(ボーガス注:刑務所出所後)売人が接触してきたってのもあるらしいからなあ。>帰る家がない犯罪者たち@高崎ひいろ。

 勿論、窃盗累犯者(主人公)、薬物中毒者(主人公の同室者)は「再犯の可能性が高い(実際に再犯もある)」「フラッシュバック(薬物中毒の場合)等で周囲が扱いに困る」、つまり窃盗癖というものは、かくのごとく他人の期待や情けを裏切り、迷惑をかける(性犯罪、アルコール依存、ギャンブル依存その他もご同様) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)であるからこそ家族に縁切りされ帰る家がない犯罪者たちになるわけで、主人公らは「帰る家がない」故に「支援団体の提供する家」に暮らさざるを得ません。
 初回から「元薬物犯(主人公の同室者)のフラッシュバックが出てくる」重苦しい展開です。
 「死なない限り、薬物中毒から完全に脱却できる人間はいない(ダルク関係者の言葉だそうですが)」という漫画での登場人物の言葉が重いですね。
 勿論「薬物中毒から抜けられない」と言う意味ではなく、「いつどんなことで薬物犯罪を再犯するか分からない(人間とはそういう弱いモノで、依存症とはそう言う恐ろしいモノだ)」というそういう「重い気持ち」で当事者(元犯罪者)も周囲(家族や支援者)も毎日生きているということです。その結果「再犯の恐怖を感じながら生きるのはもう嫌だ」「死ねばこの辛さから救われる」で自殺する人間も時にはいる。
 実際「長年薬物に手を染めないできた元薬物犯」が「ふとしたことで再犯」と言うケースも残念ながらあるのでしょう。
参考

松本俊彦先生に「薬物依存症」を訊く
②薬物依存症は治るのですか?
 すでに述べたように、薬物使用をやめて体内からすっかり薬物を抜いたとしても、薬物依存症という病気は変わらず存在します。つまり、薬物のことを思い出させる物や人、状況に刺激されるたびに渇望が高まり、「薬物を使いたい/やめたい」という葛藤に揺れる状態は、薬物をやめてかなりの期間を経過しても続くのです。したがって、この質問における「治る」という言葉が、「目の前に薬物を置かれても全く動じなくなる」という意味であれば、「薬物依存症は治りません」と回答するしかないでしょう。
しかし、絶望するにはおよびません。意外に知られていませんが、世の中に存在する医学的疾患の多くは慢性疾患、すなわち、「治らない」病気なのです。代表的な慢性疾患としては糖尿病があります。糖尿病に罹患した方でも食事療法や運動療法薬物療法によって血糖値を安定化させることで、糖尿病が引き起こす深刻な合併症を防ぎ、天寿を全うすることは十分に可能です。だからといって、「ケーキの食べ放題でいくらケーキを食べても血糖値が正常範囲内におさまる」という体質を手に入れることはできません*1し、生涯にわたって食事に気をつけるなどのセルフケアが必要です。
 薬物依存症もこれと同じです。目の前に薬物を差し出されても全く動じない体質を手に入れることは不可能ですが、やめ続けることによって、薬物によって失った健康や財産、あるいは信用を取り戻すことは十分に可能です。つまり、「完治することはないが、回復することはできる」病気なのです。
 とはいえ、この「やめ続ける」というのは容易ではありません。どんなに重篤な薬物依存症の人であっても、単に薬物をやめるだけであれば、実に簡単です。実際、多くの薬物依存症の人が何度も薬物をやめています。数日単位、あるいは数時間単位で。難しいのは、「やめること」ではなく、「やめ続けること」です。そして、薬物をやめ続けるために、治療プログラムなどのメンテナンスが必要となります。
④刑罰は薬物依存症からの回復に役立ちますか?
 薬物依存症からの回復という点については刑罰には限界があります。覚せい剤取締法違反は再犯率がきわめて高く、同じ人間が何回も繰り返して逮捕されているのは、服役したからといって覚せい剤依存症は少しもよくなっていないからです。そして私の経験からいっても、覚せい剤依存症患者が最も覚せい剤を再使用しやすい時期は、刑務所を出所した直後なのです。
 もちろん、私は取り締まりや刑罰が全く無意味というつもりはありません。たとえば、薬物使用がとまらなくなっていた人が、シラフになった頭で「これからどうやって生きていきたいのか」と振り返ることのできる環境を得る機会として、逮捕される経験には一定の意義があります。
 しかし、刑務所という場所は、薬物依存症をこじらせる側面もあります。薬物依存症は別名「忘れる病気」です。「もうクスリはやめたい」と心底思う体験があっても、数日もすれば簡単に「喉元を過ぎて」しまう性質があります。しかも、どれほど重篤な薬物依存症を抱えている人でも、絶対に薬物を使えない環境にいると、全く薬物に対する渇望を自覚しなくなり、自分の「病気」を簡単に忘れます。ですから、覚せい剤取締法事犯者の多くは、出所する頃には、「薬物依存症はもう完全に治った」と思い込み、「いくら誘われてももう大丈夫」と自信過剰になっています。それで、出所早々に昔の仲間と再開し、あっさりと薬物に手を出してしまう、というパターンが多いのです。
 「薬物依存症からの回復には刑罰よりも地域における治療の方が有効」というのは、いまや国際的には常識となっています。
 さらに、逮捕されることが度重なると、次第に社会にいる期間よりも刑務所にいる期間の方が長くなってきます。そうなると、家族や友人といった支援者が少なくなり、加齢とともに就職先も見つかりにくくなります。結果的に、社会で自分の居場所を得ることが難しくなり、それこそ、「薬物でも使わなきゃ、やっていられない」といった、やさぐれた気分になってしまうこともあるでしょう。その意味でも、早い段階で本人を専門的な治療・支援につなげることが大切です。

ゴラク
 嵐山*2の辛モツ*3焼きそば。割と新しく企画された料理なんですね。美味そうだし、酒が一緒に欲しくなりそう。>埼食主義の女@なかじまもりお。

 「東松山の焼き鳥*4(焼きトン)」等「B級グルメブーム前からある物」と違い、

埼玉B級 ご当地グルメまとめ24選!名物が食べられる有名店も紹介 | さいたまっぷる
◆高麗鍋
 『高麗鍋』は日高市で名物となっている埼玉B級グルメ。1300年ほど前に朝鮮半島の方が移住してきたことに由来しています。
 地場産野菜を使用、キムチを使用、高麗人参を使用していることが条件のローカルフードです。
◆こうのす川幅うどん
 『こうのす川幅うどん』は鴻巣市と吉見町の間を流れる荒川の幅が日本一であることにちなんで誕生した鴻巣市ご当地グルメ。見た目は群馬名物のひもかわうどんのようですが、幅がさらに広くてインパクト大です!
◆北本トマトカレー
 『北本トマトカレー』はトマト栽培が盛んな北本市ご当地カレー。このカレーには三か条があり、以下の3点が必要です。
北本トマトカレーの3か条
①ライスをトマトで赤くすること
②ルーにトマトを使用すること
③トッピングにトマトを使用すること

等、いわゆるB級グルメブームに乗って作られた代物(つまり昔からあるわけでは全くない)の一つだと思います。まあ「東松山の焼き鳥(焼きトン)」など「あの界隈(比企地区)」で豚モツが昔からよく食べられるのは確かですが。


◆わたしの死に方ゴラク
 「身近にある死の危険」の紹介漫画*5で、今回は「鉛中毒」ですが、果たして昔(水道管が鉛管だった時代や、ガソリンに鉛が添加されていた時代もあった)ならともかく今の日本で「特殊な業務に従事する人間の労災」を除いて「鉛中毒の危険性」って一般的なのかどうか?

参考

https://www.sankei.com/article/20230621-XMZL7W3CZNLY7J2ZXQVULVSADM/2023.6.21
 香川県警は21日、当時生後2~3カ月の女児の粉ミルクに劇物指定の酢酸鉛を混ぜて飲ませ、慢性鉛中毒にしたとして、傷害の疑いで親族の無職、三好貴子容疑者(37)=同県坂出市西庄町=を逮捕した。県警によると、容疑を認めており、女児の命に別条はないという。
 逮捕容疑は昨年7~8月ごろ、坂出市内の自宅で女児の粉ミルクに酢酸鉛を混入。事情を知らない女児の母親らを介して飲ませ、慢性鉛中毒による全治2カ月の貧血などにさせたとしている。

 故意の犯罪であり「鉛製品の誤飲事故」「鉛製の水道管」「有鉛ガソリン」等とは訳が違います。しかし「女児の親族」にどんな恨みがあったか知りませんが、幼児相手に随分酷いことをするもんです。ちなみに酢酸鉛ですが

酢酸鉛(II) - Wikipedia
 古代ローマにおいては、蜂蜜以外に手に入る甘味料は少なかった。
 そのためブドウの果汁を、鉛でコーティングされた青銅器で煮ることによって得られるサパと呼ばれるシロップが、甘味料として作られていた。このシロップは殺菌効果もあったことから、当時ワインの甘み付けや果物の保存に一般的に使われていた。しかし製造過程で青銅器にコーティングされた酢酸鉛などの鉛化合物が、加熱によってとけこんでいる。当時ワインを好んで飲んだ者が、このようなシロップを添加したことから鉛中毒となっていた可能性が否定できない。

だそうです。


首都高速、鉛中毒リスク 労働者の2割検出 東京の診療所 | 毎日新聞2019.4.27

 首都高速道路塗装工事などに携わり、健康診断を受けた労働者170人のうち、2割近くに当たる31人の血液から、鉛中毒の発症リスクが高まる濃度の鉛が検出されたことが健康診断を担当した医師の調査で判明した。平成初頭までに整備された高速道路の鋼材の塗装には、さび止め剤として鉛が使われているケースが多く、塗り替え工事で削り落とした際に飛散し、吸い込んだ可能性がある。古いさび止め塗料は更新時期を迎えつつあり、労働者の健康をいかに守るのかが課題に浮上している。

 勿論対策が必要ですが「特殊な労働災害」であり、一般人とはあまり関係ないでしょう。


濃色の口紅の使用は避けて!常用で鉛中毒の危険性 [社会] - VIETJOベトナムニュース2017.4.19

 ハノイ市のテレビ局の女性司会者が、愛用していた濃色の口紅が原因で鉛中毒になり入院治療を受けていることが分かった。

 「大昔は日本でも口紅がこうだった」らしいですが、さすがに今はそうではないでしょう。


給油口に貼られる「無鉛」のステッカー! ガソリンスタンドで見かけないけど「有鉛」は存在するのか? | 自動車情報・ニュース WEB CARTOP

 現在はすべてのガソリンが無鉛なので鉛は入っていないが、その昔は実際に入っていて、有鉛ガソリンと呼ばれていた。
 なぜガソリンに鉛(アルキル鉛)を混ぜていたかというと、(中略)入れると10〜15%ほどオクタン価を上げることができるので、とくにハイオクで重宝された。ただ、鉛を含んだ排気ガスによって鉛中毒になる可能性が指摘され、世界的に廃止へと大きく舵を切ることに。日本では牛込柳町鉛中毒事件をきっかけにして機運が高まり、レギュラーは1975年、ハイオクは1987年に完全無鉛化された。ちなみに牛込柳町中毒事件とは、周囲でぜん息などの呼吸器系の疾患が多く、その原因が排気ガスに含まれる鉛ではないかと言われたもの。牛込柳町の交差点は谷底のようにくぼんでいたため、排気ガスがとくに溜まりやすいのではないかというのが理由だ。実際は関係なかったようだが、無鉛化の流れはこれをきっかけに加速した。

*1:むしろ「大好物のケーキを目の前に出されても何一つ動じない(我慢してるのではなく、そもそもまるで食欲が働かない)、というわけにはいかない(多くの糖尿病患者の場合、食欲がないのではなく、健康に配慮して食事を我慢している)」と言う例の方が適切でないか?

*2:比企郡嵐山町のこと。漫画でも説明があるが『本多静六(東京の日比谷公園、北海道の大沼公園福島県鶴ヶ城公園、埼玉県の羊山公園、長野県の臥竜公園、石川県の卯辰山公園、福岡県の大濠公園等の設計や改良に携わり『公園の父』と呼ばれる)が昭和3年(1928年)当時、比企郡菅谷村(現・比企郡嵐山町)にある現在の嵐山渓谷周辺を訪れた際、風景が京都の嵐山(あらしやま)によく似ていることから、武蔵嵐山(むさしらんざん)と命名したこと』が町名の由来(本多静六 - Wikipedia参照)

*3:豚モツを辛味噌で味付け

*4:なお、東松山焼き鳥の定番である辛味噌は老舗の大松屋が開発したというのが定説です(埼玉県東松山市・大松屋 – イオWeb(2012.9.17)、東松山「大松屋」 創業60年、やきとりの辛味噌はここから始まった – Syupo [シュポ](2017.5.24)、東松山やきとり 豚カシラ肉、辛いみそだれたっぷりで - 日本経済新聞(2017.8.29)、【日本居酒屋紀行】知られざるやきとりの町・埼玉県東松山市 / 東松山名物みそだれやきとり発祥の店「大松屋」 | GOTRIP! 明日、旅に行きたくなるメディア(2018.9.9)、〈ここにも同胞の名店・埼玉〉やきとり大松屋 | 朝鮮新報(2021.3.18)、〈源流をたどる―食・工・建6〉埼玉・やきとり大松屋 | 朝鮮新報(2021.10.29)参照)。

*5:今後も気が向いたらこの漫画を紹介予定です。