浅井基文「イランのイスラエルに対する軍事行動」(2024年4月22日記載)

イランのイスラエルに対する軍事行動

 4月13日(現地時間)にイランは、イスラエルによるイラン在シリア領事館に対する攻撃への報復として、ドローン及びミサイルによるイスラエルに対する軍事作戦を敢行しました。イスラエルは、300基以上のドローン及びミサイルの99%以上を撃墜し、数基のミサイルがイスラエルの軍事基地に命中したもののその被害は軽微だった、として「勝利宣言」(ネタニヤフ首相)を行いました。

 これ以上の引用は省略しますが、これについて「問題をこれで終わらせるための、イランとイスラエル出来レースではないか(少なくともイランはイスラエルと全面戦争する気は無く、イスラエルによって潰された面子を保ちたかっただけ)」と見る浅井先生です。
 「イランはイスラエルと全面戦争する気は無い」については俺も同感です。
 「中東の軍事大国」とはいえ、イランはイラン単独*1で「軍事大国イスラエルを圧倒できるほどの軍事力は無く」、また、イスラエルのバックには軍事大国・米国が控えています。そう簡単にイランが勝てる話ではない。
 またイスラエルへの攻撃が「どっちもどっち」イメージによって「イスラエルのガザ攻撃」への批判を弱め、ネタニヤフを利する危険もある。
 とはいえ「イランは弱腰」とネタニヤフに舐められて、さらにネタニヤフにイラン攻撃に暴走されても困るし、イラン国内の強硬派に対するガス抜きも必要だと言うことで「我々が何も軍事的反撃できないと思ったら大間違いだ(ネタニヤフへの牽制)」「最低限の反撃はした(国内強硬派へのガス抜き)」といえる程度の反撃をイランがしたと言う話です。
 今や問題はネタニヤフが「イランの攻撃など何ら効果無かった」で済ませて「反撃しないでひとまず終わらせるのかどうか」、欧米各国(特に米国)は「イランに反撃して事態を悪化させるな」とネタニヤフを押さえ込めるのかどうかでしょう。
 ネタニヤフを押さえ込めれば「ひとまずは幸い」ですが、少なくとも表向きのネタニヤフ発言は「過激」であり押さえ込めると言い切れない点が不安です。
 ネタニヤフが反撃してもイランがあえて「自制し、対立がエスカレートせずに沈静化する可能性」は勿論ありますが。

*1:一方で「過去の中東戦争」のようにアラブ連合軍でイスラエルと戦う機運もないでしょう。