「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」を笑おう・パート54(追記・訂正あり)

パート53の続き。

■新たな「小田実*1」の出現 小倉紀蔵*2編著「新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮」(角川書店)にコメントその1 
http://hrnk.trycomp.net/news.php?eid=00901
 今は亡き「イザヤ・ベンダサン山本七平)」の二番煎じ、バッタもんの「中道ぶってるゲス右翼」三浦小太郎がまた寝言言ってます。
三浦は
小倉紀蔵氏までもが事実上北朝鮮擁護とは 
http://hrnk.trycomp.net/news.php?eid=00853
において、相当奥歯に物の挟まった感じの文章で小倉氏の言動を論評しましたが、どうやら小倉氏を「北朝鮮シンパ」として罵倒することに決めたようです。この本、出版されてからかなり時間が経ってるんですが今頃三浦が批判を始めるというのは「批判するかどうか迷った」ということでしょう。
まあ、三浦の悩んだ気持ちはわかります。
小倉氏は明らかに左翼ではない。ご本人自身、自分のことを左翼とは思ってないようですし、俺も保守派だと思います。
そしてこのエントリで三浦が批判する小倉編著の発行元・角川書店も別に左翼出版社じゃない。角川は世間的には「もともとは文学の出版社(ウィキペディア曰く創業者・角川源義は著名な俳人です)」「1970〜80年代頃は横溝正史金田一耕助)と赤川次郎三毛猫ホームズシリーズなど)の会社。メディアミックスで薬師丸ひろ子原田知世を売り出した会社」「最近はアニメの会社」でしょう。
俺はこの本は本屋で斜め読みしただけで、きちんと読んでいませんが、「経済制裁路線に反対したり、拉致を認めるなどの最近の北朝鮮の変化を好意的に評価したりはしている」ものの、手放しで北朝鮮を万歳してる訳じゃありません(なお、編著であり、かつ、小倉氏曰く、あえて意見の違いを討論で一つの意見にまとめることなく、そのまま意見の違いとして出したそうなので、論者によって北朝鮮への見方には若干の差異があります)。まあ、今時そんな北朝鮮礼賛本は角川のような大手出版社からはまずでませんが。
 これが世間に左派的文化人と見なされた方が、左派的と見なされる出版社(たとえば岩波書店)から出した本で、内容も手放しの北朝鮮万歳(今時そんな本はあり得ませんが)だったりしたら、三浦もすぐにでも叩きたかったんでしょう。保守の小倉氏が、非左派系出版社・角川から出した本をうかつに批判すると「お前ただの極右だろ、北朝鮮打倒論者だろ」という三浦の本性がばれかねませんから。

これはかって寺尾五郎の「38度線の北」*3そして小田実*4の70年代の著作「私と朝鮮」*5につながる、知識人が自分の観念におぼれる典型的な北朝鮮讃美のパターンだなと思いました。

 三浦のこの文章、「馬鹿げた言いがかり」「悪質なデマ、誹謗中傷」としか言いようがありません。そもそも自分の観念におぼれてたら共著としないと思います。単著の方が思う存分、自分の独りよがりなことが書ける。
 寺尾氏(1950年代)や小田氏(1970年代)の時代は北朝鮮の問題点はもちろんないわけでありませんが、まだあまり表面化しておらず、よくわかっていませんでした(特に寺尾氏の時代は)。大韓航空機爆破事件とかわかりやすい形で北朝鮮の問題点が出てくるのは寺尾氏や小田氏の著書が書かれたのより、ずっと後のことです。なので確かに問題点の指摘は弱かったんでしょう。読んだことがないので「でしょう」としか言いようがないけど。ただし寺尾氏や小田氏に問題がないとは言いません。注意深く見れば問題点にきづいたかもしれない。また、結果責任というものはあるでしょう。しかし、同情の余地はある。三浦のウヨ仲間・荒木和博が「ホルミシス効果飯館村は安全」「山梨県警DNA鑑定捏造説」を唱えたり、西村幸祐が「国籍法改正デマ」流したり、西岡が慰安婦違法性否定論唱えたりするのよりは同情の余地がある。三浦も偉そうに左派批判する暇があったらウヨ仲間のデマでも批判しろ。
 一方、今回の小倉氏の本。言うまでもないですが、北朝鮮の問題点は今やよく知られています。当然、小倉本もそれに触れています。手放しの北朝鮮礼賛などしていない。そんなことしたら角川のような大手は絶対に出版しないでしょう。小倉氏の主張は俺の理解では金大中氏や盧武鉉氏の太陽政策のような代物でしかありません。それが「北朝鮮賛美」ですか。呆れて物も言えません。まあ、金大中氏を過去に「北朝鮮の手先であるかのように」印象操作したゲス右翼・三浦にとっては「太陽政策北朝鮮シンパ」なんでしょうが。
 たとえば小倉本が北朝鮮礼賛本ではないことは以前、『「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」を笑おう・パート50(追記・訂正あり)』(http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20081110/1307052595)で俺が紹介した小倉本の共著者の一人・林廣茂氏のエントリを読むだけでも明白でしょう。


【林氏のエントリ】
北朝鮮の経済と人民の暮らし』
http://hhp.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/86-f834.html
産経新聞での発言、「私はこうみる 金正恩新体制」:国際共同管理で再建を』
http://hhp.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-9c32.html
北朝鮮の経済とその課題』
http://www.toyo-keizai.co.jp/news/topics/2012/post_4963.php


 また、『「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」を笑おう・パート46(追記・訂正あり)』(http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20081114/1307052595)で既に指摘しましたが

小倉氏を主体主義盲信者扱いしようと印象操作に必死な三浦だが
法華狼の日記「原水禁について知らず、坂本龍一氏が北朝鮮支援団体に寄付したと書く「痛いテレビ」が痛い」
http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20120728/1343494031
が紹介する訪朝報告(ただし筆者は小倉氏ではなさそう)によれば小倉氏なりの批判意識はあるようだ。詳しくは法華狼氏のエントリ及び、エントリが紹介する報告を呼んでほしいが小倉氏は
主体思想では人民大衆の要求の通りにしていくことが重視されており、実際に人民からはいろいろな要求があるはずだが、一方で主体思想を唯一思想体系と言ってることは矛盾ではないのか?」と言う趣旨の質問をしたそうだ。

ということで、小倉氏が三浦の言うような単純な北朝鮮礼賛論者だったらこういう質問はしないでしょう。
 ま、三浦もそんな事は「百も承知」でゲス右翼らしい因縁をつけてるんでしょう。要するに三浦にとって「小倉氏のような保守」が「角川のような非左翼系出版会社」からこういう本を出したことがよほどショックだったんでしょう。最近は日本政府も対話路線に動きつつあるし黙認できないと。
 ちなみに三浦が小倉氏の部分的な文章だけをあげつらってるのには大笑いさせてもらいました。
 後できちんと読んだ上で感想を追記するつもりですが、小倉氏はこの本において「自分は一応、編者だが、誰にどんな論文を頼むかといったとりまとめ的な事をしただけで、別にこの本の意見を統一する立場にあるわけではない」「意見の違いはあえてそのままにした」「それぞれの意見を読み比べて是非自分の頭で考えてほしい」と言う趣旨のことを書いています。この本の共著者は「早期国交正常化に賛成する、制裁路線に批判的」と言う以上には共通点はないのに編者と言うだけで小倉氏の意見だけ取り上げて他の共著者については論文内容どころかどんな人間が小倉本の共著者か名前さえ何故か全く触れない、しかも小倉氏の部分的な文句(三浦が前後の文脈を無視してる疑いがある)をあげつらって書評としてるんですからまともに読んだのかと疑いたくなります。と同時に小倉氏以外(たとえば林氏)は敵としたくないのか、敵にすると都合の悪いことがあるのかと疑いたくなる。俺は前から書いてますが「三浦批判する気など全くないらしい」野原先生と違って「ゲス右翼」三浦には誠実さや良心があるとは全く思ってませんのでどうしても疑いの目で見てしまう。
まあ、小倉氏の名前しか出さなくても共著者なんですからあまりにも変な批判をすれば、共著者による三浦批判が始まる可能性は当然ありますけど(毒)。
 しかし三浦は北朝鮮や中国の独裁を「民主主義は大切」と批判してかっこつけますけどこの男は「経済成長を達成した*6」「北朝鮮への対抗上仕方なかった」などと屁理屈で韓国・朴正煕独裁は擁護するし、戦前日本は批判しない所か、詭弁で戦前日本を擁護する歴史捏造主義極右連中(荒木和博、西岡力島田洋一西村幸祐など)と平気でつきあってるし、イスラエルタカ派政治家・シャランスキーなる人物を手放しで褒めたたえてるんですから三浦のいう人権だの民主主義だのがいかに「口から出任せのインチキ」か。単に反共主義者なだけです。


【追記】
1)単なる偶然ですが朝鮮新報に小倉氏、及び小倉氏の共著者・林氏の訪朝についての記事が載ったので紹介しておきます。

http://chosonsinbo.com/jp/2012/09/kyoutonet/
日朝友好京都ネット学術交流会 「ピョンヤンで、見た!考えた!対話した!」
 「文化・学術・市民交流を促進する日朝友好京都ネット」(以下日朝友好京都ネット)による学術報告会「ピョンヤンで、見た!考えた!対話した!」が9月22日、京都市同志社大学新町キャンパスで行われた。日朝平壌宣言10周年に際して行われた同報告会には、同胞、日本市民、大学生など約170人が参加した。報告会では、今年の4、5月に訪朝した日朝友好京都ネットのメンバーたちによる、各グループの活動、研究内容が報告された。また、市民同士の交流、対話による友好、相互理解が深まる過程で、一日も早い朝・日の関係改善が促進される重要性が強調された。
(中略)
 グループ別報告が行われた。
(中略)
 思想及び文化社会事情グループからは、京都大学小倉紀蔵教授が報告。朝鮮の社会科学院の教授らとの「主体思想」を中心とした討論内容などについて紹介しながら、「日本も過去を反省し、未来に向けた普遍主義をみんなで一緒に成就していく必要がある」と話した。
 経済グループの中国・西安交通大学管理大学院の林廣茂客員教授は、日朝国交正常化は日本にとってもメリットがあり、朝鮮経済の立て直し、産業開発に対する日本の協力において日本が果たす役割が大きいと述べた。

2)この本の書評が朝鮮新報に載っていたので紹介しましょう。共著者の名前がわかるだけ三浦の書評より何倍もマシです。

http://chosonsinbo.com/jp/2012/09/0927sg/
中身は6つのテーマについて、それぞれのプロが個人の資格で深みのある見解を述べている。
①「思想と体制:北朝鮮という国家を内側から理解する」は編者執筆。人びとを内面から理解しようとする筆者の努力に敬意を表したい。
②「発展する北朝鮮経済の現状と展望」佐々木道博氏は、これまで4年間にわたり京都からの各種の訪朝団の実現に携わって来た専門家として、日本の政権担当者の期待に「反して」活性化している諸現象について述べながら、日本としては「日朝平壌宣言」の原点に戻り、ビジネスパートナーとして相互補完する形で、付き合いを深めたらどうか、と言われている。現実味のある言葉である。
③「北朝鮮の<経済と暮らし>へのインサイト」林廣茂氏*7は、われわれ在日朝鮮人も知らない内部の経済状況に対する公正な友人の観察として貴重だ。④と⑤の映画(中村一成*8)と歌(北岡裕氏)についての、内部事情に精しいお二人の紹介は、急速に変化する北の文化の現状への認識を深めるものだ。⑥「北朝鮮観光案内・旅行記変遷史」礒崎敦仁氏*9は、この主題についての精しい書誌。日本人が北をどのように見て来たかの多様な記録。
 さて、「おわりに」では編者、小倉氏は「過去の清算」を果たし「日朝関係を動かし、日朝国交正常化を果たすことができれば、その政治家はあきらかに歴史に名を刻むことができるであろう」と言われている。ただ、国民の多数が「日朝友好京都ネット」のように現在の不合理さに気付き、行動しなければ政治家は動かないだろう。
 その意味で、小生はこの本に示されているような、異なった立場の人びとに対する、しなやかな包容力のある人間的な関心、または京都の人たちが歴史的に洗練させて来た人との付き合い方―こういうものに期待をしたいと思うのである。

 なお、中村氏は最近の関係書籍として門間貴志『朝鮮民主主義人民共和国映画史』(2012年、5月:現代書館)を紹介している(この本についての俺の感想はhttp://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20120707/5314918652参照)。で門間本は別に北朝鮮シンパではない。

3)2012.9.28現在、小倉本を購入して一応読み終わりました。id:Bill_McCrearyさんにIDコールしてお知らせしておきます。で最初は感想を章ごとに書こうかとも思ったんですが、結構面倒なので、三浦の言いがかりへの反論をするにとどめます。
 まず、この本やはり北朝鮮絶賛本じゃありません。まあ、常識で考えてそんな本が大手・角川からでるわけもないですが。
 それが特にわかりやすいのが6章でしょう(もちろん6章以外が北朝鮮批判していないというわけではないですが)。6章では過去の北朝鮮訪問記録が紹介され、その中には三浦が罵倒する寺尾氏や小田氏の本もあります。6章の筆者・礒崎氏曰く1970年代までは「親朝鮮人士による好意的記録」が多い。出版元もいわゆる左派が多くぶっちゃけ売れ筋じゃありません。批判本は少なかった。批判本はあっても右翼系(怪しい代物ももちろん多い)でこちらも売れ筋じゃない。この時代、北朝鮮本なんか買うのは要するに「北朝鮮研究者」など一部の変わり者です。
 1980年代頃に大韓航空機爆破事件など否定的事件もわかりやすい形で起こって「親朝鮮人士の好意的記録が多い」という状況は少しずつ変わります。1991年のソ連崩壊でそうした否定的事象(経済危機)はいっそう目立つし、ソ連からの支援が減った分、外貨を稼ぐために外国人(日本人を含む)観光客受け入れがかなり緩和される。当然、訪朝記録の書き手となり得る日本人訪朝者の数も増えるし訪朝者も必ずしも友好人士ではなくなる(さすがに反朝鮮分子は北朝鮮に入国できないでしょうが)。訪朝記録の数も増えるし種類も多様になる。
 そしてテリー伊藤「お笑い北朝鮮」(1993年)あたりから大きく状況が変わってくる、批判本も出てくるし、テリーのような政治色の少ない面白がり的な本も出てくるし出版大手も乗り出してくる、というのが礒崎氏の見立てです。
 いろんな本が紹介されてるので興味のある人はご覧になるといいでしょう。ちなみに以前俺がエントリ(http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20091126/1259061072)で紹介した、のなかあき子「北朝鮮行ってみたらこうなった」(2006年3月刊行、インデックス・コミュニケーションズ)も6章で紹介されてます。俺的に読みたいと思ったのは、国分隼人『将軍様の鉄道:北朝鮮鉄道事情』(2007年、新潮社)、『北朝鮮の鉄道事情』(2011年、新人物往来社文庫) ですね。
 パート55(http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20081105/1307052595)で、国分本はネタにします。
 もちろん「経済制裁反対、国交早期正常化支持の立場の人々」「訪朝団の人々」ですから北朝鮮打倒を唱える本じゃありませんが三浦の罵倒するような内容の本じゃない。もし三浦がこの本を読んでそのように思ったのならよほど文章読解力がない。まあ、俺は三浦がそこまでバカだとは思いませんし、三浦が「小倉氏の共著者の名前を書評において一人も挙げなかったのは『北朝鮮擁護本』だという三浦の小倉本批判が嘘だと言うことがばれないようにするため」だと思っていますが。
 じゃあ、三浦のページ数を上げての小倉本批判は何なのかと疑問を感じる人もいるでしょうから、そこだけ突っ込みます。一言で言えば文脈無視の言いがかりです。興味のある方は俺のへたくそな説明を読むより直接この本を読んだ方が三浦の主張のデタラメさが一発でわかるかと思います。誤読に基づいた勘違い批判というのはあり得るわけですが、三浦の小倉批判はそうではなく明らかに故意の言いがかりでしょう。正直、守る会会員が三浦の書評と小倉本を読み比べることは絶対にないとなめてるとしか思えない酷さです。
こんな三浦のようなゲスを役員にしている「守る会」及びそんな「守る会」の会員(もちろんアホの野原を含む)がいかにバカでクズか改めてよくわかりました。

「まず重要なのは、北朝鮮の政権内部における権力構造が一枚岩であるかどうかはわからないが、少なくとも金正恩第一秘書*10と人民との間には、隙間がないということである」(31ページ)

 これはあくまでもそういう建前で北朝鮮政治が動いてるという建前論の話です。まともな読み手なら小倉氏の文章が「単に北朝鮮政府の公式見解(と小倉氏が理解したもの)を読者に対し予備知識として提供している」のか、「その建前を事実と理解し、北朝鮮を絶賛してるのか」ぐらいわかるでしょう。もちろん前者の訳ですが。前後の文脈を全部引用すれば三浦の嘘はモロバレです。俺は面倒くさいのでそこまでやりませんが、興味のある方は直接小倉本を読めばいいでしょう。
 ちなみにこの北朝鮮の論理と全く同じ論理で会社が動き「渡辺社長と僕ら社員は一枚岩で隙間がないから労働組合が必要ない」ととんでもないことを会社の労使担当が新入社員相手に言っていたのが日本が世界に誇るブラック企業ワタミです。要するに日本人は北朝鮮の政治システムを全く笑えない。ワタミがのさばっていて何を偉そうなことが言えるのか。三浦も偉そうなことを言うなら「日本の中の独裁国家の一つ」ワタミ批判でもやって欲しい。

参考

http://logsoku.com/thread/engawa.2ch.net/poverty/1338006919/
ワタミ「うちに労働組合はないし、必要ありません。問題が起これば迷わず相談してください」
 ワタミフードサービス(東京)に入社して二カ月で自殺した森美菜さん=当時(26)=の同僚だった元男性社員(26)は、入社時の本社研修を忘れない。
 同期の一人が会場で「労働組合はあるんですか」と尋ねると、人材開発部の社員が即座に答えた。「うちにそんなものはないし、必要ありません。問題が起これば迷わず相談してください」。会場がざわめいた。
 四年たった今も、ワタミグループ労働組合はない。「創業者の渡辺美樹氏は社員を家族と言ってはばからない。その思想が背景にある」と元幹部は説明する。だが、“娘”だった森さんの葬儀に渡辺氏の姿はなかった。

「しかし、公的な場所では統治について常に同じことをいうに違いない。」

「公的な場所」と書いてある点に注意しましょう。要するに建前論だと言うことです。

「しかもそれはだれかが暴力的に抑え込むわけではない。人民が自主的にそう考え、その結果、すべての人民が同じ考えに到達するのである。」(32ぺーじ)

 ここで小倉氏がしているのはいわゆる「強制された自主性」という話です。たとえばサービス残業は「一応自主的」で「誰かが暴力的にやらせている」わけではない。
 がそうせざるをえないように「全ての社員がサービス残業しないといけないという同じ考えに到達する」ように会社(例:日本が世界に誇るブラック企業の代表・ワタミ)が様々な手段を用いてるわけです。私的な場所(例:自分の家族、友人)ならともかく「公的な場所(例:会社の上司が部下に質問したとき)」では社員は「サービス残業について、常に『会社のために喜んでやります』と同じ事を言うに違いない」。
 だからこそサービス残業はなかなかなくならない。恐ろしいことに一般サラリーマンからも「仕方ねえだろ、会社のためだ」という「お前経営者かよ」という発言が時として出るわけです。
 要するにここで小倉氏が言いたいことは「同じ考えに到達してすばらしい」、と言う話じゃありません。こういう「強制された自主性」をうまく使用すれば「暴力で抑えつける」のよりはその独裁体制は当然ながら強固になる。 したがって小倉論文でのこの場合の「自主的」というのは明らかに「カギ括弧付き」です。
したがってこの小倉文章引用以降の三浦の

この文章の矛盾に小倉氏は気づかないのでしょうか。人民が自主的に考えて、同じ結論に自然に至る社会というのは、それこそカルト宗教で子供のころから洗脳された国家くらいしかありえず、北朝鮮はある意味それに最も近い体制なのです。

というのはまるきりとんちんかんです。小倉氏は北朝鮮体制をほめてるわけではない。
 ちなみに「人民が自主的に考えて、同じ結論に自然に至る社会というのは、それこそカルト宗教」ってのはたとえば「自主的(?)な座談会で幹部が池田大作万歳の方向に信者を洗脳するカルト創価学会」のことでしょうか?。

「人々を、『個』にさせない、というのがこの国の統治の方法である。誰もが強制しないのに、みんなが自主的に考えたら同じになった、という回路をきわめて重要視する。だからそこから逸脱する存在は許されないし、そもそも原理的にそんな存在はいないのだ」(33ページ)

 これは32ページの言い換えに過ぎず、かつそうした体制を小倉氏はほめてません。
 なお、小倉氏も別の箇所で指摘していますし、少なからぬ識者が指摘しますが、こうした北朝鮮体制の「みんなが同じ意思だ」という建前は「天皇の元に皆は赤子(一君万民論、俺の理解では小倉氏は北朝鮮の首領思想には一君万民論の影響があると見ているようだ)」「日本の体育会(先輩も後輩も同じ意思)」「日本のブラック企業(社長も社員も一枚岩)」、あるいは最近一部で大流行の「一つになろうニッポン」に論理構造が似ています。そういうのをオールジャパン現象と皮肉るはてな民もいます。何が言いたいかというと北朝鮮体制はむしろウヨにとって理想の政治体制ではないのかということです。本来、組織運営方法が論理的に違いはないのだから、批判するなら「体育会やブラック企業、戦前の天皇制も批判しないとおかしい」し、「それらを批判しないなら北朝鮮体制を容認しないとおかしい」。
 しかし日本ウヨは「ブラック企業や体育会、戦前の天皇制は容認」し、「北朝鮮体制は批判する」という矛盾した態度になるわけです。もちろんそこで出てくる理屈は反共や、朝鮮人への差別意識でしょうが。

この後小倉氏はいろいろなことを書いていますが、正直、引用するのも気の毒なほど事実に反することも書かれています。一例を挙げれば、主体思想は奴隷の思想ではない、金日成の現地指導は「慈愛あふれる」ものだったとありますが(38ぺーじ)それでなぜ農業が破たんし飢餓が襲ったのか説明してほしいものです。

 小倉氏は「渡辺美樹率いるワタミ社員教育は少なくとも建前では奴隷の思想ではない」「渡辺の社員指導は建前では(渡辺の主観でも?)慈愛あふれるものだった」というのと同じ事を言ってるに過ぎません。
 だからこそ、ワタミ北朝鮮も厄介だという話です。
「偉大な渡辺や偉大な金日成が、自分の偉大さを根拠に社員や国民を上から命令してあごで使う」という建前ならともかく「君たちは僕の家族だ」「君らの意見で有益なものはどんどん採用する」(建前に過ぎませんけど)では批判しづらい、その点をわからず批判しても下手をすると「私たちの自主性を渡辺社長や金主席は重視しています、独裁なんかありません(by社員や国民)」ということになって批判が空回りしかねないというだけの話に過ぎません。ちなみに戦前日本だって建前は「国民は天皇の家族」だったわけです。
「なぜ農業が破たんし飢餓が襲ったのか説明してほしい」
 ここで言う慈愛ってのは「現場の主張をくみ上げる」と言うのと同義です(建前がそうだとしても、実際にそうかは疑問ですし、小倉氏もその点には疑問を感じてるでしょうが)。「現場の主張をくみ上げる」と当然に成功するのか?。
 その三浦理論だと、戦前日本が戦争に惨敗し多くの国民が死んだのは「昭和天皇に国民への慈愛がなかった」からになるのか?。いや俺は昭和天皇にそんな慈愛の心があるとは全く思いませんが、ウヨの三浦先生はいかがですか?
 訳わからない主張を良く三浦もできるものです。百歩譲って小倉氏が「北朝鮮を絶賛していた」としてもこれは共著で、共著者は必ずしも、小倉氏と同意見ではありませんし、本心はどうか知りませんが小倉氏は本書について「これが決定版で絶対に正しいとは思ってない」「一つの議論の材料になれば幸い」としているのですが。

アジアを欧米流の民主主義や自由の思想の観点からだけで批判する姿勢に対し、東洋学者として一言違う視点を対峙したいという学者としての意志もあるのでしょう。この思いは同書の44ページ「スピリチャル・パズル*11」の章によく表れています。

 この「スピリチュアル・パズル」と言う章で小倉氏は「戦前天皇制度と北朝鮮政治体制は似ている」「戦前国体論と主体主義は似ている」としている(まあ、こういう指摘は小倉氏だけではなく、他にも珍しくないでしょうが。どちらも世襲の独裁体制*12ですから)のですがその点について三浦が全く自分の感想を述べないのがすばらしい。北朝鮮を批判するが、戦前天皇制は擁護する三浦としてはスルーするしかないんでしょう。
 極右・三浦がとれる手は「いや戦前天皇制と北朝鮮政治体制は違う、前者は正しいが後者は間違いだ」だけでしょう。まさか「確かに似ている。戦前天皇制は間違ってた」とか「戦前天皇制は正しいから北朝鮮も正しい」とか言うわけがない。とはいえ「違うとするうまい理由が思いつかず」、スルーすることにしたんでしょう。三浦はどこまでも薄汚い男です。

金日成とそれ以後の北朝鮮であれ、毛沢東時代の中国であれ、あえて言えばすべてアジア的な専制政治スターリン主義が悪しき結合をしたものです。

小倉氏が「北朝鮮政治体制は戦前天皇制に似ている」と表現してるのにスターリン主義には触れても戦前天皇制には触れない三浦の極右ぶりが笑える。北朝鮮政治体制は毛沢東中国やスターリンソ連よりは戦前天皇制に似ているでしょう。中国やソ連世襲じゃないから。

 小倉氏は、自由や民主主義は相対的な価値であるとして、では前近代社会の江戸時代は今より劣っていたと言えるのかという趣旨のことを述べています。

 本書51ページです。俺の理解では小倉氏は「現に江戸時代は欧米流の自由民主主義にたたない価値観で動いていて、現実問題として全否定するわけに行かない」→「北朝鮮も現に欧米流の自由民主主義にたたない価値観で動いていて、現実問題として全否定するわけに行かない」→「大体、日本右翼は『日本の過去(植民地支配や侵略戦争)を現在の価値観で裁くな』とか『朴正熙独裁はやむを得ない過渡期の現象、現実的に考えよう』とか言って朴独裁や日本の過去を擁護してきた。北朝鮮だけに何で厳しいんだか。うまく太陽政策でリードして徐々に人権問題を改善する漸進策しかない」と言っています(本書を読んでの俺の独断に過ぎませんがどうも小倉氏は北朝鮮に限らず、「人権改善のためなら政権転覆も容認すべき」的考えには否定的なようです)。
 率直にいってここは「北朝鮮に甘い」と思う人もいるかもしれない。俺はそうは思いませんが。ただいずれにせよ小倉氏は北朝鮮の現状を別に全肯定してはいない。現実にそういう国がある以上、そこに問題があったとしても「政権転覆など」の形で全否定するわけにも行かない、漸進主義で変えるしかないと言ってるに過ぎません。
 そして三浦のようなウヨにとって「俺(小倉氏)の北朝鮮への態度とお前らの朴正熙への態度とどこが違う」というのは結構痛いと思いますけどね。まあ、詭弁が発動されるだけでしょうが。ああ、そうそう日本ウヨが黙認してきた独裁は朴だけじゃなくて、フィリピンマルコス独裁とか、インドネシアスハルト独裁なんかもあります。

小倉氏は今収容所で強制労働されている人々に対して、また中朝国境をさまよう脱北者に対して「原理的にそんな存在はいない」と言い切れるのでしょうか

 小倉氏は「戦前日本と北朝鮮は似ている」とした本書p46「スピリチュアルパズル」の章で「北朝鮮や戦前日本においてそうした人間は原理的にいない以上、そうした人間がでた場合、システムバグ(戦前日本の言葉だと「非国民」)として、矯正教育や『社会からの排除*13』の対象になる」「それが北朝鮮においてはたとえば秘密警察と強制収容所であり、戦前日本にも同様の制度(特別高等警察や網走刑務所など)があった」と言う趣旨のこと(正確な文章を知りたい方は是非読んで下さい)を書いてるんですが。つまり小倉氏は強制収容所の囚人や脱北者の存在を否定していません。「それ(北朝鮮体制批判者)は戦前日本においてたとえば共産党員が非国民としてバグ扱いされていたのと同様、北朝鮮の建前論ではあってはならないバグ扱いされてる」と書いたに過ぎません。
 どんだけデタラメなことを三浦は書けば気が済むのか。


■「韓国大統領選:朴槿恵氏が父の独裁体制を批判、被害者に謝罪 それなら北の独裁は?」に突っ込みその2
http://hrnk.trycomp.net/news.php?eid=00900
 その1の続き。

会見場に現れた朴槿恵氏の目は、やや充血していた。プロンプターを使って約10分にわたり会見文を読み上げたが、途中で声を震わせる場面もあった。

 彼女が誠実な人間で「本心から親の罪を認めたのか」、それとも野党やマスコミの批判をかわすための単なるパフォーマンスに過ぎないのかはわかりません。ただし後で「首相在任中、河野談話踏襲を口にしながら、首相退任後に、談話を罵倒し男を下げた安倍晋三」のように、後で「アレは本心ではなかった」等と恥知らずなことを言い出さない限り、たとえパフォーマンスでも彼女を評価したいと俺個人は思います。
 「途中で声を震わせる場面もあった。」
 彼女がやったことは「父はロッキード事件有罪だったと思います。父は金権政治で日本をゆがめた」(by田中真紀子)、「A級戦犯容疑者の祖父が政界入りしたことは重大な過ちだと思う」(by安倍晋三)みたいな話ですからね。そりゃ声も震えるでしょう。

【追記】
 朝鮮新報「祖平統代弁人、与党大統領候補の謝罪会見を非難」(http://chosonsinbo.com/jp/2012/09/0928mh-02/)、「朴槿恵候補、問われる歴史認識:人革党事件遺族が「謝罪会見」に声明」(http://chosonsinbo.com/jp/2012/09/0927mh-02/)を読む限りまともな謝罪だったかどうかかなり疑問のようです。

韓国政府は、大韓民国憲法が謳っているように北朝鮮民衆もまた同じ韓国国民だと思っているのならば

 それ「台湾は我が中国の不可分の領土(現実には言うまでもなく台湾政府は中国の地方政権ではない)」と同じで単なるフィクションに過ぎないから。一方、北朝鮮も「南朝鮮(韓国)は不可分の領土」って言ってるし。

個人的に朴正熙大統領を戦後アジアが生んだもっとも偉大な政治家の一人と信じる隣国の一国民

つまり朴のような独裁者でも反共主義なら大目に見るのがお前の人権主義か、三浦。そういうのエセ人権派って言うんじゃねえのか?


■映画「亡命」 亡命者たちが語る、中国の実像 渋谷で再上映(三浦の個人ブログ)
http://miura.trycomp.net/?p=1315
・「個人ブログには政治ネタはあまり書く気はない」という男がまた政治ネタ。それもいつものように中国、北朝鮮非難ネタ(他に書きたい政治ネタはないのか?。実にウヨらしい)。呆れる前につい笑ってしまう。
・韓国からの亡命者・金大中氏(後に大統領)と氏を支援した日本人の一人・宇都宮徳馬氏(自民党衆院議員)を「北朝鮮の手先」であるかのように誹謗したゴミが良く「亡命に理解がある人道主義者」のふりができるものだ。お前が理解がある亡命者って中国だの北朝鮮だの「大嫌いな国からの亡命者」限定だろ?。たとえば「大好きな朴独裁時代韓国」からの亡命者には何の興味もないだろ?

私は、例えば天安門学生運動家たちを無批判に賞賛しようとは思いません。

そりゃ完全無欠の人間なんかいないからね。で、三浦君は学生運動家のどこが問題だと思うの?。
「軍の介入を招いたのは戦術として失敗」でも何でもいいんでこういう奥歯に物の挟まったようなこと書かないではっきりと賞賛できない点を書けよ。

この映画の関係者は、私とは政治的立場や歴史解釈の異なるリベラル左派の方々が中心です

「歴史解釈の異なる」
 ああ、三浦君は「戦前日本を美化する」歴史捏造主義者って事ね。わざわざそんな事アピールして人として恥ずかしくないの?
【追記】
 何で三浦が「歴史解釈」云々と書いたか意味不明だったが、三浦のダチ・高世仁のエントリ「中国との危機に観るべき映画「亡命」」(http://d.hatena.ne.jp/takase22/20120925)によればこの映画の監督・翰光氏(班忠義氏)には慰安婦問題をテーマにした映画があるそうだ。ググって見つけたサイト(http://a-shibuya.jp/archives/3709)によると『チョンおばさんのクニ』『ガイサンシーとその姉妹たち』と言う映画らしい。
ウヨ仲間から予想される非難「慰安婦映画をつくった監督の映画なんか紹介しやがって!」にあらかじめ言い訳した、ただしそうしたことが一般人にばれないように慰安婦映画のことには一言も触れず、と言うことだろう。一方、高世は三浦ほどのゴロツキ右翼ではないので慰安婦映画のことを気楽に自エントリに書けたと。いつもながら三浦は薄汚い男だ。


「リベラル左派の方々が中心」
 つまり三浦のお仲間右翼がよく言いたがる「左派、リベラル派は中国批判しない」というのは嘘八百と言うことだ。
 なお、三浦が紹介する面子の内、麻生晴一郎氏には『反日、暴動、バブル:新聞・テレビが報じない中国』(2009年、光文社新書)と言う著書がある。


■「別冊正論」18号 「日中国交40年 汚辱と背信の系譜」明日発売、私のトンデモ記事*14紹介も載ってます(三浦の個人ブログ)
http://miura.trycomp.net/?p=1300
 「日頃穏健保守ぶってる*15」三浦が「僕の記事が正論に載りました」と自慢するほど極右ぶりを隠そうともしないとはね。あの「正論」ですしタイトルも

日中国交40年 汚辱と背信の系譜

なんてとんでもない代物なのでまあ三浦雑文を含む掲載文章の内容はある程度予想がつきます。別に「日中国交樹立から40年」いいことばかりだったと言う気もないですが「汚辱と背信」と切って捨てられるほど酷くもないでしょう。つうか日中関係を「汚辱だの背信だの」と罵倒して国交断絶でもやりたいんですかね、本当に。タイトルだけで三浦のこのエントリを読む気が失せますが、後で読んで突っ込んでみましょう。正論の記事の方はたぶん読まないと思います。ネット上の情報をもとに「目次紹介」ぐらいはしましょう。
 と言うことで紹介しますがいや予想通りですね(目次についてはたとえばhttp://www.fujisan.co.jp/product/1281683701/b/908679/#conetnts_area参照)。

日本会議専任研究員・江崎道朗
全日本学生文化会議事務局・三荻祥

というつまり右翼団体日本会議」「全日本学生文化会議」職員という肩書きからして右翼としか言いようがない人間も登場するわけです。産経以外ではまずにお目にかかることのない右翼(江崎や三萩、三浦もその一人ですが)や産経以外でも目にすることはできるが産経と親密な産経文化人(例:拓殖大学長・渡辺利夫)目白押し。親中派はおろか、「親中派ではないが極端な反中派でもない。中国から一定の距離を置くそれなりに信頼できる保守」など、一人もいないいつも通りの産経らしい人選です。当然「断交すべし」だの話にならない暴論が展開されるんでしょう。
 まあ、「三浦が役員の守る会」に入って恥じない「自称アンチ極右」野原先生に「三浦が極右連中と極右雑誌で中国を罵倒しまくってることをどう思いますか」とIDコールしたい誘惑に駆られますね。IDコールすると発狂する御仁なのでしませんけど。自称アンチ極右なら「三浦のような極右が役員の団体」なんて恥ずかしくて入れないでしょう。俺だったら恥ずかしいから入りません。間違って入っても気付いた時点で脱会する。そんな会に入らなくてもいくらでも北朝鮮批判も脱北者支援もできると思いますけどね。

硬派のオピニオン誌、雑誌「正論」

あんな歴史捏造主義雑誌を硬派と評価できるとはね。まあ政治ネタだから硬派というのかもしれないがだったら月刊文春だって、中央公論だって今は休刊になってしまった月刊現代(講談社)、月刊論座朝日新聞社)だって硬派ですから。まあ月刊文春や中央公論、月刊現代、月刊論座なら一定程度評価できる保守雑誌でしょう(論座は保守ではないかな?)。左派系では岩波の「世界」、前衛(日本共産党機関誌)なんかがありますね。
正論なんて「南京事件はなかった」「慰安婦は合法」とデタラメばかり書いてる雑誌ですからね。何ら評価に値しない。まともな人間なら絶対寄稿しない雑誌です。

日中平和友好条約が締結された1978年、反共・自由主義政治学者、猪木正道氏は、中国の指導者に「日本の総理は誰がいいか」と“お伺い”をたてるような政治家やマスコミの姿勢を、こう批判しました。

 まあ、常識で考えてお伺いはたてないでしょうね。単に「日本の現首相(当時は福田首相)や,次の首相ではないかと言われる有力政治家(大平や中曽根など)についてどう思っているのか」とマスコミが中国サイドにインタビューしたり、学者が「中国は日本の政治家をこう評価してると思う」と自らの分析を発表したりと言う話でしょう。でそういう分析で「中国は××氏を評価してるらしい」と書いてるのを読んだ猪木氏が「××を応援してるのか」と激怒してるだけの話でしょう、おそらくは。分析するなと言う方がおかしい話ですけどね。しかも産経なんかはひいきの政治家(例:安倍晋三)を持ち上げるために「自民党の○○氏はアメリカにも評価されてる」等という記事を平気で書いてるわけですから何を言ってるのかという話です。

ソ連に対しては、つねに身構えて対処する指導的立場の日本人たちが、中国を相手にした場合に示す無防備ぶりは、全く常軌を逸している」

そんなに無防備だとも思いませんけどね。大体、「遣隋使、遣唐使などの形で昔からつきあいのある中国」と「そうじゃないソ連」とでは扱いも変わるでしょうよ。
それに「長崎国旗事件」(1958年、長崎で右翼が中国の国旗を損壊した事件。中国は外国国旗損壊罪処罰を求めたが、当時の岸政権は日本が中国を政府承認していないことを理由に拒否し、中国が激怒。日中貿易が全面中断した)「周鴻慶事件」でググればわかりますけど日中関係ってそんなに順風満帆でもなければ、単純な善意にあふれてたわけでもない。

周鴻慶事件(ウィキペ「LT貿易」参照)
 1963年10月7日に中国訪日団の通訳・周鴻慶が、駐日ソ連大使館に亡命を求めたことから始まった事件である。周はその後、亡命希望先を台湾(中華民国)に変更。台湾は、池田内閣に周の引き渡しを求めたが、中国との関係悪化を恐れた日本はパスポート期限切れを理由に10月8日周を拘留、その後10月24日には「本人の意志」が中国帰国に変わったとして、翌1964年1月10日中国大連に送還した。
 この日本側の対応に台湾は激怒し、駐日大使を召還すると共に日本へ抗議を行い、日華関係は断絶の危機に瀕した。これに対し、池田首相・大平外相(後に首相)は、吉田茂元首相に訪台を要請。吉田は池田首相の親書を持参して台湾へ赴き、要人と会談した。しかし帰国後の1964年(昭和39年)5月、張群国民党秘書長へ宛てた吉田の書簡の中に対中プラント輸出に輸銀融資は使用しないと表明してあったため、先に契約が成立していた倉敷レーヨン(現在のクラレ)に較べ、ニチボー(現在のユニチカ)の契約調印は大幅に遅れることになった。

 まあ、周の翻意に何があったのか知りませんけど、「台湾に亡命して生活の保障があるのか?」とか中国が必死の説得工作でもやってたんでしょう。そのために日本も協力したと。

革命輸出、軍事、諜報・秘密工作…。共産独裁の中国の脅威はその建国当時から、強大かつ危険でした。

「革命輸出」
 ソ連ならともかく、革命輸出なんか中国してましたっけ?。「国共内戦」→「大躍進」→「大躍進の後始末」→「文革」→「文革の後始末」→「天安門事件経済制裁食らって大変な思い」と建国以来、国内のごたごたつうか、難題つうかで外に手を出せる程余裕なかったと思いますけど。
 具体例が俺には思いつきませんが。中印戦争は国境紛争で革命輸出じゃないし。
 「自国の領土扱いしている」台湾への過去の軍事攻撃は革命輸出とは言わないでしょう(台湾攻撃していいと言ってるわけではない)。
 せいぜい朝鮮戦争北朝鮮支援ぐらいでしょう。しかもアレはソ連北朝鮮を支援していて中国オンリーじゃないし。
「共産独裁の中国の脅威はその建国当時から、強大かつ危険でした。」
 「ええっ、どこが?」ですよね。台湾にとっての中国ならまだしも日本にとって中国のどこがそんなに危険だったんでしょうか?。ソ連存在時に日本で騒がれてた「共産国の脅威」ってのはもっぱらソ連だったわけです。当時におけるソ連と中国の国力の差を考えれば当たり前ですけど。しかも大躍進とか文革とか無茶苦茶な経済政策を毛沢東がやらかしたために1970年代の中国はその後始末で必死の状態で日本にどうこうできるような状態じゃないと思いますけどね。よほど過去の記憶力がないのか、それとも「1970年代から30〜40年たってるからデマカセ吹いてもばれないぜ」と世間をなめてるのか。

にもかかわらず、なぜ我々は無防備だったのか。

そもそも無防備じゃないから。たとえば無防備じゃないからこそ、田中訪中で日中国交正常化がなされたのに「日中平和友好条約」はすぐには締結されず、福田内閣までブランクがあいたわけです。

媚中・位負け」一辺倒だったわが国の対中外交

何がどう媚中で位負けなんですかね。

これ以上、「常軌を逸した無防備」国家であり続けないために。

こういう「常軌を逸した寝言」を言える産経一派には呆れますね。

私も、日中国交回復当時の雑誌記事の紹介(とんでもない記事が出ている。日本は中国にきちんと「降伏」すべきだとか…謝罪じゃないですよ、降伏)をこの号に書かせていただきました。

何がどうとんでもないんですかね。法的には中国は連合国の一員で第二次世界大戦日中戦争)の戦勝国ですから、国交正常化時に「降伏」することに何の問題もないんじゃないですか?。ま、仮にとんでもない事が書いてあったとしても全ての親中派や左派、戦争反省派がそうしたトンデモを言ってたわけじゃないでしょうし、三浦たちウヨは「あの戦争は正義の戦争だ」だの「南京事件はなかった」だの逆方向にトンデモなのですから非難する資格なんかどこにもありません。

1969年5月4日号「改めて中国に降伏すべきだ」(前田俊彦)

前田さんというのは一般にはどぶろく訴訟の原告として有名な方です。

この年4月、日中貿易覚書が調印され、その場で中国側は、当時の佐藤政権の政治姿勢を非難、自民党代表の古井喜実はそれに抗議せず、きわめて「媚中」的態度に終始した。

この三浦の文章からはいろいろなことがわかります。まず第一に国交正常化前にも日本は中国と貿易をやっていたと言うことです。当時既に生まれてた人や、当時生まれてなくても中国問題で飯を食ってる人には常識中の常識ですが。
 第二に三浦がそうした事実がウヨとして不愉快らしいこと。
 なお、三浦の文章に名前が出てくる古井氏は自民党親中派議員、ハト派議員の一人です。昔は古井氏のような人間を抱えているだけの懐の広さってものが自民党にはありました。
 今の自民党の惨状を古井氏ら当時の親中派自民党議員が生きていたらなんと言うでしょうか?
 それはともかく「抗議せず」と言われてもね。日中貿易覚え書き調印の場なんですから古井氏だってあまりきついことは言えないでしょうよ。
 せっかくの調印をご破算にするわけにいきませんから。まあ、古井氏も「言い方はきついけど、一理あると思った」ってのもあるかもしれませんが。国交正常化前からつきあいがあるということは当然佐藤政権の対中国外交には古井氏は批判的でしょうから。
 ただウィキペによれば「内容に賛同できなかったのか」「それとも中国に媚びる男と思われたくなかったのか」、「中国の佐藤批判にはあまり同調せず」、中国から「佐藤に甘い」と非難されたそうですから古井氏なりに筋は通していたんでしょう。

参考

古井喜実(ウィキペ参照)
 1952年、鳥取全県区(当時)から改進党*16公認で総選挙に立候補し、当選を果たす。この時、古井が内務省地方局行政課長時代に知遇を得ていた松村謙三*17の応援を受け、以後松村に師事する。保守合同後は石田博英*18らとともに石橋湛山*19政権樹立に向け、裏方で多数派工作を行う。また1959年、松村に伴われて中国を訪問し、それ以来日中友好促進への関心を強めていった。1960年には自民党内安保批判派を代表して岸信介*20首相に対して2時間半にわたって質問を行い(以後本会議、予算委員会での質問を封じられることとなる)、5月19日の強行採決には欠席した。
 1960年、第二次池田勇人*21内閣において厚生大臣として初入閣する。厚相としての功績には、(1)省内および医師会の反対を押し切っての結核治療新薬カナマイシンの保険採用、(2)病院経営改善への積極的指導による病院ストの沈静化、(3)自民党内の反対を抑えての、小児麻痺予防のためのソ連からの生ワクチン緊急輸入がある。生ワクチン輸入については後に映画「われ一粒の麦なれど」(監督:松山善三)の主題となった。
 佐藤栄作*22政権発足後、親米・親台湾に傾斜する佐藤への批判を強め、党内で孤立を深めていった。1967年、LT貿易*23の5年間の期限が切れると、古井は田川誠一*24岡崎嘉平太*25とともに翌1968年訪中し、覚書協定を交わした(この協定に基づく貿易を「覚書貿易」と呼ぶ)。期限は1年間で、古井はその後1969年、1970年、1971年と訪中を重ね、協定継続に務める。この間、自民党内のタカ派を中心に「屈辱外交」「土下座外交」と罵声を浴びせられ、また中国側からも「佐藤の弁護人」「佐藤と結託」という言葉を投げつけられながら(古井も松村と同様、中国側の佐藤批判に調子を合わせるようなことは決してしなかった)、日中間の細く脆いパイプを、ほとんど孤軍奮闘で繋ぎ止めていた。
 やがて、時代の潮目は大きく変わり、1972年、田中角栄*26政権のもとで日中国交正常化交渉においては田川とともに事前交渉を行い、日中共同声明の調印に貢献したが、同年の第33回衆議院議員総選挙で落選した。古井落選については「外交は票にならないのか?」と、地元の支持者や一部マスメディアを賑わせた。
 落選後4年間、選挙運動に走り回り、1976年にはトップ当選で返り咲く。1978年第1次大平正芳*27内閣の法務大臣に就任する。なお、法務大臣在任中にダグラス・グラマン事件が発覚した。1981年9月28日、衆議院永年勤続表彰における謝辞演説で、古井は「いまや、民主政治のよって立つ選挙は、体力にあらずんば金力の戦いとなり、政治は、富の神の支配する領域と化した感があります」と述べた、率直な金権政治批判に、翌日の新聞各紙がこぞって大きく取り上げるなど、広く反響を呼んだ。
 このほか政治改革について「金のかかる選挙制度の改革」を主張していたが、一方で 1982年、金権政治の象徴ともいうべき田中角栄について、総合雑誌上に「総理大臣は直接的に民間航空行政を指揮監督する権限はなく、従ってロッキード社から金銭を授受したとしても収賄罪には当たらない*28」という、田中擁護とも受け取れる趣旨の時事論文を発表し(『中央公論』1982年6月号、「ロッキード裁判に思う−政治倫理と法治主義の問題」)、世間を当惑させている。
1983年に政界引退。その後は日中友好会館館長を務めた。

 古井氏の同志あるいは、親分として名前が出てくる、松村氏、石橋氏、石田氏、田川氏なんかもハト派親中派の政治家です。
 他に自民党親中派の政治家としては川崎秀二氏(鳩山内閣厚生相)、宇都宮徳馬氏などがいますね。
『古井落選については「外交は票にならないのか?」と、地元の支持者や一部マスメディアを賑わせた。』
 外交は票にならないでしょうね、それは。地元に利益誘導した方が票になるでしょう。まあ政治家ってそういうもんじゃないけどね、理想は。
 ちなみに以前読んだ立花隆の本によれば、角栄は「検察に起訴取り下げをさせる」指揮権発動をしたかったそうですから、古井氏の法相就任も そういう含みなんでしょう。そこは古井氏は晩節を汚したと思いますね。日中国交正常化で田中に世話になったことが重かったんでしょうか?。田中が一人で日中国交正常化した訳じゃないし、ロッキード免罪発言するようなことはすべきじゃなかった。誰もロッキードで古井氏が田中批判したからって「恩を仇で返した」なんて言いませんよ。
 ちなみにぐぐったらこんな本が見つかりました。機会があったら読んでみようかな。


・居安正『ある保守政治家―古井喜実の軌跡』(1987年、御茶の水書房
・鹿雪瑩『古井喜実と中国: 日中国交正常化への道』(2011年、思文閣出版

前田は、≪中国のいいぶんは手前勝手であっても、日本政府の対中国政策が根本的に誤っているために≫(以下、≪≫は引用)日本側は中国側に屈しなくてはならないという。

屈すると言うより「中国の言い分により道理があるから従うべきだ」って話でしょうね。具体的な主張内容がわからないので何とも言えませんが中国罵倒しか能のないバカ・三浦よりは前田氏の方がマシでしょう。

 前田はいきなり、8月15日を敗戦の日とすることは、日本「侵略主義政府」の「謀略的世論操作の詐術」だという。日本はアメリカ軍の物量戦に敗れたのだから国防には強力な軍事力が必要だと思わせる日本政府の「詐術」なのだという。
そして「日本の真の敗戦」は、1937(昭和12)年12月13日、日本軍が「歴史的な残虐行為の末」に南京を攻略しても、「なおかつ中国人民大衆をなびかせることができなかったとき」に決定していたというのだ。
 つまり≪敗戦の日とは12月13日であり、日本が真に敗れた相手は中国人民大衆である≫

敗戦の日とは12月13日」
その珍論にはさすがに賛同できません。南京事件でも中国が屈服しなかったのは確かに「中国側のある種の勝利」「日本側のある種の敗北」でしょうがそれを敗戦の日として広言するのはちょっと賛同できない。
 もちろん「12/13と言う日は南京事件の日として、覚えておくべき日」だとは思います。
 また「日本が真に敗れた相手は中国人民大衆」も、「米国には負けたが中国には負けてないと言いたがる日本右翼が間違ってる」のも、その通りだと思います。がそこから一足飛びに「敗戦の日とは12月13日」と言われてもちょっと賛同できませんね。

南京陥落の日が日本敗戦の日なら、中国は大いにその日を祝うべきだ!

 中国の公式見解でも何でもない一日本人・前田氏の私的見解(日本左翼や日本歴史学の有力見解とも言えないでしょう)をネタに、中国を挑発して何がうれしいんですかね、この腐れバカ右翼は。こんなのが代表だの副代表だのをやってるチンカス以下の団体「守る会」に入って恥ずかしくないってんだから野原は糞ですね。
 それにしても前田氏が「歴史的な残虐行為」と南京事件について書き、そういう恐怖の出来事があっても中国人がくじけなかった事がある種の勝利としているのに、三浦が単に「南京陥落」としか書かないのがせこいですね。ウヨとして南京事件の存在をどうしても認めたくないようです。
 大体、三浦が何でこれほど前田氏に絡むのか意味不明。前田氏の論文がそれほど問題だとは俺は思いませんが仮に問題だとしても、失礼ながら彼は別に中国で大活躍する大企業の幹部ビジネスマンとか、与党の大物政治家とか外務省高官とかそれほどご大層なものじゃない。一市民活動家に過ぎないわけです。彼の言動がストレートに日中関係に影響してるわけではないし、そもそもこの論文の存在を知らない人だって、あるいは彼の存在自体知らない人だって多いでしょう。
 むしろ日中関係で問題すべきトンデモは「南京事件はなかった」(石原都知事、河村名古屋市長)、「上野のパンダが死んだのは中国の謀殺ではないか」(平沼赳夫・新党たちあがれ代表、元経産相)と言ったウヨの中国への暴言でしょうがそういうのを三浦は何故か問題視しないわけです。いや何故かはよくわかりますけど。


【追記】
気が向いたので過去の別冊正論のすごすぎるトンデモ論文タイトルを紹介してみましょう。前田氏をトンデモ呼ばわりした三浦ですが「お前の寄稿した雑誌の方がよほどトンデモじゃん」としか言いようがない。

http://www.fujisan.co.jp/product/1281683701/b/322664/
別冊「正論」1号
200X年、中国が台湾に侵攻する日
黄文雄

この雑誌の発売年はちなみに2006年です。
もちろん「200X年」に中国の侵攻なんかなかったわけです。「200X年」と書いた以上、2009年までに侵攻がなければ「デタラメ書いて済みませんでした」と謝罪してしかるべきでしょうに。まあ2006年の雑誌で「あと4年以内に台湾への侵攻がある」というタイトルの記事が書ける神経も酷いものです。予想が外れたら、どうする気だったんでしょうか?。つうか外れてますが。
「予想が外れて良かった」「俺が書いたことで向こうがびびって取りやめたんだ」などと居直る気でしょうか。

http://www.fujisan.co.jp/product/1281683701/b/322665/
別冊「正論」2号
シミュレーション緊迫の200X年
テポドンが飛来する日  潮匡人

この雑誌の発売年はちなみに2006年です。
もちろん「200X年」にテポドン飛来なんかなかったわけです。「200X年」と書いた以上、2009年までに飛来がなければ「デタラメ書いて済みませんでした」と謝罪してしかるべきでしょうに。まあ2006年の雑誌で「あと4年以内にテポドン飛来がある」というタイトルの記事が書ける神経も酷いものです。予想が外れたら、どうする気だったんでしょうか?。つうか外れてますが。
「予想が外れて良かった」「俺が書いたことで向こうがびびって取りやめたんだ」などと居直る気でしょうか。

http://www.sankei.co.jp/seiron/etra/no07/ex07.html
別冊「正論」7号
日本が司法界に弑される日
変わらぬ左翼支配…司法「改革」という名のパラドックスが国民を押し潰す  八木秀次

いやいつ司法界が左翼に支配されたんでしょうか。そもそも裁判員制度導入などのいわゆる司法改革は「政府方針」として推進され、国会でそれに関連した法律も制定されてるんですがね。改革の是非はともかく、司法界が勝手にやってるわけじゃない。

http://www.fujisan.co.jp/product/1281683701/b/322671/
別冊 正論 第8号
防共史観確立のための「謀略論」考察
支那事変*29の本質は中国の赤化防止にあった 中村粲

 よくもまあこんな酷いデタラメが言えたもんです。目的は蒋介石政権打倒による中国完全植民地化でしょうが。
 当時、中国共産党蒋介石の圧倒的な軍事力に対抗できずいわゆる長征で党本部は、延安という奥地にあったわけです。日本が国民党に戦争を仕掛けなけりゃ、国民党は全兵力を共産党に集中して完全に打倒していたかもしれません。1936年の西安事件とそれに引き続いて起こる国共合作もなかったでしょう。
 だからこそ、たとえば一部の右翼からは「1937年の盧溝橋事件・中国共産党陰謀論」と言うとんでもない議論が出てくるし、毛沢東も「日本軍には感謝している」とブラックジョーク(?)を飛ばすわけです(毛のブラックジョークについては「皇軍に感謝した毛沢東?」http://www.geocities.jp/yu77799/nicchuusensou/moutakutou.html参照)。
 いや「歴史にイフはない」ので実際どうだったかはわかりませんが。なぜ日本が結果的に共産党を助けたのかというのはそれは結果論です。当時の日本は蒋介石中国共産党も簡単に打倒できるとなめてたわけです。別に助けたくて助けた訳じゃない。

言われっぱなしは御免蒙る! 反論のための完全ガイド15篇 櫻井よしこ/石川水穂/渡辺浩
2.「21カ条要求は理不尽だ」の嘘

 違法か合法かならまだしも、理不尽かどうかってのは価値観の問題ですからね。相手が理不尽だと憤激したものを「理不尽じゃない」と居直って何か意味があるんでしょうか?。俺は理不尽だと思いますよ。内容は要するに中国の植民地化推進のわけですから。

3.「田中上奏文は本物だ」の嘘

産経が批判しなくても今時まともな学者なら田中上奏文が本物だなんて言いません。文章に上奏文とは思えない問題点がたくさんあるからです。

5.「盧溝橋事件は日本が仕掛けた」の嘘

「仕掛けた」と言う言葉の意味が「満州事変のような謀略」と言う意味なら間違いです。しかし先に攻撃したのは日本だし、戦線を拡大したのも日本なんですからそう言う意味では「仕掛けた」は間違いではない。「何か口実を見つけて中国軍をたたきつぶす気満々の現地軍」が兵の行方不明問題を絶好のチャンスだと考えて暴走し、中国軍を攻撃、それを日本政府も黙認したと言う話です。

http://www.fujisan.co.jp/product/1281683701/b/322672/
別冊「正論」9号
なぜ慰安婦非難決議は世界に広がるのか
原因は日本の沈黙にあり。時には“目には目を”が世界の常識だ クライン孝子

 沈黙してればむしろ広がりませんよ。安倍だの中川(酒)だの与党バカウヨ政治家が沈黙しないで「河野談話は嘘だ」とバカなことを言うから「安倍らへの警告の意味」で決議が広がるんじゃないですか。

捕鯨の「国際」世論といかに渡り合うか
普遍性と理想を掲げて日本の独自性を打ち出せ 堀武昭

 捕鯨問題で世界と渡り合うのは結構なんですが、発表媒体が正論では渡り合えないレベルの寝言しか書いてないでしょうね。

世界の「反日レッドペーパー」研究
アメリカ「NYタイムズ」「Wポスト」 古森義久

 アメリカを代表する新聞をレッドペーパー呼ばわりね(呆)

http://www.fujisan.co.jp/product/1281683701/b/322674/
別冊「正論」11号
「あの戦争」を誇りに思って何が悪いのか
ノンフィクション作家・上坂冬子
呉市海事歴史科学館館長・戸郄一成
高知パレスホテル会長・吉村泰輔

「避ければ避けられた戦争」「違法な侵略戦争」ですからね、あれ。国内外の多くの人を無駄に死なせながら何を誇るんでしょうか?。聖戦だの自衛戦争だの寝言いう気でしょうか?

特攻隊を冒涜するなかれ、哀れむなかれ
昨日の歴史を今日の視点で語るなかれ
万世特攻平和祈念館名誉館長
苗村七郎

まあ「特攻万歳」と言わないなんて隊員への冒涜だという寝言が書かれてるんでしょうね。何で自殺攻撃なんて野蛮な行為を賞賛しないと行けないのか。
「当時はそれが常識だった」なんて言ったら過去の歴史は何ら批判できなくなりますよ。

http://www.fujisan.co.jp/product/1281683701/b/346128/
別冊「正論」12号
田母神問題を朝日はいかに論じたか
思想信条をめぐる恐るべきダブルスタンダード
日本大学教授
百地章

 保守派(たとえば秦郁彦)ですら田母神は批判してるんですが。田母神問題で朝日批判とは百地も随分と無茶苦茶な批判ネタを選んだものですね。

真の狙いは皇室否定
祖国を貶める公共放送の哀れ
立命館大学教授
加地伸行

一体いつNHKは皇室を否定したんでしょうか?

http://www.fujisan.co.jp/product/1281683701/b/674223/
別冊「正論」14号
小林よしのり氏に反論する
Y染色体説のどこがトンデモ説なのか
高崎経済大学教授 八木秀次

天皇制のすばらしさを説明するのに遺伝子なんか持ち出して無理矢理な説明をすればトンデモ扱いされて当然でしょうよ。

別冊「正論」14号
皇室典範改正 議論すべき五つの論点
天皇制廃止のもくろみをうち砕くために何をなすべきか
大月短期大学教授 小山常実

たとえ女帝容認で天皇制が生き残ってもそんなものは俺の望む天皇制じゃないというのはわかる。何でそれを「廃止の陰謀」なんてトンデモな理解をするのか。むしろ廃止したかったら改正なんかしないでそのまま典範ほったらかしですよ。その方が継承者不足で廃絶する可能性が高い。

http://www.fujisan.co.jp/product/1281683701/b/738797/
別冊「正論」15号
重要資料発掘! 近衛首相ブレーン集団*30の真実
共産主義者が主導した戦争翼賛体制
明星大学戦後教育史研究センター 勝岡寛次

明星大学」ってだけで「ああ、拓殖と同レベルの極右バカ大学か」「親学、つくる会高橋史朗のいるところだからな」って話。実際、勝岡は元「つくる会」理事で八木が内紛でつくる会を去ると、八木と一緒に日本教育再生機構をたちあげています(ウィキペ「勝岡寛次」参照)。
 近衛ブレーンの一人・尾崎秀実(外交評論家、元朝日新聞記者)はゾルゲ事件で死刑になったから、近衛ブレーンは共産主義者の集まりとか言う例の陰謀論か。尾崎以外にそういう人はいないし、近衛一人で戦争に持って行った訳じゃないのに無茶言うよな。
大体「左翼の陰謀で戦争になった」と言ってみたり「アメリカにはめられた」と言ってみたり「自衛戦争」と言ってみたり、「アジア解放の戦争」と言ってみたり、産経一派はデタラメにも程があるな。それ全部両立しないで矛盾するじゃん。

知られざる中共諜報団の脅威
日支和平を潰した日本の「ユダ」と中国人工作員たち
近現代史研究家 長塩守旦

 おいおい、「和平を潰したユダ」だの「中共諜報団」だのって具体的に誰よ?。そもそも中国をなめてたから和平する気が起きなかったってだけだろ。アメリカからハルノートを突きつけられても和平する気が起きず、アメリカ相手に戦争始めるような国が当時の日本だが?。アメリカ相手に戦争も辞さない国が中国と和平なんかするかよ。

別冊「正論」15号
レーニンの革命資金が流れた帝国陸軍
歴史家 別宮暖朗

これタイトルを素直に理解すれば、帝国陸軍ソ連スパイがいたとしか読めないと思うんですがそういう理解でいいんでしょうか。だとしたら誰が考えてもトンデモでしょう。

別冊「正論」15号
日中戦争を始めたのは中共スターリン
拓殖大学客員教授 藤岡信勝

いや始めたのは日本でしょうが。何アホなこと言ってるのか。

別冊「正論」15号
「本土決戦」「一億玉砕」を叫んだ敗戦革命論者たち
防衛大学校教授 平間洋一

いやそれ叫んだ一人は「ウヨのヒーロー」東条英機率いる陸軍なんですが。東条と陸軍は「敗戦革命論者」なんですか?
本土決戦を前提につくられた松代大本営(もちろん使われなかった)をどう理解してるのやら。
ちなみに本土決戦は、敗戦革命を招きかねない*31と言って早期講和を提言したのがいわゆる近衛上奏文ですがその当たりもどう理解しているのか。

別冊「正論」15号
近衛*32か風見*33か木戸*34か 
政府中枢の「売国奴」は誰だ
編集者・近現代史研究家 加藤康男

何を根拠に売国呼ばわりするんだか。主観的には誰一人売国じゃないし、「複合的なミス(トラウトマン和平工作の失敗*35、近衛声明により国民党との講和の可能性を潰した、日独伊三国同盟仏印駐留で米国との関係を悪化させた、ハルノートを受け入れることができなかった等々)」が原因であって誰か一人のミスで、大量の戦死者や敗戦(亡国の危機)という悲劇があった訳じゃないでしょうに。まあ、あえて一人だけ責任者の名前を挙げれば「即位から敗戦の日まで最高指導者だった昭和天皇の責任」にしかならないでしょうに。他(首相以下大臣、軍人、官僚など)はみんな、上司による更迭があり得るんですから。
ちなみに加藤は著書『謎解き「張作霖爆殺事件」』(2011年、PHP新書)で「張作霖暗殺は関東軍河本大作大佐グループと張学良とソ連諜報機関(あるいは、プラス蒋介石)の共謀」*36(←後に紹介するエントリの筆者・ゆう氏の要約による)を唱える電波右翼だ。加藤説を批判したエントリを参考までに紹介しておこう。


加藤康男氏『謎解き「張作霖爆殺事件」』①−河本大作と張学良とソ連諜報機関の共謀?−』
http://www.geocities.jp/yu77799/nicchuusensou/chousakurin4.html
加藤康男氏『謎解き「張作霖爆殺事件」』②−「張学良・楊宇霆・常蔭槐犯行説」をめぐって−』
http://www.geocities.jp/yu77799/nicchuusensou/chousakurin5.html

 なお、三浦は前田氏論文をトンデモと言ってますがゆうさんの紹介を読む限り、この加藤の方がすさまじいトンデモですよ。今ひとつ理解できない。詳しくはゆうさんのエントリを読んでほしいと思いますが。
【トンデモな理由その1:張学良犯人説】
・この加藤の説は「張学良犯人説」です。主犯は張学良。動機は国民党への態度です。父張作霖は日本とつきあってくつもりだったが張学良は国民党に帰属するつもりで父が邪魔だから殺したと。
 ここからして既に通説の「張作霖が国民党に帰属する恐れがあったので日本が殺した。日本軍は後継の張学良を父と違いぼんくらと見なしておりうまく操るつもりだった。しかし張学良はぼんくらでない上、自分をロボット扱いしようとする日本への反発もあって、国民党に帰属したためかえって状況がまずくなった」と矛盾します。
 張学良をアシストしたのが河本大作とソ連なんだそうです。ソ連が出てくるのは「ソ連陰謀説」へのこびでしょう。いずれにせよこれは張学良が主犯という点で、ソ連を主犯とする、一般の「ソ連陰謀説」とは全然違います。河本が出てくるのは「どうしても河本証言を否定できなかったから」でしょう。否定できないのに河本の罪をなるべく軽くしようとして、「主犯は張学良」「河本は従犯だから罪が軽い」ととんでもないことを言い出すわけです。
 でも常識で考えてこの説は矛盾だらけです。張学良が国民党に帰属することは日本のメリットだったんでしょうか?。とてもそうは言えないですよね。従って河本共犯説を主張するためには「『オヤジは国民党に帰属するつもりだが俺は違う、日本とつきあうつもりだ。邪魔なオヤジを暗殺する必要がある』などと張学良に河本はだまされた」「金で買収されたか何かで河本は張学良支持者。国民党への帰属を問題とは思っておらず日本を裏切った」と河本に対して大変失礼な理解をする必要があります。でそんな失礼な理解を裏付ける証拠はどこにもないわけです。
 またこの種の犯罪では発覚を避けるため、共犯者はなるべく少なくするのが常識でしょう。張学良が単独で暗殺すればいい話で日本やソ連を巻き込んで発覚の危険性を高める理由はどこにもないでしょう。


【トンデモな理由その2:楊宇霆・常蔭槐共犯説】
 加藤説では暗殺劇は張作霖の部下、楊宇霆・常蔭槐も協力した、つまり楊らも国民党への帰属に賛成だったと言うことになります。
 しかしこれまた通説に反します。通説では楊らは国民党への帰属に反対でした。楊らは張作霖時代同様、親日派路線続行を主張したわけです。彼らを放置したら国民党への帰属ができないし、かといって帰属を中止したら彼らは増長し、自分の権威は完全に失墜する。進退窮まった張学良は邪魔な彼らを口実を作って処刑します。粛清劇です。加藤説なら、暗殺されてまで楊らが張学良の国民党帰属方針に反対したのは何だったのかと言うことになる。


ちなみにこの本は山本七平賞奨励賞を受賞している(たとえばhttp://shuchi.php.co.jp/article/457参照)。
鹿島茂*37の『渋沢栄一』(2011年、文芸春秋社)を抑えて受賞したというのには吹き出してしまった。鹿島氏の本がどんな物かは知らないが陰謀論本よりはマシだろう。選考の弁も酷い。

渡部昇一「日本軍は張作霖を殺していないことを、疑念を容れる余地なく示した*38
加藤寛「彼の爆殺事件をみごとな実証であばいた点で高く評価され、山本七平奨励賞となった。」
中西輝政「本書はこの点でも昭和史研究に大きな一石を投じるものであり、新しい研究の動向として十分奨励に値するものといえる。」
山折哲雄関東軍参謀河本による単独謀略説を疑うに足るだけの状況証拠はそろっているといっていい。「ソ連」による謀略の可能性の高いことを示唆しているのである。」

 いくらトンデモ右翼文化人とは言えお前ら大学教員(元大学教員を含む)だろ。お前らこのレベルの論文ばかり書いてきたのか?。このレベルを学部生の卒論や院生論文として認めてきたのか?。選考委員に日本史専門家が一人もいないってのも酷い。
 ちなみに選考委員のうち、養老孟司だけはほめるとまずいと思ったのか、禅問答みたいなことを言ってごまかしてる。それも人としてどうかと思うが。

http://www.fujisan.co.jp/product/1281683701/b/784908/
別冊「正論」16号
「義」と「信念」に生きて台湾を救った根本博
終戦時の「恩義」を返すため、国共内戦で敗走を重ねる国府軍を助けるため、金門島の戦いに身を投じて奇跡の勝利をもたらした気概と知略
ノンフィクション作家 門田隆将

 恩義と言うのなら毛沢東率いる中国共産党だって日本人戦犯には寛大な処置取ってるし、明らかに単純な善意じゃないよな、国民党も共産党も。そして根本にしたって単純な「恩義への報い」じゃない。さすが週刊新潮記者時代、デマ記事で「日本を代表する宗教家・池田大作先生」を「レイプ容疑者」と誹謗した門田さん(本名:門脇護)は書く記事のアホさが半端ない。
 しかしさんざん「蒋介石を相手にせず(近衛声明)」と言ってたあげく日本ウヨは「結局は、昨日の友は今日の敵、蒋介石万歳かよ」と思うと、歴史の皮肉に「黒い笑いがこみあげてくる」な。そういう党利党略って「自公の野合」とか世の中に珍しくないけどね。


【参考:門田の池田先生誹謗について】
 共産支持者の俺としてはさすがに創価学会の謀略部隊員・柳原先生を全面支持はできないが、少なくとも門田の件は明らかに奴が全面的に悪いだろ(柳原謀略についてはたとえば赤旗「著者の本名「柳原滋雄」・謀略本裁判で出版社側明かす」(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik2/2003-06-25/15_01.html)、「反共謀略本 著者は創価学会員、三つの名で正体隠し」(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik2/2003-09-03/15_01.html))。それにしても門田の創価誹謗を批判しながら門田と同レベルの誹謗行為を共産党にしかけるってどういうことよ?(怒)。創価信心するとそこまで頭が狂うの?

http://www.yanagiharashigeo.com/htm/report3.htm
週刊新潮』の"居直り"副部長・「門脇護」が学会叩きに“狂奔”した「理由」
 新潮ジャーナリズムを“捏造ジャーナリズム”に貶めた「張本人」=門脇護(週刊新潮・副部長)は、いかにして「捏造」に走ったのか。本レポートは、その概要を明らかにすることを試みたものである。
(中略)
 問題の“狂言手記”は、新潮社の創立100周年記念、「週刊新潮」の創刊40周年記念号という、社内においては幾重にも意義のある号にあわせて“スタンバイ”された。このころが門脇護の“絶頂期”だったかもしれない。
 だが、狂言夫婦を原告に、中大のゼミの先輩でもある弁護士・秋田一恵に依頼して起こした民事裁判も、結局、“訴権の濫用”と完膚なきまでに叩きのめされ、門脇は行き場を失う。まして、2001年11月には『言論のテロリズム』という衝撃的な書物も発刊され、門脇らが函館で夫婦らにどのような根回しや取材名目の「談合」を行っていたかが白日の下にさらされた。
 新聞社であれば、まちがいなく「懲戒解雇」処分となったはずの内容である。
 だが、新潮社という「一流」文芸出版社では事情がちがった。「捏造」であっても不問とし、この記者を“飼い”つづけた。そればかりか、“問題記者”のポストを「次長」から「副部長」に昇格させた。

言ふなかれ、君よわかれを特攻教官 田形竹尾の遺志
出撃待機中に終戦を迎えたその日から、彼は特攻隊の「生霊」となった。長い戦後の孤独な奮闘と彷徨が語りかけるものとは
日本文化チャンネル桜代表 水島総

で、この田形はウィキペ曰くこういう人です。

別冊「正論」16号
田形竹尾
右翼団体「日本革命菊旗同志会」幹部。日本文化チャンネル桜設立発起人、後に顧問。「誇りある日本をつくる会」初代会長。

要するに戦前は特攻教官で、戦後はプロ右翼だったわけです。それ人として最低の生き方だなとしかいいようがない。

http://www.fujisan.co.jp/product/1281683701/b/875827/
別冊 正論 第17号
今号は、オピニオン誌では業界初となる女性だけの執筆陣!

本当にそうなのか知らないが、別にフェミニズムの立場に立ってるわけでも、「暮らしの手帖」的主婦向け雑誌でも、若い女性向けおしゃれ雑誌でも何でもないからな。女性の視点云々なんて話ナッシング。
曾野綾子櫻井よしこ稲田朋美高市早苗といういつもの面子にウヨ文章書かせてるだけ。価値ねえだろ。

*1:そもそも小田氏の多様な面を無視してただの北朝鮮シンパであるかのように描き出す三浦のげすなやり口にも吐き気がする

*2:著書『韓国は一個の哲学である』(2011年、講談社学術文庫)、『現代韓国を学ぶ』(2012年、有斐閣選書)、『心で知る、韓国』(2012年、岩波現代文庫)

*3:1959年、新日本出版社刊行

*4:市民運動家、作家。ベ平連九条の会などの市民運動で活動。比較的入手しやすい著書としては『何でも見てやろう』(講談社文庫)、『「難死」の思想』(岩波現代文庫)、『「殺すな」と「共生」―大震災とともに考える』(岩波ジュニア新書)

*5:1977年、筑摩書房刊行

*6:その理屈なら改革開放で高度成長を達成した中国の独裁も批判できなくなるけどな

*7:著書『幻の三中井百貨店:朝鮮を席巻した近江商人・百貨店王の興亡』(2004年、晩聲社)、『日韓企業戦争』(2007年、阪急コミュニケーションズ)

*8:著書『声を刻む:在日無年金訴訟をめぐる人々』(2005年、インパクト出版会

*9:著書『北朝鮮と人間の安全保障』(共著、2009年、慶應義塾大学出版会)、『LIVE講義・北朝鮮入門』(共著、2010年、東洋経済新報社

*10:三浦の誤記ではなく小倉論文自体の誤記。第一書記が正しい。三浦が誤記だと指摘しない理由が意味不明。

*11:たいした問題ではないが『スピリチュアル・パズル』が小倉論文の表記としては正しい

*12:ただ北朝鮮の場合露骨に世襲ではなく一応建前では能力を評価し、党や国家の会議で推薦です。幸福の科学で教祖のガキが幹部でも、あるいはファミリー企業で世襲でも一応建前は能力主義なのと同じです。また三男・正恩君がトップになったように長男が自動的にトップになる単純な世襲でもないわけです。単純な長男世襲ではなく権力闘争のあった奈良時代天皇制でも想定すればいいのかもしれない。

*13:排除とは要するに矯正の余地がないと判断された場合の措置でしょう。死刑とか

*14:『本当にトンデモだ、極右テイストにあふれてる』等と言われれば「偏向左翼」などとマジギレするであろう癖に、よく言う。三浦みたいな謙虚さのかけらもない奴が謙虚ぶったって醜悪だ。(追記)とんでもな記事ですけどご笑覧下さいという謙遜かと最初思ったがよく考えたら、前田氏の記事のことをトンデモと言ってるのかもしれない。まあ、前田氏の文章は、三浦の紹介文を読む限り中国に対するひいきの引き倒しの気もするが、三浦ごときバカ右翼に前田氏をどうこう言う資格はない。三浦のお仲間の荒木の「山梨県警DNA鑑定捏造説」「ホルミシス効果飯館村は安全」や島田の「スネドン君失踪は拉致」の方がよほどトンデモだ。

*15:チャンネル桜に出演したり、ジャパニズム月刊日本等というウヨ雑誌に寄稿してる時点で三浦は穏健保守などと言う立派な代物ではないが。三浦の穏健保守偽装は実に中途半端だ。野中広務だのと比べると全然穏健保守には見えない

*16:後に鳩山一郎グループとともに日本民主党を結成。自民党の源流の一つとなる。

*17:幣原内閣農林相、鳩山内閣文相を歴任

*18:内閣官房長官、岸、池田、佐藤、福田内閣労相、三木内閣運輸相などを歴任

*19:吉田内閣蔵相、鳩山内閣通産相を経て首相

*20:自民党初代幹事長、石橋内閣外相を経て首相

*21:石橋内閣蔵相、岸内閣通産相などを経て首相

*22:吉田内閣官房長官、建設相、岸内閣蔵相、池田内閣通産相などを経て首相

*23:いわゆるLT協定に基づく日中貿易のこと。Lは廖承志(1963年より中日友好協会会長)、Tは高碕達之助鳩山内閣経済企画庁長官、岸内閣通産相経済企画庁長官を歴任)

*24:新自由クラブ代表。中曽根内閣で自治相、国家公安委員長

*25:全日空社長、日中経済協会常任顧問を歴任

*26:池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相などを経て首相

*27:佐藤内閣通産相、田中内閣外相、三木内閣蔵相などを経て首相

*28:運輸大臣に命令すること、運輸大臣が言うことを聞かない場合は更迭することで間接的には指揮監督できるので収賄罪が成立するというのが常識的見解でしょう。検察もそう主張したし裁判所もそれを認めたわけです。

*29:1937年の盧溝橋事件以降の戦争を、アメリカの中立法発動を恐れた日本が当時こう呼んだ。いわゆる日中戦争のこと

*30:昭和研究会のこと

*31:近衛が本気でそう思っていたのか、天皇に早期講和を決断させるためのレトリックかはともかく

*32:近衛文麿のこと。貴族院議長、首相を歴任。戦後自殺

*33:風見章のこと。近衛内閣書記官長(今の官房長官)、司法相を歴任。戦前は立憲民政党で、戦後は社会党衆議院議員

*34:木戸幸一のこと。木戸孝允の孫で侯爵。近衛内閣文相、厚生相、平沼内閣内務相、内大臣を歴任。戦後東京裁判で終身禁固刑(後にいわゆる逆コースで仮釈放)

*35:近衛首相、広田外相、米内海相が交渉打ち切りを主張した

*36:ゆう氏も指摘しているが「河本の犯行関与を否定しない」などかなり特異な陰謀論ではある。大体、河本の犯行関与を否定できないのであれば陰謀論を唱える必要があるのか?

*37:著書『新聞王ジラルダン』(1997年、ちくま文庫)、『プロジェクト鹿鳴館』(2009年、角川oneテーマ新書)、『吉本隆明1968』(2009年、平凡社新書)、『怪帝ナポレオン3世』(2010年、講談社学術文庫)等

*38:そもそもこの本も河本が犯行に関与している事は否定していない以上殺していないとは言えないと思うが