門間貴志『朝鮮民主主義人民共和国映画史』(2012年、5月:現代書館)(追記・訂正あり)

 以前「買って読みたい」と書いた本を買って読んでみました。ぶっちゃけ期待した程じゃなかったかな。映画を見たことがないから文章だけじゃわからないってのも大きいけどね。
 著者いわく「北朝鮮は情報公開に消極的で、情報入手が困難なのでわからないことが多い」。まあそうなんでしょうけどね。
 で韓国だと、こういう北朝鮮研究は、「情報入手の困難性」プラス「反共法による刑事処罰の危険性」がある。太陽政策でだいぶ緩和されたそうですけどね。
 また「情報確認の困難性」の結果か、「反朝鮮分子の反朝鮮言説が載ってて」、大丈夫なんかいなと思う部分もちらほら。たとえばp201では金賢姫の「子役で映画出演したことがある」という証言(金賢姫が書いた本に出てくる)が面白エピソードとして紹介されていますが、コレ未確認情報ではないんでしょうか?
 後書きの「政治関係のアドバイスで協力を受けた方」としては「日本を代表する反朝鮮分子の一人・恵谷治」の名前しか出てこねえし。まあ、巣くう会の西岡力とか、RENK李英和より恵谷の方がマシかなあと思いますが。
 最初はまとめて意見を書こうかとも思ったんですが、知的能力のなさからまとまりそうにないので適当に「何ページにはAと言う趣旨のことが書いてあった。Bと思った」みたいに箇条書き調で気が向いたときに書いていくつもりです。つうか紹介するのが面倒くさくなってきたし、参考情報として朝鮮新報の記事とかいくつか紹介した上で『この朝鮮新報の紹介する映画や俳優について詳しいこと知りたかったら一つの参考として読んでみたら』で終わらせてもいいかな(超適当)。この本に載ってない映画もあるんだけど。

http://www.47news.jp/CN/201009/CN2010091701001154.html
平壌国際映画祭が開幕 アントニオ猪木氏があいさつ
 【平壌共同】北朝鮮平壌で17日、第12回平壌国際映画祭6 件が24日までの日程で開幕した。人民文化宮殿で行われた開幕式では、日本から出品された辻仁成監督の「ACACIA」(アカシア)で主演したアントニオ猪木(本名・猪木寛至)氏が来賓としてあいさつした。猪木氏は「朝鮮労働党創建65周年を迎える意義深い年の映画祭への参加を幸運に思う」などと話した。

さすが俺たちの猪木。そして主体朝鮮としては「力道山の弟子」たる「朝鮮友好人士」猪木閣下主演映画を招待するのは当然の話。

http://jp.korea-np.co.jp/article.php?action=detail&pid=53017
〈取材ノート〉 憧れの「洪吉童
幼い頃、母方の祖父母の家で、一つの映画に出会った。「洪吉童」。
朝鮮王朝時代の腐敗した封建社会の不条理に異を唱え、庶民のために立ち上がったヒーロー映画だ。神出鬼没で悪を懲らしめる主人公のかっこよさは、幼心をとりこにした。以来、何度見たことか。私にとって「洪吉童」は、朝鮮映画の代名詞のような存在となった。
洪吉童役を演じたのはリ・ヨンホさん。朝鮮でもっとも知名度の高い俳優と言っても過言でないほど人気だ。
そんなヨンホさんと、実は「親せき」だった。
つい先日、親せきとの食事の席にヨンホさんの妹が混じっていたのだ。突然その場で聞いて、あまりに驚き、むせた。
私が映画「洪吉童」の思い出話をし始めると、おもむろにカバンから携帯電話を取り出す、ヨンホさんの妹。「今どこ? 家に着いたの? 今食堂でシアボジ(姑)たちと食事をしているから、来ない? オッパのファンもいるから」。
20分後、さわやかな笑顔の洪吉童が奥さん(この人も映画女優)をともなって現れた。「あっ、洪吉童!」。レストラン内がざわついた。
憧れの洪吉童と酒を酌み交わす。「これからは親せきだから、いつでも誘ってくれよ」。とっても謙虚で優しい人柄に、ますますファンになった。

http://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2009/06/0906j0715-00003.htm
〈朝鮮映画週間〉 「花を売る乙女」「月尾島」など 9本・各回入れ替え制
 朝鮮映画史をひもとく傑作選が横浜で上映される。「ある女学生の日記」をはじめ大河ドラマ、アクション、アニメ、コメディーなどで、劇団「アランサムセ」作家の朴成徳さんらによる各種講演会もある。

■ある女学生の日記
 朝鮮映画史の大きな転機となった作品。60年代後半から70年代の朝鮮映画隆盛期の作品群とは一線を画する、新しい「朝鮮映画」の新機軸として、自信を持って世に送り出した意欲作だ。淡々と描かれる女子学生の日常が、だからこそ瑞々しく、逆に心に訴えかけてくる。朝鮮の等身大の今を描いている。
▼ストーリー
 スリョンは大学入学を控え進路を悩んでいた。
 父親は研究所の寮に暮らしながら、研究に没頭している。
 温かい家庭の中にも父親のいない空虚感が次第にスリョンを押しつぶしていく。そんなとき、母親がガンであることが発覚する。
 それでも研究を優先させる父親に、スリョンは次第に嫌悪感を抱き始めるが…。


01.花を売る乙女
 朝鮮を代表する一大革命叙事詩的作品。植民地時代、貧しい家庭に生まれた主人公のコップニは、病に臥せている母の薬代を稼ぐため、昼は地主の家で働き、夜は街に出て花を売る。
 そんな過酷な運命を、半ば諦めのように受け入れるコップニが、朝鮮人民革命軍に入隊した兄と再会し、その世界観を徐々に変えていく。
 闘争だけが、自らを不幸な運命から解き放ってくれる手段であると。はじめは歌劇として創作されたものが映画化された。今でも平壌の劇場では定期的に上演されている。映画版「花を売る乙女」で主人公コップニを演じたホン・ヨンヒの姿は、朝鮮の旧1ウォン札の裏面に描かれている。まさに朝鮮を代表する映画。


02.洪吉童
 朝鮮初のアクション映画。主人公の吉童は、裕福な両班の家庭に生まれながら、庶子(妾の子)であるため、幼いころから虐待を受け、ついには義母に暗殺まで謀られてしまう。
 不条理な身分制度に耐えられなくなった吉童は家出をし、義賊へと転身。道術を使い、悪しきを討つ吉童の姿に、朝鮮の子どもたちは熱狂した。原作は許(1569〜1618)の古典小説「洪吉童伝」。
 北でも南でも知らない人はいない「吉童」は庶民のヒーローでもある。ちなみに主人公の洪吉童を演じるのは、二枚目俳優として人気の高いリ・ヨンホ。この映画によって一気に朝鮮映画界のスターダムにのしあがった彼は、兵庫県出身の在日朝鮮人帰国者。


03.春香伝
 退伎の娘−春香と、両班の息子−夢龍。ときは15世紀、朝鮮王朝時代。徹底した封建制度下では決して許されるはずのない、身分の違う二人の恋物語朝鮮半島に住む人なら誰もが知っている、古典文学の代表作。
 原作に忠実に創られた本作品は、南朝鮮映画界の巨匠−林権澤監督が撮り、これこそが「春香伝」の決定版と謳われた「春香傳」(2000年)と見比べてもまったく遜色がない。
 注目すべきは、春香のキャラクター設定。自分の運命を悲観するのではなく、自分の運命を切り開く断固とした意志力を持ち合わせた春香の性格は、他作品の春香とは一線を画する、朝鮮映画の主人公たちの古典的な造形である。


04.月尾島
 舞台は朝鮮西海中部に位置する月尾島。祖国解放戦争(朝鮮戦争)のまっただ中、米軍の上陸作戦を3日間遅延させよとの命令を受けた砲兵中隊が、小さな島を守り抜く壮絶な戦争ドラマ。
 リ・テフン中隊長の、砲撃を指示する旗が振り下ろされた瞬間、彼らの死闘が始まる…。なんと言っても有名なのは劇中の挿入曲でもある「海岸砲兵の歌」。
 ティンパニーの力強いリズムで始まるこの曲は、朝鮮学校の運動会などでも必ず使われる曲であり、何よりボクシングの元WBC世界スーパーフライ級チャンピオンであった洪昌守選手の入場テーマ曲でもある。


05.大同江のほとりで
 大同江旅客船の顧問船長であるカン・ソンダルとウンジョン幼稚園の園長チョ・ボックム、そして浚渫船の船長トン・チャンと水上スキー選手へヨン。
 年配と若者、2つのカップルの恋愛のゆくえをユーモアたっぷりに描いた。


06.好童王子と楽浪王女
 高句麗時代の有名な伝説を題材にしたフランスとの合作アニメーション映画。
 高句麗王の命により敵対関係にあった楽浪に向かった好童王子は、美しい楽浪王女と恋に落ちる。
 しかし、それを知った楽浪王は裏切り者として楽浪王女を問いつめ…。


07.農民英雄
 「愛国米献納運動」の提唱者として広く知られている農民、キム・ジェウォンをモデルにした長編大作。
 解放前は雇われてた耕作に従事する男にすぎなかったキム・ジェウォンは土地改革によって農地の所有者となり、命を賭してその恩に報いようとするが…。


08.アリラン
 観覧客10万人以上という、世界最大規模の祝祭にカメラが迫った。
 02年4月末から6月末まで、平壌の15万人を収容するメーデースタジアムで、金日成主席生誕90周年を迎えて開催された祭りの模様を完全収録。
 スクリーンで観るマスゲームは圧巻。


09.遊園地の一日
 息子に恋人がいることを知らない母と、妹に恋人がいることを知らない兄は、遊園地で2人のお見合いをさせることに。
 一方、自分の子どもと義妹に恋人がいることを知る父と義兄は、このお見合いを破談にしようと遊園地にやってきて…。
 心温まるコメディー映画。

この記事には前、はてブをつけてそのときもはてブに書きましたが俺的に見たいのは政治色のなさそうな奴ですね。「09.遊園地の一日」とか。小生、娯楽映画のほうが好きなんでね。
「04.月尾島」はちょっとなあ。この中で一番、政治色強そうだし。いや「北朝鮮シンパ」とかじゃなくてそう言うのが好きな方もいるでしょうけどね。
「俺は政治プロパガンダ映画が三度の飯より好きだ」的な。ああでももしかしたら「月尾島」は結構アクション映画的に格好いいのかね?。
あるいは「どうせプロパガンダ映画」と思いながらも見てて「主体朝鮮兵士の愛国的戦闘」に号泣しちゃったりしてな、意外に。

http://jp.korea-np.co.jp/article.php?action=detail&pid=51934
映画「ヒロシマピョンヤン 棄てられた被爆者」 朝鮮語版完成 南で上映へ
 映画「ヒロシマピョンヤン 棄てられた被爆者」(2009年公開、伊藤孝司監督)は、朝鮮民主主義人民共和国で暮らす広島・長崎の被爆者を取り上げた映画で、日本各地で上映されてきた。今まで、「被爆者」「原爆」についての映画は数多く制作されてきたが、在朝被爆者を取り上げたものはこの作品が初めて。この映画の朝鮮語版がこのほどを制作された。