今日のMSN産経ニュース(8/18分)(追記あり)

産経抄】8月18日
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130818/plc13081803150001-n1.htm

 カメラマンの池間哲郎さんは貧困地域の支援や撮影のため、もう200回近くアジアの国々に足を運んでいる。あるとき、カンボジアの人たちと食事をしながら恐る恐る聞いてみた。「カンボジア人は今でも日本を憎んでいるんですか」と。
 ▼先の大戦中、この国にも日本軍が踏み込み、駐留していたという歴史があるからだ。だが聞かれた方はキョトンとし「なぜそんなことを言うのですか」と逆に聞き返した。「日本を恨んでいる人は誰もいません。全く反対です」。年長者の発言に全員がうなずいた。
 ▼近著『日本はなぜアジアの国々から愛されるのか』(育鵬社)で明かしている体験談だ。

育鵬社の本に出てくるエピソードって事で真偽自体が怪しいですが、ここからどういう結論が出されるかは言わなくてもわかるでしょう。
「未だに日本を非難する中国や南北朝鮮(韓国、北朝鮮。以下、南北はつけずに朝鮮と呼ぶ)はおかしい」
おかしいのはどっちだって話です。この話が事実だとしても何がどうだというのか。
まず第一にカンボジアと中国、朝鮮では侵略を受けた長さが違う。カンボジアなどの東南アジアが日本の侵略を受けたのは1941年の太平洋戦争からですから4年です。
 一方、中国、朝鮮の受けた侵略の長さは4年じゃ済まないわけです。もっとずっと長い。いつから数えるかにも寄りますが、満州事変から数えても15年中国は日本に侵略されている(日清戦争から数えるともっと長い)。日韓併合から数えれば朝鮮は35年日本に侵略されている(江華島事件から数えるともっと長い)。当然死傷者の数も段違いでしょう。
 第二に中国、朝鮮は日本の隣国です。当然、日本の強い影響を受けるからその発言には注目せざるを得ない。しかしカンボジアは隣国じゃないわけです。
 大体、加害者が「いつまでお前ら騒いでるんだ」なんて言うこと自体がおかしな話です。
 アメリカが「いつまで日本は原爆投下を(以下略)、我が国にこんなに敵対的な国は日本だけ」、ロシアが「いつまで日本は北方領土やシベリア抑留を(以下略)」、北朝鮮が「いつまで日本は拉致を(以下略)」などと言ったら「全くその通りです、失礼いたしました」とか言うのか?
 言わないでしょう?。「加害者の癖になんだ!」と言うんじゃないんですか。産経は恥知らずにも程があります。
・それにカンボジア人は「恨まない」といっただけです。「日本の戦争は聖戦だった」などと戦争を支持はしていません。「全く反対」ってのは「日本の経済支援に感謝している」とか「使ってる商品は日本製だ」とかいう戦後の話でしょう。

戦没者追悼式は、戦争で亡くなった人々を悼み、御霊(みたま)を慰める場である。だがそこで首相が「加害責任」や「反省」の念を述べることは「あなた方は間違った戦争のために死んだのです」と突き放すようなものだ。

突き放すも何も実際「間違った戦争で死んだ」でしょうに。「そんな事言うなら、死んだ人間がかわいそう」などというなら、「ナチスドイツの侵略戦争」だって「朝鮮戦争」だって、何だって「死んだ人間(ドイツ兵、北朝鮮兵など)がかわいそう」で非難できなくなりますよ。それでいいんですか。
大体、「あんな戦争は間違っていた、2度とあんなことはやらない」と誓う方がよほど「戦没者追悼」じゃないんですか。「死んでかわいそう」で追悼になるのか。


【追記】
同じ記事を扱った黙然日記『産経抄カンボジア観』(http://d.hatena.ne.jp/pr3/20130818/1376861587)を紹介しておきます。
 ポルポト派の虐殺というのは気付きませんでしたが確かにそれはあるかもしれませんね。