今日のMSN産経ニュース(10/8分)(追記あり)

産経新聞『【新帝国時代 第6部(3)1】島根県議会で可決された慰安婦決議、自民までも賛成』
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131008/plc13100808100006-n1.htm
 この記事の何が「新帝国*1時代」なのかさっぱりわかりませんがそれはさておき。

県議会では(注:今年の)6月26日に「日本軍『慰安婦』問題への誠実な対応を求める意見書」を賛成多数で可決した。
(中略)
 河野洋平*2官房長官(当時)談話を基にした意見書は超党派によって提案され、民主、共産などに加え、自民も1人を除き賛成し可決された。


《日本政府は1993(平成5)年『河野談話』によって『慰安婦』への旧日本軍の関与を認めて、歴史研究、歴史教育によってこの事実を次世代に引き継ぐと表明しました。
(中略)*3

 日本政府がこの問題に誠実に対応することが、国際社会に対するわが国の責任であり、誠意ある対応となるものと信じます》


 採決の際に退席した自民党県議、小沢秀多(ひでかず)(63)は、「われわれ自民党はいわれのない批判に対し敢然と立ち向かい、日本人は(注:慰安婦の)強制連行をやっていない*4と言わなければならないのに、危機感がなさすぎる」と、身内の対応に憤りを隠せない。
 当初、小沢は本会議で反対討論をしようとしたが、自民会派の幹部から止められた。
 「異議を唱えるなら、ペナルティーを科さねばならない」
 小沢は幹部の冷たい言葉を次期県議選で公認しないという脅しと受け取った。心配した支援者らから説得を受け、小沢は反対討論を断念*5した。議場退席はせめてもの抵抗だった。
 議会関係者の間では「意見書」議案に自民党が賛成した理由について「議長選とのバーターだったのでは」といった噂がまことしやかにささやかれる。6月議会で(注:自民の)五百川が議長に選出された際、民主会派は賛成票を投じた。自民と歩調を合わせたのは異例の対応だった。
 民主会派の会長、和田章一郎(66)は「そんなひきょうな話はない」と「バーター説」を一蹴した

「ブルータスよ、お前もか」「お前も暗殺者の一味か」「お前だけは違うと信じていたのにbyシーザー」的というか「島根県議会自民党よ、お前もか」「お前も島根県議会の民主党共産党とともに河野談話の立場に立った慰安婦決議に賛成するのか」「お前だけは違うと信じていたのにby産経」とお嘆きの産経。産経記事に寄れば島根県議会自民党から造反者はたった一名しか出ず、他は全員決議に賛成票。その造反者(言うまでもなく極右)も「決議に反対票を投じたらペナルティーせざるを得ない」という島根県自民党執行部のきつい言葉に支援者共々「島根の自民党にいられなくなるんじゃないか」「平沼赳夫*6亀井静香*7田中真紀子*8みたいに事実上の追放をされるんじゃないか、がくがくぶるぶる」した結果、賛成票は投じなかったものの、退席(棄権)というヘタレぶり。
 何で島根県議会自民党が決議に賛成したのか、「河野談話はデマじゃないから」「日本*9の韓国との経済関係や日本*10における在日韓国人の事を考えたら韓国と敵対関係になれるわけないだろ」「河野談話否定論と言うデマに荷担してこの慰安婦決議案に反対したら俺達島根県議会自民党の『竹島島根県の一部』という主張もデマ扱いされて島根の漁民に迷惑がかかる」などと「島根の自民党がまとも」なのか、産経が匂わせる*11ように「民主党その他」と何かのバーター取引(産経説だと県議会議長ポスト)があったのか、理由は知りません。
 しかしこの一件からは「島根県に限らず、自民党の多数派は実は内心、河野談話否定なんて出来ないと思ってるが極右支持者へのしがらみで否定論吹いてる」という疑いが出てきたように思います。仮に産経が匂わせるようにバーター取引だとしても、本気で河野談話が嘘だと思ってたらバーター取引の材料にするわけがない。
 「そんなもの(慰安婦決議)をバーターの材料に出来るか!。そこまでして××*12についてあんたらの協力なんぞいらんby島根県議会自民」と一喝するのが筋ってもんでしょう。
 つまり自民タカ派の「河野談話という慰安婦デマで日本の名誉が汚された」云々とか全くの大嘘だって事です。
 「産経の島根県議会自民批判」が完全に腰が引けてるのには大笑いです。民主党だったらもっと糞味噌でしょうに。


【追記】
この拙記事について、ライプツィヒの夏『語るに落ちる記事だ』(http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/498e9bd91a751d0eec8772207f52affc)でご紹介いただきました。ありがとうございます。
 記事の内容は拙記事とかぶりますが「細田*13慰安婦との面会」「白石春樹の発言」は知らなかったので勉強になりました。

*1:ちなみに産経のいう「新しい帝国」とはどうやら中国のようです。

*2:中曽根内閣科学技術庁長官、宮沢内閣官房長官、村山、小渕、森内閣外相、衆院議長を歴任

*3:ちなみに「中略」の部分に入る文章は以下の通り。
『2007年7月には、アメリカ議会下院が「旧日本軍が女性を強制的に性奴隷にした」として、「謝罪」を求める決議を全会一致で採択したのをはじめ、オランダ、カナダ、フィリピン、韓国、EUなどにおいても同様の決議が採択されているところです。
 また、日本政府は、本年5月31日、国連の人権条約に基づく拷問禁止委員会より、「公人による事実の否定、否定の繰り返しによって、再び被害者に心的外傷を与える意図に反論すること」を求める勧告を受けるなど、国連自由権規約委員会女性差別撤廃委員会、ILO専門家委員会などの国連機関から、繰り返し「慰安婦」問題の解決を促す勧告を受けてきているところでもあります。』

*4:「強制連行」はもちろんやっています。慰安婦全てがそうだと言ったら嘘になりますけど。また問題にされてるのは「強制連行」ではなく「強制売春」です。「連行が強制でなくても売春に強制性があれば」違法行為です。大体河野談話慰安婦で問題にしてるのは「強制売春」であって「慰安婦全てが強制連行だ」なんて言っていません。

*5:郵政選挙離党組で後に復党した野田聖子(現・自民党総務会長)なんかと違って選挙に弱いんでしょうね、この人。

*6:村山内閣運輸相、森内閣通産相小泉内閣経産相を歴任

*7:村山内閣運輸相、橋本内閣建設相、鳩山、菅内閣金融担当相を歴任

*8:村山内閣科学技術庁長官、小泉内閣外相、野田内閣文科相を歴任

*9:勿論島根を含む

*10:勿論島根を含む

*11:ただし産経の記事は信用しない方がよろしい。平気でデマ飛ばしますから

*12:産経説だと県議会議長ポスト

*13:小泉内閣官房長官時代。「年金保険料未納問題」で辞任した福田官房長官の後任であり、福田長官時代に副官房長官として福田氏を支えたことで福田氏に評価され「次の官房長官細田氏で」と福田氏が小泉首相に推薦したらしい。もちろん現首相である安倍副官房長官(皮肉にも細田氏の後任官房長官)など福田氏が評価していないのは言うまでもない。細田氏は官房長官退任後も幹事長(麻生総裁時代)、総務会長(谷垣総裁時代)の要職を務めた。