10月の日付のエントリで、紹介記事は2014年1月の記事と日付が大幅にずれてますが連続更新の形にしたいので。
■週刊現代『独占インタビュー アントニオ猪木「北朝鮮でオレが見たもの」』
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37987
張氏が処刑されたという一報を聞いて、どう思いましたか。
「本当に驚いた、としか言いようがありません。」
それはそうでしょう。猪木氏訪朝時点であの事態を予測していた人間がどれほどいるでしょうか。
あの時点で「既に失脚は既定路線」だったのか、それとも「金正恩との政治的抗争真っ最中だったのか」、あるいは「猪木氏訪朝後に事態が急展開したのか」は今後明らかになるでしょうが。
今回の訪朝で、以前と比べて北朝鮮に変化はありましたか。
「町並みは変わりましたね。新しいビルがずいぶんと増えたし、遊園地やプールもできた。現在はスキー場も建設しているそうです。平壌市民の所得も上がっていると聞いています」
猪木氏に限らず外国人が自由に情報収集できるわけではないから判断は難しい。しかしこれが事実なら北朝鮮経済がそれなりに発展していると言う事でしょう。悪いことではない。
しかしアンチ北朝鮮極右はろくな根拠もないのに「そんなのは嘘だ、北朝鮮にだまされてるんだ」と言ったり、「それが事実なら困ったことだ」と北朝鮮崩壊を希望したりするから頭痛がします。
張氏処刑の後、北朝鮮から連絡はあったのでしょうか。
「どういうルートかはちょっと言えませんが、北朝鮮政府から『3つ、確認したいことがある』という連絡がありました。
ひとつは、かねてから私が提案していた日本の訪朝団を受け入れるということ。もうひとつは、NPOを通じて日朝交流を続けるということ。そして最後に、来年の早い段階で、私が北朝鮮で大きなイベントを開催するということ。この3点については、これまで通り進めましょう、と」
今後の日朝外交はどのように変化するのでしょうか。
「こればかりは、先が読めないですね。ただ、向こうとしても対話の窓口を閉ざすつもりはないということでしょう。実際、私が『来年早々に再び訪朝したい』と打診したところ、ぜひ来てくれということでした」
猪木氏の言うことが事実ならばいいことです。「日本との交渉を閉ざされて」は拉致に限らず日朝間の問題は解決しません。
猪木議員は、訪朝を強行したことで参議院から懲罰処分を受け、日本維新の会からは党員資格停止処分を受けました。それでもなお、北朝鮮にこだわるのはなぜですか。
「私はこれまで27回も訪朝して、北朝鮮国民の暮らしぶりを見てきましたから、あの国のありのままの姿を知っています。ところが日本政府は、拉致問題が明らかになって以降、完全にドアを閉ざし、日朝関係は膠着状態に陥ってしまった。
誰かがメッセージを送り続けなければ、拉致問題も解決しません。」
「誰かが交渉ルートにならないと行けない」というのはおっしゃるとおりです。その「誰か」は猪木氏である必要は必ずしもないですが。
また、猪木氏もさすがに「俺以外に誰もいない、俺しかできない、俺に任せろ」とまでビッグマウスなことは言っていませんが、実際問題、猪木氏以外にそういう人間があまりいなかったことは事実でしょう。
日本政府は、猪木議員の動きを「二元外交」と非難しています。
「私は政府にはできないことをやっているのであって、邪魔をしたいわけではありません。もっとも日本政府から私には、まともな働きかけはありません。複数の外国の政府関係者からはコンタクトがあるにもかかわらずです。
いまや北朝鮮と国交を結んでいる国は、イギリスやイタリア、カナダやドイツなど世界で160ヵ国にもなるんです。国交のない国の方が地球上では圧倒的に少ない。そして、北朝鮮にとって最大の脅威であるアメリカですら、元大統領やバスケットボール選手を訪朝させている。日本だけが、充分な対話の窓口すらなく没交渉なのです。
正論ですよね。
もちろん「そういう正論」を言ってるからと言って「猪木訪朝が当然に評価出来るわけではない」ですが、正論であることは事実です。
猪木氏が言うように「日本は北朝鮮と没交渉すぎる」「米国すらカーターやロッドマンの訪朝を認めてるのに」「誰かが交渉役にならないと行けない」「不肖・猪木もできることがあれば動きたい」というのは全く正論でしょう。
今後は、どのように動くつもりですか。
「まずは、できれば超党派の訪朝団を派遣したい。北朝鮮の当局者に『訪朝団に、拉致議連の人が加わってもいいか』と尋ねてみると『どんな立場の方が入っても構いません』とのことでした。拉致問題も含めて、日朝が膝を突き合わせて話すチャンスだと思うんです。
北朝鮮に関わろうとすると、何かと非難されることもありますが、然るべき人が同行してくれるなら、私はただの道案内役で構わない。
なるべく日本政府とも摩擦を起こさないようにしたいと思っています。ただ、私も70歳を過ぎましたから、いつ『お迎え』が来ても構わないという覚悟ができている。この先、たとえオレがいなくなっても、北朝鮮との地道な交流を絶やさないでほしいと願っています」
これまた正論ですよね。
「政府が交渉する気があるなら、私は出しゃばるつもりはない」「私ももう年だから動けないかも知れないが動けるまでは動きたい」「私は動けなくなっても北朝鮮との交流は誰かに続けて欲しい、絶やしてはいけない」
全て正論ですよ。こういう正論を「プロレスラーの猪木氏」がいい、何故か政府が言わない。そして猪木氏の正論を家族会が支持しない。
実は蓮池透氏の主張は「交渉して解決しよう」という大筋では猪木氏と同じですがその蓮池氏が家族会を除名されるのだから絶句ですね。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140108/k10014342941000.html
北朝鮮は、外貨獲得のため中国の東北部に送り込んでいる労働者を、チャン・ソンテク前国防委員会副委員長の粛清後も撤収せず、増やす方針を中国側に示していることが分かり、中国との協力をてこに経済の再建を目指す姿勢が鮮明になっています。
(中略)
一方、中国としては、パイプ役だったチャン氏を失った衝撃は小さくないものの、北朝鮮との経済協力を継続することで、キム・ジョンウン体制が動揺する事態を避けたい思惑があるとみられます。
■TBS『張氏粛清、北朝鮮の対応に中国への不信感』
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2098191.html
張成沢氏の粛清を北朝鮮が中国に通告したのは、労働新聞などが発表した12月8日。しかも、発表した内容以上のものを伝えることはなかったといいます。
(中略)
8月宗派事件。1956年、当時の北朝鮮ではいくつかの派閥があり、故・金日成主席を公然と批判するグループもいました。故・金日成主席はこれを「不満分子」と位置づけ、「8月宗派事件」として公職から解任し、党籍を剥奪。その後、処分されたグループから助けを求められた当時の中国のホウ徳懐国防相が、故・金日成主席を半ば脅迫する形で処分を撤回させたもので、北朝鮮は張成沢氏銃殺の際、この事件を引き合いに出しています。今回、粛清の発表からわずか4日後に処刑した背景には、「中国に異論を挟ませないため」だったとみられ、中国政府関係者はこう話します。
「張氏の党籍剥奪と銃殺刑は、党や軍に残る“張一派”への見せしめだったと思うが、失敗だったと思う。北朝鮮の対外的なイメージがさらに低下し、中国人の北朝鮮への不信感が強まった」
ある中朝関係筋によりますと、中国政府内部では、今回の張氏の粛清だけでなく、最近の北朝鮮に対し、相当な不満を抱えているといいます。習近平政権は、安全保障面、経済面での北朝鮮の戦略的価値は重要とみています。このため、中国は大枠での経済援助や交流を続けるとみられますが、今後の北朝鮮の態度によっては中国の対北朝鮮政策に大きな変化が起こることも予想されます
「中国も北朝鮮もいろいろ不満はあるが国益のためにつきあい続ける」とするNHKと「その不満が大きな変化(北朝鮮と中国がお互い距離を置くようになる?)を産むのでは」とするTBS。見方がやや(いや「かなり」か?)違っています。