今日のMSN産経ニュース(3/26,27分)(追記・訂正あり)

■【阿比留瑠比の極言御免】朴大統領の甘えと硬い顔 「今そこにある危機」より
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140327/plc14032714140009-n1.htm
結論から言えば朴氏は「安倍の暴走機関車ぶり」の方が北朝鮮より危機という認識なのでしょう。何せ日本は経済力や政治力が未だ無視できませんが、北朝鮮はそうではありません。明らかに韓国の方がもはや経済力、政治力は上です。
 北朝鮮から戦端を開くことはまずないでしょう。一方安倍は周囲が極右揃いなので冗談抜きで領土問題で韓国や中国相手に戦端を開くことすら否定できません。


■【袴田事件再審】超党派議連の塩谷氏 「高齢、手続き円滑に」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140327/stt14032717280007-n1.htm

 超党派でつくる「袴田巌死刑囚救援議員連盟国会議員連盟」の塩谷立*1会長(自民党

 政権与党の幹部すら疑念を感じるほどの冤罪事件が再審開始に至ったことは幸いです。


■群馬「正論」懇話会 西尾幹二氏が講演「歴史の自由を取り戻せ」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140327/plc14032719060010-n1.htm
 日本は独裁国家ではないのでもちろん「歴史研究の自由」は存在しています。取り戻すも何もない。結局「俺達の歴史認識が社会に相手にされないのはおかしい、何か不当なことがあるに違いない」と強弁してるだけです。


■【正論】「異質のロシア」研究を再興せよ 北海道大学名誉教授・木村汎*2
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140327/erp14032703210002-n1.htm
・異質かどうかなんて研究の必要性の有無に関係ないでしょう。
・かつロシアの行為は果たして異質なのか?。もちろん「異質でないからやっていい」ということでなく米国の対外軍事行動などとどれほど違うのかという話です。
・そもそも今回の一件、「ウクライナで反ロシア政権がクーデターと呼ぶか革命と呼ぶかはともかく、非合法的というか、かなり特異な形で出来たこと」「そうした反ロシア政権を欧米が支援したとロシアが認識したこと」が大きいと思いますが。要するに「クリミアを確保しないとまずいとロシアに認識させたのではないか」ということです。
 そういう事態を生まなければこうした事態にならなかったんじゃないですかね。


■【主張】日米韓首脳会談 相違乗り越え連携強化を
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140327/plc14032703230005-n1.htm
「乗り越え」も何も「靖国参拝して何が悪い」「河野談話なんか撤回する」なんてのは国際的には「お互い価値観は違って当然」で済む話ではありません。こうした安倍や産経の主張は「独裁国家で何が悪い」「泥棒して何が悪い」「葬儀にアロハシャツで何が悪い」という類の非常識な居直りとしか世間には受け入れられないことを自覚して欲しいものです。


■【視線】慰安婦募集の「実行犯」 “強圧と甘言”駆使したのは誰か 政治部編集委員・阿比留瑠比
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140317/plc14031709140007-n1.htm
 少し古い記事ですが。この産経の理屈「末端の犯罪者は中央政府に関係ない」だと「サンゴ事件の犯人は一社員、命令したわけでなし、朝日社長が辞める必要はない」ということになるでしょうがもちろんそうはならないのが産経です。


■【産経抄】地味なヒーロー 3月27日
http://sankei.jp.msn.com/sports/news/140327/mrt14032703200000-n1.htm
 書き出しの文章「黒人は足が速いと決めつけるな」に深い意味はないでしょうが「中韓反日」「台湾は親日」など勝手な決めつけが多い産経が書くと苦笑いが浮かんできます。


■【産経抄】3月26日
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140326/art14032603560000-n1.htm
 途中まではまともなのに最後の一文で台無しです。「想像力や政治的思惑だけで「歴史」を振り回す隣国に迎合する日本人」とは誰のことか産経ははっきり言えるんでしょうか。南京事件否定論にせよ、河野談話否定論にせよ産経の方こそ「政治的思惑だけで「歴史」を振り回す」典型ですが。


■【九州から原発が消えてよいのか第7部 代替電源(4)】クリーンエネルギーの“怪しい”実態 風力発電 低周波被害の懸念も
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140326/trd14032620480013-n1.htm 
 風力発電低周波被害や騒音の問題があるのは風力発電推進派も認める事実です。ただそういうことに配慮した上で風力発電を進めればいい話だというのが「まともな」風力発電推進派の訳です。
 そして原発の危険性(事故による大量の放射線被曝死)は「低周波被害」だの「騒音」だのを上回るのですがね。本気で産経が環境問題を重視するなら到底原発推進論など口に出来ないでしょうに。


■【正論】日本が「領土問題」訴える好機だ 平和安全保障研究所理事長・西原正
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140326/plc14032603580002-n1.htm

安倍内閣は過去の内閣に比べ自信や威厳を感じさせる。

慰安婦問題でのどたばたぶりのどこに「自信や威厳」があるんでしょうか。
「談話検証」といって右翼支持層にこびたら米国に批判され「検証はするが見直しはしない」としどろもどろになったのが安倍政権です。

ニューヨーク・タイムズ紙の無責任な記事(「安倍内閣河野談話を破棄しようとしている」)に対する菅義偉官房長官の反論は見事であった。同紙は訂正記事を載せざるを得なかった

 記事の「安倍は南京事件否定派だ」という部分は訂正されてないんですけどね。かつNYタイムズが訂正しようがすまいが客観的に見て当初安倍が叫んだ「検証論」は「破棄」を意味すると見るのが普通の人間でしょう。そういう見方をしたからこそ米国や韓国は安倍を批判したわけです。つうか「河野談話破棄」を唱える産経にとって「訂正記事掲載」は本来喜べることじゃないでしょう。

 東シナ海南シナ海で力による現状変更を進める中国は、クリミア武力併合を非難できる立場にはない。

 中国がロシア批判を控えてるのはそう言う意味じゃないと思いますけどね。ロシアと親密な関係にあることが有益だと思うから控えてるだけでしょう(ただし欧米との関係も重んじて安保理では反対票ではなく棄権しました)。というか安倍も同様の理由でオバマやオランドが人権問題(チェチェン問題、同性愛差別、ガールズバンドメンバー投獄など)を理由に行かなかったソチ五輪開会式に習近平国家主席同様に行ったし、クリミア問題でも最初はロシア批判を控えていたんですけどね(中国ほどロシアよりではないが)。安倍がロシア批判を始めたのは明らかに米国への配慮でしょう。米国と歩調を合わせることが一番重要だと思ったからそうなったにすぎません。にもかかわらず「ブラボー安倍」なんですから産経には呆れます。
 結局ここでも慰安婦靖国同様「自主性をアピールしようとして米国にそっぽ向かれて態度変更、皆から白い目で見られる」「ある意味自主性を貫いた中国外交の方がマシ」という悲しい状況が発生したわけです。


【追記】
中国がクリミア問題をどうみているのか、浅井基文氏*3が紹介する環球時報社説を見てみましょう。環球時報といえば「産経チックな極右言論」も多いのですがこの社説について言えば、浅井氏が指摘するように「ここまで露骨に国益論を外部に表明していいのか?(かえって批判を浴びないか?)」と言う問題はさておき、言ってることは割とまともです。

http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2014/587.html
(前略)
 ウクライナの事態に対する政策を定める上での唯一の目標は中国の国家利益を増進することである。
 ロシアと西側は深刻に対立しており、中国は第三者として双方にとっての獲得対象であり、したがって相対的に有利である。しかしこの有利性は絶対的なものではなく、中国がいささかでも間違えれば、いずれか一方の深刻な怒りを買う可能性があり、あるいは双方の好評を得ることができず、得点を稼ぐどころか失点してしまうこともあり得る。
 完全な「中立」はあり得ず、中国としてはまず「ノーマルな中国」であるべきだ。即ち、各国が中国はどうするだろうかと推測するような振る舞いをするということだ。中国がそのように振る舞うことのリスクは一番小さい。というのは、各国は実際上中国がそのように振る舞うことを受け入れる準備ができているからだ。その振る舞いかたとは何か。それは、「ある程度ロシアよりで、しかもロシアを公然とは支持しない」中国である。
(中略)
 それでは、ウクライナ情勢に対する中国の介入は何を目指すべきか。和平を勧奨するということであるべきだと考える。
 これは決して絵空事ではないし、ましてやごまかしではない。まず、ウクライナ情勢が悪化し続けないこと、即ち本当の戦争にまで発展しないことは中国の利益に合致する。このことはロシアを含む各国の望むところでもあるだろう。問題はただ、いかなる条件によってウクライナの安定と平和を実現するかについて各国が深刻に対立していることにある。こういう時にあって、平和を勧奨することで一定の成果が実現する可能性はあるし、仮にできないとしても、中国自身に対するマイナスはない。
 中国の和平勧奨の方向性としては、ロシアのウクライナにおける利益が他の国々によって承認、尊重されることを支援するべきで、西側に対してはロシアを追い詰めすぎないように勧奨し、関係国すべてが現実主義に戻って、みんなが受け入れられる妥協に進むということだ。

 産経の認識とは全然違いますね。要するに中国としては「一番重要な中露友好関係」を維持したい。
 しかしその為に「欧米やウクライナとの関係も悪化させたくない」。
 だから「ロシアよりの態度は取るがロシア全面支持はしない」。
 ただ「欧米もロシアとの関係を悪化させたくないし」、そういう状況の下では「あまり反ロシア的な事を言ってると欧米にはしごを外されてまずいことになるんじゃないか」という恐怖感がウクライナにはある。
 そういう中で「中国がうまく動けば」三方一両損というかロシア、ウクライナ、欧米が「なんとか飲める案」を中国は出せるし、出せば国益につながると。

 ロシアがウクライナにおいて西側の勢力が東進することに抵抗することは、ロシア自身の命運にかかわるだけではなく中国の重要な戦略的利益とも直接にかかわっているからだ。我々は常に朝鮮を中国が米日の力量に対処する上での緩衝地域と見なしているが、実際には朝鮮があまりにも小さいので、緩衝地域としての役割は限られている。今日のロシアと中国こそ、互いに国家復興にとっての本当の戦略的緩衝地域を構成している。仮にプーチン*4が指導するロシアが西側によって圧倒されてしまうと、中国の地縁政治上の利益に対して深刻な打撃となるだろう。
(中略)
 今日において世界を見渡すとき、ロシアはもっとも力になってくれる全面的戦略パートナーである。少なくとも今後数十年間、中国にとっての重要性においてロシアに代わる存在はあり得ない。

 中国にとって「中露関係」が一番大事だという表明です。
 もちろん「欧米やウクライナ」との関係がどうでもいいという話ではないですが、あえてどちらを選ぶかという「究極の選択」においてはロシアを選ぶし、「どーせ欧米やウクライナもそれはある程度覚悟してるからダメージも少ないだろ」と言う話です。たぶんこのロシアは「北朝鮮」に置き換え可能でしょう。

*1:福田内閣官房長官麻生内閣文科相自民党総務会長(谷垣総裁時代)を歴任

*2:著書『日露国境交渉史』(1993年、中公新書)、『プーチン主義とは何か』(2000年、角川Oneテーマ21新書)、『現代ロシア国家論:プーチン型外交とは何か』(2009年、中央叢書)

*3:著書『日本外交:反省と転換』(1989年、岩波新書)、『外交官:ネゴシエーターの条件』(1991年、講談社現代新書)、『新しい世界秩序と国連:日本は何をなすべきか』(1991年、岩波セミナーブックス)、『「国際貢献」と日本:私たちに何ができるか』(1992年、岩波ジュニア新書)、『「国連中心主義」と日本国憲法』(1993年、岩波ブックレット)、『中国をどう見るか:21世紀の日中関係と米中関係を考える』(2000年、高文研)、『集団的自衛権日本国憲法』(2002年、集英社新書)、『戦争する国しない国:戦後保守政治と平和憲法の危機』(2004年、青木書店)、『13歳からの平和教室』(2010年、かもがわ出版)、『ヒロシマと広島』(2011年、かもがわ出版)、『すっきり!わかる 集団的自衛権Q&A』(2014年、大月書店)など

*4:エリツィン政権大統領府第一副長官、連邦保安庁長官、第一副首相、首相などを経て大統領