今日のMSN産経ニュース(4/21分)(追記・訂正あり)

クリミア・タタール人の名誉回復
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140421/erp14042123100004-n1.htm
 こういうのを見ると「プーチン*1もやはりバカではないのだな」と思います。クリミアタタールというのはおそらく「ロシアに好意も抱いていないがウクライナにも好意を抱いていない人たち」のわけですから「ウクライナよりはロシアの方が少しはマシかも」と思わせれば取り込めるわけでこれはそういう戦略の一環でしょう。まあ動機が何でアレ、クリミアタタールの名誉回復それ自体はいいことだと思います。


■【外信コラム】北京春秋 中国式討論術
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140421/chn14042103050001-n1.htm
 正直ここでの中国側の指摘というのは「是非はともかく*2」日本でも集団的自衛権批判派などによって良く主張される指摘であり、産経にとってどこがおかしいのか、あるいはどこが「中国的」なのかさっぱりわかりません。
 「集団的自衛権容認論のバックには米国がいる」
 いるでしょうねえ。もちろん「極右の安倍」が「軍拡大好きであることは事実」ですが米国が反対したら集団的自衛権行使論なんか言わないでしょう。また以前からアーミテージ元国務副長官など元高官や現役の高官が露骨に「集団的自衛権行使を認めて欲しいな」と言う主旨の事を言ってる。
 「集団的自衛権行使や防衛装備移転三原則や靖国参拝は全て日本政府の右傾化の表れだ」
 まあ、日本の左派や韓国政府などはそういう批判をしていますし、俺も同感です。
 一方産経が紹介する限りでは公使の主張はまるで駄目駄目ですね。
 

民主主義の日本の国民は、日本政府を軍国主義に向かわせない

 民主主義と軍国主義は全く関係ありません。軍国主義を「軍部の独裁政権」と狭くとらえれば「民主主義なら軍国主義でない」ことになるでしょう。
 しかし、そうではなく「対外軍事行動=軍国主義」ととらえれば、民主主義国家アメリカが世界中で戦争してることでわかるように「民主主義なら軍国主義じゃない。平和主義だ」という単純なモンじゃありません。
 当たり前の話であって「民主主義」であっても「好戦的な国民が多ければ」軍国主義の方向に行くわけです。まだ「平和主義の日本国民」と言った方が筋が通るでしょう。

日米同盟と日中友好は両立する。矛盾しない

 正確に言えば「当然に対立するわけではない、両立しうる」ですね。別に「日米安保が当然に日中友好と両立する」わけではない。つまり「日米安保が中国を仮想敵とすれば」当然ながら日米安保日中友好と矛盾します。
 で中国の方は「日米安保は我が国を仮想敵としている、尖閣問題で発動されるかも知れない」と認識してるのでしょう。であるなら「日米安保は中国を仮想敵としていない」とか「尖閣問題を集団的自衛権の対象にすることは考えていない。外交で解決するのは当然だ」とか言わないといけないのであってこんな「両立します、矛盾しない」なんて発言で誤解(?)が解けると思ったら甘過ぎでしょう。
 まあ、でも「尖閣問題で集団的自衛権だの日米安保だのを発動する気はない」といったら「中国にへつらってる」とかとんでもないことを自民党右翼議員や産経が言い出すのかも知れません。 


■【正論】「不遡及」覆し歴史清算に走る国 拓殖大学総長 渡辺利夫
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140421/kor14042103280002-n1.htm
 仮に渡辺や産経の言い分を認めるとしてもそれは「過去の法的責任追及は出来ない」と言う話に過ぎず「道義的問題はない」という話ではありません。「日韓併合には何の問題もない」「日本の韓国植民地支配に何の問題もない」「慰安婦戦争犯罪ではない」だのという話ではない。
 たとえば「時効が成立すればたとえ真犯人でも犯罪の法的責任追及は不可能になります」がそれは当然ながら「犯罪を実行しなかった、清廉潔白で無実である」ということを意味しません。「法的責任の有無」と「道義的責任の有無」はイコールではない。
 また渡辺や産経のように「日韓併合は当時の国際社会が事情はともかく認めてるではないか、不当ではない」「むしろ日本のおかげで韓国は近代化できた」と言ってしまうと「中国のチベット支配は清朝時代も中華民国時代も、中華人民共和国時代も当時の国際社会が事情はともかく認めてるではないか、不当ではない」「むしろ中国のおかげでチベットは近代化できた」ということになってしまいます。まあ、渡辺や産経が「反中国」と言う思惑からフリーチベットを叫んでる事は皆さんご存じでしょうが。
 「国際社会の態度」は今も昔も「国益に左右されるところが大きい」のですから、それはせいぜい「一応合法」の理由になるだけで、「道義的に無問題」と言うことには全くなりません。

【追記】
渡辺の雑文については黙然日記『産経のスクープを安倍首相が否定。他』(http://d.hatena.ne.jp/pr3/20140421/1398090572)も触れてますので紹介しておきます。

*1:エリツィン政権大統領府第一副長官、連邦保安庁長官、第一副首相、首相を経て大統領

*2:俺個人は「是」の立場ですが