今日の産経ニュース(11/29分)(追記・訂正あり)

■【台湾地方選】争点は「馬英九*1批判」“レームダック化”避けられず、大敗で「中国が見放す」?
http://www.sankei.com/world/news/141129/wor1411290045-n1.html

 台湾の統一地方選で与党の中国国民党は、地盤としてきた台北、台中両市の市長選で敗退するなど苦戦を強いられた。馬英九政権のレームダック(死に体)化は避けられない情勢だ。野党、民主進歩党は躍進する見通しだが、2016年の総統選で課題となる対中政策の見直しが進んでおらず、政権奪還につなげられるかは予断を許さない。
(中略)
 民進党は、躍進すれば、蔡英文*2主席が次期総統選候補の地位をほぼ確実にする見通し。だが、総統選の勝利は楽観できない。当時も蔡氏が主席を務めていた民進党は、09年の統一地方選で躍進し、10年の5直轄市長選では総得票数で国民党を上回り、政権奪還への期待が高まった。
 しかし、12年の総統選で蔡氏は約80万票差で馬総統に大敗した。敗因の一つは、対中政策で「独立色」を払拭できず、経済界から不安視されたことだ。

 太字部分が興味深いですね。台湾経済界は「現状維持」を望んでおり「独立論」で中国との関係を緊張させることを望んでないと言う事です。そう言う意味では民主進歩党が仮に政権を奪取したところで日本ウヨが期待するような「反中国的態度」はとれないでしょう。 


■「朝まで生テレビ!」で荻上チキ*3小島慶子の出演中止 テレ朝「公平性を担保できなくなる」
http://www.sankei.com/entertainments/news/141129/ent1411290004-n1.html
 荻上氏、小島氏に出演依頼して承諾まで得たのに突如その依頼を「なかったことにしてくれ」と中止し、中止理由が「公平性が担保できない」。こんな馬鹿な話がどこの世界に通用するのか。荻上氏、小島氏が「私の何がどう公平性を担保できないのか」「私への出演依頼が、突如そう変更された経緯は何なのか。依頼から中止までの間に何があったのか、説明して欲しい」と憤慨するのは当たり前です。
 ところが「説明する義務はない」でテレ朝は居直るつもりのようですから呆れます。
 この直前に自民党が「公正な報道を求める」と恫喝まがいの要請文を送ってることを考えると1)自民党がはっきり「評論家は出すな、政治家だけにしろ」などと脅した、2)自民党は脅してないが、どんな人間でアレ自民党に批判的意見を述べる可能性のある人間*4を出すと自民党ともめるから自主規制した、のどちらかでしょう。どっちにしろテレ朝は恥ずかしいテレビ局です。

【追記】
なおこの記事についたブクマhttp://b.hatena.ne.jp/entry/www.47news.jp/CN/201411/CN2014112801001793.html

id:nabeteru1Q78
 質問や意見に偏りのない人間などこの世に一人として存在しない。

おっしゃるとおり。つうか一回は出演依頼してるわけで「やっぱなし」なんて言ってしかも「公平性が保てない」て意味不明な回答ではまともな回答じゃありませんよ。

id:falkbeer
 要するに自民党以外の党があまり発言させてもらえなくなるからクレーム言ってきたってことだろ。
id:toronei
やっぱり自民党が「俺達に嫌な質問する奴らはNO」ではなく、野党が「おれたちに話向かないだろ」って申し入れた感じだよなあ、これ。

 頭が梅毒とか何かの病気にでも冒されてるんでしょうか?。それともやっぱ産経・阿比留とか放送作家・百田みたいな「安倍万歳芸人」ですか?、あんたら。
1)「自民党批判者がオミットされたら」自民党の恫喝や、それを危惧したテレビ局側の自主規制を考えるのが常識人でしょう
2)また「国家権力握ってる」政権与党の申し入れならともかく野党の申し入れに対して「いったんした出演依頼を反故にする」ほど野党に気を遣わないでしょうよ。つうかそれ以前にテレビ局が野党側にいちいち出演者が誰か事前に言うか?
(まあ、ほとんどのブクマはこの種のウスラバカと違って「自民に屈したんだろうな」などとまともですけど)。


■【一筆多論】小選挙区制は「大間違い」か 乾正人
http://www.sankei.com/column/news/141129/clm1411290007-n1.html
 小生も「小選挙区導入は大きな間違いだ」と思います。
 問題点として1)「死票が多く民主的でない(4割の得票率で7割以上の議席がとれてしまうことがある)」、2)「小泉郵政選挙のような執行部独裁の強行に悪用される恐れがある」といったことがあげられるでしょう。小選挙区導入の口実にされた「クリーンな政治」だの「自民党の派閥解消」だのが嘘である事はA)小選挙区制導入後もKSD疑惑、日歯連疑惑などの疑惑が発覚していること、B)派閥解消など何ら実現していないことで明白でしょう。そもそも「小選挙区の国・米英」が「非小選挙区の国(ドイツ、フランスなど)」に比べてクリーンな政治かといったらそんなことはないしクリーンな政治というのは「企業献金の規制」「政治家の資産公開」など別の方策で追及すべきもんでしょう。
 がそれはさておき。産経がわざわざこんな文章を書いたのはもちろん「小選挙区は4割の得票率で7割以上の議席がとれてしまうことがある。自民に有利だから続けよう」と産経が考えてることもあります。
 が、それだけではなく「今思えば私が賛成したのは間違いだったと思う」と言った人物が産経が蛇蝎の如く嫌う河野洋平氏だからです。産経って本当に河野氏が嫌いなんだなと改めて呆れます。


■【松本浩史の政界走り書き】衆院選 自民「1割減」が勝敗のメルクマーク 
http://www.sankei.com/premium/news/141129/prm1411290013-n1.html
 既に多くの方が指摘してるように本来「1議席でも減れば」敗北というのが当然の考えでしょう。それが1議席どころか「現有議席の1割=30議席程度」減っても「260議席あって過半数越えてるから問題ない、信任されたと考える」というのだから無茶苦茶です。
 とはいえ、向こうがそういうならまずは「30議席以上減少」で「あんたらの勝敗ラインとやらを切ってるじゃないか」ということを目指すべきなのは言うまでもありません。


■【九州から原発が消えてよいのか 第9部(1)】ズタズタにされる基幹産業「北海道」の悲鳴…原発動かず電気料金値上げ、1年余で33%急騰に「企業努力も限界」
http://www.sankei.com/premium/news/141129/prm1411290022-n1.html
 いい加減にして欲しいですね。「原発事故が起こる危険性」を何だと思ってるのか。
 大体既に脱原発派が指摘してるように「原発電力の安値」とは「事故対策費用」「廃炉費用」などをカウントしない事による「インチキの安値」です。横井英樹のホテルニュージャパンが「防火対策」を怠って利潤をあげてたようなもんで「寝たばこ火災による宿泊者の焼死事故」でニュージャパンが崩壊したようにそんなもんは何か問題が起これば一発で崩壊します。それが福島事故ではなかったのか。


■【緯度経度】日本戦争犯罪調査、3つの教訓
http://www.sankei.com/column/news/141129/clm1411290008-n1.html
 まあ、産経・古森なんでろくな教訓じゃありません。
1)河野談話は間違ってる
2)河野談話など慰安婦問題での日本批判の黒幕は中韓両国*5
3)従って「慰安婦は性奴隷でない」という真実を宣伝すれば日本は勝てるはず
という「アホか」と言う教訓でしかありません。
 つうか産経の主張って「日本軍中枢が犯行を命令した公文書がない*6んだから末端の暴走」という暴論ですからね。それですむなら「北朝鮮の拉致も末端の暴走(今のところ犯行指示の公文書なんか見つかってないので)」「ヒトラーホロコースト命令文書がないからホロコーストヒトラーの意思か分からない(ネオナチの暴論)」とも言えるはずですが、そうは言わないのが勿論産経です。


■【安倍政権考】解散には本音と建前がつきもの 「大義」なんて“ご都合概念”だ
http://www.sankei.com/premium/news/141129/prm1411290016-n1.html
 タイトルだけで内容が丸わかりですね。本文を読む必要がない「効率的な記事」です(皮肉)。
「安倍政権の語る解散の大義を批判するメディアや野党がある」
「しかし世の中、本音と建て前があるのは当然」
「本音は『今なら勝てそうだから解散する』んだ。安倍さん以外の過去の解散だって大義なんかねえよ。内閣不信任案が可決されたときも含めて、『勝てそうだから解散した』んだ(勝てそうにないと羽田*7内閣のように内閣総辞職、なお羽田グループは衆院の首相指名選挙で羽田の後釜に海部*8元首相を擁立したが村山社会党委員長を擁立した自社さに敗れた)。大義なんて『口から出任せのご都合主義概念』なんだよ」
「それなのに安倍さんだけ批判するなんて不公平だ」
「大体解散権には法的制約はない。大義のない解散だって違法無効じゃない」
大義がなくたって勝てば官軍なんだ」
というむき出しの党利党略です。産経も安倍もよほど「大義のない解散」と言う批判を気にしてるんでしょうね。しかしだったら「大義を語るべき」なのであって「大義なんかねえよ、なくて悪いか」と居直る話ではない。
 要するに安倍ですらこんなことは「身内しかいない世界」ならともかく、「よそ者もいる世界」「建前の世界」では言えないと思うんですけどね。そしてまともなメディアならここまで党利むき出し発言は恥ずかしくてできないところです。
 しかし、「よそ者もいる世界」「建前の世界」で公言できちゃうところはさすが自民下野時に「下野ナウ産経」とツィートし「下野したの自民だろ。自民イコール産経かよ」と呆れられた産経だけのことはあります。大体自民が「大義がないという批判」に焦るのならともかく、何でここまで産経が焦るのか?。自民との癒着が酷すぎます。

*1:連戦内閣法務部長(法相)、台北市長を経て総統

*2:行政院副院長(副首相)を経て民主進歩党主席

*3:評論家。著書『ウェブ炎上:ネット群集の暴走と可能性』(2007年、ちくま新書)、『ネットいじめ:ウェブ社会と終わりなき「キャラ戦争」』(2008年、PHP新書)、『セックスメディア30年史:欲望の革命児たち』(2011年、ちくま新書)、『検証 東日本大震災の流言・デマ』(2011年、光文社新書)など

*4:つうか今時よほどの自民党シンパでない限り何らかの安倍批判はするでしょう。野中元官房長官や河野元衆院議長といった自民党関係者すら批判してるのですから。なお、率直に言って荻上氏も小島氏も自民党に批判的な人間ではありますが、それほど「過激(?)」な人物でもありません。

*5:黒幕という表現の是非はともかく両国が厳しく批判してるのは事実です。しかしそれは当事者だからであってそれで黒幕などといって陰謀呼ばわりしていいなら「拉致問題での北朝鮮批判の黒幕は日本」「ホロコースト問題でのドイツ批判の黒幕はイスラエル」「チベット問題での中国批判の黒幕はダライラマ」などとも言えてしまいます。

*6:小生の理解では「全くないわけではなかった」と思いますが。

*7:竹下内閣農水相、宮沢内閣蔵相、細川内閣副総理・外相を経て首相

*8:福田、中曽根内閣文相を経て首相