今日の産経ニュース(12/18分)(追記・訂正あり)

■【歴史戦・番外編】慰安婦問題は外務省の戦後最大の失敗である−「国民集会」での発言詳報
http://www.sankei.com/premium/news/141218/prm1412180003-n1.html
 むしろ「第二次安倍内閣は日本政治の戦後最大の失敗」でしょうね。
 それはともかく、産経らしいバカウヨ発言のオンパレードです。

 集会は、「日本人が名誉を回復するために、外務省の改革は不可避である」として、日本政府に(1)世界に正しい情報を発信するための独立機関を早急に設置(2)国連に世界各国で守る「特定国に対する敵対教育を禁止する条約」を提案(3)外務省改革*1のための内閣直属の会議を設置−を盛り込んだ決議を採択して閉幕した。

(1)、(3)も酷いですけど(2)が一番酷いですね。こんなもん提案したって国連が採択するわけないでしょう。いやそれ以前にさすがに安倍もこんなん国連に提案しないでしょうけど。
 大体、別に「中国、韓国」における日本の戦争犯罪*2批判教育は「敵対教育」じゃないし「どんな理由でアレ外国を学校教育の場で批判するな」なーんて言ったら「米国の原爆投下」「中国のチベット統治」「北朝鮮の拉致」「ソ連満州侵攻」「インドのカースト制度」なんかだって「批判的に扱えなくなります」よね。まあ、そのあたり「我々のは敵対教育じゃない」という詭弁が炸裂するんでしょうけど。

藤岡信勝つくる会」理事】
 第1の大罪は近隣諸国条項の制定だ。

 やれやれですね。「宮沢*3内閣の河野*4談話」や「村山内閣の村山談話」どころか「鈴木*5内閣の近隣諸国条項」を今さら持ち出すとは正気でしょうか。今まで産経は「河野談話村山談話がぽしゃれば御の字」と思ってたのでそれ以上のことは言ってなかったのですが「極右のヒーロー・安倍なら何でもやってくれる」「この間の選挙でも大勝した」とばかり何でもかんでもやらせる気のようです。たぶんやらねえての、そんなことは安倍だって。安倍が条項をぽしゃらせる気ならとっくの昔にぽしゃらせたでしょう。国内外の批判考えたら、条項廃止なんてのは靖国参拝以上に高いハードルだと思いますよ。今回の選挙で公明党議席増やしたし「日中関係悪くされたら日中友好を表看板にしてるワシら公明が困るがな、自民も自民を支援する『中国に進出してる』財界も困るのと違う?」と公明から駄目出し入るんじゃないですかね。
 「近隣諸国条項廃止に比べたらまだマシな靖国参拝*6」ですら米国は厳しく批判したのに「公然と近隣諸国条項撤廃」なんかしたら、米国の批判も厳しくなるし、韓国だって「中国との共闘路線を強める」だけでしょうに。
 「1982年の教科書問題」を「いわゆる近隣諸国条項で決着させた*7」のに「30年も経って」から「あんな条項ぽしゃらせろ、南京事件否定論河野談話否定論、大東亜戦争聖戦論を教科書におおっぴらに書いて何が悪い」「中韓が条項を堅持しろと言っても無視しろ」「そもそも条項を作った鈴木内閣と踏襲し続けた歴代内閣(中曽根*8以下、今の安倍まで)がおかしい」て産経らウヨ一味は日本をどこまで近隣諸国と対立させる気なんでしょうか。そんなことしたら、この間の習*9・安倍トップ会談が無意味になるっての。ちなみに「近隣諸国条項を作った鈴木内閣の官房長官」で「河野談話を出した内閣の首相」が故・宮沢喜一氏であり、そのためウヨは酷く宮沢氏を嫌ってるわけです。

社会主義世界体制の崩壊によって行き場を失った左翼勢力は、戦前の日本の糾弾を生きがいにするようになる。

 ばかばかしいですね。本多勝一氏の「中国の旅」「南京への道」(以上、朝日文庫)、あるいは森村誠一悪魔の飽食」(角川文庫)などといった日本の戦争犯罪を追及する動きは冷戦崩壊以前から存在しています。連中が非難する「鈴木内閣の近隣諸国条項」だって「1982年のこと」なんだから冷戦崩壊前です。
 大体、近隣諸国条項を作った鈴木内閣も、河野談話を出した宮沢内閣も左翼じゃないし。
 それに「行き場を失った」も何も左翼も「戦前日本批判」だけしてるんじゃないし。自民党内にも昔は過去に対し一定の反省の思いがある「ハト派」と呼ばれる人士がいてそう言う人士は「LT貿易の高碕達之助*10」「覚書貿易の古井喜実*11」のように「日中貿易」に携わったりしたわけです。
 そもそも「自民党」は「日本は戦前を反省して生まれ変わった」て建前なんだから「戦後日本ならともかく」戦前日本を批判されても本来痛くないはずなんですけどねえ。戦後イタリア保守、ドイツ保守が戦前イタリア、ドイツを批判されても、おそらく痛くないように。まあ、日本の場合「戦後保守に、不幸にも戦前美化の化石保守が残存し続けた事」「つまり建前が本音でなかったこと」がこうした異常事態を生んでるわけですが。

1つ目は、慰安婦問題を(注:韓国から)東南アジアに広げること。

 広げるも何も実際に東南アジアに慰安婦はいたしアジア女性基金も東南アジアの元慰安婦に「事実上の償い金」を出してるわけですが。
 「米国にもデビッド・スネドン君という北朝鮮拉致被害者がいる!」「幼稚園児・松岡伸矢君の失踪は北朝鮮拉致」とデマで北朝鮮拉致被害者を米国民や幼稚園児にまで広げる*12お前らウヨと一緒にするな!

*13が雑誌で高木氏*14の、この反日活動を批判したら高木氏は私を名誉毀損(きそん)で提訴した。言論で戦えないから商売道具の訴訟を仕掛けてきた。

 やれやれですね。反日なんて誹謗すれば名誉毀損で訴えられても当然でしょう。
 大体ウヨはこの種の問題で訴訟を1度も起こしたことがないのか。「稲田朋美*15のしかけた百人斬り訴訟名誉毀損訴訟)」「NHK相手のJapanデビュー訴訟(名誉毀損訴訟)」でわかるように「起こしたことがない」どころか「自分らウヨの主張の正当化」を狙って「左翼認定」「敵認定」した相手に訴訟しかけてるのがウヨの訳です。
 「俺の訴訟は綺麗な訴訟、左翼の訴訟は汚い訴訟」てどれほどふざけてるのか。しかし藤岡曰く「元共産党員」だそうですがここまで右翼転落して恥ずかしくないんですかね。「共産から穏健保守」ならまだしも「共産から極右」てのは理解ができません。

第5の大罪は、「クマラスワミ報告書」への反論を引っ込めたことだ。

 反論しようがないから反論しなかっただけだし、当時*16は「反論しようがないと思ってたのであろう」産経も「反論しろ、馬鹿野郎!」などとは一言も言ってなかったのに「安倍政権で我が世の春が来た」とばかりに無茶苦茶な事言ってますよね。「安倍政権誕生」が本当に憂鬱ですがここは「安倍と取り巻き連中をうまく丸ごとごみ箱にぽいすれば何とか国際社会での地位をリカバリーできる」「そのときは自民も少しはまともになるだろう」「災い転じて福となせ」とでも思うしかないのかも知れません。

 第6の大罪は「新しい歴史教科書」を検定で不合格にする策動をしたことだ。2000年10月の、野田英二郎事件として知られている出来事だ。元インド大使で、教科書検定委員になった野田氏が、外務省の課長や課長補佐クラスのメンバーを7〜8人集めて、検定で不合格にするためのプロジェクト・チームをつくっていたのだ。

 一応お断りしておけば産経一味が勝手にそういうこと抜かしてるだけで外務省も野田氏もそんなプロジェクトチームの存在なんか当然認めてません。むしろ産経一味の野田氏へのネガキャンの方が『「新しい歴史教科書」を検定で合格にする策動』でしょう。
 まあ、別にプロジェクトチームなんかつくらなくても「岡崎久彦元駐タイ大使のようなキチガイでない限り」まともな外務官僚(OB含む)なら野田氏に限らずあんな教科書支持しないですけど。
 つうか当然ながら、別に野田氏だけが「つくる会教科書に否定的な委員」じゃないんですけどね。産経の言いがかりに自民党政権は「これ幸い」と思ったのか「言いがかりも甚だしいがもめたくない」と「日和ったのか」知りませんが、この騒動を口実に野田氏を委員から外します。

【目良浩一・歴史の真実を求める世界連合会(GAHT)代表】
一旦、日本人が卑劣な民族であるということが一般常識になれば永遠に続く。

 て、こいつらウヨのやってることこそが「慰安婦南京事件など、過去の犯罪を認めない卑劣な民族・日本人」という「一般常識を国際社会に作りつつある」のですがそういう常識がないから困ります。

グレンデール市の慰安婦像はカリフォルニア州韓国系米国人フォーラム(KAFC)という韓国系の団体が推進したが、その裏には中国系米国人がいる。

 だから何だって話です。中国人慰安婦だっていたから、中国は慰安婦問題の当事者です。
 それに「慰安婦違法性否定論」はそれ単独で存在してるわけじゃなくて「南京事件否定論」「張作霖暗殺コミンテルン陰謀論」「柳条湖事件中国陰謀論」などの「中国が当事者の右翼デマ」とも密接につながってるわけです。中国系が慰安婦問題にコミットするのは何ら不思議じゃない。

 米国人は英語以外のものをほとんど読まないから、慰安婦問題については吉見義明*17・中央大教授の「Comfort Women」*18を読み、そこに書かれていることが真実と思っている。

 やれやれですね。それウヨ連中が偉そうな事抜かしながら海外に情報発信してこなかった、内弁慶でガラパゴスてことでしょうよ。いや情報発信したってデマだから相手にされないですけど。

日本では、朝日新聞が間違いを告白したので慰安婦問題は解決したと感じている人が多いが、米国でその影響はゼロだ。

 ゼロかどうかはともかく朝日に限らず「日本の新聞」の影響力より「ワシントンポストニューヨークタイムズ」のほうが米国での影響力はあるでしょうね。日本だって外国の新聞の影響力がどれほどあることか。でこれらの米国一流紙は慰安婦違法性論に当然ながら立ってるわけです。なお朝日は吉田証言の誤報は認めましたが「慰安婦は合法だ」なんて立場には無論立っていません。

2007年に米下院が対日非難決議をやろうとしたとき、同じケースがトルコでもあった。トルコは明確に米政府に反論したため、対トルコ決議案は採択されなかった。

 やれやれですね。トルコと日本といろいろと違いますからね。
 「トルコができたんだから日本もやればいい」て話じゃない*19
 ちなみにトルコの何が問題かというと「アルメニア人虐殺」ですね。アルメニア人虐殺があったことは「歴史学上、否定できない事実」のようですが未だにトルコは公式にはそれを認めてないようです(ウィキペ「アルメニア人虐殺」参照)。でもそれ日本が見習うべき態度じゃないでしょうに。

最近、外務省にも少し、いい動きもある。たとえば、今年7月、ジュネーブの国連で開かれた自由権規約委員会で、外務省の課長が「慰安婦は性奴隷ではない」と明確に宣言した。これは結構なことだ。

 マジで馬鹿な事はやめて欲しいですね。外務省という政府組織がそういうことを国連という公式の場でやるのは、「民間企業の産経が与太飛ばす」のと全然違うわけです。日本の国際的評判がどんどん落ちていく。

山本優美子・なでしこアクション代表】
2016年2月15日から3月4日まで「(注:国連)女子差別撤廃委員会」の対日審査がある。さまざまな女性の人権問題が持ち込まれるが、慰安婦問題が中心となる。

 別に「慰安婦問題は中心ではない」でしょうが、このウヨ連中は「中心にしたい」上にその「中心にすること」とはもちろん「河野談話否定論」のわけです。「国連の場」で「慰安婦は違法じゃない、韓国は嘘つきだ」などと放言し、国際社会に呆れられるという惨状が今から予想されます。幸いなのは「2016年2月」つうことで今から1年後てことですね。今から1年の間には「安倍政権がご臨終になってポスト安倍慰安婦問題で韓国とまともに外交する、もちろん慰安婦違法性否定論なんて論外」となってほしいところです。そうなりゃウヨ連中は「行っても無駄だ」ということで国連には行かないかも知れないし、ウヨ連中が行ってバカ抜かしたところで「今の政権は安倍と違うんだろ。だから、国連で放言してるあんなバカウヨとは今の政権は違うんだろ(国際社会)」ということでウヨ連中と日本が同一視されることもない。

【白石千尋・国際機関職員】
 尖閣・沖縄を中国に支配されると実質的に日本のシーレーンは中国に占領され、本州への攻撃もたやすく日本は中国の属国になりさがるだろう。

 「生協の白石さん」ならぬ「国際機関の白石さん」だそうです(こういうくだらないネタが嫌いな方は拙エントリを読まない方がいいでしょう。がんがんこの種のオヤジギャグを入れますから)。
 ユネスコとかユニセフとか世界銀行とかアムネスティインターナショナルとか具体的に機関名を書かない点が実に怪しいですよね。実は「国際的に活動してる日本の民間右翼団体(もちろん国連や国際的人権NGOとは無関係)」というとんでもない話じゃなのか。
 大体まともな国際機関の職員なら「沖縄を中国に支配されると」なんて非常識なことは言いませんよね。沖縄の中国支配なんてあるわけないでしょう。沖縄には自衛隊や米軍があるわけですからね。それと戦争やらかすことに中国にメリットがあるかと言ったらあるわけないでしょう。そもそも自衛隊や米軍相手に軍事的に勝てるかどうか自体微妙じゃないか。つうか小国である「中国の隣国」ネパールやブータン相手にならたぶん中国も軍事的に勝てるでしょうが勝てても国際社会の非難を浴びるだけでメリットないですからさすがに攻撃なんかしないわけです。
 戦争する場合「軍事的勝敗」だけでなく「政治的勝敗」も大事なわけです。

日本単独だと中国に負ける*20。またロシアも味方につけ日米露で中国に対抗すれば、中国は完全に負けるだろう。

 「国際機関職員」を名乗る人間が、ウクライナ問題での米露対立を知らないんでしょうか。「日米」「日露」*21はともかく「日米露」「米露」なんかないですよ。そして「ウクライナ問題」について中国は「欧米ほどには問題にしておらず、ロシアに好意的」なんだから当面「ロシアの中国封じ込め」なんてことは期待できないでしょうよ(まあ、「米国が企業が多数中国に進出している」米国だって中国牽制、中国批判ならともかくウヨ的な中国封じ込め論、中国打倒論に乗ることはないでしょうが)。

加瀬英明「史実を世界に発信する会」代表、「つくる会」顧問】
 私は漢籍*22に親しんでいたので、中国は邪悪な文明であると信じるようになった。

 別に「中国が綺麗で非の打ち所もない」とは言いませんが「邪悪な文明」て(苦笑)。しかも「漢籍に親しんで」てことですから「漢民族は昔から邪悪だった」とでも言いたいんでしょうね。反共主義(反中国共産党)による反中国じゃないわけで、この理屈なら仮に中国国民党が内戦に勝利した「蒋介石の中国」でも敵視してたんですかね。
 しかし何で「漢籍に親しむと反中国になるのか」。英米文学を読んだら反米になりましたとか、フランス文学を読んだら反フランスになりましたとか、普通ないわけです。訳がわかりません。

1972年に田中角栄*23内閣のもとで日中国交正常化が行われたときは、雑誌上で猛反対した。日本は米国が中国と外交関係を結んだ後で国交回復すればよかったのだ。

 1972年2月のニクソン*24訪中後は「米中国交正常化」は既定路線ですよね(正式な樹立は1979年のカーター*25政権ですが)。まあそれ以前の「中国の国連加盟(1971年10月)」の時点で「米中国交正常化」は時間の問題だったのかも知れませんし。
 水面下の動きはともかく日本で「日中国交正常化の動きが表に出る」のはニクソン訪中後のことで、むしろ日本が「中国の隣国であること」を考えれば遅すぎでしょ。1972年9月に田中内閣が国交樹立にこぎ着けたのは「国交正常化が表に出たのが2月以降」であることを考えれば「ハイスピードの交渉」で何とか遅れを取り戻したって所でしょう。ただその後「日中平和友好条約」が締結されるまでには間が空いて「1978年」になりますけど。
 しかし「米国が国交正常化してから」てのが面白いですね。さすがの加瀬も「米国が国交正常化しても関係ない、台湾(中華民国)と正式国交を続ければいい」とまで言う気はないようです。


■米、キューバと国交正常化交渉 制裁緩和、ハバナに大使館開設を検討 オバマカストロ*26両氏表明へ
http://www.sankei.com/world/news/141218/wor1412180007-n1.html
 びっくりニュースですね。まあ、「いつまでも制裁し続けること」が現実的とは思いませんが、米国はキューバを敵視し長年制裁してきたわけです。この調子だと「米朝国交正常化」「パレスチナ自治政府の国家承認」ももしかしたらあり得るのか。


中南米初の法王、米・キューバを橋渡し
http://www.sankei.com/world/news/141218/wor1412180024-n1.html
 何というか「バチカンてすごいなあ」と思いますね。こういう事ができる宗教家、宗教団体が世界にいくつあるかといったら全然ないでしょう。ダライラマなんかオウム麻原から金もらうようなバカで全然論外だし。これは「米・キューバ友好関係の構築」ということで急遽「ローマ法王ノーベル平和賞の有力候補に浮上」じゃないですかね。カストロ受賞は一党独裁だからちょっと微妙かな。オバマには既に1度あげてるので2度はあげないでしょう。
 まあ、ダライ「ごとき」にノーベル平和賞やるよりはローマ法王の方が受賞者としてマシでしょう。


■【米・キューバ国交正常化】中国ショック隠せず 「良き同志」に裏切られ カストロ前議長に孔子平和賞贈ったのに
http://www.sankei.com/world/news/141218/wor1412180040-n1.html
 アンチ中国の産経らしいですね。まあ事前に相談がなかったのなら「何だよ」と中国も不快に思うかも知れませんが、まあ、それでキューバとの関係が悪化するてこともないでしょう。キューバも別に「中国を切って米国とずぶずぶになる」てこともないでしょうし。


■【米・キューバ国交正常化】マケイン*27議員が猛批判 「独裁者、悪党、敵への融和政策」
http://www.sankei.com/world/news/141218/wor1412180049-n1.html
 オバマ共和党タカ派議員からの批判は覚悟してるでしょう。率直に言ってこの件、「ニクソン訪中」なみの一大外交転換だと思います。
 しかし踏み切ったと言う事は「ニクソン同様」、何とか乗り切れる、むしろ今キューバと国交樹立することは国益になり、民主党の政治的得点になり、自分も歴史に名を残せると判断したのでしょう。そううまくいって欲しいモンですね。そして「北朝鮮との国交正常化」「パレスチナ自治政府の国家承認」の方向にも乗り出してほしいもんです。その場合は「米国の下僕」安倍も「日朝国交正常化」「パレスチナ自治政府の国家承認」に歩む可能性がありますしね。 


■【米・キューバ国交正常化】「輸出が伸びる」米産業界は期待高まる、旅行関連株の上昇も

http://www.sankei.com/world/news/141219/wor1412190036-n1.html
 【ワシントン=小雲規生】オバマ米政権とキューバが国交正常化交渉に乗り出すことを受け、米産業界は歓迎の意向を示している。キューバは米国から目と鼻の先といえるほど距離が近く、観光資源も多い有力市場。農産品の輸出増が期待されているほか、株式市場では旅行関連産業の株価も上昇している。
 「本質的で前向きな一歩だ」。米商工会議所のドナヒュー会頭は交渉開始発表後の声明で、キューバとの国交正常化交渉の開始を手放しで褒めたたえた。会議所は今年初めにも同国に視察団を派遣しており、関係改善に期待を示していた。
 渡航制限が解除されて旅行客が増えるとの見立てから、旅行業界も活気付く。ホテル大手、マリオット・インターナショナルのソレンソン社長は「キューバで開業することを楽しみにしている」と表明。ニューヨーク証券取引所では、キューバ行きの航空便の運航会社やクルーズ船の会社の株価が上昇している。

 つうことで米国財界はオバマの決定を喜んでるようです。まさに「経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直」(Bill_McCreary氏の名言)のわけです。こうした米財界の動向ももちろんオバマの決定の背景でしょう。


■【米・キューバ国交正常化】「オバマは裏切り者だ」リトル・ハバナで渦巻く賛否 若者は90%支持

 78年、財産を捨てて両親と亡命したホセ・グロンリエル弁護士(53)は「フィデルは(イタリアの)ムソリーニ*28の演説内容をまね、(ナチスドイツ宣伝相の)ゲッベルスプロパガンダ法もまねた」とした上で、「コミュニスト共産主義者)、ファシスト、スターリニスト、毛沢東*29主義者…。これを全部併せ持つのがフィデル*30だ」と断罪した。

 亡命キューバタカ派カストロ嫌いて半端じゃないですね。

 こうした反発の一方で、世論調査では国交正常化を望むキューバ系米国人が68%、若者に限れば90%もいる。(注:キューバ政府に批判的な人間が多い)若手共和党支持者の中にも「(注:経済制裁など)鉄拳で抑えこむ時代でない」(32歳の男性住民)と話す者もいた。
 キューバ系米国人団体「キューバ・ナウ」のリック・ヘレロ氏によれば、キューバと米国との間で離ればなれになった親族が2008年までは3年に1度しか会えなかったのに、オバマ政権が09年、渡航や送金に関し制裁を緩和したため、親族間の絆が深まったという。

 この調子で正式国交樹立にこぎつけてほしいですね。


■【日本の議論】「この期に及んで啓発もない」「欲しいのは結果」政府主催の拉致問題啓発コンサートに相次ぐ疑問の声
http://www.sankei.com/premium/news/141218/prm1412180001-n1.html
 まあ産経が荒木ら救う会に調子を合わせてるわけですが本心は「早く制裁を復活しろ」であり、「制裁解除した安倍が許せない、何でもかんでも悪口言ってやる」て話です。「この期に及んで啓発もない」て「今さらかよ」て話です。だったら北朝鮮人権侵害問題啓発週間なんか始めなきゃいい。コンサートにせよ、啓発週間にせよ「第二次安倍政権以前からのこと」なのに今頃批判を始めるなんて実に馬鹿げた話です。
 まあ、個人的には「拉致問題で啓発なんて意味あるのか」とは思いますけどね。
 なお、産経や荒木の言いがかりはともかく一般論で言えば「啓発は大事だが啓発だけでは問題は解決しない」でしょうね。たとえば「過労死をなくそう」「児童虐待をなくそう」「DVをなくそう」「ストーカーをなくそう」とお題目だけ唱えても意味ないわけで「労働時間の短縮を実現するための法整備」「児童相談所の機能強化」「DV防止法、ストーカー規制法の改正」などといった「具体的な対策」も必要なわけです。

*1:ちなみに「外務省改革」なら「必要充分だったかどうかはともかく」、2001年に「外務省機密費流用事件」と言う不祥事(松尾克俊・外務省要人外国訪問支援室長が懲戒免職されると共に詐欺罪で有罪判決。また横領時の事務次官であった斎藤邦彦国際協力事業団(現在の国際協力機構)総裁、林貞行駐英大使、柳井俊二駐米大使、川島裕事務次官がいずれも引責辞任)が発覚したときにやってます。ウヨの言う「外務省改革」とは大分意味が違いますが

*2:南京事件731部隊の細菌戦生体実験、慰安婦など

*3:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相

*4:中曽根内閣科学技術庁長官、宮沢内閣官房長官、村山、小渕、森内閣外相、衆院議長を歴任

*5:池田内閣官房長官、佐藤内閣厚生相、福田内閣農林相、自民党総務会長(大平総裁時代)などを経て首相

*6:あくまでも相対的な意味でですが

*7:産経もこの条項をぽしゃらせることは「1982年からずっと」事実上あきらめてたのでこんな事を言い出したのは第二次安倍内閣誕生後です。「ウヨの春が来た」と思い上がってるらしい。

*8:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官を経て首相

*9:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席などを経て国家主席、党総書記、国家中央軍事委員会主席、党中央軍事委員会主席

*10:満州重工業開発総裁、電源開発総裁などを経て政界に進出。鳩山内閣経済企画庁長官、岸内閣通産相科学技術庁長官を歴任

*11:池田内閣厚生相、大平内閣法相を歴任

*12:いわゆる特定失踪者て奴です。

*13:藤岡のこと

*14:慰安婦問題に取り組んだ市民活動家・弁護士の一人である高木健一氏のこと。高木氏の著書として『従軍慰安婦と戦後補償:日本の戦後責任』(1992年、三一書房)、『今なぜ戦後補償か』(2001年、講談社現代新書)など

*15:第二次安倍内閣行革担当相、自民党政務調査会長(第二次安倍総裁時代)を歴任

*16:ちなみに当時は橋本内閣

*17:著書『従軍慰安婦』(1995年、岩波新書)、『日本軍「慰安婦」制度とは何か』(2010年、岩波ブックレット)など

*18:吉見『従軍慰安婦』(1995年、岩波新書)の英訳のようです。

*19:たとえばトルコの無法がまかり通る理由の一つは「アルメニアの国力がトルコに比べて弱いこと」でしょう。「中国に憎まれてまでチベット支援なんかできねえよ」的な「トルコに憎まれてまでアルメニア(以下略)」といった話です。一方日本が歴史問題でもめてる中国、韓国は「世界を代表する経済大国」のわけです。アルメニアみたいな小国と全然違う。

*20:ウヨの集会でこういう事言って「敗北主義だ!」とか非難されないんでしょうか?

*21:まあ、「日米」「日露」の場合でも「米露とも連合国」なんですから「戦前日本は正しい」なんてウヨ主張に乗ることはないですが。また両国とも中国と経済的つながりがあるんだから「ウヨ的な中国封じ込め論」にのることもないでしょう。

*22:孔子論語」、司馬遷史記」、「老子」「荘子」など中国の古典のこと

*23:岸内閣郵政相、自民党政務調査会長(池田総裁時代)、池田内閣蔵相、自民党幹事長(佐藤総裁時代)、佐藤内閣通産相などを経て首相

*24:アイゼンハワー政権副大統領を経て大統領

*25:ジョージア州知事を経て大統領。2002年ノーベル平和賞受賞者

*26:兄のフィデル(現在公職を引退)ではなく弟のラウルの方。ラウル氏は現在、キューバ国家評議会議長国家元首)、首相、キューバ革命軍最高司令官、キューバ共産党第一書記

*27:共和党上院議員、2008年大統領選の共和党候補

*28:イタリア首相、ファシスト党統領

*29:中国共産党主席

*30:キューバ首相、キューバ共産党第一書記。ただし現在は全ての公職を辞任。弟のラウル氏が首相、共産党第一書記をつとめている。