今日の産経ニュース(6/27分)(追記・訂正あり)

■【iRONNA】翁長知事は沖縄をどの方向へ引っ張っていくのか
http://www.sankei.com/premium/news/150627/prm1506270020-n1.html

 辺野古移設の頓挫が、(注:中国による)尖閣を含む八重山侵攻の「ゴーサイン」になりかねない。

 意味不明ですね。頓挫つう事は「現状維持」つうことなのに何で侵攻するのか。大体沖縄本島ならまだしも八重山なんて侵攻する利益があるのか(いや本島だってないでしょうけどね)。

 反基地派に「尖閣防衛のために辺野古移設は重要だ」と言うと「米国が尖閣のために中国と戦争するはずがない。米軍は尖閣を守らない」と反論される。
 しかしポイントは、尖閣有事で米軍が動くかどうかより、尖閣に対する中国の野心を事前に挫き、尖閣有事を阻止できるかどうかにある。

 さすがの産経も「尖閣有事で沖縄の米軍が出撃する」とは言えないらしく、「出撃しなくても米軍の存在自体が抑止力なんだ」と無理な強弁をしています。まあ、それはともかく産経ですら「それなりにまともな人間」は「沖縄米軍は尖閣防衛のためにある」なんて言えないわけです。

 4月に沖縄を訪れた菅義偉官房長官に対して「辺野古移設の代替案を持っているのかという話をされること自体が政治の堕落だ」と主張したのだ。これでは、辺野古移設さえ阻止すれば「あとは野となれ山となれ」が知事の真意だと指摘されても仕方がない。

 対案て翁長知事に何をして欲しいのか。彼は「とにかく県外に移設してくれ」と言ってるんだから対案を出すべきは政府でしょう。何で翁長知事が「県外移設の候補地」なんか提出しないと行けないのか。


スリランカ議会解散、総選挙は8月中旬 復権狙うラジャパクサ*1前大統領 脱中国依存が焦点に
http://www.sankei.com/world/news/150627/wor1506270046-n1.html

 【ニューデリー=岩田智雄】スリランカのシリセナ大統領は26日夜、議会(1院制、定数225)を解散した。総選挙は8月17日に行われ、新議会は9月1日に招集される。
 前政権で保健相だったシリセナ氏は今年1月の大統領選で造反し、ラジャパクサ大統領を小差で破った。シリセナ氏が、所属政党のスリランカ自由党(SLFP)党首、ラジャパクサ氏が顧問となり、分裂状態の党は議会野党の立場を取っている。
 議会は、ウィクラマシンハ首相率いる統一国民党(UNP)中心の少数連立与党となっており、シリセナ氏は与党過半数を目指し、解散に踏み切った。
 ラジャパクサ氏は復権に向け、出馬を模索しているとされ、ラジャパクサ派が勝利すれば、脱中国依存・バランス外交を進めるシリセナ氏は、さらに難しい政権運営を強いられそうだ。

 まーたよく分かりにくい文章ですが、「SLFP」は「シリセナ派」と「ラジャパクサ派」に別れた分裂選挙となり、シリセナ派はUNPと共闘すると言う事でしょうか。
 UNP支持者なら「迷わずUNP支持」で気が楽ですが、SLFP支持だと訳がわからない。
 「シリセナ(親UNP)か、ラジャパクサ(反UNP)かどっちかが党から出て行けよ。維新の党のごたごた(橋下が安倍に媚び、松野が細野に媚びる)より、たち悪いじゃん」「ええと、うちの選挙区のSLFP候補者はどっちの派なの?」「つうかさ、俺がシリセナ派(ラジャパクサ派)に投票しても、選挙結果後の党内抗争でラジャパクサ(シリセナ)が勝てば、俺の投票結果、全く無意味になる危険性があるんじゃね?」ということで投票意欲が大いにそがれるんじゃないか。とはいえラジャパクサ派なら「涙をのんでSLFP一択」でしょうが、シリセナ派では「UNPにしようかどうしようか」「SLFPに投票して結局ラジャパクサを利する危険性を犯したくないけど、でもUNPにしたらシリセナの政治力がしぼむ危険性があるし。シリセナも自分から離党するなり、ラジャパクサを党から追い出すなりしてくれないもんかね。そうすりゃ助かるのに」と最後までもやもやでしょう。
 まあ、与党がそれなりに支持されてるんであれば、UNPにとってはこの選挙、御の字でしょう(自ら解散もするわけですし)。
 弱るのは繰り返しますが「党が分裂状態になってるSLFP」のほうです。産経としては「ラジャパクサは親中国、シリセナは反中国」との理解の元、「シリセナ勝利」を願ってるようですがはたしてどうなるか。
 そもそも「選挙の争点は何なの?」て話もあります。産経は勝手に「争点は中国への態度」と決めつけ「シリセナが勝てば脱中国が進みラジャパクサが勝てば中国依存に戻る」と言いたげですが果たして本当にそうなのか?
 それに「脱中国」といったところで「ニュアンスの違い程度」の話であって、シリセナ政権だってさすがに産経ほどには中国を敵視はしてないでしょう。


■【一筆多論】スー・チー氏は「リアリスト」か 宇都宮尚志
http://www.sankei.com/column/news/150627/clm1506270008-n1.html
 利権目当てにミャンマー軍政と日本政府がずぶずぶだったときは「スーチーは理想主義過ぎる、現実的でない」と非難していた産経が「スーチー氏が訪中し習主席と友好アピールする」やいなや、反中国の立場から「理想を忘れたのか」と言い出すんだから呆れて物も言えません。
 「スーチー支持者の中国批判者」ならまだしも「アンチ・スーチーの軍政支持者」産経にそんな事言う資格がどこにあるのか。
 基本的にスーチーは「ミャンマー民主化を目指す人」であってそれ以上でもそれ以下でもないでしょう。別に「中国の民主化」を目指してるわけでも「世界の民主化」を目指してるわけでもない。
 そう言う意味では彼女は最初からリアリストでしょう。未だに軍部の力は侮れないし、彼女はまだ「最大野党党首」にすぎない。大統領や首相、国会議長などといった権力者になったわけでは全くない。中国との貿易で飯を食ってるミャンマー人も勿論たくさんいる。この状況でスーチーに中国批判を要求するなんて無茶というもんでしょう。要求するならスーチーより立場の強い「G7首脳」にでも要求したらどうなのか。
 スーチーからすれば中国を敵に回すのは得策ではない。一方中国も「近々政権奪取の可能性がある」スーチーが接近してくるなら願ったりかなったりです。
 欧米の圧力もあってミャンマー現政権は中国から距離を置きつつあるようですし、「習主席に会いたい」というスーチーを無視する動機は中国にはないわけです。


井伊直弼は“悪役”か、それとも…生誕200年に政治に果たした役割を検証
http://www.sankei.com/west/news/150627/wst1506270022-n1.html
 まあ「井伊に弾圧された側(死刑になった吉田松陰橋本左内など)」「井伊を暗殺した側(桜田門外の変の水戸浪士)」から見れば悪人でしょう。
 ただし「彼の開国という政治決定を評価すれば*2」、単純に「反対派を粛清したから悪だ」とも言えない。大体、当時は今と違って民主主義の時代でもないし、反井伊派が別に民主主義的なわけでもない。
 まあ、「彦根城博物館主催の公開講座」て時点で「単純な悪役としての説明がされないこと」は明白ですけど(井伊は彦根藩主)。

*1:首相、大統領などを歴任

*2:まあたいていの人は評価するでしょうが