今日の産経ニュース(10/4分)(追記・訂正あり)

朝鮮労働党創建70年、中国序列5位*1訪朝へ 金正恩氏と会談か
http://www.sankei.com/world/news/151004/wor1510040043-n1.html
 個人的には

・1972年5月より延辺大学*2朝鮮語学部朝鮮語専攻で学ぶ。
・1978年8月から2年間、北朝鮮金日成総合大学経済学部に留学。
・1983年3月、吉林省*3延辺朝鮮族自治州党委員会常務委員(延吉市*4党委員会副書記兼務)に就任。
・1985年4月、吉林省延辺朝鮮族自治州党委員会副書記に就任。
・1990年3月、江沢民・党総書記(当時)の就任後初の外遊となった北朝鮮訪問に随行
・1990年10月、吉林省党委員会副書記(吉林省延辺朝鮮族自治州党委員会書記兼務)に就任。
・1995年6月、吉林省党委員会書記に就任(ウィキペ「張徳江」参照)

という「まさに北朝鮮問題のエキスパートとしてキャリアを積んできた」張徳江全国人民代表大会常務委員長(習*5総書記、李*6首相の次の序列3位)が訪朝しないのは何故なのかなと思いました。
 「序列三位だと地位が高すぎて金第一書記と釣り合いがとれない」つうことなんでしょうか。
 まあ、「序列5位だってそれなりの地位」ですし、「ウヨ曰くモンゴルと北朝鮮の関係は深い」そうですから「内モンゴル自治区幹部としてキャリアを積んできた」劉雲山氏の訪朝にはそれなりの合理性はあるのかも知れませんが。

参考
■人民日報『朝鮮労働党成立70周年 習近平総書記が金正恩第1書記に祝電』
http://j.people.com.cn/n/2015/1010/c94474-8960115.html
 微妙な関係にはあっても対立関係になど勿論ないわけです。


尹炳世外相、慰安婦で譲歩要求 日韓首脳会談前に神経戦
http://www.sankei.com/world/news/151004/wor1510040042-n1.html
 これが「共同通信の配信であること」に心底呆れます(産経については今さら言うまでもない)。共同通信にとって慰安婦問題とは「人権問題」ではなく「単に韓国との外交的勝負の問題でしかない」ようです。そう言う「げすな本音」を出すことに何一つ躊躇が見られない。
 慰安婦は「一番数が多いのは朝鮮半島の女性」とはいえ「フィリピンやインドネシアなど朝鮮半島以外にも慰安婦はいた」という配慮は何一つないようです。


バングラ邦人殺害でイスラム国関連組織が犯行声明、政府は否定
http://www.sankei.com/world/news/151004/wor1510040031-n1.html
 まあ現時点では何とも言えません。ただあまりにも早い「バングラデシュ政府のIS犯行説否定」には「ろくに根拠もないのにバングラデシュ観光客の減少とか危惧して否定したのと違うのか」という疑念を感じます。


スリランカ首相、日本の安保法制を支持 中国の海洋攻勢には「航行の自由」強調
http://www.sankei.com/world/news/151004/wor1510040032-n1.html
 産経記事を信じれば「産経との単独会見」だそうです。この時点で「ああ、リップサービス*7」ですね。まあ、「全くの虚言」つうわけでもないでしょうが、向こうも「産経がどんな新聞か」は知ってるでしょう。にもかかわらず「産経以外にも朝日、読売、毎日、日経、NHK、日テレ、TBS、フジ、テレ朝、テレ東、共同通信時事通信など主要な日本メディアを呼んでの一般的な記者会見」ではなく、わざわざ産経と「単独会見してやった」。
 これは「安倍へのご機嫌取り」としか理解できないでしょう。困るのは「安倍や産経が本気にする危険性大」ということです。安倍の祖父・岸だと「スリランカの態度を本心であるかのように大宣伝し自己正当化*8しながら、実際にはそうでないと見切って冷静な対応をする」つう対応が期待できます。
 しかし、安倍だと「スリランカが中国封じ込めに協力してくれるらしい」と勘違いしたあげく「とんでもない方向に突進して収拾つかなくなる危険性大」でしょう。本当にとんでもない男が首相になってしまったもんです。


インドネシア高速鉄道の受注失敗 中国攻勢…日本に油断 インフラ輸出戦略に影響も
http://www.sankei.com/politics/news/151004/plt1510040006-n1.html

インドネシア政府に迎合した中国
・なりふり構わぬ攻勢で売り込みをかけた中国
・実現性を度外視してまでも受注にこぎ着けようとする、あこぎな中国ビジネス

 産経の「中国敵視がよく分かる部分」だけ引用してみました。「どこの右翼機関紙ですか?」と聞きたくなるほどの異常なまでの中国敵視です。


■【八重山日報記者の知事同行記(上)】飛び交う「併合」「植民地」「先住民」 国連人権理事会で基地問題の違和感 
http://www.sankei.com/politics/news/151004/plt1510040014-n1.html

 沖縄県翁長雄志*9知事は9月21日(日本時間22日)、スイス・ジュネーブで開かれた国連人権理事会で演説し、安倍晋三政権が進める米軍普天間飛行場宜野湾市)の名護市辺野古移設について「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされている」「あらゆる手段を使って新基地建設を止める」と訴えた。「自己決定権」という言葉は反基地派やマスコミによって「沖縄独立論」の根拠として使われることが多く、議論を呼ぶことは必至だ。

 言いがかりも大概にしろと言う話です。翁長知事において「自己決定権」が「地方自治」と同趣旨でしかないこと、「沖縄独立を意味しないこと」は明白でしょう。

「沖縄はかつて独立国として、営々とやってきた」
 演説直前、同じ国連ビル内で「沖縄の軍事化と人権侵害」をテーマにしたシンポジウムが開かれた。出席した翁長知事は、辺野古反対の訴えに沖縄の歴史を絡めた。
 「日本の一部になったあと、県民は独自の言語を禁止されたが、より良い日本人になろうと一生懸命、日本語を勉強した。沖縄戦では10万人以上の県民が死亡し、独自の言語を使っているために日本軍からスパイ扱いされたりした」

 「沖縄は過去独立国だった」というのは事実であり、問題はどういう文脈で翁長知事がそう言ってるかでしょう。それが「沖縄独立論を意味しないこと」は明白でしょう。翁長知事にとって、こうした事実の指摘は「沖縄県民は歴史的経緯から中央政府に対し複雑な感情を持っているが、そう言う感情にまるで配慮せず、強圧的態度で沖縄に対応する安倍政権には不信感を感じる」という話に過ぎません。

沖縄が国の安全保障政策に抵抗し、他の都道府県に認められない「自己決定権」を主張できるという理論的根拠

 翁長知事はそんな事は何一つ言っていません。つうか「国の安保政策を批判した人間」は何も翁長知事だけではなくたとえば山口県*10岩国市の井原勝介市長(当時)などもそうです。もちろん井原市長が「抵抗の根拠にした」のも「翁長知事の言う自己決定権=地方自治の精神」です。「井原市長のような人間の存在」を無視して「他の県には認められない沖縄独自の権利」だの「理論的根拠は沖縄が独立国だったこと」だのデマも大概にしろという話です。

ロバート・エルドリッジ氏*11政治学博士)は、知事が主張する「自己決定権」について「日本は連邦制ではなく、民主主義国家の概念を否定するものだ」と批判する。

 翁長知事の言ってることは「地方が国の言いなりにならなければいけないのなら戦前の官選知事と変わらないではないか、何のための民選知事なのか」つう話であり連邦制がどうとか言う話じゃありません。
 つうか「連邦制=民主主義国家の概念を否定するものだ」つうのもすごすぎますが。産経の要約がおかしいのでなければエルドリッジ氏の頭がおかしいのでしょう。


■【八重山日報記者の知事同行記(中)】「翁長知事の国連演説は国内向け宣伝」 名護市民らが反論・修正、極秘にスイス派遣団編成
http://www.sankei.com/politics/news/151004/plt1510040016-n1.html
 稲嶺進*12・名護市長(普天間基地辺野古移設に翁長知事同様反対)ら名護市関係者でない点に注意しましょう。
 要するに「名護市の自民党シンパ*13」が宣伝に行ったに過ぎないわけです。名護市民代表でも何でもない。
 「辺野古移設反対」の稲嶺氏が当選したことで分かるように名護市の民意は到底「辺野古移設支持」とは言えないでしょう。どう「安倍政権に好意的に見ても」、たとえどんなに「移設賛成派と反対派の差」が僅差であっても名護市の民意の多数派は辺野古移設反対のわけです。

国連のシステム上、両者の発言に軽重の差はない。

 ただし普通に考えて「県知事」と「ただの一私人」の発言を同列に扱ったりはしないでしょう。


■【八重山日報記者の知事同行記(下)】尖閣問題を避け続ける翁長知事 八重山住民に広がる憤りと危機感
http://www.sankei.com/politics/news/151004/plt1510040019-n1.html
 そもそも沖縄米軍基地は「尖閣防衛のためにあるわけではない」。
 また翁長知事が下手に尖閣がどうこう言うことは「沖縄県への中国人観光客の減少」をもたらしかねません。
 また外交問題である尖閣問題で「県知事にできることは基本的に何もない」でしょう。

尖閣日米安保が適用されることはオバマ米大統領が明言。

 しつこく安倍が「適用されるのか」と聞くので「日本の支配地域には及ぶ」と遠回しに答えたに過ぎません。本気で尖閣のために米軍を出そうなんて考えてはいないでしょう。米国が何かやるとしたら「尖閣有事を起こさないための日中両国への牽制」でしょう。尖閣有事がなければ米軍が出撃する必要もないわけです。
 おそらくそんな事は産経らウヨも分かってるわけです。

「万が一、小競り合いが起きたら、石垣市に来ている100万人の観光客は10万人に減ると思う」と指摘。

 つまり知事は「尖閣有事の時に米軍が必要と言うが尖閣有事なんか起こしちゃいけないんだ。起こったら沖縄経済が大ダメージだ」「日中両国政府にはそう言う意味で平和的対応をお願いしたい」と言ったに過ぎないのですがそれを

尖閣問題で中国に毅然とした態度を求める八重山*14住民に対し「平和」を最優先して騒ぎ立てないよう暗に求めたとも受け取れる

と曲解するのだから産経一味はどうしようもないバカです。

太平洋進出を国是とする中国が、戦略的にも重要な位置にある尖閣の奪取を断念する可能性は低い。

 バカバカしい。尖閣をどう奪取すると言うんでしょうか。中国が軍事力行使なんかしたら「外資(特に日系資本)が中国から逃げ出しかねない」「欧米が経済制裁しかねない」と言う意味で中国にとって大ダメージになる危険性大でしょう。まあ、そんな事はウヨ連中もよく分かった上での故意のデマ垂れ流しでしょうが。


■【ラグビーW杯】対サモア戦勝利 「日本チームは進化している」 響き渡る「ニッポン」コール
http://www.sankei.com/sports/news/151004/spo1510040009-n1.html
 以前、カーラジオを聞いていたらスポーツライターの某氏(名前は忘れました)が
スコットランドには負けたが次のサモア戦には勝ってほしい」
サモアは勿論弱くはないです。しかし南アフリカスコットランドよりは格下だし、『私の願望も勿論ありますが』南アフリカに勝った日本なら勝機は充分あると思います。」
と言っていて「ホンマかいな?」と思ってましたが「ホンマ」だったわけです。「日本が今後どれだけ勝ち数を増やせるかはともかく」やはり「日本は強くなった」のでしょう。

*1:劉雲山・党中央書記処常務書記(党中央精神文明建設指導委員会主任、中央党校校長兼務)のこと。内モンゴル自治区で「中国共産主義青年団共青団内モンゴル自治区委員会副書記、内モンゴル自治区党委員会宣伝部副部長、内モンゴル自治区党委員会常務委員(宣伝部長兼務)、内モンゴル自治区党委員会常務委員(秘書長兼務)、内モンゴル自治区党委員会常務委員(赤峰市党委員会書記兼務)、内モンゴル自治区党委員会副書記(赤峰市党委員会書記兼務)」とキャリアを積んできた内モンゴルのエキスパート(ウィキペ「劉雲山」参照)。

*2:吉林省延辺朝鮮族自治州延吉市に所在する省立総合大学

*3:北朝鮮に隣接している

*4:延辺朝鮮族自治州の州都

*5:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て現在、国家主席、党総書記、国家中央軍事委員会主席、党中央軍事委員会主席

*6:河南省長・党委員会書記、遼寧省党委員会書記、副首相などを経て首相

*7:そう言うリップサービスの是非はひとまずおきます。俺個人としては「安倍が勘違いしてバカやりかねない」と言う意味でこういうリップサービスは大変迷惑だと思いますが。

*8:もちろんそれは「詐欺的政治行為」と言う意味では問題ですが

*9:那覇市議、沖縄県議、那覇市長を経て県知事

*10:当初愚かにも「広島県」と誤記していたので修正しました。

*11:著書『沖縄問題の起源:戦後日米関係における沖縄(1945〜1952)』(2003年、名古屋大学出版会)、『奄美返還と日米関係:戦後アメリカの奄美・沖縄占領とアジア戦略』(2003年、南方新社)、『硫黄島・小笠原をめぐる日米関係』(2008年、南方新社

*12:名護市総務部長、収入役、教育長などを経て名護市長。

*13:それにしても「名護市議などの公人でない人間」を送り込むんですから唖然です。外国人は「何でこんな一般人が来たのだ」とびっくりでしょう。

*14:八重山諸島のこと。行政区域としては石垣市竹富町与那国町