今日の産経ニュースほか(9/23分)(追記・訂正あり)

■英蔵相が新疆訪問 中国傾斜に物議
http://www.sankei.com/world/news/150923/wor1509230060-n1.html

 英国のオズボーン財務相(44歳)は23日、中国西部の新疆ウイグル自治区を訪問し、中国に歩み寄る姿勢を示した。劣悪な人権状況などの問題がある同自治区への欧米政府代表団の訪問は異例。次期英首相の座を狙う財務相が経済大国・中国への接近を図った形で、中国による「踏み絵」(英紙)との見方も出るなど物議を醸している。
 中国の習近平*1国家主席が来月、英国を初訪問するのを前に訪中したオズボーン氏は英BBC放送に対し、英国の貿易相手としては6〜7番目に位置する中国について、10年間で2位に引き上げると目標を述べた。
 また、北京では21日、「中国が英国で原子力発電所を建設し、所有することは可能だ」と述べ、国外からは投資だけに限られている原子力発電の分野に加え、日本とも競合する高速鉄道建設でも中国の参加に期待する意向を表明した。
 中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加をいち早く表明したオズボーン氏は、ロンドンの金融センター・シティーと、中国の上海や香港とを結んで金融市場を拡大する構想を描く。

 id:Bill_McCrearyさんのシリーズ記事
■『経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ』
http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/1a7187cdeada28ece24c5aec214d9449
■『「経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ」の実例(追記あり*2
http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/0923078995318b8a865f3339b5611701
■『「経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ」の実例(オランダ編)』
http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/95e7a684b7d1071f8928da30055f93b5
■『「経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ」の実例(日本の自治体編)』
http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/dac834e188396517b2a5114aa83a363e
に新たに
■『「経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ」の実例(英国・オズボーン財務相編)』
として書いて欲しいネタですね。勿論冗談ですけど(苦笑)。
 それはともかく反中国の産経としてこういうニュースには非常に敏感にならざるを得ないわけです。
 「オズボーンの野郎、中国に媚びるなんてふざけやがって」「こんな奴が次期英国首相有力候補の一人なんて冗談じゃない」位に思ってるのでしょう。
■『「経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ」の実例(追記あり)』
http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/0923078995318b8a865f3339b5611701
について、「ノルウェーに霞を食えとは言えない」という迷言(?)を吐いたid:Mukkeさんには「オズボーン財務相閣下の言動*3」をどう思うのか聞きたいところです。
 「ノルウェーに霞を食えとは言えない」発言に続く「英国に霞を食えとは言えない」という迷言(?)が誕生するのでしょうか?。
 なお、他にも英中関係についての最近のニュースをいくつか紹介してみましょう。

http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2015092477278
東亜日報アヘン戦争から137年、英中の立場逆転』
「英国は、中国の黄金期に最高の西側パートナーになる」
 20日から中国を訪問している英国のジョージ・オズボーン財務長官が連日、中国に求愛信号を送っている。
 オズボーン長官は22日、上海証券取引所を訪れ、「中国証券市場の暴落が他の金融市場に及ぼした波及効果は相対的に制限的だったというのが、我々の評価だ」と述べ、中国政府の対応を擁護した。そして、「中国企業がロンドンに上場されるのを見たい」とし、ロンドンと上海証券市場を連携させる考えも明らかにした。これを受け、中国人民銀行は、ロンドン金融市場で人民元建て短期債券を発行する計画を明らかにした。
 これに先立ち、オズボーン長官は前日、北京での中国との共同記者会見で、中国企業による英国内の原発建設プロジェクトの投資を発表した。この計画によると、英国のヒンクリー・ポイント原発建設プロジェクトの費用245億ポンド(約44兆7583億ウォン)のうち3分の2以上を中国の原子力企業、中国広核集団(CGN)と中国核工業集団(CNNC)が投資する計画だ。
 オズボーン長官は今回の訪中期間、東シナ海での中国の軍事活動や香港の民主化デモ、ダライ・ラマ、サイバーハッキング、人権弾圧など敏感な問題について発言を控えている。
 英国は今年4月、西洋国家としては初めて中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を宣言した。

http://jp.reuters.com/article/2015/09/21/china-britain-idJPL4N11R3SR20150921
■ロイター『英中、連携強化へ 証取相互取引・原発などのイニシアチブで一致』
 5日間の日程で中国訪問中のオズボーン英財務相は21日、通貨スワップ協定の拡充や中国による英国内の原発への投資、ロンドン証券取引所と上海証取の相互取引の実現可能性調査の実施などで、両国が一連のイニシアチブをとっていく方針で一致したと発表した。
 オズボーン財務相は、英国が西側諸国の中で、中国政府の「最高のパートナー国」になると言明した。
 最近の中国金融市場における混乱は、英国が中国との連携を深化しない根拠とはならないとも指摘した。
 同財務相は、中国からの英国への投資拡大を望んでいるとし、ロンドンと上海証取の相互取引実現は長期的に英国への利益になると語った。

http://www.asahi.com/articles/ASH9Q51M6H9QUHBI00P.html
朝日新聞『ロンドン・上海の相互株式投資の仕組み検討 英中が合意』
 英国と中国は21日、ロンドンと上海の両証券取引所を結び、相互に株式投資できる仕組みを検討することで合意した。実現すれば、中国市場に国外から直接投資する道が開かれる一方、ロンドン市場は中国国外での人民元取引の中心としての地位が高まる。
 北京で21日、オズボーン英財務相と中国の馬凱(マーカイ)*4副首相らが今後の経済協力について会談。相互投資について「実現可能性を検討することを支持する」とした。昨年から上海・香港両市場を結んで始まった、双方の投資家が相手市場の株を一定額購入できる仕組みを参考にすると見られる。
 英国は今春、欧州主要国の中でいち早く、中国の提唱するアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を表明。ロンドン市場ではポンドと人民元の直接交換などが始まっており、中国との良好な関係を背景に、他国に先駆けて様々な取引を呼び込みたい考えだ。

【9/25、26追記】
【その1】
朝日新聞『「ブルカは過激な服装」 新疆の幹部、禁止規定認める』
http://www.asahi.com/articles/ASH9S5QN3H9SUHBI01S.html

 中国・新疆ウイグル自治区の幹部は24日、一部のイスラム教徒の女性が頭からすっぽりとかぶり、顔全体を覆い隠す衣装(ブルカ)について、公共の場所などでの着用を禁じていることを認めたうえで、「少数民族の伝統衣装でなく、イスラム教徒やアラブ国家の服装でもない。まったくの過激な服装だ」と述べた。
 中国政府は同日、今年で成立60年を迎える同自治区の発展状況などを記した白書を発表。これに合わせ、幹部が北京で記者会見した。同幹部は「ブルカをかぶった男性が子どもを誘拐する問題がある」とし、「こんな服を着れば遅れた民族になる。受け入れられない」などと語った。

 ウイグルネタ関係の追記です。I濱女史などは「朝日は中国びいきだ」と言いたがりますがそんな事はないことがよく分かるニュースです(この記事は前後の文脈から見て中国に対する批判記事でしょう)。
 まあ、それはともかく

「ブルカをかぶった男性が子どもを誘拐する問題がある」
「こんな服を着れば遅れた民族になる*5

つうのは一つの考えとして「ありうる」と思いますが

少数民族の伝統衣装でなく、イスラム教徒やアラブ国家の服装でもない。まったくの過激な服装だ」

つうのは本当にこういう発言をしたのだとすればちょっと無茶でしょう。いわゆるブルカは「イスラム教徒やアラブ国家の服装」じゃないんですかね。そしてまあ、「過激テロリストの犯罪を抑え込むための一時的なやむを得ない措置」としてこれを認めるにしてもあくまでも「一時的措置」として早急に解除すべきでしょうね。現地民の反発もそうですが、イスラム国、アラブ国家の反発が危惧されますからね。
 「遅れた服装」だとしても「むき出しの力で撲滅する」のはできる限り避けるべきでしょう。あくまでも説得による廃止が原則であるべきです。

【その2】
 なぜ、オズボーン財務相ウイグルへ行ったかといえば「今年が新疆ウイグル自治区誕生(1955年)から60年目の記念すべき年だから」でしょう。
 人民日報の関連記事を紹介しておきます。
新疆ウイグル自治区成立60周年・記念サイト
http://j.people.com.cn/94475/310973/311980/
■自家製ナンに「メッセージ」でお祝い、新疆ウイグル自治区成立60周年 
http://j.people.com.cn/n/2015/0915/c94659-8949835.html
新疆ウイグル自治区、美しい花で自治区成立60周年を迎える
http://j.people.com.cn/n/2015/0918/c94475-8951835.html
■海外メディア、美を誇る新疆を視察
http://j.people.com.cn/n/2015/0918/c94475-8951979.html
新疆ウイグル自治区成立60周年展、北京で開幕
http://j.people.com.cn/n/2015/0921/c94475-8952842.html
■国内外の観光客が新疆成立60周年を祝福、新疆の観光地、連休中に観光客が押し寄せる
http://j.people.com.cn/n/2015/0923/c94475-8954163.html
新疆ウイグル自治区成立60周年記念活動 日程表が発表
http://j.people.com.cn/n/2015/0925/c94475-8955304.html
■国務院、新疆の発展に関する2万字の白書を発表
http://j.people.com.cn/n/2015/0925/c94475-8955311.html
■科学技術の革新、新疆の飛躍的な発展を促進
http://j.people.com.cn/n/2015/0925/c95952-8955435.html
■<企画>科学技術が支えた新疆成立60年の発展
http://j.people.com.cn/n/2015/0928/c95952-8956338.html
■新疆各族各界が自治区成立60周年を慶祝
http://j.people.com.cn/n/2015/1002/c94474-8958085.html


■「労働者として認めろ!」 韓国で売春禁止法廃止求める集会
http://www.sankei.com/world/news/150923/wor1509230054-n1.html
 興味深い話ですが「労働者としての売春労働、公明正大でクリーンな売春労働なんてもんが本当に可能なのか?」と言う意味では「うーん?」というところですね。アムネスティなどはこの運動を支持してるようですので簡単に「くだらない」と斬って捨てるのもどうかと思いますが、手放しで支持するのもやはり躊躇します。
 ちなみにお断りしておきますがこれは「自由売春という前提での話」なのでこんな事を理由に慰安婦を正当化出来ないのは言うまでもありません。
 なお、集会の写真が「サングラスに帽子、マスクだらけ」というのは異様な雰囲気ですが、まあ「顔バレしたくない」なんてのは日本の風俗業も同じですから仕方ないんでしょう。


■【習近平氏訪米】「米中関係を正しい方向に」 経済カードで米に揺さぶり
http://www.sankei.com/world/news/150923/wor1509230052-n1.html
■【習近平氏訪米】規制緩和で米企業に対中投資呼びかけ、経済界の取り込み図る
http://www.sankei.com/world/news/150924/wor1509240051-n1.html
 タイトルからして産経らしい反中国がにじみ出ています。

http://www.sankei.com/world/news/150923/wor1509230052-n1.html
 中国からは企業家を含めて千人規模の代表団が訪米した。習氏はシアトルで航空機大手ボーイング社の工場を訪ねるとともに、訪問に合わせて同社の大型機30機の調達契約をまとめた。
 マイクロソフト、グーグルなど米IT企業のトップを集めた会合にも出席

つうのは単に経済外交でしょう。まあ、「経済カード」で米国の人権批判を交わしたいと言う思惑が「全くない」とは思いませんが、一義的には「経済外交」でしょう。


■日米印が初の外相会談開催へ 中国への新たな牽制に
http://www.sankei.com/world/news/150923/wor1509230049-n1.html
 毎度毎度こういう馬鹿な事を言うのも大概にして欲しいですね。米国はどうか知りませんがインドは「中国封じ込め」なんてやばい話に乗る気はないんじゃないか。そして日本は「中国の隣国」なのにこういう反中国対応していていいんですかね。


■【湯浅博の世界読解】中国が民主党など日本国内の安保反対勢力に期待するのはなぜか
http://www.sankei.com/world/news/150923/wor1509230023-n1.html
 自分に意見が近ければ好意的評価するのは「中国に限らず」ごく自然でしょう。一方民主党など反対派の意見は「中国と共通するところ」もあるでしょうが、当然ながらイコールではないし、もちろん中国の意向に従っているわけでもない。
 まあ産経はいつもながら民主党などを「中国の手先認定」するわけですがその産経の態度だと「安保法案は米国が支持してる→安倍政権は米国の手先」となることはもちろん産経は当然の如く無視します。

 中国外務省の洪磊報道官の談話は、「日本は専守防衛政策と戦後の平和発展の歩みを放棄するのかとの疑念を国際社会に生じさせた」とまあ、苦しげな批判だった。中国自身は、専守防衛どころか大規模攻撃体系だから、大きなことは言えない。

 ばかばかしい。中国も(と言うか中国に限らず世界の国すべてがそうですが)「日本のように明文で専守防衛憲法に記述するかどうか*6」はともかく、「建前は専守防衛」なんですが。
 そして中国てぶっちゃけ「大規模攻撃」なんてしてましたっけ?。南シナ海の領土紛争なんて大規模攻撃つうほどの話じゃないでしょうに。それ以前だって「大躍進や文革のごたごた」「文革終了後の経済立て直し」とかでとても大規模な対外軍事行動やれる状況じゃなかったと思うんですが。
 朝鮮戦争参戦は「ソ連の要請」と言う面が大きいし、それ以外の中国の軍事紛争ってほとんど国境紛争(対ソ連、対インド)だと思いますが。
 なお、現時点で中国が「ある程度批判を抑制的にした」理由の一つは現時点では安保法が発動されてないからでしょう。発動され、それが問題だと思えば、おそらく相当激烈な批判になるんじゃないか。

 あの天安門広場で見せたのは、米空母を標的にする*7“空母キラー”の対艦弾道ミサイル「東風21D」や、グアム島を狙う“グアム・キラー”の「東風26」だった。米有力研究所AEIのブルーメンソール研究員は、米外交誌で「ハワイへの奇襲攻撃もできるといわんばかりだ」と警戒感を示した。

 ばかばかしい。AEIなんて確かネオコン系じゃないですか。まともな人間ならいかに中国の軍事力整備に「過剰な軍拡ではないか」と批判的でも「中国はハワイへの奇襲攻撃を考えてる」とは思わないでしょう。そんな馬鹿な事はやるわけがない。


■【歴史戦】全米屈指の観光都市サンフランシスコに慰安婦像設置へ 中韓共闘を前に反対派日本人に広がる無力感
http://www.sankei.com/world/news/150923/wor1509230031-n1.html
 そもそも「設置するな」とする主張の根拠(慰安婦は違法でないなど)がデタラメなのだから設置されるのは当然でしょう。そして反対してるのは「極右歴史捏造主義日本人」であってまともな日本人は何ら反対してないわけです。 


■【月刊正論】豪州発 日本人よ目覚めよ! 慰安婦像計画完全阻止を緊急報告 山岡鉄秀(AJCN代表)
http://www.sankei.com/politics/news/150923/plt1509230001-n1.html
 バカバカしい。この種のウヨの「抗議活動」とやらの成果か分かりませんがいずれにせよ「慰安婦銅像を建てない=慰安婦でのウヨの言い分を認める」ことではないわけです。
 単に「もめ事を避けた」だけでしょう。一方で「ウヨの言いがかりになど負けない」とばかりに慰安婦モニュメントを建てる海外自治体もあるわけです。
 しかし現在発売中の雑誌(10月号)の記事を「一部とは言え堂々と転載する」とは売れてないんでしょうか、正論。

*1:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て国家主席、党総書記、国家中央軍事委員会主席、党中央軍事委員会主席

*2:ノルウェーと中国の経済関係が取り上げられています。

*3:もちろんオズボーン氏の個人的意思も大きいでしょうが「政府要人としての言動」である以上、「英国政府の意思」であるわけです。「首相や外相は財務相に反対意見です」つう事はあり得ないでしょう。

*4:国家発展改革委員会主任、国務院秘書長などを経て現在、副首相

*5:ブルカについて女性差別だという批判はイスラム諸国、アラブ諸国でもありますし、フランスなどは「政教分離だか女性差別撤廃だかを理由とした」公的な場所でのブルカ禁止法を実際に制定したわけです(俺はそう言うフランスの強圧的方策を支持しませんが)。

*6:ただ今回安倍が「集団的自衛権行使が現行憲法でできる」と強弁しその立場に立った安保法を制定したことにより日本政府は「専守防衛」を放棄したわけです。

*7:以下全部そうですが「標的にしうる」ですね。まさか本気で標的にはしてないでしょう。そんな馬鹿な事を「中国が考えてる」と主張するのは反中国極右だけでしょう。