■五十嵐仁*1の転成仁語『オバマ米大統領のキューバ訪問が示した平和実現と安全確保への道』
http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2016-03-23
（前略）
力の政策から対話の路線への転換こそが、平和を実現し安全を確保するための最善の道であるということが、今回もまた実証されたことになります。イランの核問題の解決やシリア内戦に関する和平協議なども、基本的にはこのような方向での解決の模索にほかなりません。
ところが、北朝鮮問題では、全く逆の方向がめざされています。６カ国協議のような対話ではなく米韓軍事協力という力の政策によって、北朝鮮を屈服させようとしているからです。
米韓合同軍事演習とそれを牽制する北朝鮮のミサイル発射の応酬によって、偶発的な衝突や先制攻撃の危険性が高まっています。集団的自衛権の行使容認による「抑止」効果どころか、かえってこのような対立の構図に日本も巻き込まれるリスクが高まりました。
もちろん、北朝鮮のミサイル発射は断じて許されるものではなく、厳しく批判されなければなりません。しかし、それは米韓合同軍事演習に対する対抗措置としてなされていると考えられます。
ミサイル発射を挑発というのであれば、それを挑発したのは「要人暗殺」の訓練や北への上陸演習を行っているアメリカと韓国です。相手の挑発を止めさせたいのであれば、こちらが挑発することも止めるべきでしょう。
圧力をかければ反発し、牽制すれば威嚇するというのが、この間の経過でした。それによって平和は遠のき、安全は脅かされているのが実態です。
イランやキューバとの関係を改善したと同様の政策転換が必要なのではないでしょうか。力による恫喝ではなく対話を可能とするような交渉へと北朝鮮をいざなうことによってしか解決の道は開けず、真の解決は新たな憎悪や紛争の種、混乱をまき散らすものであってはなりません。
基本的には６カ国協議という枠組みの再開ですが、北朝鮮が同意しないのであれば５カ国協議でもやむを得ません。そのためには、北が望んでいる直接交渉をアメリカが受け入れることが必要です。
その際には、いかなる条件も付けるべきではありません。無条件で、まず両国が対話のテーブルに付くことが最優先されなければならないでしょう。
（中略）
今回のキューバとの国交回復は、任期が少なくなったオバマ大統領が歴史に名を遺す大きな業績を上げたいという個人的な願望に基づくものだと観測されています。もしそうであれば、米朝間の対立の激化ではなく対話の道を開くことこそ、歴史的業績の最たるものとなることでしょう。
イラン、キューバに続いて北朝鮮との関係を改善し、国際社会への復帰を実現していただきたいものです。たとえそれがオバマ大統領の個人的な野心や願望の結果であったとしても、人類の歴史や極東の平和、日本の安全にとって、このうえない貢献となることは間違いないのですから……。
全くもって「ガッテンガッテン」「異議無し」です。
「キューバやイランと北朝鮮は違う」と強弁する高世仁（id:takase22）と「キューバやイランでできたことが北朝鮮でできないはずがない」とする五十嵐氏（元法政大学大原社会科学研究所長）とどちらがより「論理的で誠実であるか」は言うまでもないことだと思います。
■朝鮮日報『在日コリアン「韓国語を学ばせるには朝鮮学校へ入れるしか』
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/03/25/2016032501977.html
個人的には「朝鮮学校が朝鮮日報記者の取材を受け入れたらしい」というのが少々驚きです。
つうのも基本的に朝鮮日報とは「アンチ北朝鮮の保守系」だからです。まあ、産経に比べたらマシかも知れませんが記事内でも「やれ金日成の肖像画が飾ってあって個人崇拝でいかがなもんか」とか、かなりネガティブな論調の記事です。
しかしそんな記事ですら
在日同胞が今も朝鮮学校から完全に離れられない最大の理由*2は、言語教育にある。民団系の学校は日本に4校しかなく、同胞が強く望む韓国語教育の量もレベルも朝鮮学校に及ばない。ある在日同胞（71）は「朝鮮総連が嫌で娘たちを民団系の学校に入れたが、韓国語ができない。総連は嫌いだが朝鮮学校はなくなってはいけないと思った」と語る。
としている点は「産経とは違うまともな点」として注目すべきでしょう。朝鮮学校に仮に問題があったとしても「在日の子どもが朝鮮語（韓国語）を学べる場所」は朝鮮学校しかありません。「韓国学校をできれば手放しで礼賛したいであろう」アンチ北朝鮮新聞・朝鮮日報ですら「民族教育をまじめに考えれば」こう書かざるを得ないわけです。
「日本人（日本政府）が日本の学校に朝鮮語教育をする場を設けなかったこと」や「民団が韓国学校をほとんど設置しなかったこと」は「日本人」あるいは「民団構成員」、あるいは「民団を在日同胞としているはずの韓国政府」が大いに恥ずべき事でしょうがそれは今さら言ってもある意味しょうがない。
仮に今後「韓国学校の設置」や「日本の公立校での朝鮮語教育講座の設置」を積極的にすすめても*3それは当面「朝鮮学校に取って代わること」など到底無理でしょう（もちろん「取って代わる事ができれば」無償化除外など、朝鮮学校差別していいという話ではないんですが）。
さて産経は「黒田勝弘など一部の親韓国学校派（？）を除いて」、社論としては「都の韓国学校設置への協力」に「都有地を貸すな」として反対するようですが本来「朝鮮学校を否定する*4なら」韓国学校の設置に協力しないと筋は通らないでしょう。
なぜなら「朝鮮学校にも韓国学校にも反対」「しかも日本の学校に朝鮮語を学ぶ場を作る気もない」ということは「在日は日本人に同化しろ」といってるに等しい態度だからです。つまりは産経の言う「朝鮮学校の教育内容ガー」などという発言は嘘だったと言う事です。しかし「中国のチベット統治」を「中国はチベット語教育をする気がない*5」と非難する奴らが良くもこんなふざけた在日差別ができるもんです。
まあ、「朝鮮学校は駄目だから弾圧するが韓国学校はまともだから支援する（一部ウヨの主張）」という物言いを俺は支持しませんが「朝鮮学校も韓国学校も日本にいらない」とする産経は「在日差別という意味でもっと悪質だ」とは言えるでしょう。
なお、こうした問題について何一つ言及せず、ただ「朝鮮学校の教育は問題だから無償化から除外しろ」などとしか言わないバカの集まりが三浦小太郎や萩原遼、id:noharraこと八木孝三ら「在日差別者の腐れウヨ団体」守る会です。そうですよねえ、id:noharraこと八木孝三さん？。あなたって「都による韓国学校への土地貸与計画」と「それに対する産経らウヨの誹謗中傷」に対して「子どもの人権の観点や日韓友好の観点」から批判し都を支持するなんて事は何一つしてませんよねえ。こういう「韓国学校に対する冷淡な態度」があなた方「守る会一味」の「私は朝鮮学校を批判してるだけで民族教育には反対しない」という主張が「口からデマカセ」だということを見事に暴露しているわけです。
id:noharraこと八木ほどの虚言癖野郎も珍しい。
【追記】
朝鮮日報記事のタイトルが
朝鮮日報『在日コリアン「韓国語を学ばせるには朝鮮学校へ入れるしか』
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/03/25/2016032501977.html
なので小生、上のような意見を書いたわけです。
つうかこういうタイトルだからこそ「え、朝鮮新報じゃなくて朝鮮日報？。朝鮮日報てアンチ北朝鮮の保守系ジャン？。どうしたの？。予想の範囲外よ」と思って興味を持って読んだわけです。これが
１）タイトルは同じだが、掲載紙が総連系の朝鮮新報
２）掲載紙は朝鮮日報で、タイトルが逆に朝鮮学校に悪口雑言
だったら「予想の範囲内」だったので読まなかったかも知れない。
でこの朝鮮日報記事には小生は
民団系学校は日本に4校しかなく韓国語教育の量もレベルも朝鮮学校に及ばない。ある在日同胞は「朝鮮総連が嫌で娘を民団系学校に入れたが韓国語ができない。総連は嫌いだが朝鮮学校はなくなってはいけない」と語る
と言うブクマもつけました。
ちなみにこれに「俺が大嫌いでその人間性をかけらも評価してない」id:gryphon（同類の存在としてはid:Mukkeやid:noharraがいる）がつけたブクマ。
http://b.hatena.ne.jp/entry/www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/03/25/2016032501977.html
「金日成主席の死亡には（ボーガス注：教科書の？）全145Pのうち4Pを割き「国中が血の涙につかった*6」「国連事務総長が『歴史に永遠に残る偉人』という声明*7を出した」
もういつもながらこいつの常識を疑うね。俺と価値観違いすぎて、「そこ、この記事の本筋じゃねーだろ」としか言いようがない。
本筋はタイトルから分かるように「俺が指摘した部分」でしょうに。「あんたは、あんたが引用したようなこと書いて朝鮮学校をdisるアンチ北朝鮮・保守系の朝鮮日報ですら『でも朝鮮学校以外に子どもが朝鮮語（韓国語）学べる場所が日本にはないんだよなあ、民団系の韓国学校全然ないし』とぼやいてることをどう思ってるのよ？。民団系学校をどんどん作ろうとか何とか言うのかよ？」「日本人としてそう言う在日差別（朝鮮語を学ぶ場所がない）に少しは心の痛みを感じないのかよ？。俺だって何かしているわけじゃ全然ないが心の痛みくらいは感じるぞ」と説教したくなりますね。
いや民団系学校作れば朝鮮学校差別していいて話じゃないし、そもそも「教師集めの手間や学校建設費用」を考えれば「遠い将来」はともかく、当面は「民団系学校で朝鮮学校が消えた穴を全部埋められます」なんてあるわけないけど。
*1:個人サイト（http://igajin.blog.so-net.ne.jp/）。著書『保守政治リストラ戦略』（1995年、新日本出版社）、『徹底検証・政治改革神話』（1997年、労働旬報社）、『政党政治と労働組合運動』（1998年、御茶の水書房）、『戦後政治の実像』（2003年、小学館）、『労働政策』（2008年、日本経済評論社）、『労働再規制』（2008年、ちくま新書）など
*2:最大かどうかはともかく理由の一つではあるでしょう。
*3:残念ながら今の日本では「積極的に進む保証はない」のですが。
*4:もちろん朝鮮学校を否定しなくても韓国学校に協力すべきですし、韓国学校に協力すれば朝鮮学校を否定していい訳でもないですが
*5:実際どうか知りませんが
*6:こんなんは日本での昭和天皇の死亡の時の「日本政府や日本マスコミ」の扱いなんかもそうなんじゃないですかね？（つまり「仮に事実だとしても」こんなことで非難する気に俺個人はあまりならない）。俺は「東京裁判で裁かれて当然」「沖縄を故意に捨て石にした」あの爺さんを何ら評価していませんが。
