今日の産経ニュース(8/31分)

■悪あがき中国、さらなる暴走も AIIB、G20前にカナダ取り込みで先進国分断する狙いか
http://www.sankei.com/world/news/160902/wor1609020017-n1.html
 カナダを取り込むことの何が「悪あがき」なんだかさっぱりわかりません。
 「先進国分断」てAIIBに入ってない先進国はもはや日米しかありませんが。つまり米国が入ることを心底恐れてるのでしょう。


■カナダもAIIBに加盟申請 中国主導の投資銀行
http://www.sankei.com/economy/news/160831/ecn1608310020-n1.html
 カナダは「検討中」という態度だったのでまあ予想の範囲内ではあります。
 G7でAIIBに加盟してないのはついに「日米だけ」になりました。もちろん米国が「加入しない保証」はどこにもありません。日本は果たしていつまで「入らない」という態度をとり続けられるのか。


■台湾の対中窓口トップ、ようやく決定
http://www.sankei.com/world/news/160831/wor1608310061-n1.html

 台湾の総統府は31日夜、対中窓口機関、海峡交流基金会の董事長(会長)に、元外交部長(外相に相当)の田弘茂氏が就任すると発表した。田氏は中国研究者を経て、民主進歩党陳水扁政権で外交部長や駐英代表を務めた。蔡英文総統は(中略)政界の重鎮である親民党の宋楚瑜*1主席や中国国民党の王金平前立法院長に打診したとされるが、いずれも拒否されたもようだ。

 もちろん民進党の人間でない宋氏や王氏には「所属政党からの批判を浴びる危険性を犯してまで」、蔡の依頼にこたえる動機もないでしょうが、それよりも「常日頃、中国を挑発するようなことを言っていた蔡」に「肝腎なときにはしごを外されること」を恐れたんじゃないですかね。


■【歴史戦】習近平*2が「日本の暴行暴いた」と称賛した英国人記者、「南京事件」の現場に居合せず 在職記録もなし*3
http://www.sankei.com/world/news/160831/wor1608310007-n1.html
 一応記事内容を要約してみましょう。
1)「南京事件について報じたという」英国人ジャーナリストのジョージ・ホッグ氏を描いた映画『チルドレン・オブ・ホァンシー:遥かなる希望の道』(2008年制作*4)について、2015年に訪英した際に習主席がエリザベス女王相手に話題にした
・まあ習氏も南京事件に詳しいわけではないでしょう。また場所も「南京事件シンポジウム」などではないから、後で紹介する産経の指摘が事実だとしてもこうした習発言には少なくとも「産経が騒ぐほどの問題」はないでしょう。
2)

 映画の中でホッグ氏は赤十字職員と偽って南京に入り、中国市民を殺害する日本兵を写真撮影。日本兵に見つかり処刑される寸前に中国共産党の軍人に助けられる。
 しかし、映画の原作となった『オーシャン・デビル』を執筆した英タイムズ紙記者のジェームズ・マクマナス氏は、「ホッグ氏の中国入りは1938年2月で、彼は南京に行っていない。映画は脚色され、事実ではない」と(ボーガス注:産経記者相手に?)証言した。(http://www.sankei.com/world/news/160831/wor1608310007-n1.html参照)

3)

 マクマナス氏の著書によると、ホッグ氏は湖北省黄石市の孤児施設で教師を務めた。中国の国民党政府軍が孤児たちを徴兵しようとしたため44年11月、孤児60人を連れてモンゴル国境に近い甘粛省山丹まで移動。戦火から子供たちを守った「中国版シンドラー」と評されている。(http://www.sankei.com/world/news/160831/wor1608310007-n2.html
参照)

・なお、映画の題名「チルドレン・オブ・ホァンシー」とは直訳すれば「黄石市の子どもたち」ですから映画もメインの話題は「孤児施設での活動」ではあるのでしょう。
4)
 なお「産経が調べた限りでは」ホッグ氏の「南京事件について報じた記事」は見つからず、ホッグ氏が映画が描くように南京事件を報じたかは疑問
だそうです。
 もちろん産経の指摘が事実なら、映画の描写は非常に問題があると思います。
 ホッグ氏をネタにしたいなら、産経「すら」認めている「孤児の救済活動」を描き、南京事件なんて持ち出すべきではないでしょう。
 また、そんな事実でない脚色をするくらいなら南京事件当時、現場にいたことに間違いない英国人記者「ロイター通信社のスミス記者(http://www.geocities.jp/yu77799/smythekouen.html参照)」「タイムズのマクドナルド記者(http://www.geocities.jp/yu77799/siryoushuu/nankin/times.html参照)」でも映画にした方が良かったんじゃないか。
 ただし映画やホッグ氏をどう評価するにせよ「南京事件の実在」はもはや争える話ではありません。
 証拠は山ほどあるし、東京裁判でも松井石根南京事件当時、中支那方面軍司令官)が責任者として死刑判決を受けている。
 ユネスコに事件資料も登録されたし、南京事件被害者・夏淑琴氏にくだらない因縁をつけていた東中野修道名誉毀損訴訟で見事に惨敗したわけです。否定論にはもはやまともな根拠がないことは明々白々です。
 まともな人間なら恥ずかしくてもはや南京事件否定論など唱えられるもんではないですが、そう言う常識は産経のようなデマゴーグには通用しません。まさに「嘘も百回言えば本当扱いされるかも知れない」で嘘八百並べ立てるわけです。今回も「ホッグ氏主人公の映画に事実に反する脚色がある」を無理矢理「南京事件否定論につなげよう」としています。
 やり口が「百人斬りがあるか疑問→南京事件否定論(「南京事件=百人斬り」ではないので酷い詭弁)」という過去の屁理屈と全く同じです。
 なお、映画やホッグ氏については小生、無知なのでコメントはしません。

*1:李登輝政権で台湾省

*2:アモイ市副市長、福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て国家主席、党総書記、国家中央軍事委員会主席、党中央軍事委員会主席

*3:映画では『マンチェスター・ガーディアンやAP通信の記者を務めたとされている』が産経がマンチェスター・ガーディアンやAP通信に問い合わせたところ『在職記録がなかった』というだけの話です。産経の指摘が事実なら、映画の描写は「事実に反する」と言う意味で問題ですが、もちろん南京事件否定論が正当化出来る話ではありません。また映画の描写の問題は当然ながらホッグ氏の責任ではありません。

*4:「2008年製作の映画に今頃突っ込むのかよ」「つうか笠原十九司氏とか秦郁彦とか別にその映画をネタに立論してるわけじゃねえだろ。ユネスコ登録とも関係ないだろうし。全く酷い因縁だな」ですね。まあ安倍政権誕生前はさすがに「映画をネタに南京事件否定論かます」なんてことはさすがの産経もできなかったようですが、今や「南京事件否定論に内心では共感する極右・安倍首相の登場」でそう言う常識は捨て去ったわけです。一日にも早く安倍には首相をやめて欲しいですね。