今日の産経ニュースほか(1/10分)

朝日新聞ソ連の国歌から、全ては始まった 声優・上坂すみれさん*1
http://www.asahi.com/articles/ASK146R84K14UEHF00S.html

 人気アニメ「艦隊これくしょん―艦これ―」などに出演する声優で、歌手としても活躍する上坂すみれさん(25)。高校生の時に旧ソ連の国歌に魅せられ、公募制の推薦入試で上智大のロシア語学科に進みました。

 「うえさか」さんだそうです。これで「かみさか(例:既に故人だがウヨの上坂冬子)」とも読めるんでふりがな振って欲しいんですけどね。
 それはともかく、別にマルクス主義云々と言うことではなく「ソ連国歌に流れるロシア的文化」が好きなようですが、まあこういう「マルクス主義から離れたロシア愛好」も「ソ連が崩壊したおかげ(?)」なんですかね?。
 小生(1970年代後半生まれ)が高校生の時というと、確か大体ソ連崩壊の時期(1992年頃)なので時代の流れ(?)を痛感します。


【ここから産経です】
■【正論】年頭にあたり 日本版〈国境の壁建設〉…国家の安泰図る仕事を提案する 大阪大学名誉教授・加地伸行
http://www.sankei.com/column/news/170110/clm1701100007-n1.html

 収益第一の企業ではなく、国家の安泰を図る政府が新しい仕事を作ればよい。例えば、日本の海域に多数、散在する離島の警備・管理である。
 勤務者には、島嶼(とうしょ)管理士(あるいは離島管理士)、島嶼警備士という国家称号を与え、警察庁海上保安庁指揮下の準公務員とする。国家への忠誠心と頑健な肉体とがあれば合格*2とする。同じく広大な国有林に対しても同様の準公務員を置く必要がある。

 まあ産経文化人の与太が酷いのは毎度のことですがこれも酷いですね。「警察や自衛隊」「林野庁職員」などとは別に離島や国有林にそんなもんを置かないと行けない何か理由があるのか。何もないでしょう。
 「そもそも作る必要がない」わけですが、そんなもんを作ってどれほどの雇用を創出できるのか。
 そして離島や田舎の山林なんぞに住みたがる人間がどれほどいるのか。

 費用はこうする。在日外国人300万人から国防税を年一人当たり10万円を徴収すると3千億円(滞納者は国外追放)。

 意味不明ですね。「山林や離島の管理」は「外国人に利益が限定される話」じゃないんだから外国人限定の税なんて「政治的に適切かどうか」以前に「外国人差別の税金」として違法の疑い濃厚でしょう。そもそも加地がこの与太について本気で言ってるなら「日本の国益に繋がることですので、日本人に広く負担を求めたい」というでしょう。外国人に限定する理由がどこにもない。あるとしたら「産経読者ですら」そんな税には賛成しないてことでしょう。だから「外国人に税をかける」と外国人差別発言を平気でする。
 つまり本気じゃないわけです。
 もちろん税金の滞納ぐらいで国外追放にできるわけもない。しかしこんな「自分でも実現可能性があると思ってない与太」を放言できる加地には呆れますね。 


■【北京春秋】中国外交の“ハットトリック*3”は経済力のおかげ
http://www.sankei.com/column/news/170110/clm1701100008-n1.html

 民主活動家・劉暁波*4ノーベル平和賞受賞で関係が悪化したノルウェーに「中国の核心的利益を高度に重視する」と約束させて関係を正常化したのが12月19日。翌日にはモンゴル外相がチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の訪問を今後一切認めないと発言し、翌々日には西アフリカのサントメ・プリンシペが台湾と断交した。

 「でそれがどうかしたのか?」という話です。日本の外交だって「ODAで途上国を抱き込む」という性格は否定できないのだから一方的に中国非難出来る話でもない。
 というか「10億出したから慰安婦銅像を撤去しろ(産経)」なんて「カネで言う事を聞かそうとしてる」以外の何物でもないんですが。


■【歴史戦】中国が「抗日戦争」期間を「延長」 教科書で8年間から14年間に 1931年の柳条湖事件*5を起点に
http://www.sankei.com/world/news/170110/wor1701100035-n1.html
 むしろ「歴史本愛好家」で「日本人の小生」からすればいわゆる「15年戦争*6」と言う表現になれ親しんでるので「1931年からカウント?。別に自然ジャン」「むしろ中国がそうじゃないことにびっくり」感しかないですが。
 ネットでググっても

・莇昭三『戦争と医療:医師たちの十五年戦争』(2000年、かもがわ出版
・粟屋憲太郎*7十五年戦争期の政治と社会』(1995年、大月書店)
・井上祐子『戦時グラフ雑誌の宣伝戦:十五年戦争下の「日本」イメージ』(2009年、青弓社
・岩井忠熊*8十五年戦争期の京大学生運動』(2014年、文理閣
・岩武照彦『近代中国通貨統一史:十五年戦争期における通貨闘争』(1990年、みすず書房
・江口圭一*9『新版・十五年戦争小史』(1991年、青木書店)、『昭和の歴史〈4〉:十五年戦争の開幕』(1994年、小学館ライブラリー)、『十五年戦争研究史論』(2001年、校倉書房
・遠藤興一*1015年戦争社会福祉』(2012年、学文社
大杉一雄*11『日中十五年戦争史:なぜ戦争は長期化したか』(1996年、中公新書)
・岡部牧夫*12十五年戦争史論』(1999年、青木書店)
小田部雄次*13『徳川義親の十五年戦争』(1988年、青木書店)
・加藤淑子『斎藤茂吉十五年戦争』(2009年、みすず書房
・川瀬千春『戦争と年画:「十五年戦争」期の日中両国の視覚的プロパガンダ』(2000年、梓出版社)
近藤富枝*14大本営発表のマイク:私の十五年戦争』(2013年、河出書房新社
・阪口直樹『十五年戦争期の中国文学:国民党系文化潮流の視角から』(1996年、研文出版)
・柴岡信一郎『報道写真と対外宣伝:15年戦争期の写真界』(2007年、日本経済評論社
・鍾家新*15『日本型福祉国家の形成と「十五年戦争」』(1998年、ミネルヴァ書房
・新野和暢『皇道仏教と大陸布教:十五年戦争期の宗教と国家』(2014年、社会評論社
・戸ノ下達也*16『音楽を動員せよ:統制と娯楽の十五年戦争』(2008年、青弓社
・西野留美*17従軍慰安婦十五年戦争ビルマ慰安所経営者の証言』(1993年、明石書店
・西本武志『十五年戦争下の登山』(2010年、本の泉社)
・長谷川亮一*18『「皇国史観」という問題:十五年戦争期における文部省の修史事業と思想統制政策』(2008年、白澤社)
・原誠『国家を超えられなかった教会:15年戦争下の日本プロテスタント教会』(2005年、日本キリスト教団出版局)
・ピーター・B. ハーイ『帝国の銀幕:十五年戦争と日本映画』(1995年、名古屋大学出版会)
藤原彰*19昭和天皇十五年戦争』(2003年、青木書店)
・安川寿之輔*20十五年戦争と教育』(1986年、新日本出版社

とたくさんの「15年戦争」をタイトルにもつ書籍がヒットします。
 なかには

永井隆*21『ビール15年戦争:すべてはドライから始まった』(2002年、日経ビジネス人文庫)
・三野正洋『わかりやすいベトナム戦争超大国を揺るがせた15年戦争の全貌』(2008年、光人社NF文庫)

という日中戦争に関係ないもんもヒットしますが(苦笑)。
 それはともかく、日本においてはもはや「15年戦争」という概念は完全に市民権を得ていると言っていい。
 むしろ「え、盧溝橋事件(1937年)からカウントしてたの?」感ですね。もちろん完全な全面戦争に突入するのは盧溝橋事件(1937年)からですが。まあ中国ももちろん従来においても「柳条湖事件満州事変)以降、盧溝橋事件前の軍事紛争」を無視してるわけで全くないのである意味どうでもいい話です。
 なお、一部ウヨは「15年戦争ということは満州事変から盧溝橋事件までの間の終戦の可能性を否定するのか」と言い出しますがそう言う話ではない。もちろん「満州事変から盧溝橋事件までの間」に終戦の可能性は「極めて小さかった」とは思いますが、一応ありました。
 15年戦争という概念が問題にしてるのはそう言うコトではなく
1)満州事変の発生により、日本の中国侵略は今までとは違う新たな段階に突入した
2)その結果、日本は本格的、全面的な中国侵略の方向に突入したのであり、満州事変と盧溝橋事件は無関係ではない
ということです。裏返せば「満州事変がなければ」日本は盧溝橋事件に突入しなかったと言う事です。
 もちろん単純に線ではつなげませんが「満州事変(1931年)」により日本の右傾化が新たなステージに入り、その結果が515事件(1932年)や226事件(1936年)、あるいは盧溝橋事件(1937年)などのわけです。
 まあこうした見方は歴史学の世界に限らず、世間でも一般的な見方だとは思いますが、「満州事変のインパクト」はいくら強調してもしすぎることはないように思います。

【追記】

http://j.people.com.cn/n3/2017/0111/c94475-9165547.html
■人民日報『中国教育部、教材の抗日戦争の期間を「8年」から一律「14年」に改正』
 1931年に起きた「九一八事変」(満州事変)以降の抗日戦争の期間について、中国の小学校から大学までの教科書などを含む2017年春季教材では、これまでの「8年」から改めて「14年」に統一される。中国教育部(省)が10日、取材に対して明らかにした。新華社が報じた。
 同部は、「教材では、抗日戦争の期間を『8年』から一律『14年』に改め、日本の中国侵略の悪行を全面的に反映させ、『九一八事変』後の14年間が抗戦の歴史の全体であることを強調する。それは、各種教材で系統立てて正確に表現されるべき」と説明した。
 改正されるのは、小学校から大学までの全ての学年、全ての関連学科、全ての国家カリキュラム、地方カリキュラムの教材で、中国共産党が抗日戦争において大黒柱としての役割を果たしたことが全面的に反映されるほか、中国の戦場が世界の反ファシズム戦争における東洋の主戦場であったとし、恐れることなく、勇敢に侵略勢力に立ち向かった中華民族の偉大な精神を強調している。


■【松本学の野党ウオッチ】民進党議員は「蓮舫*22降ろし」に決起せよ! 党首討論で見えた岡田克也*23前代表との「格」の違い
http://www.sankei.com/premium/news/170110/prm1701100002-n1.html
 産経らしいですがよりによって代表時代は悪口していた岡田氏に向かって「蓮舫氏より格上」とは吹き出さざるを得ません。
 まあ、民進党も「一部のアンチ蓮舫」を除いて、勿論こんな寝言は無視するでしょう。なぜなら産経の主張は善意の表れではなく単に「蓮舫降ろし」で党が混乱することを期待しているだけだからです(産経が蓮舫氏を脅威に思ってるかどうかは分かりません)。「まともな人間はこんな寝言に耳を傾けない」事は産経も分かってるでしょうがこういう事を言わずにはいられない辺りがさすが産経です。

蓮舫体制に異を唱えない民進党議員は、有権者の目には「官邸の回し者」としか映らない。

 まあ、「赤旗」など、安倍政権に批判的なメディアがこういうならまだ説得力もありますが「官邸の回し者」産経がよくも言ったもんです(苦笑)。
 しかも「産経は単に党混乱を狙ってる」だけなので、ポスト蓮舫に誰を望むのか、岡田氏再登板なのか、何なのか、「産経は民進党にどんな政策を望むのか」何一つ語ろうとはしません。
 むしろ「常日頃安倍万歳記事を量産しながら」、突如

蓮舫体制に異を唱えない民進党議員は、有権者の目には「官邸の回し者」としか映らない。

と言い出す産経の方が有権者の眼には「産経はやはり官邸の回し者」としか映らないでしょう。

*1:ウィキペ「上坂すみれ」を見ても知ってるアニメが何一つないのでどんな人かさっぱり分かりません。

*2:ほとんど何の合格判定基準にもなっていません。

*3:スポーツの試合中に一人の選手がゴール(サッカー)、トライ(ラグビー)など勝利に繋がるプレイを3回以上達成すること。

*4:著書『天安門事件から「08憲章」へ』(2009年、藤原書店)、『「私には敵はいない」の思想』(2011年、藤原書店)、『最後の審判を生き延びて』(2011年、岩波書店)など

*5:一般には満州事変と言った方が通りがいいでしょう。

*6:まあ正確には14年数ヶ月でしょうが、はしょって15年の訳です。むしろ中国が「14年」として、はしょらない方が興味深い。

*7:著書『昭和の政党』(2007年、岩波現代文庫)、『東京裁判への道』(2013年、講談社学術文庫) など

*8:著書『明治天皇』(1997年、三省堂)、『大陸侵略は避け難い道だったのか:近代日本の選択』(1997年、かもがわ出版)、『近代天皇制のイデオロギー』(1998年、新日本出版社)、『西園寺公望:最後の元老』(2003年、岩波新書)、『「靖国」と日本の戦争』(2008年、新日本出版社)など

*9:著書『日中アヘン戦争』(1988年、岩波新書)、『盧溝橋事件』(1988年、岩波ブックレット)、『1941年12月8日:アジア太平洋戦争はなぜ起こったか』(1991年、岩波ジュニア新書)、『日本の侵略と日本人の戦争観』(1995年、岩波ブックレット)など

*10:著書『田川大吉郎とその時代』(2004年、新教出版社)、『天皇制慈恵主義の成立』(2010年、学文社

*11:著書『日中戦争への道:満蒙華北問題と衝突への分岐点』(2007年、講談社学術文庫)、『日米開戦への道:避戦への九つの選択肢(上)(下)』(2008年、講談社学術文庫)など

*12:著書『海を渡った日本人』(2002年、山川出版社日本史リブレット)など

*13:著書『華族:近代日本貴族の虚像と実像』(2006年、中公新書)、『李方子』(2007年、ミネルヴァ日本評伝選)、『皇族:天皇家近現代史』(2009年、中公新書)、『昭憲皇太后貞明皇后』(2010年、ミネルヴァ日本評伝選)、『昭和天皇と弟宮』、『皇族に嫁いだ女性たち』(以上、2014年、角川選書)など

*14:著書『本郷菊富士ホテル』(1983年、中公文庫)、『鹿鳴館貴婦人考』(1983年、講談社文庫)、『馬込文学地図』(1984年、中公文庫)、『花蔭の人:矢田津世子の生涯』(1984年、講談社文庫)、『服装から見た源氏物語』(1987年、朝日文庫)など

*15:著書『中国民衆の欲望のゆくえ:消費の動態と家族の変動』(1999年、新曜社

*16:著書『「国民歌」を唱和した時代:昭和の大衆歌謡』(2010年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)

*17:著書『若ものたちが考える戦争責任』(1996年、明石書店)、『薬害エイズを生きる』(1996年、明石書店)、『なぜ従軍慰安婦を記憶にきざむのか』(1997年、明石書店)、『エルクラノはなぜ殺されたのか』(1997年、明石書店)、『戦場の「慰安婦」:拉孟全滅戦を生き延びた朴永心の軌跡』(2003年、明石書店)など

*18:著書『地図から消えた島々:幻の日本領と南洋探検家たち』(2011年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)

*19:著書『南京の日本軍:南京大虐殺とその背景』(1997年、大月書店)、『餓死(うえじに)した英霊たち』(2001年、青木書店)、『中国戦線従軍記』(2002年、大月書店) 『天皇の軍隊と日中戦争』(2006年、大月書店)など

*20:著書『福沢諭吉のアジア認識』(2000年、高文研)、『福沢諭吉戦争論天皇制論』(2006年、高文研)など

*21:著書『究極にうまいクラフトビールをつくる:キリンビール「異端児」たちの挑戦』(2016年、新潮社)、『サントリー対キリン』(2017年、日経ビジネス人文庫)など

*22:菅、野田内閣行政刷新担当相、民主党代表代行(岡田代表時代)を経て民進党代表

*23:民主党幹事長(鳩山代表時代)、鳩山、菅内閣外相、野田内閣副総理・行革担当相、民主党代表など歴任