今日の産経ニュース(1/8分)(追記・修正あり)

■【正論・年頭にあたり】皇位継承儀礼は伝統に則して 東京大学名誉教授・小堀桂一郎
http://www.sankei.com/column/news/180108/clm1801080007-n1.html
 小堀らウヨの場合伝統継承とは「政教分離原則は無視する」「新たな試みは何一つ認めない」とイコールですからお話になりません。


■山梨の国有地、格安売却 財務局、評価額の8分の1
http://www.sankei.com/affairs/news/180108/afr1801080024-n1.html
日本航空学園理事長、政治家の口利き「まったくない」 国有地格安売却 毎日新聞報道を受け会見
http://www.sankei.com/affairs/news/180108/afr1801080025-n1.html
 どうみても「山梨の森友疑惑」にしか見えません。マスコミや野党による徹底追及がされてしかるべきでしょう。もちろん森友と加計が引き続き追及されるべきなのは言うまでもありません。


いわさきちひろ生誕100年、長男が評伝刊行(永井優子)
http://www.sankei.com/life/news/180108/lif1801080030-n1.html

 今年は生誕100年にあたる。長男でちひろ美術館常任顧問の松本猛さん*1(66)がこのほど、評伝『いわさきちひろ−子どもへの愛に生きて』*2講談社)を刊行した。
(中略)
 もともと子供好きで、戦後すぐのデッサンも子供*3が多い。日本共産党の活動を通じて出会った松本善明(弁護士・元衆議院議員)と結婚し、昭和26年に猛さんが生まれると、身近なモデルを得ていっそうのめり込んだ。
(中略)
 生誕100年の今年は、1年間を通じて東京、安曇野両館で7組の現代作家とのコラボレーション展を開催する。松本さんは「若い作家たちが、ちひろから何をつかみ取っていくのか。展覧会をきっかけに、ちひろを知らない世代にも再発見してもらえれば」と話している。 

 産経が「共産党員画家にして、松本善明衆院議員(共産党)の妻」いわさきちひろを取り上げるとは意外です。何せNHK日曜美術館」でいわさきちひろを取り上げたら「左翼偏向」とNHKを罵倒した前科が産経にはありますからね。
 まあ産経も家庭欄、文化欄はそんなに右翼的ではないのかもしれない。


■【櫻井よしこ 美しき勁き国へ】日本国憲法は米国の「根絶政策」 日本本来の価値観に立脚して憲法改正せよ
http://www.sankei.com/politics/news/180108/plt1801080003-n1.html

 憲法改正を国民に訴え、国民はそれを支持している。にもかかわらず、なぜ、自民党の動きは鈍いのか。

 もちろん「国民が安倍流改憲論を(少なくとも積極的には)支持してないから」です。
 改憲を支持しないのに「改憲を唱える安倍自民」を支持するとは大きな矛盾ですが、つまりは「おらが村のセンセイ(自民)を支持してるのであって安倍総理を支持してねえ。別に総理が石破さん*4でも、石原さん*5でも、岸田さん*6でもええ」という「自民支持層」が多いことを安倍も自覚してるからこそ「動きが鈍い」わけです。ましてや安倍ほどの思い入れが改憲にない自民党議員や自民党員はもっと鈍い。もちろんそうしたことはよし子や産経も解ってるでしょう。

首相は昨年5月、9条1項、2項に加えて自衛隊憲法に書き込むことを提案した。

 ここで安倍は「現状と全く変わらない」と主張しています。もちろん「改憲して何か良くないことがあったら困る」と不安を感じる「改憲不支持層(必ずしも護憲や改憲反対ではない)」を「支持層に取り込もうとする詭弁」であって「全く変わらない」わけがない。
 全く変わらないなら変える必要は無いわけです。しかし「全く変わらない」と安倍が強弁し、それを渋々ながらもよし子らが容認してること自体「日本において改憲論が低調であること」を示しています。

 中国の描く世界像は、新たな中華のルールに基づく人類運命共同体である。彼らは歴史も国境線も国際法の定義も、企業の在り方でさえ、およそ全て中国共産党が主軸となった中華民族の価値観に基づいて変えていこうとしている。

 よし子が本気で言ってるなら正気ではないですね。もちろん中国は様々な法制度を「中国にとって都合のいい方向にしたい」とは思ってるでしょう(まあこれは「日本も含め」大なり小なりどこの国も同じであり中国だけの話じゃないですが)。
 しかし、中国政府も世界各国、特に欧米先進国(G7諸国)を無視して、法制度などを中国の好き勝手にできるとか、したいとか全く思ってはいないでしょう。
 そんなことは現実的にできることではないし、別にそんな好き勝手をしなくても「中国の国益が可能な限り増進すればそれでいい」わけです。
 AIIBや一帯一路は別に「国際法の定義」などというご大層なものを大きく変えてるわけでは全くない。
 まあおそらくよしこも故意に嘘をついてるだけでしょうが。「中華民族の価値観に基づいて変えるってどういう意味ですか?。新たな中華のルールに基づく人類運命共同体って何ですか?」と聞かれてもおそらくよし子もまともに答えられないでしょう。
 そして改憲の目的は中国とバトルすることではない。そんなことは日本政財官界も「日本と同盟関係にある米国」も考えてはないでしょう。
 あくまでも「中東やアフガン」など米国の重要な権益がある場所に「米国の支援部隊として自衛隊を送り込み」、その代わりに米国の権益を日本にも分けてもらうつう話の訳です。

 中国は日本の資金や技術、水資源や国土を欲すると同時に、歴史戦によって日本人の精神的屈服をもくろんでいると考えてよいだろう。

 別に合法的かつ正当な形であれば「資金や技術、水資源、国土」を欲しても何の問題も無いわけです。
 まあ「国土を欲する」つうよし子の書き方も曖昧ですよね(故意にそうしてるのでしょうが)。
 「国土を欲する=軍事侵略」ならもちろん違法行為ですが「国土を欲する=中国企業がテーマパークや工場を日本国内に作る」なら別に問題も無いわけです。日本企業も「中国を含む外国」でやってることですし。
 「歴史戦」云々も「日中戦争は違法な侵略」「731部隊南京事件戦争犯罪」てだけですからね。否定しようが無い事実ですし、別にそんなことで精神的屈服もしない。
 中国は「違法な侵略、戦争犯罪をした日本は中国の子分として常に中国にイエスで従え」なんて言ってないですから。
 大体、このよし子の物言いでは「シベリア抑留の違法性を認めたら日本に精神的屈服することになるからできない(ロシア)」なんてことにもなりかねないわけです。そんなバカな話はない。

 中国も韓国も21世紀の歴史修正主義の国なのである。

 よし子らの南京事件否定論河野談話否定論こそが歴史修正主義なのに盗っ人猛々しいとはこのことでしょう。

 米サンフランシスコ市が民間団体から慰安婦像を設置した土地ごと寄贈を受け入れた件も、市長のエドウィン・リー氏も寄贈した団体「慰安婦正義連合」も共に中国系であることにみられるように中国主導である。

 中国人慰安婦もいるのだから在米華僑がこの件に関わるのは、何ら不思議ではないし、そもそも在米華僑が「中国政府の意思で動いてる」と決めつける根拠は何なのか。
 在米華僑だって「香港返還時に、中国に返還されることが嫌で香港から移住してきた」とか「国共内戦時に共産党中国が嫌で祖父母が米国に亡命した」なんて人もいるわけです。よしこはこの件に関わってる在米華僑が「そうした中国政府から距離を置く人々ではなく、中国政府と密接に関係がある人」ということを何一つ証明していません。
 つうかリー氏なんか「サンフランシスコ市民(もちろん華僑以外もいる)が選んでる」わけですからねえ。
 これを「中国とつながりがある」などというのは蓮舫*7(台湾出身)に向かって「台湾の走狗」呼ばわりするレベルの暴論でしょう。
 あるいはこの産経の理屈だと「フジモリ(ペルー大統領)は日本の走狗」つうのもありになるでしょうが、そういったら「反日だ、日本差別だ」と怒るのが産経ではないのか。

 習近平*8国家主席中華民族の偉大さを強調し、中華民族5000年の歴史をうたう。だが、中華民族という政治的枠組みが提唱され始めたのは、約100年前*9だという(『中国はなぜ軍拡を続けるのか』阿南友亮氏*10)。

 よし子や阿南氏が何を言いたいのかよくわかりません(よし子の口ぶりでは中国非難のようですが)。「是非はともかく」少なくともそんなこと(中華民族5千年)は「反日歴史戦」て話ではありません。

*1:著書『安曇野ちひろ美術館をつくったわけ』(2010年、新日本出版社)など

*2:2017年刊行

*3:松本氏の著書名『いわさきちひろ−子どもへの愛に生きて』は引用なので「子ども」ですが「引用でない」産経の文章は絶対に「子供」であるのが産経ルールです。

*4:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*5:小泉内閣国交相自民党政調会長(第一次安倍総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次安倍内閣環境相、第三次安倍内閣経済財政担当相など歴任

*6:第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相、第二次、第三次安倍内閣外相を経て自民党政調会長

*7:菅、野田内閣行政刷新担当相、民進党代表代行(岡田代表時代)、代表を歴任

*8:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*9:ウィキペディア中華民族』曰く「中華民族という単語が初めて公式に出てくるのは、1900年11月、清の政治家伍廷芳(中華民国外相、財政相など歴任)の講演とされる。その後、清時代のジャーナリストの梁啓超などが使用するようになる。」

*10:東北大学教授(中国近現代史)。著書『中国革命と軍隊』(2012年、慶應義塾大学出版会)、『中国はなぜ軍拡を続けるのか』(2017年、新潮選書)。祖父は鈴木貫太郎内閣陸軍大臣阿南惟幾。父は駐中国大使などを歴任した阿南惟茂