今日の産経ニュース(1/11分)ほか(追記・修正あり)

朝日新聞坂本龍馬は教科書に必要か 大政奉還薩長同盟、史実は』
https://digital.asahi.com/articles/ASL174FXXL17UWPJ003.html

・薩摩の西郷隆盛*1と長州の木戸*2がそっぽを向いていたのを龍馬が飛び込んできて手を結ばせたという話は、「維新土佐勤王史」という大正元年に出た本に出てきます。物語半分、史料半分みたいな本ですが、明治政府で窓際に置かれていた土佐閥が、維新の時に俺たちはこんなに頑張ったのに、ないがしろにするのは何事かとアピールするために書いた側面が強い。その意味でこのエピソードは都合がいいのですが、史料を読む限り、物語のような展開で歴史が動いたとは考えがたい。維新直後に出版された志士100人列伝のような本に、龍馬は出てこない。当時は幕末の志士として誰も龍馬を思い出さなかったのです。
・僕はフィクションを否定しません。龍馬を例にとると、(ボーガス注:薩長に比べ)日陰に置かれていた土佐の人間が、龍馬という人物をクローズアップし、虚構をまぜて「土佐の人間が今の明治政府を作った」と言いたかった。そういう、歴史物語が作られていく面白さを教えてあげたい。物語を楽しもう、でも史実とは違うと。歴史に乗り遅れていく人たちの思いが、そういう虚構を生みやすい。その一つが龍馬です。
・今回は良い機会じゃないでしょうか。龍馬や松陰が、なぜ教科書から外されるのか、そもそもなぜこの人たちが載っていたのか、生徒と一緒に考えるくらいの歴史教育があっていい。
・今回の件でいろいろ反響があったと聞いて、僕が感じているのは、今の歴史学界と社会の断絶です。僕らからすると、船中八策は否定されているし薩長同盟も小説とは違うわけですが、一般に伝わっていなかった。だから、寝耳に水で、いきなり爆弾が落ちたような騒ぎになった。橋渡しをだいぶ怠ってきたツケ、と言えなくもないなと思っています。

 一坂太郎*3・萩博物館特別学芸員曰く
大政奉還薩長同盟に龍馬が世間一般に思われてるほど貢献したかどうかは疑問』
『いわゆる船中八策も後世の創作の疑いが強い』
『こうした龍馬美化は薩長に比べて不遇だった土佐派の自己宣伝』 
 つまり
『龍馬は司馬遼太郎作品によって著名になったが、教科書で絶対に取り上げないといけない人物かは疑問』ということのようです。
 薩長に比べて土佐派が不遇というのはいわゆる元老が公家の西園寺公望*4を除いて

薩摩:黒田清隆*5松方正義*6西郷従道*7大山巌*8
長州:伊藤博文*9山県有朋*10井上馨*11桂太郎*12

と全て薩長であることでも明白かとは思います。
 土佐派でそれなりに出世したといえるのは板垣退助*13後藤象二郎*14でしょうか。

参考

船中八策ウィキペディア参照)
・「船中八策」なる言葉が登場するのは大正時代に入ってからであり、それ以前の「船中八策」は様々な別の名称や内容で紹介されている。
・「船中八策」は海援隊隊士・長岡謙吉が書き留めたとされるが、長岡自筆の書面は残っていない。


【ここから産経です】
■【紅い浸入 一帯一路の陰で(上)】人民解放軍ジブチに拠点 隠された思惑に気付かず中国の“浸入”を許す四国の1・3倍程度の小国
http://www.sankei.com/world/news/180111/wor1801110014-n1.html
 産経が中国に悪口したいことは解ります。しかしジブチ国内での中国批判の声は見つけられなかったようで思わせぶりなことしか書けていません。


中村喜四郎元建設相の会派入り歓迎 民進大塚耕平*15代表
http://www.sankei.com/politics/news/180111/plt1801110030-n1.html
 「収賄で有罪判決が出た人間」「自民に公式な復党もできず*16政治力も大して無い人間」中村の「無所属の会」会派入りを喜ぶとは非常識でしょう。大体、中村なんか立民は受け入れないでしょうにこれで「立民と共通会派を目指す」というんでしょうか。
 しかし「過去に自民党伊吹派に入会したことがある」「過去に森元首相の選挙応援演説を受けたことがある」「先日の衆院選挙では公明の支援を受けた」つう人間・中村が民進党にすり寄るとはどういうことでしょうか?。
 「自民党の扱いが悪いから民進党に寝返る」つうことなのか。

中村喜四郎(ウィキペ参照)
 宇野*17内閣科学技術庁長官、宮澤*18内閣建設相を歴任。1994年(平成6年)、ゼネコン汚職事件に絡み、鹿島建設からの依頼で公正取引委員会への口利きをした斡旋収賄罪容疑が浮上。衆議院で逮捕許諾決議が可決され、中村は逮捕された。国会会期中の現職国会議員の逮捕は、1967年(昭和42年)の関谷勝利自民党代議士、大阪タクシー汚職事件)以来27年ぶりであった。逮捕される2日前に、中村は自民党を離党したが、議員辞職はせず、後援会「喜友会」をバックに、無所属のまま1996年(平成8年)の第41回衆議院議員総選挙、2000年(平成12年)の第42回衆議院議員総選挙で当選。1997年(平成9年)10月、東京地方裁判所で懲役1年6ヶ月、追徴金1000万円の実刑判決を受け、控訴したが2001年(平成13年)4月に東京高等裁判所により控訴が棄却された。2003年(平成15年)1月、最高裁判所が中村の上告を棄却し、実刑が確定判決となったため、衆議院議員を失職となった。2004年(平成16年)2月10日に、黒羽刑務所から仮釈放され、そのまま刑期満了した。2005年の第44回衆議院議員総選挙に、再び無所属で茨城県第7区から出馬し、当選。なお、同選挙区選出だった自民党永岡洋治は、選挙直前の8月1日に自殺を図り、その後死亡。永岡の妻・桂子*19が代わって自民党公認で出馬し、中村に敗れたが比例北関東ブロックで復活し、初当選した。国会議員在職時代の政治事件で実刑を受けた者が国政選挙に当選したのは1969年の自民党代議士・福田繁芳(日興連汚職事件、1961年実刑確定)以来36年ぶり。なお、1992年12月16日以降は公職政治家が収賄罪で有罪が確定した場合、刑期満了から一定期間は公民権が停止されるが、事件当時の1992年1月にはその制度がなく、憲法の遡及処罰禁止規定(39条前段)により、収賄罪で実刑が確定しても失職に留まり、刑期満了から一定期間の公民権停止はなされなかった。2009年の第45回衆議院議員総選挙で当選後、改革クラブに入党し、これによって改革クラブは政党要件を回復した。2010年4月23日、自民党を離党していた舛添要一*20らが改革クラブに入党、舛添が党代表に就任し、改革クラブ新党改革へ改称。これに反発した中村は離党し、自民党院内会派である「自由民主党無所属の会」に入会した。
 2011年5月12日、無所属のまま自民党伊吹*21派(当時、現在は二階*22派)に入会(客員会員)。2012年の第46回衆議院議員総選挙では、無所属ながら公明党から推薦を受け、茨城7区から出馬。また中村の要請により、森喜朗*23元首相が中村の応援演説を行ったが、これに対し同選挙区で自民党公認を受けていた永岡が森に抗議する一幕もあった。2017年の第48回衆議院議員総選挙でも公明党の推薦を受け、自民党の永岡らを下し、14選。しかし選挙で公明党の支援を受けたにもかかわらず、総選挙後の首班指名選挙では民進党代表の大塚耕平に票を投じた。
 2018年、民進党常任顧問の岡田克也*24が代表を務める無所属の会への入会が報道された。

 

*1:参議、陸軍大将、近衛都督

*2:参議、内務卿など歴任

*3:著書『長州奇兵隊』(2002年、中公新書)、『木戸孝允』(2010年、山川出版社日本史リブレット人)、『司馬遼太郎が描かなかった幕末:松陰、龍馬、晋作の実像』(2013年、集英社新書)、『高杉晋作』(2014年、角川ソフィア文庫)、『吉田稔麿』(2014年、角川選書)、『吉田松陰』(2015年、朝日新書)など

*4:第2次伊藤、第2次松方内閣文相(外相兼務)、第3次伊藤内閣文相、首相を歴任

*5:第1次伊藤内閣農商務相、第2次伊藤内閣逓信相、首相、枢密院議長など歴任

*6:第1次伊藤、黒田、第1次山縣、第2次伊藤内閣蔵相、首相、内大臣など歴任

*7:西郷隆盛の弟。第1次伊藤、黒田、第1次山県、第2次伊藤、第2次松方、第3次伊藤、第1次大隈内閣海軍大臣など歴任

*8:第1次伊藤、黒田、第1次山県、第1次松方、第2次伊藤、第2次松方内閣陸軍大臣、陸軍参謀総長内大臣を歴任

*9:首相、貴族院議長、枢密院議長、韓国統監を歴任

*10:第1次伊藤、黒田内閣内務相、第2次伊藤内閣司法相、首相、枢密院議長、陸軍参謀総長など歴任

*11:第1次伊藤内閣外相、黒田内閣農商務相、第2次伊藤内閣内務相、第3次伊藤内閣蔵相など歴任

*12:台湾総督、第3次伊藤、第1次大隈、第2次山県、第4次伊藤内閣陸軍大臣、首相、内大臣など歴任

*13:第2次伊藤、第2次松方、第1次大隈内閣で内務相

*14:黒田、第1次山縣、第1次松方内閣逓信相、第2次伊藤内閣農商務相を歴任

*15:菅内閣で厚労副大臣

*16:ただし明らかに自民党とは今もつながりがあるとみていいでしょう

*17:田中内閣防衛庁長官福田内閣科学技術庁長官、大平内閣行政管理庁長官、中曽根内閣通産相、竹下内閣外相などを経て首相

*18:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相

*19:第1次安倍内閣農水大臣政務官、第3次安倍内閣厚労副大臣など歴任

*20:第一次安倍、福田、麻生内閣厚生相、都知事を歴任

*21:橋本内閣労働相、森内閣国家公安委員長、第一次安倍内閣文科相自民党幹事長(福田総裁時代)、福田内閣財務相衆院議長を歴任

*22:小渕、森内閣運輸相、小泉、福田、麻生内閣経産相自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)を経て幹事長

*23:中曽根内閣文相、宮澤内閣通産相、村山内閣建設相、自民党総務会長(橋本総裁時代)、幹事長(小渕総裁時代)などを経て首相

*24:鳩山、菅内閣外相、民主党幹事長(菅代表時代)、野田内閣副総理・行革相、民主党代表代行(海江田代表時代)、民主党代表など歴任