今日の産経ニュースほか(6/6分)(追記・修正あり)

■作者の思想や言動と作品は原則的に切り離すべき 「リトル・トリー」と「二度目の人生」(三浦の個人ブログ)
http://miura.trycomp.net/?p=4700
・「作者の思想や言動と作品は原則的に切り離すべき」つうのは、むしろ「三浦のウヨ仲間」が敵視する

・画家のいわさきちひろ氏(共産党員)
・「男はつらいよ」「幸福の黄色いハンカチ」「たそがれ清兵衛」などで知られる映画監督・山田洋次氏(共産党支持者)
週刊金曜日編集委員を務めた作家の井上ひさし氏やマンガ家の石坂啓

などについて三浦自らウヨ仲間に「彼らの政治志向と作品評価は切り離せ」とはっきり言ってほしいですけどねえ。
 あるいは「杉田水脈らによる、山口二郎氏、松島泰勝氏らへの酷い誹謗」などについて三浦自ら杉田らウヨ仲間に「彼ら、安倍批判派学者の政治志向(アンチ安倍)と研究成果の評価は切り離せ」とはっきり言ってほしいですけどねえ。
 もちろん「虚言常習」三浦には何一つ期待してませんけど。id:noharra先生もよく三浦なんぞと付き合えるもんです。
・しかしウィキペ「いわさきちひろ」を見て驚きましたが

いわさきちひろ
1950年:文部大臣賞(紙芝居『お母さんの話』)。
1959年:厚生大臣賞(紙芝居『お月さまいくつ』)。
1961年:サンケイ児童出版文化賞(絵本『あいうえおのほん』)。

なんですねえ。さすがにいわさきちひろレベルだと「日本政府や産経」も評価せざるを得ないんでしょうか。
・下でも書きましたが「二度目の人生を異世界で」は中韓ヘイトアニメなのでそんな三浦の言い訳は詭弁でしかありません。「三島事件と三島小説の評価は別」のような言い訳は成り立ちません。
 そもそも三浦が

私は、この小説も読んでおらず、ツイッターも観ていないので、直接この問題には触れません。

などと言い訳して、逃げを打ってる時点で話になりませんが。id:noharraこと八木孝三のバカもよくもまあ三浦が役員を務める極右団体「守る会」の会員なんかやれるもんです。id:noharraはクズでバカで恥知らずとしか言い様がありませんね。

 彼はKKKの過激な分派組織を設立しています。ただ、このグループは残酷な殺人事件を起こし、内ゲバの中解体していき、カーターも組織を去ったようです。
 政治活動に挫折したのち、カーターは名前も変え、家族とも距離を取り、小説を書き始めます。

という話ならば「作者の思想や言動と作品は原則的に切り離すべき」とはいえないでしょうね。
 カーターの反省が必要十分かはともかく、「KKK分派時代」と「小説リトル・トリー執筆時代」では明らかにカーターの考えは「過去の差別を反省する方向」に変わっていると思われるからです。
 「二度目の人生を異世界で」のウヨ作者とは話は全然違います。まあこういう件で名前を出すなら「百田尚樹の娯楽作品」でも出せばいいでしょうが、「やしきたかじんの件」などで今やウヨ業界においても百田は「厄介者扱い」なんでしょうか?

 人種隔離政策を主張するアラバマ州知事のジョージ・ウォレスのスピーチライターを務めていたこともありました

 なお、ウィキペディア「ジョージ・ウォレス」によれば

・1982年の州知事選挙では今までの誤りを認めたため黒人からも投票され再選した。知事に就任後は公約通り黒人を州政府に登用した。
・晩年はキリスト教の信仰に目覚めたことなどから1995年、ウォレスは自身が命じたことで起きた、いわゆる「血の日曜日事件」の記念式典に病をおして出席、知事時代の人種隔離政策が誤っていたことを謝罪し、黒人指導者達と手を取り合った。

そうです。


■「二度目の人生を異世界で」アニメ化中止に 作者がヘイト発言で謝罪 主要声優が一斉降板
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180606-00000094-it_nlab-ent

 10月から放送予定だったテレビアニメ「二度目の人生を異世界で」の放送と製作が中止になったことが6月6日に公式サイトで発表されました。

 大変いいニュースだと思うので紹介しておきます。さすがに4人もの主演予定声優が一斉に降板発表という事態をリカバリーはできなかったのでしょう。


朝日新聞『アニメ化決定のラノベ、出荷停止 原作者が差別ツイート』
https://www.asahi.com/articles/ASL665GKQL66UCLV00G.html

 アニメ化が決まっていたライトノベル二度目の人生を異世界で」の原作者が、中国や韓国に対する差別的な発言をしたとして、出版元のホビージャパンは6日、これまでに刊行された計18巻を出荷停止にすることを決めた。
 5月下旬のアニメ化発表後、過去に原作者の「まいん」氏がツイッターに、「中国人が道徳心って言葉を知ってたなんて」「日本の最大の不幸は、隣に姦国という世界最悪の動物が住んでいること」などと投稿したとネット上で指摘された。

 なお、■読む・考える・書く『TVアニメ化されるというラノベ二度目の人生を異世界で』の設定がひどすぎて目眩がする』
http://vergil.hateblo.jp/entry/2018/06/05/211819によれば何もこうした差別暴言は「作品と関係ない」訳では全くなく、作品内容ももろに中国、韓国差別だそうです。
 したがって

三島由紀夫作品といわゆる三島事件の評価は別

のような「作品と作者の人間性は別」という言い訳は今回は明らかに成立しません。

http://vergil.hateblo.jp/entry/2018/06/05/211819
日中戦争中に3000人を日本刀で斬り殺した」という主人公が異世界に転生してまた殺戮する内容の新アニメ『二度目の人生を異世界で

つうのはどう考えても正気じゃないでしょう。
 そんな代物が「過去に計18巻」つうのもいい加減呆れますがTVアニメ化ねえ(どこのテレビ局でしょうか?。「ニュース女子のMX?」)。日本人であることに何つうか、つくづくげんなりします。
 とはいえ

http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1806/06/news076.html
 10月から放送されるテレビアニメ「二度目の人生を異世界で」の声優4人が、6月6日10時に一斉に公式サイトやTwitterで降板を発表しました。声優の降板を発表したのは、主人公・功刀蓮弥役の増田俊樹さん、ローナ=シュヴァリエ役の中島愛さん、シオン=ファム=ファタール役の安野希世乃さん、創造主役の山下七海さん。

というのはまあそれなりに声優とその所属事務所を評価してもいいでしょう。
 「人権意識の表れ」か「こんなもんに加担したら中韓のアニメファンを無駄に敵に回す*1し、日本のアニメファンだってウヨばっかじゃない。人権とか政治的妥当性とか以前に金儲けに反する、と考えた」かはともかく彼ら声優とその所属事務所には「引き受ける前に断る良識」は残念ながらなかったものの、「ここまで問題化しても引き受ける」程のバカではなかったわけです。
 降板理由を詳しく説明しないのはウヨともめたくないからでしょう。そこは腰が引けていますが、まあ、何度も言うようにそれなりに評価はしたいと思います。しかしこの4人について「誰それ?」状態のおっさんの俺です。あまり声優って興味ないですしねえ。
 しかも、ウィキペディアによれば

増田俊樹(1990年生まれ)
・2011年4月、テレビ東京系アニメ『遊☆戯☆王ZEXAL』の神代凌牙役でテレビアニメ初レギュラーを獲得。2013年、フジテレビの深夜アニメ枠『ノイタミナ』で放送された『サムライフラメンコ』の羽佐間正義役でテレビアニメ初主演。
中島愛(1989年生まれ)
・2007年、アニメ「マクロス」シリーズ新作のヒロインを決める「Victor Vocal&Voice Audition」に応募。約5,000通の応募の中から合格者に選ばれ、2008年放送のTBS系アニメ『マクロスF』にてランカ・リー役で声優デビュー。
安野希世乃(1989年生まれ)
・2011年、アニメ映画『キズナ一撃』の轟キズナ役で主役デビュー。
・歌手としてもアイドルマスター シンデレラガールズ木村夏樹役)、ワルキューレカナメ・バッカニア役)など複数の声優ユニットに所属し、2017年7月にミニアルバム『涙。』でソロデビュー
山下七海(1995年生まれ)
・2012年の高校2年時に声優オーディションへの応募を決意。同年開催された『avex×81produceWake Up, Girls! AUDITION」第2回アニソン・ヴォーカルオーディション』に合格。2014年にアニメ映画『Wake Up, Girls!』のメインヒロインの1人である久海菜々美役で声優デビュー。声優ユニットWake Up, Girls!」としても活動中。

ですからねえ。「若者向け(?)アニメ中心の仕事」「最近本格デビューの若手声優(20代)」なんてのは「その種のアニメはまず見ない」オッサンの小生の生活範囲から外れますのでね。彼らのやってるアニメは「見てない」以前に「全く知らない」ので。

参考

http://d.hatena.ne.jp/kanimaster/20100429/1272470913
手塚治虫 『マンガの描き方』*2

 漫画を描くうえで、これだけは絶対に守らねばならぬことがある。
 それは、基本的人権だ。
 どんなに痛烈な、どぎつい問題を漫画で訴えてもいいのだが、基本的人権だけは、断じて茶化してはならない。
 それは、
 一、戦争や災害の犠牲者をからかうようなこと。
 一、特定の職業を見くだすようなこと。
 一、民族や、国民、そして大衆をばかにするようなこと。
 この三つだけは、どんな場合にどんな漫画を描こうと、かならず守ってもらいたい。
 これは、プロと、アマチュアと、はじめて漫画を描く人とを問わずである。
 これをおかすような漫画がもしあったときは、描き手側からも、読者からも、注意しあうようにしたいものです。
 手塚治虫 『マンガの描き方――似顔絵から長編まで』


【ここから産経です】
自民党石破茂元幹事長 合区継続・定数6増の党改正案に批判の立憲を一蹴
https://www.sankei.com/politics/news/180606/plt1806060032-n1.html
 いくら産経がアンチ野党とはいえ「一蹴」ねえ。何で普通に「反論」などと書けないんでしょうか?


■【明治150年】第3部 法律(5)江戸時代の道徳、戦後も残る 刑法、尊属殺重罰規定
https://www.sankei.com/affairs/news/180606/afr1806060003-n1.html
 さすがに今の産経は尊属殺重罰規定を擁護はしないわけです。


滋賀県知事選、7日告示 再選目指す現職と共産推薦新人の一騎打ちか
https://www.sankei.com/west/news/180606/wst1806060109-n1.html
 まーた「共産以外皆相乗り」だそうです。政治不信を助長する愚行も大概にしてほしいですね。


■【新潟県知事選】新潟知事選テコ入れ 二階俊博幹事長が新潟入り 総裁選視野「まるで派の選挙」
https://www.sankei.com/politics/news/180606/plt1806060025-n1.html
 当初は二階氏*3のような大幹部が行かなくても「野党系の前知事が不祥事辞任なので」勝てる、むしろ下手に行くと「県民党アピールができず、加計森友批判も浴びて逆効果になる」と思っていたのかもしれませんが、「行った」というあたりは勝敗について、微妙なのでしょう。
 かつ「負けても安倍と主流三派は『国政と関係ない』と居直る」でしょうが、負けた場合の「石破、石原、岸田、野田*4、小泉jr」らポスト安倍扱いされるメンツや、竹下派(竹下*5自民党総務会長が会長)など「細田*6派、二階派、麻生*7派の主流三派に敵対もしないが距離を置いてる派閥」、野党、マスコミ報道の動きをやはり恐れてるということです。
 是非野党陣営に勝利してほしいもんです。
 安倍が行かないのはやはり「負けたときの保険」でしょう。安倍が行って負けたら安倍おろしを助長する恐れがある。安倍とはそういう小心者でしょう。
  なお、現地入りしても二階氏が回るのは業界団体ばかりで、応援演説は避けてるつうのが興味深いですね。加計森友疑惑もあって自民党を前面に出すことはメリットがないと判断してるわけです。
  しかし、そんなんでいいんですかね?。そんな「自民隠し」をするくらいなら安倍など切って捨てて、石破*8元幹事長でも石原*9元幹事長でも岸田政調会長(前外相)でも、とにかく安倍以外に変えた方がよほどいいと思いますが。


■【受刑者脱走】センサーで逃走防止図る GPSは見送り「受刑者に対する信頼という前提が失われる」 法務省
https://www.sankei.com/affairs/news/180606/afr1806060024-n1.html
 まあ産経じゃあるまいしGPSなんてもんはそう簡単に認めるべきもんではないでしょう。


■【政界徒然草】「法的措置」の前に“潔白”の説明は? 加戸前愛媛県知事の玉木*10、福山*11両氏「献金でブレーキ」発言で場外戦
https://www.sankei.com/premium/news/180606/prm1806060005-n1.html
 名誉毀損行為に対し刑事告発でアレ民事訴訟でアレ、法的措置を執ることは何ら非難されることではない。そもそも確信犯的に名誉毀損をやってる産経や加戸のような輩は誤解してるわけではないのだから、「潔白だ」と主張しても説得しようがない。法的措置をしなければ「法定措置をできる材料がないのだからしないのだ」と居直るのが産経や加戸らです。先日の植村氏*12に対する産経の記事訂正も「法的措置の成果」です。植村氏が訴えなければ今も産経は居直っていたでしょう。そもそも「自分の主張に自信がある」のなら「法廷で自分の主張を訴えられる」という意味でむしろ法的措置は願ったり叶ったりではないのか。自信がないから「訴えるな」と泣き言を言い出すわけです。
 まあ一般サラリーマンだと「訴訟が負担になる」つうこともあるでしょうが、加戸の場合「元知事」という権力者ですからいくらでも弁護士は雇えそんな負担もないでしょう。まあそれ以前に根拠レスで誹謗した加戸の自業自得ですが。


■【産経抄】6月7日
https://www.sankei.com/column/news/180607/clm1806070003-n1.html

 犯罪被害者への補償は今も「一時給付」の色が濃く、国が完全補償するフランスなどにはほど遠い。

 つまり「あすの会」はそうした経済支援方面については全く無関心であり、そのことが解散を招いたと言うことでしょう。「一定の成果を達した」なんて岡村発言は「岡村ですら信じてない詭弁」でしかありません。
 そういう意味で「あすの会」の解散は自業自得ですし、むしろまともな被害者支援の立場からすれば「朗報」ですらあります。


■【主張】「あすの会」解散 課題は社会全体で継承を
https://www.sankei.com/column/news/180606/clm1806060001-n1.html

 犯罪被害者や遺族らで作る「全国犯罪被害者の会あすの会)」が、18年余の活動を経て解散した。被害者の権利を明記した犯罪被害者等基本法の成立など所期の目的を果たしたことや、会員の高齢化が主な理由だ。

 「所期の目的を達した」はまあいいでしょう。以前も指摘しましたが「会員の高齢化」というのは極めておかしな話です。
 なぜなら「広島・長崎被爆者の会(被爆者の高齢化)」「ハンセン病被差別者の会(医療の進歩で差別を受けるハンセン病者などいない)」「北朝鮮拉致被害者家族会(北朝鮮が拉致を辞めたので新規の拉致被害者家族などいない)」などと違い、「会員が限定されるような問題」ではないからです。
 まともな団体なら「犯罪被害者は毎日生まれてる」のだから会員が減るわけもなく、高齢化することなどない。なんらかの理由で「会に新規会員が入りたがらないか」、逆に「会の方が新規会員を入れたがらないか」、そういう理由での高齢化でしょう。要するに「あすの会がまともではない」という話です。

あすの会の顧問で、被害者遺族でもある岡村勲弁護士は今後の対策について「国や国民が考えてほしい」と述べた。課題は、社会全体でしっかりと引き継ぎたい。

 「はあ?」ですね。何も犯罪被害者支援団体は岡村の「あすの会」以外にもいくらでもあるわけです。岡村は何を思い上がって勘違いしてるのか。
 まあ勘違いと言えば「あすの会」を持ち上げる産経も勘違いしていますが。

あすの会が声をあげるまで、犯罪被害者は社会から疎外されていた。

 「あすの会」以前にも犯罪被害者支援団体はあったし、「過大評価は禁物ですが」一定の成果もありました。いつものことですが産経のデマです。
 素人の俺ですら知ってる有名なものとしては映画『衝動殺人 息子よ』で描かれた犯罪被害者給付金制度がありますね。

参考

■『衝動殺人 息子よ』(ウィキペディア参照)
 1979年(昭和54年)に公開された日本映画。1978年(昭和53年)に『中央公論』で連載された佐藤秀郎「衝動殺人」(後に1979年、中公文庫)が原作。製作は松竹・TBS、監督は木下惠介*13、主演は若山富三郎高峰秀子。この映画で若山はブルーリボン賞毎日映画コンクール日本アカデミー賞などの主演男優賞を受賞した。また同じく主演の高峰は、この映画を最後に女優引退を発表した。この映画が世論を動かし、犯罪被害者給付金制度の成立(1980年)に貢献したとも言われる。
■あらすじ
・町工場を経営する川瀬周三(若山富三郎)、雪枝(高峰秀子)夫婦の一人息子・武志(田中健)は、友人と近くの釣り堀に出かけた帰り道で、通り魔に腹部を刃物で刺され死亡する。
 犯人は少年で、ヤクザ者にけしかけられ、誰でも良いから殺そうとした、というのが犯行動機だった。その暴力団関係者を警察は呼び出して詰問するが、組に入りたければ何でも良いから大きなことをしろ、と言っただけで、人を殺せとは言っていない、と責任回避してしまったので、警察も暴力団に対してこれ以上の追及はできなかった。
 事件の理不尽さに精神的な打撃をうけた周三は、役所の無料法律相談に行く。そこでの回答は、現在の日本の制度だと、犯罪の被害者が公的な補償を受けられるのは、捜査や逮捕で警察に協力したり、検察側の証人として裁判で証言したことで恨まれ殺傷されるなど、お上に協力したために遭った被害についてのみ。あまりにも冷たいと感じた周三は、法律が間違っているのではないかと考え、その日から法律の専門書を買い集めて独学を始める。
 さらに周三は、自分と同様に子供を通り魔に殺害された者がいると松崎記者(近藤正臣)から聞き、その中沢(藤田まこと)という人物を訪ねる。中沢の娘を襲った犯人は、警察の取り調べに対して、むしゃくしゃしていて誰でも良いから殺してやろうと思い刃物を持って出たと証言した。中沢の話を聞いた周三は、自分の息子の事件と共通していると感じたが、しかし中沢は娘を亡くしても他に息子がいるそうなので、跡取りの一人息子を亡くした自分よりはまだマシだ、という意味のことを周三は言って中沢を傷つけてしまう。周三は自分ばかり哀れんでいたことを反省し、もっと犯罪被害者の遺族に会って幅広く事実を知ろうと決意する。
 彼は工場の売却で得た資金で全国を行脚し、何年もかけて大勢の被害者遺族に面会した。すると家族を亡くして悲しんでいるだけでなく、働き手を失い経済的困窮に見舞われている者が少なくないことがわかった。そして周三は、犯罪学を研究する同志社大学教授の中谷勝*14加藤剛)に会い、犯罪の被害者とその遺族に対して国が補償をする制度を創設するべきだという持論を聞いた。これに共鳴した周三は、犯罪被害者の遺族たちに協力を呼びかけ、賛同の署名を集め、請願書を国会に提出する。
 そして国会で証言した周三は、ついに政府を動かすことになる。しかしその直後に心筋梗塞で倒れた周三は、武志が亡くなったのと同じ病院で66年の生涯を閉じる。

■大谷實(1934年〜:ウィキペディア参照)
同志社大学名誉教授。同志社大学法学部長、総長を歴任。
同志社大学の教員となり、イギリス留学後、日本において早くから犯罪被害者の支援活動に取り組み、犯罪被害者等給付金支給法の制定に尽力した。この過程が木下恵介監督の映画『衝動殺人 息子よ』に描かれている。この映画のなかで大谷は中谷勝教授(配役は加藤剛)として登場する。その後も被害者支援に奔走。その熱意は、電話相談や給付金申請補助を行なう社団法人京都犯罪被害者支援センター(http://kvsc.kyoto.jp/)設立に結実した。現在も同法人の理事長の他、全国被害者支援ネットワーク(https://www.nnvs.org/)特別顧問を務めている。
 なお京都犯罪被害者支援センター設立に動こうとした際、刑事被告人の権利確立を優先させるべきであるとする団藤重光*15(1913〜2012年)に「大谷君、10年早い。」と言われ、言葉どおり10年を待って設立したという逸話がある。
■著書
・『我が人生、学問そして同志社』(2012年、成文堂)、『同志社総長『思い』を語る』(2016年、成文堂)など

http://sugoihito.or.jp/2014/06/8373/
■学校法人同志社の総長を務め学校改革をしたスゴい人!
 学校外の活動では、犯罪被害者の救済の運動にも力を注ぎました。
 40年程前は、今とは状況が違って犯罪の被害者の存在はクローズアップされておらず、損害賠償の実態調査をしたら、ほとんどもらえていなかった。
 裁判をやっても金ばかりかかると泣き寝入りする人が大半でした。
 イギリスでは、犯罪被害者救済の制度が普及していることを知り、留学して調査をしました。
 知れば知るほど、日本にも導入しなければいけないと思いました。
 帰国後に刑法学会でまとめて発表したけれど、最初は誰も知らん顔でした。
 この問題をそのままにしても、被害者の環境は改善されないので、諦めずチャンスを待ちました。
 もう一度発表する機会をもらった時には、否定的な意見も言われましたが、学界の権威のある方から「大谷君は犯罪被害者(ボーガス注:支援)の母になる。すぐにやりなさい」と言ってもらいました。
 それから法務省と警察が動き出し、実際に制度が出来上がるまでに10年かかりました。
 私は、これは何としてもやらなならんということは比較的実現してきた人生だと思います。
 そのためには、自分で“しなければならない”と決意を持つことが大切ですね。
 誰でもそのような志を持っているはずです。
 志を決めたら、決断して実行に移すこと、これが大事です。

https://blog.goo.ne.jp/langberg/e/75fdac204261f4212d5c4f835ed2de37
■【映画】衝動殺人 息子よ
(前略)
 この大阪行きが周三たちに取って、ひとつの転機になりました。夫を猟銃で殺されたという奥さん(中村玉緒)は、国と大阪府に訴訟を起こしているというのです。
「これは義務やと、思うようになりましてん」
「義務?」
「ええ、中谷先生の言わはるとおり、補償請求は被害者の遺族として、当然の権利やから、それのできるもんは怠ったらアカンと思います。世の中にはおんなじような目にあいながら、泣き寝入りしてる人がぎょうさん、いてはりますやろ。その人らに対する義務ですわ」
「あの、お話の中谷先生という人は?」。
 早速、その中谷先生を訪ね、京都の同志社大学に行く二人。中谷先生によると、なんと殺人事件の被害者のうち、三人に一人が理由もなく殺されているというではありませんか。そして、それを「一種の風土病のようなものだと考えています」と考えている中谷先生は、殺人を防ぐことができないなら、せめて保険を掛けようと言うのです。
「保険ですか?」
「わざわざ掛ける必要はありません。国民は本来、そういう保険に入っているのです。掛け金は税金です」。
 目からウロコが落ちた気分の周三に中谷先生は言います。
「これからは、ご一緒に力を合わせて頑張りましょう」。
(中略)
 この映画の主人公・周三のモデルになったのは、市瀬朝一さんという方です。そして、実際にその市瀬さんが、衆院の法務委員会で陳述した内容を、以下に載せたいと思います。
■第075回国会 法務委員会 第29号 より市瀬朝一さんの発言のみを抜粋
○市瀬参考人
 私は横浜在住の市瀬朝一と申します。
 私がなぜこの運動を始めたかということについてちょっと申し上げたいと思いますが、私は、たった一人の二十六歳のせがれを、十九歳の、しかも少年院を出たり入ったりしておった人間に、うちのすぐそばの橋の上で刺し殺されたのでございます。そうして、そのときはまだ息があったのですが、病院へ収容されまして二十時間後に息を引き取りました。その息を引き取る寸前に、私の手をしっかり握りまして、「おやじ、くやしいから、かたきをとってね」と言って、その言葉を残して死んだのでございます。私は、たった一人の、天にも地にもかけがえのない、二十六歳までも育てて、私の手足となって現場の方で働いておった人間に先立たれて、もう生きる望みもなくなったのでございます。葬式も、本当に無我夢中のうちに、近所の方々の御親切によりまして終わり、初七日、四十九日になりましてようやく、せがれがわが家からいなくなったという実感がわいてまいりまして、せがれの残したこの言葉を親として何とかかなえてやりたい、それが頭にいっぱいでございました。
 そうして、九月の中旬になりまして、事件当時私宅へ時たまお見えになりました新聞社の記者の方から、あすはおたくの犯人の第一回の公判がありますよと教えていただきました。どんな犯人がうちのせがれを殺したのか、顔を見るつもりで行ったのでございますが、初めて私は法廷というところへ行ったのでございます。行ってみて、生と死というものに対して余りの区別のあるということを私はつくづく感じたのでございます。死んだ者の方の遺族に対して一片の公判の通知さえもないのに、犯人には国選弁護人をつけられ、顔を見ればまるまると太った血色のいい顔をして、人一人あやめたような顔もせずに薄ら笑いを浮かべている犯人を見まして、私は本当に腹が立ちました。第二回目、第三回目と、本当に、長い廊下を看守に連れられてくるところを、横におって、横腹を、せがれと同じところをひとつ刺してかたきをとってやろうと思いましたが、いろいろ考えるとそのこともできず、さてどうしたらこのせがれの言葉に対して親が報いてやれるかということを考えまして、そうして十二月も押し詰まって、家内とともども相談いたしまして、終戦後二十一年間、私と同じような悲しみ、怒りを持った遺族の方が大ぜいいらっしゃるに違いないのに、だれ一人この運動を始めようと思った人はないのです。よし、それだったら、この方々のためにも私はこれからの生きがいをこの運動にかけようと決心いたしました。
 そして、明くる四十二年の一月十二日から家庭訪問を始めたのでございます。そして四十二年の六月四日に鶴見公会堂を借りまして、殺人犯罪撲滅推進遺族会というものを結成いたしました。そのときはまだ遺族の数は十三家族でございましたが、一般の方々も三百名以上お集まりいただきまして、来賓の方々も、市長代理、県警、そして県会の方々、また民社党の門司亮*16先生等もおいでいただきまして、その当時はなかなか華々しくいったのでございますが、何としてもこの運動はむずかしゅうございまして、それでその年の十二月二十日ですか、六月ごろから皆さんの方に署名簿を郵送いたしまして、皆さんから五十名、百名と署名をいただきまして、それを国会に請願いたしました。そのときは、東京におられる遺族の知り合いである自民党の濱野*17先生を紹介人にお願いいたしまして、当時石井光次郎*18先生が(ボーガス注:衆院)議長だったかと思いますが、提出したのでございます。そして翌四十三年、回答文が寄せられたのでございますが、一回ぐらいの署名、請願で私たちの思うことが通ろうとは毛頭思っておりませんでしたので、それを手始めに何回か署名運動をやろうといたしましたが、いかんせん私たちは本当の素人でございまして、その様式すらわからないものでごぎいますし、また、同じ文句では二度と受理いただけないということがわかりまして、そのままになりました。
 それから後、私は関東一円、福島、岩手、山形、青森、秋田、新潟、山梨、長野、静岡、愛知、岐阜、これだけの間をせっせと歩き回りまして遺族の方々をお訪ねしたのでございます。一家の御主人を亡くして、もう本当に惨めな家庭を私はこの目で見たり聞いたりしてきております。そうしたときに、生きている犯人に対してはあれだけの恩典がある*19のに、何もしないのに殺された家庭に対して何の恩典もないというのは余りにも不公平ではないかということをつくづく感じたのでございます。ですが、なかなかこの運動も思うようにいかず、私も一、二度やめようと思ったこともございますが、またそうした母子家庭の苦しい家庭のことを考えてみますと、もし私がこの運動をやめたら、だれがあとこの運動を続けてくれるだろうか、何が何でもがんばらなければならないと心に誓いました。ですが、なかなかこの運動の壁も厚く困っていたやさき、京都において大谷*20先生の肝いりで遺族会が誕生したという新聞記事を見まして、早速先生と連絡をとりまして、そして先生にお会いいたしまして、合同いたして今日に至っております。
 その間、昨年十一月三十日には同志社大学学生会館におきまして近畿集会を開き、そして本年二月二日には東京で関東甲信越集会を開きまして、そして六月一日には、私どもの運動の一環として、大阪へ行きましてチラシなどを配布いたしてまいりましたが、初めてのことでなかなか思うような成果も上がりませんでした。続いて十五日に東京渋谷で同じようにどうの配布をいたしました。そして、多少なりともカンパをいただけたらば、それを母子家庭のお子さん方に分け与えてあげたい。金額は少なくとも、同じ同志の方々が街頭で募金されたその金を、ぼくたち、私たちにくれたと思えば、そのお子さんたちがこれから成長していく過程においでどれだけためになるかということを考えてやったのですが、世間の風は冷たく、東京から五名で行きまして往復電車賃が五万円、向こうでいただいたお金は八千円でございました。東京ではやはり十何名の方々に手伝っていただきましてビラまきをしたのですが、そのときは三千三百円でございました。このようではビラ代にも当たらないような始末でございまして、私たちの心持ちが遺児たちに通じないような結果になっておりますが、今後は、私たちはこれに負けずに強力に運動を進めていきたいと思います。
 そして、最後にお願いしたいのは、どうかこの立法を一日も早く成立さしていただきたいということでございます。そうして、私たち十年選手、もっと古い方も会員の中におりますが、どうかこの適用範囲を大幅に広げていただいて、せめて二十年ぐらいまではさかのぼって実施をお願いしたい、これがいまの私の切なるお願いでございます。どうかよろしくお願いいたします。(拍手)

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 詳細は、国会会議録検索システム(http://kokkai.ndl.go.jp/)で、ご覧になれます。

*1:以前、人民日報に■『声優の柿原徹也八代拓、「イケメンボイス」で中国ファンを鷲掴み』(http://j.people.com.cn/n3/2017/0724/c94473-9245656.html)なんて記事が載りましたが、柿原氏(1982年生まれ)、八代氏(1993年生まれ)のような中韓進出を考えればこんな中韓差別アニメには到底協力できないでしょう。もちろん小生はオッサンなので柿原、八代氏についても全く知りません。

*2:1996年、光文社知恵の森文庫

*3:小渕、森内閣運輸相、小泉、福田、麻生内閣経産相自民党総務会長(第2次安倍総裁時代)などを経て自民党幹事長

*4:小渕内閣郵政相、福田、麻生内閣消費者問題等担当相、自民党総務会長(第2次安倍総裁時代)を経て第4次安倍内閣総務相

*5:第3次安倍内閣復興相、自民党国対委員長を経て総務会長

*6:小泉内閣官房長官自民党幹事長(麻生総裁時代)、総務会長(第二次安倍総裁時代)など歴任

*7:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)などを経て首相。現在、第二〜四次安倍内閣副総理・財務相

*8:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第3次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*9:小泉内閣国交相自民党政調会長(第1次安倍総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次安倍内閣環境相、第三次安倍内閣経済財政担当相など歴任

*10:希望の党代表などを経て国民民主党共同代表

*11:鳩山内閣外務副大臣菅内閣官房副長官民主党政調会長(海江田代表時代)などを経て立憲民主党幹事長

*12:著書『真実:私は「捏造記者」ではない』(2016年、岩波書店

*13:1954年(昭和29年)には『二十四の瞳』でブルーリボン賞作品賞、毎日映画コンクール日本映画大賞、ゴールデングローブ賞外国語映画賞などを受賞。同年のキネマ旬報ベストテンでは同作と木下『女の園』が黒澤明の『七人の侍』を抑えて1位・2位を独占した。

*14:同志社大学法学部長、総長を歴任した大谷實氏のこと。

*15:東大名誉教授。東大法学部長、最高裁判事東宮職参与、宮内庁参与など歴任。著書『この一筋につながる』(1986年、岩波書店)、『死刑廃止論(第6版)』(2000年、有斐閣)、『「改正」少年法を批判する』(共著、2000年、日本評論社)など。団藤氏の死刑廃止論についてはたとえば■『故・団藤重光さんを死刑廃止論者に変えた発言の主が新証言「人殺しとは言っていない」』(https://www.bengo4.com/c_1018/n_6104/)参照

*16:神奈川県議を経て衆院議員(神奈川県選出)。民社党国会議員団長、民社党顧問など歴任。

*17:田中内閣法相を務めた浜野清吾のことか?

*18:吉田内閣商工相、運輸相、岸内閣行政管理庁長官、池田内閣通産相、佐藤内閣法相、衆院議長など歴任

*19:まあ、「恩典」云々とは、かなり一面的な見方ですが、犯罪被害者遺族という立場を考えれば仕方がないでしょう。

*20:同志社大学法学部長、総長を歴任した大谷實氏のこと。