「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2020年9/18日分:荒木和博の巻)

拉致問題担当大臣について(9月18日のショートメッセージです): 荒木和博BLOG
 7分程度の動画です。「拉致担当相とはどんな役職なのか」について、荒木の動画とは関係なく俺の考えを書いておきましょう。
 拉致担当相は何をやるのか(拉致問題対策本部 - Wikipedia参照)。
 「北朝鮮との外交交渉で拉致被害者を取り戻すのか?」
 違いますね。外交交渉をするのは外相であり、歴代拉致担当相は「外相の兼務」ではありません。
 では「犯罪捜査で拉致実行犯を逮捕起訴するのか?」
 違いますね。もちろんそんなことはもはや事実上、不可能でしょうが、それはともかく。犯罪捜査をするのは検察または警察であり、検察を所管するのが法相、警察を所管するのが国家公安委員長です。
 そして国家公安委員長や法相が「拉致担当相を兼務するわけでは必ずしも無い」。「鳩山、菅内閣の中井ハマグリ国家公安委員長」「菅内閣柳田法相」「野田内閣の田中慶秋法相」「安倍政権の古屋、山谷、河野*1国家公安委員長」などが拉致担当相を兼務したことはありますが。
 では「帰国した拉致被害者(蓮池夫妻、地村夫妻、曽我さん)とその子どもたちの生活保障か?」。
 これも違いますね(まあ、荒木ら巣くう会や、横田奥さんら家族会はどう見てもそう言う方面には関心はなさそうですが)。それは厚労相の仕事であり、厚労相は「拉致担当相を兼務するわけでは必ずしも無い」。加藤厚労相(当時。現在、菅内閣官房長官(拉致担当相兼務))が拉致担当相を兼務したことがありますが。
 では拉致担当相の仕事は何かと言えば事実上「救う会、家族会のお世話係(しおかぜ放送への補助金投入、救う会主催集会への出席など)」と「北朝鮮人権侵害問題啓発週間 - Wikipediaなどでのイベント開催(一般国民相手の啓発事業)」しかありません。つまりは拉致担当相というご大層な名前でも事実上、拉致の解決に直結する仕事は何もやってないわけです。
 拉致担当相が、巣くう会集会に出席したりして、救う会や家族会にへいこらして連中のご機嫌取りしようが、一般国民相手にアニメ映画「めぐみ」を上映したり、横田奥さん講演会を実施したりして啓発しようがそんなことは拉致の解決に何一つ直結しない。
 「外国人差別」「障害者差別」「女性差別」など、一般の人権問題なら「差別は辞めよう」「人権を守ろう」という啓発に一定の意義はあるでしょう。
 「差別する人間=日本に住む一般国民」だからです。日本に住む一般国民が「俺は差別しないし、他の日本国民が差別することも許さない」と思うことで事態の改善が期待できる。
 もちろん啓発だけで全てが解決することはあり得ませんが。「ヘイトスピーチ禁止法の制定(外国人問題)」「ホームドアの設置(障害者問題)」「DV防止法の制定(女性問題)」など制度や設備の整備も重要な話です。当然場合によってはそれなりのお金もかかる。
 いずれにせよ、拉致問題は「北朝鮮は酷い国だ」、「拉致被害者家族がかわいそう」だの啓発して解決する類の話では無い。
 なぜなら「拉致した人間は日本に住む一般国民では無いから」です。日本に住む一般国民が北朝鮮政府相手に何ができるのか。何もできることは無い。啓発されても「拉致被害者やその家族はかわいそうだねえ、でも俺には彼らのためにできることは何もないから。以上」「さようなら、さようなら、元気でいてね(都はるみ風に)」でしかない。何もできないから「さよならする」しかないし「元気でいてね」と元気であることを祈るしか無い。
 さて、荒木曰く「加藤官房長官は安倍政権厚労相時代に拉致担当相を兼務していたが、特定失踪者に会ってくれなかった」「加藤さんは拉致議連メンバーじゃ無かった(要するに安倍の子分とは言え、加藤氏は古屋や山谷のような極右とは違います)」と先ずは悪口です。
 その上で「今度こそ特定失踪者家族に会って欲しい、会えば加藤さんは見直す」。まあ会わないでしょうねえ。もはや荒木はこういう泣き言をぼやく以外に手がないわけです。

*1:第三次安倍内閣国家公安委員長、第四次安倍内閣外相、防衛相を経て、現在、菅内閣行革相