「今、アフリカビジネスが熱い」らしい(追記・訂正あり)

拙記事『新刊紹介:「経済」8月号(その2:一帯一路特集号・その2)』
http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20180715/5421309876
で、
NHK『“中国化”するアフリカ 習近平の“一帯一路”はいま』
http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20180715/5421309876
等を紹介し、中国がアフリカビジネスに熱い思いをもってるらしいことを紹介しました。
 何せ最近の習主席の外交先も

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018071200891&g=int
時事通信『中国主席、中東アフリカ歴訪へ』
 中国外務省は12日、習近平国家主席が19〜27日の日程で中東のアラブ首長国連邦、アフリカのセネガルルワンダ南アフリカモーリシャスの計5カ国を訪問すると発表した。

ですしねえ。
 ただし

https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/250027/082500005/
日経ビジネスオンライン『アフリカビジネス、6つの誤解』
誤解2:アフリカはブルーオーシャン
・アフリカは「最後のフロンティア」と呼ばれるが、その言葉から受ける、需要が手付かずのまま残されているという印象は、たいていの場合正しくない。ひとたびビジネスの検討を開始するとすぐに、すでに誰かが似たビジネスを行っていることに気づくだろう。
・中国はインフラや資源のみならず、アフリカにおける軽工業への投資に力を入れており、アフリカ大陸に15の工業団地を持つ。ただし、アフリカでの競争相手は中国のみではない。外資企業のみならず現地企業が先行者利益を得ている商材も多い。
 最近は、これまでアフリカとは関係が浅いと見られてきた国々の企業のアフリカ進出も目立ってきている。たとえばベトナムの通信会社ベトテルは、モザンビークの携帯通信事業でトップのシェア。アフリカで朝食として食べられているインスタントヌードルにおいて、6割を超えるシェアを持つのはインドネシアの企業インドミーだ。

https://special.nikkeibp.co.jp/as/201207/africa/prologue.html
日経ビジネスオンライン池上彰*1と歩く「アフリカビジネス」』
 いま、アフリカの新しい側面が脚光を浴びています。
 アフリカの「経済」です。
 途上国の底辺層をBOP(ベース・オブ・ピラミッド)といいますが、アフリカでは、インフラの整備に伴い、一般の人々の生活水準が向上し、生活必需品や食品などを中心に、このBOP市場が急速に成長しつつあります。
 資源面でも、価格の高騰や掘削技術の進歩により、これまで発掘できなかった深海の石油や天然ガスが開発され、さらにはレアメタルと、希少な地下資源へのアプローチが可能となりました。

https://special.nikkeibp.co.jp/as/201207/africa/vol6/page4.html
日経ビジネスオンライン田中明彦*2JICA理事長*3に聞く、成長する日本とアフリカの未来』から一部引用
■池上
 今のアフリカを語るとき、避けて通れないのが中国の存在です。21世紀に入って、中国は非常に熱心にアフリカ各地への進出を試みています。
■田中
 いま日本人がアフリカを歩いていると、ほぼ100%「ニイハオ」と声をかけられますね。10年前までは、ほぼ100%「コンチハ」だったのですが。
■池上
 中国の積極的な姿勢をどうご覧になっていますか。
■田中
 中国のアフリカ進出に関してはいろいろな意見がありますが、中国が直近10年のアフリカの経済成長に大きな貢献をしているのは確かです。
 世界中の景気が悪化した2008年のリーマンショック以降、実はアフリカの経済はさほど悪化しませんでした。それは、世界の金融市場とさほどリンクしていなかった中国の経済と、さらにいうとインドの経済がリーマンショックの影響を受けなかったことが根っこにあります。
 アフリカの資源を大量に買い付け、あるいはアフリカに積極的にモノを売り、現地進出をくりひろげているのが、中国であり、インドだからです。
■池上
 なぜ中国、そしてインドはそこまでアフリカに入れ込んでいるのでしょうか。
■田中
 それははっきりしています。アフリカの一次産品そして資源の確保が、急成長し続ける中国とインドにとっては重要課題だからです。石炭や石油、天然ガスといったエネルギー源の宝庫ですし、鉄鉱石にも恵まれています。また、中国への木材輸出も増えています。
■池上
 中国やインドの国家戦略としては、当然と言えるわけですね。中国では、国家主席に就任したばかりの習近平*4がさっそくアフリカ諸国を訪問しました。ロシアの次にアフリカ諸国を訪れたわけですから、どれだけ重視しているかがよくわかります。
(中略)
 一方で、日本側のアフリカに対する知識不足、認識不足もありますね。
 先日訪れたケニアで日本人ビジネスマンに話を伺う機会がありました。アルジェリアのテロの後にはみな「そんな危険なところにいないで、日本へ帰ってこい」と言われたそうです。でも、地図を見ればすぐわかるのですが、アルジェリアの緯度は日本と変わりません。
 一方、ケニアは赤道直下。インドネシアと同じ緯度です。同じ大陸にあるとはいえ、日本とインドネシアくらい物理的には離れている。常識的に考えれば、「アフリカ」でひとくくりにしてはいけないのに、まだまだ私たちは悪い意味で「アフリカ」を一緒くたに考えがちです。
■田中
 東日本大震災が発生したとき、遠く離れた西日本にいる家族や従業員までをも本国に帰国させた日本在住の外国人の方々と同じ反応ですね。遠い大陸や国の中での物理的な違いというのはなかなか正確に把握できないのでしょう。

https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/222363/112800005/?P=2
日経ビジネスオンライン『「アフリカ開発」の転換点、我々に何ができるか』
 2000年以降、中国の急速な経済発展に伴い、豊富な地下資源を抱えるアフリカの経済は(ボーガス注:中国の資源購入で?)上向きになり、2000-2010年の年平均GDP成長率は5.4%、中には20%を超える国まで現れた。これまで「絶望の大陸」と呼んでいたエコノミスト誌も「アフリカの未来は希望に満ち溢れている」と伝え、マッキンゼー・グローバル・インスティテュートはアフリカの経済を「動き出したライオン」と呼ぶようになった。
 今回のTICADでは、官邸の強いイニシアティブで、日本側からは経団連会長以下、民間企業のトップや幹部が参加した。
 1985年、私は難民支援のために訪れたソマリア豊田通商の駐在員に会い、こんな場所にも日本の民間企業が来ているのかと驚いたことがあるが、2000年以降に私がアフリカで出会ったアジア人はほとんどが中国人。それも、内戦後のシエラレオネ、エボラ熱が流行するガボンなど、政情、治安、住環境が劣悪な場所でもその存在は大きく驚かされた。さらに、韓国人、インド人にもアフリカの様々な国で会うようになった。彼らの中には「アフリカは今バブルだ。危険は伴うが、濡れ手に粟のように金が舞い込む」と興奮しながら話す者もいた。
 一方、日本の商社の駐在員などと話をすると「リスクが多いので、アフリカでの事業は安全な場所で慎重にやってます」との答えが返ってくることが多かった。
 この違いが母国の経済成長の勢いの違いにもつながっているのだろうか、と正直感じることも多かった。

http://president.jp/articles/-/20875
■ダイヤモンドオンライン『日本政府が3兆円投資!「アフリカ開発会議」の舞台裏』飯島勲
・8月の終わりに安倍晋三首相に同行して、ケニアの首都ナイロビで開催されたアフリカ開発会議TICAD)に行ってきた。今後3年間に官民で総額3兆円(300億ドル)支援を表明し、アフリカ各国からも大きな期待が寄せられ、会議は大成功に終わった。
TICAD とは、Tokyo International Conferenceon African Developmentの略。アフリカの開発や支援について話し合う会議なのに、Tokyoが付いているのは、日本政府が主導して東京(または横浜)で開催されてきたからだ。最初の開催は1993年。その後5年ごと(2013年から3年ごと)に開かれてきた。今では中国やロシアも似たような会議を主催しているが、アフリカの重要性を評価し、将来のための投資を始めたのは日本のほうがずっと先だった。
・今回はアフリカに対する政府の支援だけでなく、投資に関心を持つ経済界も積極的に関わっていて、77団体の企業・大学等の代表も首相に同行して現地入りした。それ以外にも140の企業、自治体、大学などが会場にブースを出展し、日本の技術や投資の方針などをアピールするため、企業・団体の関係者の日本人約3000人がナイロビに集まった。

http://www.sankei.com/world/news/170616/wor1706160039-n1.html
■産経『第7回アフリカ開発会議を平成31年に横浜で開催』 
 岸田文雄*5外相は16日午前の記者会見で、日本政府が主導して開くアフリカ開発会議(TICAD)の第7回会合を平成31年に横浜市で開催すると発表した。TICADの横浜開催は20年の第4回、25年の第5回に続いて3回目。
 昨年8月にケニアの首都ナイロビで開かれた第6回TICADでは、安倍晋三*6首相が官民合わせて300億ドル(約3兆円)規模の投資を実施していく戦略を公言。日本政府はアフリカで日本の技術を生かした「質の高いインフラ」整備を目指している。
 岸田氏は会見で、今年8月24、25日にアフリカ南東部のモザンビークでTICAD閣僚会合が開催される予定も発表し、出席する方向で調整を進めている。

https://www.sankei.com/world/news/180727/wor1807270013-n1.html
■産経『「アフリカ開発会議」8月末に横浜で開催』
 河野太郎*7外相は27日午前の記者会見で、日本政府が主導する第7回アフリカ開発会議(TICADⅦ)を来年8月28〜30日に横浜市で開催する日程を明らかにした。
 河野氏は「アフリカは21世紀最大のフロンティアだ。アフリカ自身が主導する発展を官民あげて後押ししたい」と述べた。今年10月6、7両日に都内でTICAD閣僚会合を開催する日程も発表した。

http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2018/07/13/0200000000AJP20180713002300882.HTML
聯合ニュース『韓国首相 19日からアフリカ・中東歴訪=大統領専用機を利用』
・韓国の国務総理室は李洛淵*8(イ・ナクヨン)首相が19日から26日までケニアタンザニアオマーンの3カ国を公式訪問すると発表した。
・アフリカ・中東歴訪は韓国の外交の幅を広げる政策の一環。3カ国それぞれで「ビジネスフォーラム」を開き、韓国企業の進出の足掛かりをもうけるなどトップセールスに励む。
 文*9大統領は昨年、李氏に「中国がうらやましい。副首相が多くいて、アフリカ奥地まで出かける。できるだけ頻繁に(外国訪問に)行ってほしい」と促していた。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO3249387002072018EE9000/
■日経『三井住友海上、アフリカで損保拡大 現地大手2社と提携 』
 三井住友海上火災保険はアフリカの損害保険市場で事業を拡大する。ケニアモザンビークの東アフリカ保険大手2社と提携し、企業向けの保険販売を強化する。人口増などからアジアと並んで高い成長が期待されるアフリカ市場の需要を取り込む。

ですから「アフリカビジネスに熱い視線」を向けてるのは中国だけではないわけです。
 むろん、日本のアフリカ支援は単純な善意の訳もなく「金儲け観点」が大きいでしょう。

【追記】
 中国とアフリカについて以下の記事も紹介しておきます。

https://www.asahi.com/articles/DA3S13611579.html
■朝日『(チャイナスタンダード)中国式、融資も建設も運営も 援助とビジネス、混然一体』
 エチオピアの首都アディスアベバ郊外の鉄道駅。中国製客車の入り口に、真っ赤な制服姿のエチオピア人駅員が立ち、切符を確認する。隣には指導役の中国人職員。運転士も中国人だ。

https://www.asahi.com/articles/DA3S13611635.html
■朝日『(チャイナスタンダード)飢餓の国、服飾工場に変えた エチオピアに中国式援助』
 6月上旬、アフリカ東部エチオピアは雨期の始まりを告げる大雨が続いていた。首都アディスアベバの中心部から車で約40分、ヤギや羊が草をはむ、のどかな風景を抜けると真新しい工場群が見えてきた。
 2014年に開業した工業団地「ボレレミ1」は、約160ヘクタールの敷地に中国や韓国など11社の縫製工場が入る

https://www.yomiuri.co.jp/world/20180729-OYT1T50080.html
■読売新聞『習氏「永遠にアフリカの誠実な友人」…歴訪終了』
・中国の習近平国家主席は28日、インド洋の島国モーリシャスの首都ポートルイスでジャグナット首相と会談し、19日からの中東・アフリカ5か国歴訪を終えた。
・中国国営新華社通信によると、習氏はジャグナット氏との会談で、「両国は共に発展途上国だ。中国は永遠にアフリカの誠実な友人、頼りになるパートナーであり続ける」と連帯感を表明した。今回の歴訪は、9月に北京で開催する中国アフリカ協力フォーラムの首脳会議への足場固めの意味合いもあった。

https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180730/mca1807300500007-n1.htm
フジサンケイビジネスアイ『西アフリカ開発で日中協力 首相訪中実現前に関係改善推進へ』
・日本が主導する西アフリカの開発計画をめぐって政府内で、中国の参入を呼び掛ける案が浮上していることが29日、分かった。
・現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」を進める中国に対し、経済分野で新たな日中協力に乗り出すことで、関係改善の推進をアピールする狙いがある。複数の政府関係者が明らかにした。
・来年6月を見込む習近平国家主席による就任後初の来日を見据えた動きともいえる。
 日本が西アフリカで日中協力による開発を検討しているのは、計約4000キロにわたり複数の道路を整備する「成長の環」計画。コートジボワールなどギニア湾沿岸3カ国と内陸国ブルキナファソを南北に結び、ナイジェリアからコートジボワールまでを海岸線沿いに東西につなぐ。日本は、関連プロジェクトに350億円超の円借款や無償資金協力を実施中で、今年1月には全体の整備計画も策定した。
 第三国での日中協力をめぐり、今年5月の首脳会談で官民合同委員会設置で合意した。日本側は首相に近い和泉洋人*10首相補佐官がトップを務める方針。この枠組みを活用し中国側の参加を求める考えだ。

*1:著書『池上彰のアフリカビジネス入門』(2013年、日経BP社)など

*2:国際政治学者。東大副学長、JICA理事長などを経て、現在、政策研究大学院大学学長。著書『新しい中世:相互依存の世界システム』(2017年、講談社学術文庫)など。

*3:役職は当時。現在のJICA理事長は北岡伸一・東大名誉教授

*4:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*5:第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相、第二次、第三次安倍内閣外相を経て自民党政調会長

*6:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*7:第三次安倍内閣国家公安委員長を経て第四次安倍内閣外相

*8:全羅南道知事などを経て首相

*9:盧武鉉政権大統領秘書室長、「共に民主党」代表などを経て大統領

*10:国交省住宅局長