今日の中国ニュース(2019年3月10日分)

ラオス 中国「一帯一路」で債務の罠に | 国際報道2019 [特集] | NHK BS1
 まあタイトルが「債務の罠」と悪意丸出しで「何だかなあ」ですね。まあ、放送日が「2018年5月7日(李首相の訪日(5/9)より前)」なので「安倍様のNHK」としては「安倍様に気に入られるためには一帯一路をDISる必要がある」という勘違い(?)が影響していたんでしょうか?

ラオス 交通省 ラッタナマニ副大臣
ラオス陸の孤島です。
鉄道によって、中国とASEANを結ぶハブになる可能性があり、その恩恵が受けられると思っています。」
小阪田記者
ラオス政府は、財政状況について、危機感がないわけではありませんが、むしろ、一連のインフラ開発によるメリットの方が大きいと見ているようです。
 ラオスは、2020年までに『後発開発途上国』からの脱却を目指しており、中国による長距離鉄道の建設は、ラオス発展に向けた起爆剤というわけです。
 両国の関係は、ますます強固になっていくとの印象を受けました。」

 ということを無視して「債務の罠ガー」とばかりいうことが建設的とは思えません。

チュラロンコン大学 ウォラサック・マハッタノーブン教授
「利益を得られるのは中国だけです。
ラオスの市民が恩恵を受けることはありません。」

 まるで「チベット鉄道にはチベット族にメリットはない!」というペマ・ギャルポのようです。もちろん褒めてません。さすがに「恩恵がない」つうことはないでしょう。

花澤
「そうなりますと、ASEANで、いわゆる中国寄りの国がますます増え続けるということになるんでしょうか?」
小阪田記者
ASEANにおいて、いわゆる親中の国が、カンボジアやフィリピン、そして、このラオスと次々に増え、その関係は、さらに深まりつつあると思います。」

 「親中国って何かね?」「反中国って何かね?」(「北の国から'92巣立ち」の菅原文太風に)とNHKに聞きたくなります。基本的に「反中国の国」てないと思うんですが。経済大国・中国とけんかしてもメリットないでしょうに。なんか「安倍様の影響でオツムに支障が出てるのか?」と疑いたくなります。


中国はラオスでいったい何をしているんですか? 中国が造る鉄道とは:朝日新聞GLOBE+

・鉄道工事の費用は約60億ドル。ラオスGDPの3分の1、年間予算の2倍近い規模である。ラオスの負担分は約3割だ。
「これほどのカネを動かせる国は中国しかない。日本にできますか」。
 ある政府高官は言った。

 まあそういうことですね。鉄道がどうしても作りたいなら、「中国と組む」、それ以外にないわけです。

 いくつか心配事がある。まず「債務のわな」である。返せなくなるほどの借金漬けになってしまうリスクを指す。
 ラオスが中国にお金を返せなくなるとどうなるのか。
 虎の子の地下資源を差し出さざるを得なくなるおそれがある。中国にも「カリウムなど資源で返してもらえばいい」(ボーガス注:との声が一部にある)(中国誌・北京週報ネット版)。
 ラオス研究の専門家、ジェトロ・アジア経済研究所研究員の山田紀彦さん*1は「ラオス政府は『債務のわな』の問題を意識はしているが、発展には資金が必要だと認識している。ベトナムとは政治的に深い関係にあるが、資金は期待できない。中国への依存が続くだろう。(高速鉄道が開業する)21年までに水力発電が40機稼働するので、電力の輸出で借金は返済できると考えている可能性がある」と指摘する。

 実際どうなるかは分かりません。しかしラオスからすれば「(朝日は)同情するなら金をくれ(日テレドラマ『家なき子』風に)」でしょう。
 借金だろうと何だろうと鉄道建設に必要なカネは「中国しか出してくれない」わけです。

 鉄道を含む中国との橋渡しをしてきたソムサワット*2副首相が16年に引退した。祖先が海南島籍で、中国語を話す「老朋友」(国営新華社通信)とされる「親中派」の代表的な人物だ。彼の退任で「ラオスは超親中路線をやや修正した」(タイの外交筋)とも分析された。ただ、経済規模でも人口でも中国の地方都市にも満たないラオスにとって、巨大な隣国中国とつきあいには、誰がトップを務めてもおのずと限界があろう。

 いやいや基本的には日本だって欧米だって話は同じです。確かに「貧乏な小国ラオス」の立場は弱いでしょうが、欧米や日本なら「経済大国」中国相手に好き勝手できるわけでもない。そしてラオスレベルの小国は世界にゴロゴロしてるわけです。

 現在の商工相は幼いころを北京で過ごし、習近平*3と小学校の同級生だという。ラオス専門家の山田さんは言う。
ラオスはむしろ、中国寄りとみられていることを『外交カード』に用いて、日本、米国、ロシア、韓国など他国からも資金を引き出そうと立ち回っている」。
 「小国」を自認したうえで、したたかさを発揮しているとも言える。

 ラオスも朝日が心配するほど無能ではなさそうです。

 近年、権力者を取り込んで外交の糧とする中国の動きに刺激されて、日本も安全保障をより意識した援助へと傾きつつある。

 「これが朝日の記事なのか」とげんなりします。「中国のせいにすんじゃねえよ、バカ。安倍が軍事偏重の極右だからだろうが」て話です。

 

*1:著書『ラオス:一党支配体制下の市場経済化』(編著、2005年、アジア経済研究所)、『ラオスにおける国民国家建設』(編著、2011年、アジア経済研究所)、『独裁体制における議会と正当性:中国、ラオスベトナムカンボジア』(編著、2015年、アジア経済研究所)、『ラオスの基礎知識』(2018年、めこん)

*2:1945年生まれ。駐ブルガリア大使、外相、副首相など歴任

*3:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席