「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」を笑おう(2019年4/17分:三浦小太郎の巻)

日本が行うべき対北放送案 | 三浦小太郎BLOG Blue Moon
北朝鮮、ウソの教科書 セウォル号・拉致問題を利用し体制称賛:朝日新聞デジタル(ソウル=牧野愛博*1
 三浦が紹介する朝日記事ですが「こういうのは産経の独壇場なのかな」と思っていたので意外です。また今時、朝日新聞が左派だとも思ってませんが、こうした「在日への偏見の助長」などにつながりかねない記事は「掲載しない」「掲載するにしても一定の配慮をする」かと思っていたのですが、内容が産経新聞と大同小異であることも驚きです。朝日も右傾化したと言うことでしょうか。
 朝日の情報入手元がどこか気になりますが、韓国国家情報院(昔のKCIA(韓国中央情報部:朴チョンヒ時代)→国家安全企画部(全斗煥盧泰愚、金泳三時代))か、はたまた脱北者のつくるウヨ団体か。
 それにしても、「荒木和博が日テレのワイドショー『ザ・ワイド』に毎日出ていた頃」ならもうこういうネタはテレビで大騒ぎでしょうが、拉致が風化した今となってはほとんど話題にならないわけです。そもそも拉致をワイドショーでやらない。今の若者に「一時期は拉致をワイドショーで毎日のようにやってた」といっても「本当ですか?」「全然想像もつきません」でしょうが。
 まあ、最近の若者は「ザ・ワイド」といってもわからないでしょう。1993~2007年まで草野仁司会でやっていた番組です。今の「ミヤネ屋」の前に放送していた番組ですね。
 なお、この朝日記事(北朝鮮の歴史教科書において朝鮮戦争・韓国開戦説など事実に反する記述があるなど)が「本当かどうか」について意見留保しておきます。「誇張している」「北朝鮮の教科書ではあるが昔の物で今とは違う」つう可能性も現時点では否定できないと思いますので。
 また、この朝日記事が事実だとしても「だから北朝鮮との間に国交樹立など不要」という話ではない。国交樹立以外に「拉致解決などが不可能」である*2以上「国交樹立、この道しかない(自民のアベノミクスポスター風に)」わけです。
 これが事実であっても文在寅政権は太陽政策をやめないでしょうし、それが正解だと俺も思います。
 また「だから朝鮮学校無償化除外していい」つう話でもない。そもそも「朝鮮学校の教育=北朝鮮の学校の教育」ではない。
 また、仮に朝鮮学校において「朝鮮戦争・韓国開戦説など事実に反する歴史教育がされてる」にしても「現実問題として、朝鮮学校以外に民族教育の場がほとんどないこと」「朝鮮学校では朝鮮語教育などいろいろやっており歴史教育だけやってるわけではないこと」「安易に政府の介入を容認すると朝鮮学校以外にも波及しかねないこと」などを考えれば「無償化除外」など愚行でしかない。改めて「無償化除外には反対だ」と表明しておきます。
 さて三浦に突っ込む前に朝日記事にコメントしておきます。この朝日記事は登録していないと読めませんが小生は「無料登録している」ので幸い読むことが出来ます。無料登録なので有料記事は「サービスで1日1記事だけ読める」だけで、後は無料記事しか読めませんが。

 初級中学3年用の「社会主義道徳」では14年に起きたセウォル号事故を取り上げた。「傀儡(かいらい)政府(韓国政府)は、救助や真相究明を求める人々の声に耳を貸さなかった」と記し、「わが祖国では、素晴らしい病院で無償医療を受けられる」と説明する。

 北朝鮮自画自賛部分はさておき「セウォル号事故での朴クネ政権の対応」に非常に問題があったことそれ自体は事実でしょう。

 高級中学3年用の「歴史」では「3・1独立運動」を紹介。「蜂起の失敗は、ブルジョア民族主義だったから。卓越した首領と革命的な党の領導を受けなければ、どんな闘争も勝利できないという深刻な教訓を残した」と記している。
 韓国の文在寅*3(ムンジェイン)政権は今年、南北関係改善の一環として、「3・1独立運動100周年記念式典」の南北共催を目指したが、北朝鮮は参加しなかった。
 北朝鮮では、金日成*4(キムイルソン)主席が建国の主人公で、韓国とは異なる歴史観を教え、昨年9月に建国70周年を祝った。脱北者の一人は「北朝鮮ブルジョアの失敗と位置づける運動の式典に参加するわけがない」と語った。

 脱北者北朝鮮には恨み骨髄でしょうから悪口ならいくらでも言うでしょう。その主張を鵜呑みにするのは滑稽です。「参加しなかった」のは「三・一運動への評価」よりもむしろ「文在寅政権が制裁解除など、北朝鮮が希望する融和策を打ち出さない事への不満、反発の表明」でしょう。
 そうすることの是非はともかく「北朝鮮が希望する融和策」を文在寅政権が打ち出せば、北朝鮮の参加は十分あり得たと俺は思います。
 なお、小生は以前
新刊紹介:「歴史評論」3月号 - bogus-simotukareのブログ
今日の産経ニュース(2019年2月28日分)(追記あり) - bogus-simotukareのブログ
今日の韓国・北朝鮮ニュース(2019年3/10分) - bogus-simotukareのブログ
で「北朝鮮三・一運動認識」について論じたことがあります。「似たり寄ったりの文章をまた書いたりはしません」ので、詳しくはリンク先を読んでほしいと思います。とにかく俺は、北朝鮮三・一運動認識、評価はこの朝日記事がいうほど「否定的なもんではない」と思っています。
 たとえるなら「中国共産党辛亥革命評価」みたいなもんでしょう。全否定はしない。しかし「辛亥革命中国国民党)では実現できなかったことが毛沢東*5劉少奇*6周恩来*7トウ小平*8が率いる中国共産党によって実現できた」つう建前の訳です。つまり「三・一運動朝鮮労働党は否定はしない。しかし三・一運動で実現できなかったことが金日成率いる(以下略)」というわけです。つまり「一部肯定、一部否定」ですね。
 なお、

「蜂起の失敗は、ブルジョア民族主義*9だったから。卓越した首領*10と革命的な党*11の領導を受けなければ、どんな闘争も勝利できないという深刻な教訓*12を残した」

という文章の前段(ブルジョア民族主義云々)はともかく後段(しっかりとしたリーダーや指導方針*13がないから失敗*14した)つうのはその通りだろうと思います。
 別に三・一運動の価値をおとしめる気はないですが、あの運動は「どうやって独立を達成するのか」「予想される日本の弾圧にどう立ち向かっていくのか」「国際社会の支持をどう得ていくのか」などについて明確な指導方針があり、その指導方針に基づいて、独立達成に向かって、しっかりとした指導部が民衆を指導したなんてもんではありません。「韓国最後の皇帝・高宗の病死」「ウィルソン*15大統領の十四か条の平和原則」「レーニンの平和に関する布告」などで韓国ナショナリズムが高揚した事による、もっと自然発生的な、感情的なもんでしょう。その意味では「幕末のええじゃないか」「大正の米騒動」「ダライが亡命するに至ったチベット動乱」などに似ている。もちろんそうした自然発生性は「運動に広がりが生まれる」つうプラス面はあります。
 しかし一方で「権力の弾圧」など「運動に支障が生じた場合」、明確な指導方針や指導部がない故に内紛が起こったり、脱落者が続出したりというマイナス面を生むこともあります。実際、三・一運動も弾圧の前に崩壊するわけです。
 チベット動乱も結局ダライがインドに亡命して終わることになります。

 北朝鮮の教育の目的はどこにあるのか。韓国中央情報部(KCIA)で長年、北朝鮮を分析した康仁徳(カンインドク)元統一相は「金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長を無条件で崇拝する市民をつくることにある」と指摘する。
 康氏によると、教科書にある「無償医療」といった記述について、両親らは虚偽だと気付いているが、子どもには伝えられない。家庭での会話を学校で話されたら、自らが粛清される恐れがあるためという。

 こういう記事に登場するつう事は要するに康氏は「韓国の巣くう会(反北朝鮮の極右)」なんでしょうか。
 いやーそんなことはないんじゃないですかね。医療が実際は無償でない*16なら子どもだって「医療無償ってただの建前でしょ?」くらいのことは分かるでしょう。戦前の日本において「天皇は神様の子孫」が建前ではあっても、さすがに本音ではなかったのと同じようなもんです。

 康氏はまた、初級中学3年向けの「偉大な領導者金正日*17(キムジョンイル)大元帥様革命活動」で、1990年半ばに数百万人が餓死したともされる「苦難の行軍」について、「米帝などの政治軍事的挑発と経済封鎖に自然災害まで続いた」と説明していることに注目。「悪いことが起きれば、最高指導者の責任ではないと強調する。繰り返し教えることで、自分たちの生活がひどいとは思わなくなる。教育ではなくて洗脳だ」と批判する。

 まあ北朝鮮に限った話ではないし、独裁国家に限った話でもありません。民主主義国家のトップも含めて「俺の失政だ」と認める方がむしろ珍しい。
 なお、「失政がない」とはいいませんが「米帝などの経済封鎖に自然災害まで続いた」というのは「一面の真理」であり全くの嘘ではありません。

 康氏は(中略)「北朝鮮が今後、少なくとも世襲制をやめない限り、現実と教科書の記述との矛盾は広がり、いずれは破綻(はたん)するだろう」と話した。

 「いずれは」ね。便利な言葉です。一体いつ「破綻する」んですかね。5年後か10年後か、20年後か30年後か、はたまた100年以上先か。
 さて朝日記事へのコメントはこれで終わりにして、三浦の記事にコメントします。

 日本政府はこのような教科書内容を参考にした、独自に「対北放送」を行うべきだ。
(中略)
7、
 金正恩最高代表者の兄上、金正男氏は、日本の遊園地でありアメリカ帝国主義の象徴であるディズニーランドを何度も訪問し、日本人ジャーナリスト*18とも交流してそのメールのやり取りは書籍*19として出版された。さらに金正男氏は資本主義の道を歩む中国の庇護も受けていたため*20北朝鮮への危険分子としてシンガポール*21で殺害された。現在、実行犯の裁判が進行中*22である。
8、
 その金正恩氏の息子、金ハンソル氏は安全な場所で保護されており、現在、海外で「自由朝鮮*23」という(ボーガス注:自称)亡命政権が成立していると伝えられている。仮に、貴国が今後も拉致した日本人労働者・市民*24の返還を拒む場合、日本政府はこの亡命政府との交渉により事態の打開を図ることも考えている。

 三浦のようなアンチ北朝鮮では予想の範囲内の物言いですがばかばかしいですね。何のためにやるのか。ただの嫌がらせじゃないですか。
 亡命政府なんてもんに実態はないし、そんなもんと交渉しても拉致の解決につながるわけもない。当然、安倍ですらそんなことしない。
 つうかそんなもんやったらそれこそ北朝鮮が反発して、日朝交渉が出来なくなり、拉致の解決なんか不可能になりますよ。まあ、三浦のようなウヨは「北朝鮮打倒!」であって拉致解決する気などかけらもないわけですが。


バッハの思い出 (講談社学術文庫) いいかげん、著者がバッハの妻ではないことを訂正してほしい、小説としては面白んだから | 三浦小太郎BLOG Blue Moon

・この本、確か20歳になったころ読んだ。その時は、アンナ・マクダレーナ・バッハ、つまりバッハの二度目の妻が夫の死後想い出を書いたものと思っていた。その後、この本はバッハの妻アンナの書いたものではなく、後世の女流作家、エスター・メネルによる小説であることは明らかになっている。だからもういいかげん、この本は、著者名をはっきり改めて出し直してほしい*25
・ここで書かれているのは、はっきり言って、バッハの音楽が大好きな小説家のバッハへのラブレターだ。自分が尊敬し大好きな歴史上の偉人と会ってみたい、話してみたい、というのはだれしも思うことだけど、この小説家は、自分がアンナになりきってしまって、バッハへのラブレターを書き、さらにはバッハと暮らす夢を書いたのだ。本当にバッハが好きなことが伝わってくるから、少なくとも厭味はまったくない。

 あくまでも「フィクションと分かる形で書くなら」三浦のように「バッハへのラブレター」でいいでしょう。「モノホンとして発表した」のなら*26著者には問題がありすぎです。

・多くの人もそうだと思うけど、私も小林秀雄*27がこの本を絶賛したエッセイを読んで購入した一人。小林は本書を勿論バッハの妻が書いたものと信じ、かつ、妻にしか書けない愛情と充実した夫婦生活を描いたものとして絶賛した。「バッハの子供*28を何人も生まなければ決してわからぬ人によって書かれた本」と思い込んでしまったのだろう。

 これがウヨの小林ではなく、左派の評論家なら三浦も「モノホンと小説の区別もつかないなんて、見識がない」とか抜かして罵倒してるんでしょうね(苦笑)。まあ、三浦ってのはそういうデタラメな「不誠実野郎」「インチキ野郎」でしょう。N原さんみたいに「三浦のような人格破綻者」と付き合える人間の気がしれません。

*1:著書『北朝鮮秘録:軍・経済・世襲権力の内幕』(2013年、文春新書)、『金正恩の核が北朝鮮を滅ぼす日』(2017年、講談社プラスアルファ新書)、『ルポ 絶望の韓国』(2017年、文春新書)、『北朝鮮核危機!全内幕』(2018年、朝日新書)、『ルポ 金正恩とトランプ』(2019年、朝日新聞出版)など

*2:と断言していいと俺は思います。

*3:盧武鉉政権大統領秘書室長、「共に民主党」代表を経て大統領

*4:北朝鮮国家主席朝鮮労働党総書記、朝鮮人民軍最高司令官

*5:中国共産党主席

*6:全人代委員長、国家主席を歴任

*7:首相

*8:党副主席、副首相、人民解放軍総参謀長などを経て国家中央軍事委員会主席、党中央軍事委員会主席

*9:これに対立する言葉はおそらく「プロレタリア民族主義=つまりは朝鮮労働党」なんでしょう。

*10:金日成のことか?。

*11:朝鮮労働党のことか?

*12:まあ、昔はともかく、今は本気と言うより、「ある種のお約束(建前)」でしょうね。産経が「神武天皇は実在」「安倍首相はモリカケで真っ白」というようなもんです。あるいは中国が「改革開放でどう見ても毛沢東思想から離脱してる」のに「毛沢東は建国の父」というようなもんです。

*13:言わなくても分かると思いますが、もちろんこれは「しっかりとしたリーダーや指導方針=金日成率いる朝鮮労働党」つう意味ではありません。

*14:まあ失敗というか独立できなかったと言うことですが。

*15:ニュージャージー州知事を経て大統領

*16:無償でないのかどうか俺は知りませんが。

*17:北朝鮮国防委員長、朝鮮労働党総書記、朝鮮人民軍最高司令官

*18:東京新聞記者・五味洋治のこと

*19:五味の著書『父・金正日と私:金正男独占告白』(文春文庫)のこと

*20:「中国の庇護」云々は三浦の勝手な決めつけです。北朝鮮の犯行と見なす場合でも、犯行動機は正直よく分からないと思います。

*21:追記:コメント欄で指摘頂きましたがシンガポールではなくマレーシアです。

*22:三浦も無知な男です。マスコミ報道によればすでに裁判は終了しました。「インドネシア人女性は不起訴処分」「ベトナム人女性は傷害致死で禁固3年4ヶ月(検察は控訴せず。なお、恩赦によって、今年2019年中に釈放することがベトナムとマレーシアの間で密約されてるとの報道が一部マスコミで報じられています)」だそうです。彼女らの「いたずら番組の撮影だと思っていたんです(殺意なんかなかった)」が裁判所に認められ「殺人ではなく傷害致死」認定になりました。

*23:駐スペイン北朝鮮大使館襲撃事件の犯行声明を出したことで知られる集団。ただしメンバーなど詳細は不明。

*24:日本人にわざわざ「労働者・市民」とつけるのは北朝鮮や日本の左派、リベラル派に対する嫌みのつもりでしょうか。いつもながら三浦もくだらない男です。

*25:その場合は「小説」なので、学術文庫ではなく文芸文庫でしょうね。それにしても講談社学術文庫は解説でそのあたりのことをちゃんと書いているのか。解説で書いてない(あるいはそもそも解説がない)なら「バッハの妻の著書」という誤解を拡大再生産してるわけで大変問題です。まあ、解説に書いていても「著書名がバッハの妻のまんま」つうのはまずいでしょうが。

*26:おそらくそうなのでしょうが。もちろん「海外でフィクションとして発表したもん」を日本人が「モノホン」として日本国内に持ち込んだのなら悪いのは全て日本人ですが。

*27:著書『ドストエフスキイの生活』、『モオツァルト・無常という事』、『本居宣長(上)(下)』、『Xへの手紙・私小説論』(新潮文庫)、『考えるヒント』(文春文庫)など

*28:三浦のようなウヨはかたくななまでに「子ども」「こども」とは書きません。赤旗が「子ども」表記だからでしょうか?