今日の中国ニュース(2019年5月9日分)

日米印比が対中包囲網 海自からは「いずも」参加 - 産経ニュース
 アンチ中国の産経はそういうことにしたいのでしょうが、少なくともインドもフィリピンも産経のような中国封じ込めを考えてないことは確かでしょう。


「一帯一路」低姿勢の中国、したたかなアジア :日本経済新聞

 中国の広域経済圏構想「一帯一路」が2013年に始動してからまもなく6年になる。中国の思惑通りか否かにかかわらず、チャイナマネーに群がる世界各国の動きは、陰りが見えるどころか、むしろ勢いを増している感がある。
 4月25日から3日間、北京で開かれた一帯一路の第2回国際会議から、そんな印象を受けた。100を超す参加国の中で、首脳がはせ参じたのは3分の1の37カ国。29カ国だった17年5月の第1回会議を上回った。
 とりわけ東南アジア諸国連合ASEAN)は顔ぶれが豪華だった。初参加だったタイのプラユット*1暫定首相、シンガポールのリー・シェンロン*2首相をはじめ、トップが北京に集結したさまは、ASEAN首脳会議かと見まがうほどだった。
 「一帯一路構想を全面的に支持する」。
 会議でこう演説したマハティー*3首相の姿勢は、1年前と様変わりした。
 18年5月の総選挙で首相に返り咲いたマハティール氏は、中国の強引な開発を「新植民地主義」と批判。ナジブ前政権下で着工した、総延長が600キロメートルを超す東海岸鉄道の建設費が高すぎるとして、中止を表明した。
 ただし一方的な解約は、多額の違約金支払いを招く。水面下で1年近く折衝し、建設費を当初より3割以上安い440億リンギ(約1兆1700億円)に圧縮することで折り合った。再開の過程で、中国にパーム油の大量購入契約ものませた。
 マレー半島を横断する同鉄道は、一帯一路で中国が最も重視するプロジェクトのひとつだ。それを見透かし、譲歩を引き出すことに成功した。
 首都クアラルンプール郊外で1990年代半ばに開発を始めた新行政都市プトラジャヤや、98年の完成時に「世界一の高層ビル」と話題を呼んだペトロナスタワーなど、もともとマハティール氏は巨大プロジェクト好きで知られる。鉄道も例外ではない。政敵・ナジブ氏*4の「色」を洗い流して自身の業績に置き換えた、政治的勝利といえる。
 ミャンマーからは前回に続きアウン・サン・スー・チー国家顧問が参加した。中国とは、雲南省からミャンマー西部のラカイン州までを高速道路や鉄道で結ぶ「中国・ミャンマー経済回廊」の整備に合意している。
 その西端のチャオピューで中国企業が手掛ける大型港湾開発への過剰投資が問題となっていたが、ミャンマー側の意向を反映し、18年末に投資規模を当初の5分の1に圧縮することが決まった。
 中国はインド洋への出口を押さえる見返りに、周辺に経済特区を整備する。最大都市ヤンゴンから600キロメートル離れた「経済不毛の地」に中国企業が進出すれば、スー・チー政権の得点は大きい。隣国バングラデシュに逃れている70万人のイスラム少数民族ロヒンギャの難民の帰還が始まった際、その雇用の受け皿となり得るからだ。国内外から批判の集中砲火を浴びるロヒンギャ問題の沈静化に、チャイナマネーを活用する狙いがみえる。
 インドネシアASEANで唯一、ジョコ*5大統領が参加せず、代わりにカラ副大統領を送った。直前の4月17日に大統領選があったが、日程的な制約よりも「外資優遇」という野党陣営からの攻撃をかわす側面が強かったようだ。
 しかし、果実はしっかり持ち帰った。会議に合わせて中国側と事業協力合意を結んだアルミ製錬所、発電所の建設など23件の大半は、カリマンタン島スラウェシ島など地方が舞台。首都ジャカルタのあるジャワ島への一極集中の是正を掲げるジョコ政権は、チャイナマネーをそのテコにする構えだ。
 各国には背に腹は替えられない事情がある。アジア開発銀行(ADB)によると、アジアのインフラ需要は年1兆7千億ドル(約190兆円)に膨らみ、投資が追いつかない。中国の気前の良さには、国内の過剰生産能力を振り向ける輸出先の開拓、資源の安定確保、軍事的な影響力拡大といった「袈裟(けさ)の下のよろい」が透けるものの、一帯一路に累計で5300億ドルを投融資してきたとする札束攻勢を見逃す手はない。
 中国に対抗し、米国は「インド太平洋戦略」の名のもと、アジアのインフラ整備に600億ドルの投融資枠をもうけると宣言している。が、具体策はほとんどない。
 ISEASユソフ・イシャク*6研究所(シンガポール)のタン・シュームンASEAN研究センター長は「米国にはアジアのインフラ整備を支える資金力も政治的意思もない」と手厳しい。口先だけの米国より、アジアがリスク承知で中国との実利外交に突き動かされるのは、当然といえる。

 ということで改めてチャイナマネーのすごさには脱帽ですね。

*1:元陸軍司令官。軍事クーデターで首相に就任

*2:父親は初代首相リー・クアンユー。貿易・工業大臣、財務相などを経て首相

*3:教育相、副首相などを経て首相

*4:父親はマレーシア第2代首相トゥン・アブドゥル・ラザクアブドラ・バダウィ政権副首相を経て首相

*5:スラカルタ市長、ジャカルタ特別州知事を経て大統領

*6:シンガポール初代大統領