ソロモン首相「中国に調査団」 台湾・豪州揺さぶり :日本経済新聞
南太平洋の島しょ国、ソロモン諸島のソガバレ首相は、中国からの経済支援の可能性やリスクについて調べる調査団を「北京に派遣する」と明らかにした。ソロモンは台湾と国交を結ぶが「(維持か、断交して中国と国交を樹立するか)どちらもありうる」と述べた。南太平洋は米国と中国の覇権争いの最前線になっているだけに、同国の判断への関心が高まりそうだ。
ソガバレ氏は調査団の報告を受け、年内に外交方針を決定する。
現在、台湾と外交関係を持つ17カ国*1のうち、太平洋の島しょ国が6カ国*2を占める。ソロモンは約62万人と6カ国中最大の人口を抱え、米豪連携の観点から地政学上の要衝でもある。海洋進出を強化する中国にとっても南太平洋は戦略上重要で、米中双方にとってソロモンの重要性は高い。
ソロモンは1983年から一貫して台湾と外交関係を持っており、「一つの中国」を掲げる中国と国交がない国の1つだ。ただ、木材などを中心に中国は最大の輸出先であり、ソロモンの貿易額の約6割に上る。
4月の総選挙を受けて発足したソガバレ政権は5月末、今後100日間で集中的に取り組む課題を公表、「外交関係の見直し」(中略)を挙げていた。
ソガバレ氏が言及した調査団は、債務返済に窮した国家が港湾などのインフラを中国に譲り渡す「債務のワナ」のリスクを分析するため、中国に加え、外交関係があり中国からインフラ整備などで支援を受けるパプアニューギニア(PNG)やフィジー、サモアなどにも赴く。ソガバレ氏は調査団の報告を受け、台湾との関係維持と中国との外交関係樹立の是非を「年末までに判断する」と明言した。
豪シンクタンク、ロウイー研究所によると、11年から18年までの台湾からソロモンへの支援の総額は9400万ドル(約100億円)だ。一方、資金力で台湾を圧倒する中国は人口がソロモンの約3分の1、経済規模も6割程度のサモアに対して同期間で1億6800万ドルの支援を行っている。こうした状況に、与党内からも「PNGやバヌアツに比べ、我々の経済発展は10年以上遅れている」と不満の声が出る。
ソガバレ氏が断交を選択肢から排除しない考えを示した背景には、台湾か中国から大規模な経済支援を引き出して経済を底上げする思惑があるようだ。中国が11年以降、太平洋諸国に行った支援は11億ドルを超える。ただ、トンガやサモアなど経済規模の小さい島国では中国からの借り入れが膨らみ、債務返済が大きな課題として浮上している。
とりあえずコメント抜きで紹介しておきます。