三浦小太郎に突っ込む(2019年8月4日分)

勝田吉太郎氏がお亡くなりになりました。かってに「弟子」を名乗る一人として追悼いたします | 三浦小太郎BLOG Blue Moon
 『「弟子」を名乗る一人』などと書く三浦は「勝田のような学者の端くれ」になりたかったのでしょうね。才能がないからなれなかったわけですが。
 そして三浦の場合、いわゆる「私淑」と言う奴のようです。つまり三浦本人も認めていますが、勝手に弟子を名乗ってるに過ぎない。

 私が「諸君!」という雑誌にものを書かせていただいた時、編集の方から、何かやりたい企画はありませんかと言われ、いきなり思いついたのが勝田氏にインタビューさせてほしいということで、それが結構簡単に実現し、勝田氏のおられる京都に向かいました。今だから書けるのですが、正直相当緊張していまして、新幹線内でチューハイを何本か飲んで出かけたことを覚えています。

 「今だから」て、いくら勝田の死去後とはいえよくもこんな非常識なことがかけたもんです。
 つうかこういうケースで「緊張を酒の力でごまかそうとした」つうのが理解できません。酒なんか飲んで「ろれつが回らない」「息が酒臭い」「目がうつろ」「顔が赤ら顔」などで飲酒が勝田にばれたらどうする気なのか。
 普通の人間なら酔っ払いがインタビュー取材に来たら「馬鹿にするな」「しらふで来い」「俺の話など、しらふでは聞けない位酷いという嫌みか」などと激怒するでしょう。
 「よほど気心の知れた人間(三浦君とは親しい関係だからそんなことは大目に見るよ!)」か「毎日あびるように飲酒し、酒豪と言われるようなよほどの酒好き(俺も酔っ払ってるから三浦君が酔っ払っていてもかまわない!)」でない限り飲酒インタビューなんか容認するわけがない。で緊張云々というのだから、勝田と三浦は初対面です。おそらく勝田は「酒豪と言われるような酒好き」でもないでしょう。
 当然、「三浦の飲酒」が勝田にばれたら、勝田が激怒してインタビュー拒否することも十分あり得るわけです。
 「飲酒がばれない」、あるいは「ばれても勝田氏は怒らない」などと三浦が考えていたのなら非常識の極みです。
 大体三浦の所に仕事依頼に来た人間が「飲酒して現れ」、それを三浦が詰問したとき「緊張をほぐすために飲んだのであって、三浦先生を馬鹿にする気はありませんでした」といったら三浦は許すのか?。許さないんじゃないかと思いますけどね。
 三浦の考えてることは本当に分かりません。

 勝田氏を初めてテレビで拝見したのは、ソ連崩壊直前の「朝まで生テレビ」でした。あの放送は同番組でも傑作だったと思うのですが、ロシアの留学生が、ソ連共産党の歴史をどう思うか、とアナウンサーに聴かれたとき、一人の学生がこう答えました。
「私たちはドストエフスキーの言葉も知っています、どんな美しい目的や理想のためにも、その実現のた目に一人の少女が涙を流すような犠牲を強いられるなら、その目的や理想は絶対にやめた方がいい。そして、ソ連では、一人の少女の涙どころか、何百万、何千万の血が(共産主義支配によって)流されたんです」
 この言葉を聞きながら、勝田氏が、本当にその通りだ、というかのようにうなづかれていたときの温かい表情は、今も忘れることができません。

 やれやれですね。
 「美しい理想でも犠牲が出るのならその理想は果たして正しい理想なのか*1」に見事に合致するのは「多数の死者(例:沖縄戦の集団自決)や孤児(例:満州の中国残留日本人孤児、『火垂るの墓』の主人公のような戦災孤児)を出した太平洋戦争」だと思うのですがね。
 しかし「太平洋戦争の悲劇」を無視し、太平洋戦争を「大東亜共栄圏」などという理想(まあ、口から出任せのインチキの理想で、本心はただの植民地支配ですが)を持ち出して美化する三浦や勝田のようなウヨがよくもこんなことが言えたもんです。
 もちろんロシアの留学生がこういうことを言うのは何ら問題ありませんが。
 三浦や勝田に「あなた方がそのロシアの留学生の言葉に賛同するなら、大東亜共栄圏と言う言葉であの戦争を美化するのはやめるべきだ」といったらなんと答えるんですかね?。まあ聞くに耐えない詭弁が出ることは間違いないでしょう。絶対に「そうですね。今後あの戦争を美化することはやめます」なんて言葉は出てこない。

 パネラーとして出席していた日本共産党の若い代議士が、例によって「ソ連はよくないが共産主義の理想は素晴らしい云々」といった主張をしたとき、勝田氏がこの時はただちに、ユーモアを交えて答えました。
「あなたたち日本共産党は、まだ権力を取ったことがないでしょう。だから、ソ連や中国の共産党を、上から目線で『自分たちならもっと素晴らしい共産主義社会を作れる』というんだけど、それはまだ結婚していない若者が、自分の両親やほかの夫婦を『愛情がないじゃないか、形式的だ、退屈な夫婦生活だ』と、いくらでも悪く言えますよ。それと同じで、まだ実生活をしていない若者のゆめみたいなものなんですよ」

 おいおいですね。
 「政権を取ってないから云々」つうなら勝田がブレーンだった旧民社はどうなのか?(なお、過大評価は禁物ですが美濃部都政など革新自治体という形で地方政権なら共産党はとっています)
 自民党の議員や支持者から

「あなたたち民社党は、まだ権力を取ったことがないでしょう*2。だから、我々自民党を、上から目線で『自分たちならもっと素晴らしい日本社会を作れる』というんだけど、それはまだ結婚していない若者が、自分の両親やほかの夫婦を『愛情がないじゃないか、形式的だ、退屈な夫婦生活だ』と、いくらでも悪く言えますよ。それと同じで、まだ実生活をしていない若者のゆめみたいなものなんですよ」

と勝田が言われたら納得するのか。
 まあ納得しないでしょうが、勝田の主張はそのレベルのへりくつです。こんなもんを名言であるかのように紹介する三浦にはいつもながら呆れます。
 大体こんなことを言ったら野党の与党批判は「その野党が過去に与党だった場合を除けば」ほぼ100パー否定できるでしょう。
 と言うかこういう発言を「政権与党の自民党議員が言う」のならまだ意味はわかります*3が、「政権参加などしてない民社党関係者・勝田」がいうのはわけがわかりませんね。

*1:まあ小生は「マルクスの思想」と「ソ連」は別だと思っています。以前も別記事で書きますが「ソ連の歴史」で共産主義を否定するのは「国家神道が戦前日本の歴史に害悪を与えたから神道は間違った思想」「昭和天皇侵略戦争を起こしたから天皇制は廃止すべき」レベルの主張です。で三浦のようなウヨがそれを認めるのかと言ったら認めないでしょうねえ。まあ三浦らウヨの場合、「国家神道はあるべき神道からの逸脱だ(日本共産党ソ連批判に近い)」「全ての天皇が海外侵略したわけでない」と言い訳するのではなく「戦前の国家神道昭和天皇も何一つ間違ってない」と明らかなデマを放言するので始末に負えませんが。

*2:まあ、細川、羽田連立政権(1993~1994年)という形で民社党は政権参加はしていますが、勝田がこの発言をしたというソ連崩壊時(1991年)には政権参加はしていません(ちなみにソ連崩壊時は宮沢内閣)。

*3:勿論支持はしません