「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2019年8/16分:荒木和博の巻)

英雄【調査会NEWS3050】(R01.8.16): 荒木和博BLOG

 「北國新聞」8月11日付の特集記事、「狙われた石川、富山の海岸線」は非常に興味深い記事でした。
 記事は7月12日に富山・石川で実施した特別検証のこと*1とあわせて昭和46年(1971)に起きた工作員密入国事件について書かれています。事件の概要は次のようなものです。

 同年7月31日*2、「見たことのない黒い船が沖合にいる」との漁師からの通報で警察が加賀市篠原新町の海岸近くの松林に潜んでいたところ、午後9時頃ゴムボートで4人の男が上陸してきた。警察官と地元の防犯推進隊員が松林から出ると3人はボートで逃走し、1人が拘束された。拘束された男は大聖寺警察署に連行されたが翌日には警察に朝鮮総連の一団が押し寄せ、身柄を金沢中署に移してもデモは続いた。男はソ連製の猛毒物質を持っていたが結局地検は起訴を断念し拘留延長請求も却下された。結局北朝鮮に強制送還されたが、名古屋へ移送されるとき、金沢駅では見送りの一団が「マンセー」と叫び英雄扱いだった。

 おそらく送還されていくこの工作員を見送った警察関係者は歯ぎしりしたでしょうが、検察が腰砕けではどうしようもありませんし、それ以前に政府として腹を据えて国を守ろうとしていなかったのだから現場が苦労してもどうしようもなかったでしょう。

 北国新聞も荒木も「アホか」ですね。こんな事件を今更取り上げて何がどうなるのか。拉致の解決に役立つわけでも、何でもないでしょう。
 そもそも証拠がなければ起訴のしようがない。表に出ているのは「密入国」でしかない。強制送還以外におそらく手はなかったでしょう。北国新聞や荒木は勝手に「政治的忖度による不当な不起訴」と決めつけてるようですが、決めつける根拠が何かあるのか。

 昭和の後半、朝鮮総聯の勢力は極めて強く、党を挙げてそれを擁護した日本社会党のみならず、自民党の議員でも相当の数の議員が総聯からカネを受け取ったと言われています。

 根拠もなくこんなことを言うのは自社両党への誹謗でしかありません。誰がそれに当たるというのか。金丸訪朝に参加した金丸*3自民党副総裁や田辺*4社会党委員長とでも言うのか。
 つうか、そんなことと拉致の解決と何の関係があるのか。

 横田めぐみさんの拉致を事件当時北朝鮮のしわざと分かっていながら政府中枢が隠した

 すごいこと言ってますね(呆)。
 根拠は何でしょうか?。事件当時とはいつのことなのか(なお、めぐみさん拉致は「1977年11月15日」です)。失踪した1977年11月15日直後ではないにせよ、1978年内には既に北朝鮮の犯行と分かっていたというのか。
 そして政府中枢とは具体的に誰なのか。
 ちなみにこの頃は「福田赳夫*5内閣(1976年12月24日~1977年12月28日)」「福田赳夫改造内閣(1977年12月28日~1978年12月7日)」です。
 素直に考えれば荒木の言う「政府中枢」とは「福田赳夫首相(福田康夫*6首相の父)」が含まれるでしょうが、そういう理解でいいのか。
 そして

福田内閣
官房長官:園田直*7園田博之*8の父)
・外相:鳩山威一郎*9(鳩山*10元首相の父)
・法相:瀬戸山三男*11
国家公安委員長小川平二*12
■福田改造内閣
官房長官安倍晋太郎*13(新任。現首相・安倍晋三*14の父)
・外相:園田直(官房長官からの横滑り)
・法相:瀬戸山三男(留任)
国家公安委員長加藤武徳*15(新任。加藤六月*16農水相の兄。加藤勝信*17自民党総務会長の義理の伯父)

ですが彼らの中にも福田首相同様「北朝鮮のしわざと分かっていながら隠した政府中枢」がいるのか。
 仮に荒木の主張が事実として*18福田内閣の隠蔽について後継内閣である大平*19内閣もそうした事実を引き継いで知っていたのか(それとも知らなかったのか)。
 仮に大平内閣が引き継いだとするなら、そうした引き継ぎはいつまで引き継がれたのか。
 仮に「細川*20、羽田*21」といった非自民内閣は知らないとしても、小泉訪朝が行われた小泉*22内閣までずっと引き継がれたのか。はたまた途中で引き継ぎは途絶えたのか?。
 なんてことを誰かが問いただしても荒木はまともな答えは出来ないでしょう。
 いずれにせよこの荒木発言、「福田内閣以降の歴代自民党首相」に対する誹謗中傷もいい話です。福田赳夫首相に対する荒木の誹謗は「実子である福田康夫元首相」はもちろん「森*23元首相、小泉*24元首相、安倍現首相」など「福田派の系列の政治家たち」にとっても本来許しがたい誹謗です(森、小泉、安倍、福田と言った政治家たちが荒木に抗議するかどうかに関係なく)。

*1:特定失踪者などという荒木の与太を記事にするなと言いたい。

*2:この頃は田中内閣です。

*3:田中内閣建設相、三木内閣国土庁長官福田内閣防衛庁長官自民党国対委員長(大平総裁時代)、総務会長、幹事長(中曽根総裁時代)、副総裁(宮沢総裁時代)を歴任

*4:社会党国対委員長、書記長、副委員長などを経て委員長

*5:大蔵省主計局長から政界入り。岸内閣農林相、自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)、佐藤内閣蔵相、外相、田中内閣行政管理庁長官、蔵相、三木内閣副総理・経済企画庁長官などを経て首相

*6:森、小泉内閣官房長官を経て首相

*7:佐藤内閣厚生相、自民党国対委員長(佐藤総裁時代)、福田内閣官房長官、外相、大平内閣外相、鈴木内閣厚生相、外相など歴任

*8:新党さきがけ代表幹事、村山内閣官房副長官など歴任。2018年11月、肺炎により死去。

*9:大蔵事務次官から政界入り。福田内閣で外相

*10:細川内閣官房副長官新党さきがけ代表幹事、民主党幹事長などを経て首相

*11:佐藤内閣建設相、福田内閣法相、中曽根内閣文相など歴任

*12:佐藤内閣労働相、福田内閣自治相・国家公安委員長、鈴木内閣文相など歴任

*13:三木内閣農林相、福田内閣官房長官自民党政調会長(大平総裁時代)、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党幹事長(竹下総裁時代)など歴任

*14:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*15:福田内閣自治相・国家公安委員長

*16:中曽根、羽田内閣で農水相

*17:第二次安倍内閣官房副長官、第三次安倍内閣一億総活躍等担当相、第四次安倍内閣厚労相を経て自民党総務会長

*18:事実のわけもないですが

*19:池田内閣官房長官、外相、自民党政調会長(佐藤総裁時代)、佐藤内閣通産相、田中内閣外相、三木内閣蔵相、自民党幹事長(福田総裁時代)などを経て首相

*20:熊本県知事、日本新党代表を経て首相

*21:中曽根、竹下内閣農水相、宮沢内閣蔵相、細川内閣副総理・外相などを経て首相

*22:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相を経て首相

*23:中曽根内閣文相、自民党政調会長(宮沢総裁時代)、宮沢内閣通産相、村山内閣建設相、自民党総務会長(橋本総裁時代)、幹事長(小渕総裁時代)などを経て首相

*24:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相を経て首相