「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2019年9/19分:巣くう会集会報告の巻)

救う会:★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2019.09.19)全拉致被害者の即時一括帰国を実現せよ!国民大集会報告2

村上史好立憲民主党拉致問題対策本部事務局長、衆議院議員
 トランプ大統領が、アメリカに届かないミサイルなら容認する。これはおかしいことではありませんか。

 別におかしなことではないですね。米国の国益だけ考えれば、つまり「日本にミサイルがぶち込まれた*1としても知らない」「それは日本が対処すべきことだ」「そんなに北朝鮮のミサイルが心配なら、我が米国のイージスアショアをこの際買ってくれ」と考えればそうなるでしょう。
 これで「トランプと安倍は深い絆がある」などというのはデマでしかない。

 事態が動かない。ならばあらゆる手段をとらなければならないのではないでしょうか。
 1983年、第18富士山丸が拿捕され、紅粉船長、栗浦機関長がスパイ容疑で北朝鮮に逮捕されました。しかしこれは無実でした。密航者がその船に乗り込んだだけです。彼らを解放するために金丸*2小沢一郎*3訪朝団によって、その二人を取り戻すことができました。金日成主席の時代です。国交がなかった時代です*4。それでも違う形で我々は同胞を取り戻すことができました。

 村上発言にはいろいろと気になるところがあります。
1)確かに金丸訪朝団は紅粉氏らを救出しましたが、それはいわゆる「三党(自民・社会・朝鮮労働党)合意」で「日朝国交正常化時の経済支援を約束したから」ですからね。そうしたバーター取引でしか問題は解決しない。小泉訪朝で拉致被害者が帰国したのも「日朝平壌宣言」で「日朝国交正常化時の経済支援を約束したから」ですからね。
 金丸訪朝を評価するなら、小泉訪朝を評価すべきだし、今すべきことは「経済制裁の解除&北朝鮮経済支援→そしてバーター取引」ですが、そういう理解を村上氏や彼が所属する立民はしているのかどうか。もちろん救う会、家族会がそうしたバーター取引を否定していることは今更言うまでもないでしょう。
2)確かに小沢氏も訪朝団メンバーですし、当時の彼は「自民党幹事長で金丸氏の側近」という大物政治家ですが、普通「金丸・田辺訪朝団」と言いますよね。村上氏が田辺*5社会党委員長の存在に触れないのはなぜなのか。
ア)(紅粉船長帰国という「成果」を生んだ金丸訪朝をたたえたいという立場から)田辺氏の功績を隠し、一方で「現在、野党幹部(つまり立民の共闘相手の一つ)である」小沢氏の功績をたたえたい
イ)(巣くう会的な金丸訪朝非難の立場から)小沢氏を罵倒したい(一方で田辺氏は罵倒したくない)
ウ)その他(何なのか予想がつきませんが)
のどれなのか。

櫻井よしこ 
 立憲民主党の村上さんが大事なことをおっしゃった。1983年、第18富士山丸の紅粉船長、栗浦機関長は、確かに金丸・小沢一郎訪朝団によって帰国を許されました。
 その時わが国の政治家は、小沢一郎さん*6は何と言ったか。第18富士山丸の二人は無実の罪で長い間捕らわれていました。にも関わらずこの二人を連れて帰ってくる時に、「わが国の国民を長い間お世話していただいて感謝します」というメッセージを、当時の小沢さんたちは発信したんです。
 このような発信でよいのかということを、今私たちは拉致問題に関して問うています(拍手)。

 いろいろな意味で「よしこ」「家族会」「救う会」は「あほか」ですね。
 第一に「よしこが言うような発言」を仮に本当に小沢氏がしていたとしても*7、誰も本気で小沢氏がそう発言したとは思ってないでしょう。救出するための発言にすぎないわけです。それ以外にどう発言しろというのか。
 第二に「元自民党幹事長(中曽根総裁時代)」金丸氏にせよ、「自民党幹事長(海部総裁時代)」小沢氏にせよ、「自民党と政府を代表しての言動」であって、彼ら個人の行為では無論ないわけです。
 なお、訪朝当時(1990年)は海部*8内閣です。
 ちなみにこの事件については、西村秀樹『北朝鮮抑留:第十八富士山丸事件の真相』(2004年、岩波現代文庫)、紅粉勇『人生の嵐を越えて:北朝鮮抑留七年間の真実』(2007年、ベラカ出版)という本があるようですね。

 (ボーガス注:村上議員の言う)あらゆる力の中に憲法改正は入っていないんでしょうか(拍手)。

 あらゆる手段に「制裁解除と経済支援」「それによるバーター取引」が出てこないのがウヨのよしこらしいですがそれはさておき。
 ばかばかしい。改憲の是非はともかく*9改憲と拉致の解決と何の関係があるのか。
 例えば、曽我夫妻の証言によれば「ルーマニア人(ドイナ・ブンベアさん)」「タイ人(アノーチャー・パンチョイさん)」の拉致被害者がいるわけです。ルーマニアやタイは「憲法九条に当たる条文」が自国の憲法にあるのか。もちろんないわけです。それどころか今のタイは軍事クーデターにより軍部が政治を支配する軍事独裁国家です。
 そしてルーマニアやタイの拉致被害者はいまだに救出されてない(まあルーマニア拉致被害者についていえば北朝鮮国内で病死したようですが)。北朝鮮も頑として拉致の事実を認めない。一方、「憲法九条を改定しなくても」日本は小泉訪朝で救出したわけです。どう見ても憲法九条と拉致の解決は関係ない。
 もちろんこうした拉致の「改憲への政治利用」こそが蓮池透氏が家族会、巣くう会批判をはじめた理由です。
 「頭のいい彼」からすれば「改憲しなくても小泉訪朝で弟は帰国した。改憲がどうして拉致解決に必要なのか?」「救う会などは結局、改憲を目的とする右翼団体改憲のために俺たちをダシにしてるだけじゃないか。だから彼らは改憲右翼の安倍氏を持ち上げるのではないのか」「こんなこと言ってたら拉致問題から護憲派*10が距離を置いてしまう、それでいいのか」という不信感と怒りを感じざるを得なかったわけです。しかしそんな蓮池さんを敵視し、巣くう会に言われるままに家族会から除名するのだから家族会のメンツも呆れたバカです。

【参考:ルーマニアやタイの拉致被害者

ルーマニア 拉致対応せず、ドイナ・ブンベアさん拉致
 曽我ひとみさん夫妻の証言によって、北朝鮮に拉致された疑いが明らかになったルーマニア人女性について、1990年代初めにピョンヤンルーマニア大使館が、この女性の存在を確認して本国に報告したものの、政府は何も対応しなかったとルーマニアの新聞が伝えました。
 ルーマニア人の女性、ドイナ・ブンベアさんは、1978年にイタリアで行方不明になり、おととし、曽我ひとみさん夫妻の証言がきっかけで、北朝鮮に拉致された疑いがあることがわかりました。ルーマニアの新聞「エベニメントゥル・ジレイ」が、かつてピョンヤンルーマニア大使館で勤務していた元外交官の話として伝えたところによりますと、ブンベアさんとみられる女性が、1991年と92年*11に、ピョンヤンにある外国人向けの商店で3回目撃されました。また、この元外交官の同僚が女性に接触して話を聞いた際、女性は自分がブンベアさんだと確認したうえで、「秘密警察が監視する隔離された区域に住み、尾行されているため、大使館とは接触できないと話した」ということです。元外交官は、92年に本国の官房長官内務省にこうした事実を報告しましたが、本国から調査の指示は受けなかったということです。ブンベアさんについて、ルーマニアの外務省は「調査は外務省の権限を越えている」という内容の文書を家族に送っており、家族は「拉致問題の解決にあまりにも後ろ向きだ」と批判しています。

「拉致」女性の母親死去 ルーマニア :日本経済新聞
 北朝鮮に拉致されたとみられるルーマニア人女性、ドイナ・ブンベアさんの母親ペトラさんが4日にルーマニア南部クライオーバの自宅でがんのため死去した。84歳だった。ドイナさんの弟ガブリエルさん(47)が13日、明らかにした。
 日本人拉致被害者曽我ひとみさんと夫ジェンキンスさんは、脱走米兵と結婚した「ドイナ」と名乗るルーマニア人女性と北朝鮮で出会い、この女性が1997年に病死したと証言。ドイナさんは1950年生まれ。イタリア留学に向かい、1978年に失踪した。

【北朝鮮拉致】タイ拉致被害者のおいが「驚きと深い悲しみ」と談話 ジェンキンスさん死去に - 産経ニュース
 帰国した拉致被害者曽我ひとみさんの夫、チャールズ・ジェンキンスさんの証言で北朝鮮に拉致されていたことが判明したタイ人女性拉致被害者のおい、バンチョン・パンチョイさんは12日、ジェンキンスさんの死去について談話を発表した。「驚きと深い悲しみを禁じ得ない。ジェンキンスさんは私たち家族に本当に大きなものをもたらした」としている。
 「北朝鮮に拉致された人々を救援する会チェンマイ」が明らかにした。

北朝鮮拉致のタイ人親族が講演会 支援要請「戻ると信じている」 | 共同通信
 北朝鮮に拉致されたとみられるタイ人女性アノーチャー・パンチョイさん=当時(23)=が生まれ育ったタイ北部チェンマイで21日、親族が参加し、北朝鮮拉致問題をテーマにした講演会が開かれた。アノーチャーさんのおいのバンジョンさん(50)は「戻ってくると信じている」と話し、政府の支援を要請した。
 アノーチャーさんは1978年、出稼ぎ先のマカオで行方不明になった。日本の拉致被害者曽我ひとみさんの夫の故ジェンキンスさんが2005年、著書*12北朝鮮でのアノーチャーさんとの交流を証言し、拉致疑惑が明るみに出た。

「何も変わらない」タイ人の拉致被害者家族の失望 - FNN.jpプライムオンライン【執筆:FNNバンコク支局 武田絢哉】
 北朝鮮が出席する数少ない多国間協議の場であるARF=ASEAN地域フォーラム。アジア太平洋地域の安全保障について議論する国際会議だ。今年は、タイを議長国として、8月2日に首都バンコクで開かれた。この会議で、タイのドーン外相の発言に注目していたタイ人の男性がいた。
 バンジョン・パンチョイさん、54歳。バンジョンさんの叔母、アノーチャ―・パンチョイさんは23歳だった1978年、出稼ぎ先のマカオで、行方が分からなくなった。
 行方不明から27年後の2005年10月、思わぬところから失踪の理由が明らかとなった。アノーチャ―さんの父親が94歳で亡くなってから4ヵ月後のことだった。
 曽我さんとジェンキンスさんは帰国後、1980年から1989年まで、アノーチャ―さんと近所に住んでいて、付き合いがあったと証言した。そして、アノーチャ―さんは、「マカオで男2人に写真を撮ろうと声を掛けられたあと、突然縛られて船に乗せられ、北朝鮮に連れてこられた」と話していたことが明らかとなった。
 タイ政府は2006年、北朝鮮に対し調査のための共同の作業部会の設置などを要請したが、北朝鮮は「そのような人物は見つからなかった」と回答した。タイでは世論の盛り上がりに欠け、政府の動きも消極的と言わざるを得ない。
 タイ人が北朝鮮に拉致された事実を多くの人に知ってもらうために、タイが議長国となる今年の ARF=ASEAN地域フォーラムは、アノーチャ―さんの甥、バンジョンさんにとって大きなチャンスだった。バンジョンさんは、タイ人の拉致問題について会議の場で言及してもらおうと、会議開催前の7月4日、政府に対して要望書を提出した。
 そして、注目の会議が開かれる2日を迎えた。日本の河野外務大臣から拉致問題について言及があったものの、タイのドーン外相がタイ人の拉致問題について触れることはなかった。
 バンジョンさんは会議後、「これまでと同じように何も変わらない。思うことは何もない。政府は何もしていない。」と政府への失望を口にした。

 今本当にすべての政党の、そしてすべての国民の力が必要です。

 よしこが本気で「すべての政党の、そしてすべての国民の力が必要」と思うのなら「拉致解決のために改憲が必要」などという「護憲派に対して失礼なデマ」を飛ばすのはおかしな話です。まあ、そもそも「反共右翼のよしこ」が「共産党を含むすべての政党」の力を求めてるわけもないのですが。

渡辺周*13(国民民主党拉致問題対策本部長、衆議院議員
 今話されました村上さんは大阪のご出身で、西村眞悟さん系の、いわゆる大阪民社の政治家です。

 そういう人間がいるから俺は立民を評価しませんし、なんでそんな人間が立民入りしたのかよくわかりませんがそれはさておき。
 結局、村上氏は立民幹部とはいいがたいし、立民が彼を毎回こうした集会に送るのも「菅*14最高顧問(社民連出身)や辻元*15国対委員長社民党出身)」といった左派どころか「枝野*16代表(日本新党出身)や福山*17幹事長」といった保守派、右派さえ敵視してるのが「救う会だから」でしょう。村上氏以外を送ったらウヨ連中がひどいヤジを飛ばしかねないわけです。「それだったら立民はこの集会に参加しなきゃいいだろ」と俺個人は思いますが。

 なぜ日本の中で朝鮮総連が大手を振って経済活動をしているのか(拍手)。

 「あほか」ですね。山口組だろうと、極左過激派だろうと「合法的な商取引」は否定できるもんではないでしょう。ましてや朝鮮総連は「暴力団極左過激派」のような反社会的勢力ではない。
 大体、総連を敵視したら拉致が解決するのか。もちろんしないわけです。あきれて二の句が継げませんね。

 政府の皆さんは、「交渉中の案件だから詳細についてはつまびらかにできない」と国会で答弁する

 でそれを救う会や家族会が容認する。それでは野党としても政府、与党を追及しづらいわけです。結局「拉致が解決しない」のは「安倍が拉致について全くやる気がないこと」を救う会や家族会が容認してるからで彼らの自業自得でしかありません。

*1:もちろん、まずありえないことですが。

*2:田中内閣建設相、三木内閣国土庁長官福田内閣防衛庁長官自民党国対委員長(大平総裁時代)、総務会長、幹事長(中曽根総裁時代)、副総裁(宮沢総裁時代)など歴任

*3:中曽根内閣自治相・国家公安委員長自民党幹事長(海部総裁時代)、新生党代表幹事、新進党党首、自由党代表、民主党幹事長(鳩山代表時代)など歴任

*4:今も国交はないのですが。

*5:社会党国対委員長(飛鳥田委員長時代)、書記長(石橋委員長時代)、副委員長(土井委員長時代)を経て委員長

*6:もちろんこういうことをいうよしこは「極右的な意味で」小沢氏が嫌いなのでしょう。まあ彼はよしこほどの極右じゃありませんからね。

*7:よしこらウヨは平然とデマを飛ばすので信用しない方が賢明です。本当に小沢氏がそうした発言をしたかどうかは疑問符が付きます。

*8:自民党国対委員長(三木総裁時代)、福田、中曽根内閣文相などを経て首相

*9:護憲派の俺にとっては非ですが

*10:典型的には「左派政党」社民党共産党ですが、「保守政党立憲民主党や国民民主党も一応「安倍政権下での改憲には反対」しています。そして自民党支持層ですら改憲派は決して多くはないでしょう。

*11:もちろんこの時期にはすでにチャウシェスク体制は崩壊し、ルーマニアは非共産化しています。

*12:ジェンキンス著『告白』(角川文庫)のこと。

*13:鳩山、菅内閣総務副大臣、野田内閣防衛副大臣など歴任

*14:社民連副代表、新党さきがけ政調会長、橋本内閣厚生相、鳩山内閣副総理・財務相、首相を歴任

*15:社民党政策審議会長、国対委員長鳩山内閣国交副大臣民主党政調副会長、民進党幹事長代行、立憲民主党政調会長などを経て立憲民主党国対委員長

*16:鳩山内閣行政刷新担当相、菅内閣官房長官、野田内閣経産相民主党幹事長(海江田、岡田代表時代)、民進党代表代行(前原代表時代)を経て立憲民主党代表

*17:鳩山内閣外務副大臣菅内閣官房副長官民主党政調会長(海江田代表時代)などを経て立憲民主党幹事長