高世仁に突っ込む(2020年12/9日分)

タイの拉致被害者家族のいま - 高世仁の「諸悪莫作」日記
 ということで高世仁に突っ込む(2020年12/8日分) - bogus-simotukareのブログで取り上げた拉致はなぜ見過ごされてきたのか6 - 高世仁の「諸悪莫作」日記の続きではないものの、「拉致関係記事」ではあります。

 企画展「大隈重信チベット・モンゴル」を観に早稲田大学歴史館へ。
 ロシアの南下への対抗という国策で派遣された「工作員」だった成田安輝、東本願寺から仏教徒としての連帯を使命として派遣された寺本婉雅や、日本人の起源を求めた人類学者、鳥居龍蔵*1らの書簡のほか、『西蔵旅行記*2』の河口慧海の肉筆の書も。

 例のI濱Y子*3早稲田大学教授の企画でしょう。
 【本日より開催】早稲田大学歴史館 企画展「大隈重信とチベット・モンゴル」(11/13~12/11) – 早稲田文化によれば

 大隈重信*4は、地理学・人類学上からの興味、イギリス・ロシアの東アジア進出に対抗するための情報収集、中国・モンゴル地域の近代化教育支援などのさまざまな目的から、19世紀末から20世紀初頭にかけてチベット・モンゴル入りした人々を後援しました。

だそうですがそれはさておき。
 本当に成田が軍や外務省などの工作員ならカギ括弧付ける必要は全くないでしょう。
 「成田の活動に後世の視点から学術的価値を認められる」なんてことが仮にあろうと、それは成田の「工作員」という性格を否定しません。

 午後は東京地裁へ。
 ジャーナリスト安田純平さん*5が、外務省から旅券の発給を拒否されたのは「外国への移動の自由を保障する憲法に違反する」として、国に発給などを求めて提訴した裁判の口頭弁論があった。
 安田さんはシリアでの拘束中に旅券を奪われ、帰国後の2019年1月に再発行を申請したが、外務省は2019年7月10日付で旅券を発給しないと通知した。
 訴状は以下で見られます。また支援*6も受けつけています。
 https://www.call4.jp/file/pdf/202008/086a42ea04c8c8c18322a843e23bcf77.pdf

 あっさりとした書きぶりで高世が内心大してこの訴訟に関心も無いであろうこと、安田氏ないし「安田氏の支援者(高世の知人友人?)」への義理でこの文章を書いたであろうことがうかがえますがそれはさておき。
 安田氏と同様の訴訟を起こしてる常岡に対してはこのレベルの記事すら書かないのだから「高世と常岡ってもう縁が切れたんだろうな」ですね。
 まあ、そもそも常岡のツイッターはてなブログを見ても「常岡の起こした訴訟の現状について何の説明もない」という「意味不明状態」ですが。
 まあ、例は何でもいいですが「家永教科書訴訟」であれ「朝鮮学校無償化除外・国賠訴訟」であれ普通、訴訟を起こせば当事者が、「現状がどうなってるのか」宣伝するもんなんですけどね。常岡に本気で国賠訴訟で勝つ気があるのか疑わしい話です。

 久しぶりにタイの北朝鮮による拉致被害者についての報道に接した。
 NHKBS1「国際報道2020」。
 アノーチャー・パンジョイさんは1955年生まれ。実家はタイ北部のチェンマイ郊外で、マカオに出稼ぎに行っていた1978年に突然失踪した。23歳だった。
 消息が分かったのは27年後の2005年、日本人拉致被害者曽我ひとみさんの夫、チャールズ・ジェンキンズ氏が、「マカオで拉致され、北朝鮮で元米兵と結婚したタイ人女性がいる。9年間同じアパートで暮らしていた」と証言し、一緒に写った写真も示した。ジェンキンズ氏はタイにも出向き、その女性はアノーチャーさんと判明、メディアでも注目された。
 タイは北朝鮮と国交があり、アノーチャーさんの消息を問い合わせたが、「該当する人物はいない」との回答で、タイ政府はそれ以上追及することなく、今に至っている。この問題で北朝鮮との関係を損ねたくないようだ。タイ国内での関心も低く、進展はない。
 当時はアノーチャーさんの兄のスカムさんが主に活動していたが、5年前、スカムさんがアノーチャーさんとの再会がかなわぬまま病気で亡くなり、今はその息子(アノーチャーさんの甥)のバンジョンさん(51)が活動を引き継いでいる。
 問題は活動を引き継ぐ人がいないこと。
 娘のニローポンさん(27)に、アノーチャーは私たちの家族だから決して見捨てないでほしいと思いを伝えた。ニローポンさんは、「父の思いはわかっています。父は祖父(スカムさん)から活動を託されました。私も父の活動を引き継ぎます*7」と語った。

 まあジェンキンス証言では他にも「ルーマニア人のドイナ・ブンベアさん(女性)」という外国人拉致被害者の名前が挙がっていますね。
 もちろんアノーチャーさんだけでなく、ブンベアさんについても北朝鮮の態度は「該当する人物はいない」。
 そしてルーマニアでも「国内での関心も低く、進展はない」ですね。
 そう言う意味で言えば小泉訪朝による拉致被害者帰国は「外交的大成功」だったわけですが、救う会がその成功を妨害し、今の拉致敗戦に至っていることは言うまでも無いでしょう。そしてそうした「救う会の妨害活動」に加担した「拉致敗戦の戦犯の一人」が高世です。
 まあ、今は日本でも、拉致の風化によって「国内での関心も低く、進展はない」になっていますが。
 もちろん現在は「新型コロナの蔓延」という「国民全員の命に関わる重大事(拉致は拉致被害者家族以外にとってはそこまでの重大事ではない)」がありますが、それ以前から拉致は風化し、ろくに報道されません。

【参考:外国人拉致被害者

「拉致」女性の母親死去 ルーマニア: 日本経済新聞2014.8.13
 北朝鮮に拉致されたとみられるルーマニア人女性、ドイナ・ブンベアさんの母親ペトラさんが4日にルーマニア南部クライオーバの自宅でがんのため死去した。84歳だった。ドイナさんの弟ガブリエルさん(47)が13日、明らかにした。
 日本人拉致被害者曽我ひとみさんと夫ジェンキンスさんは、脱走米兵と結婚した「ドイナ」と名乗るルーマニア人女性と北朝鮮で出会い、この女性が1997年に病死したと証言。ドイナさんは1950年生まれ。イタリア留学に向かい、78年に失踪した。

タイ女性の北拉致疑惑、進展なく15年…ジェンキンスさん証言で判明 : 国際 : ニュース : 読売新聞オンライン2020.12.2.
 タイ人女性のアノーチャ・パンジョイさん(66)が北朝鮮に拉致された疑いが浮上してから、15年が過ぎた。北朝鮮は拉致を否定しており、アノーチャさんの消息は不明のままだ。タイ政府による事態打開に向けた取り組みは、長引く政治混乱*8に阻まれている。(タイ北部チェンマイ 田原徳容)
 タイ北部チェンマイ郊外で11月27日、アノーチャさんのおい、バンジョンさん(51)は古い木造家屋の床に触れ、つぶやいた。
 「42年前、ここで家族と話すおばを見たのが最後なんだ」
 この家屋は、首都バンコクで働いていたアノーチャさんの仕送りで建てたものだ。アノーチャさんは1978年、出稼ぎに行ったマカオで行方不明となり、その後の家族の生活は苦しくなった。土地を担保に借金し、畑を耕して細々と返済を続けてきたという。
 めいのウライさん(58)は、「おばは『3か月で帰るよ』と言っていたのに。その後、家族はたくさん、亡くなってしまった」と目を伏せた。家屋は古くなったが、「おばが戻ってきた時にわかるよう、残して待ちます」と語った。
 15年前の2005年、日本人拉致被害者曽我ひとみさんの夫、チャールズ・ジェンキンス氏が、「マカオで拉致され、北朝鮮に連れて来られたタイ人女性がいる」と証言し、一緒に写った写真も示した。タイ政府の調査でアノーチャさんと判明し、家族はメディアの脚光を浴びた。
 家族は、同郷のタクシン・シナワット*9首相(当時)に直接手紙を渡し、北朝鮮からの救出を求めた。タイ政府の安否照会に対し、北朝鮮は「該当者はいない」との回答を繰り返した。
 その後、バンジョンさんらは、拉致被害者がいる日本や韓国を訪問したり、拉致関連の国際会議に出席したりして救援を訴えてきたが、進展がない状況だ。
 タイは北朝鮮と国交があり、タイ政府は外交ルートでの事態打開を目指し、北朝鮮側への働きかけを今も続けている。外務省幹部は本紙の取材に、「国際的に圧力をかけるよりも、友好な2国関係を軸に地道な話し合いで解決につなげたい」と説明する。

*1:1870~1953年。國學院大学教授、上智大学教授など歴任。著書『中国の少数民族地帯をゆく』(朝日選書)、『ある老学徒の手記』(岩波文庫)など。評伝として、中薗英助鳥居龍蔵伝:アジアを踏破した人類学者』(2005年、岩波現代文庫)(鳥居龍蔵 - Wikipedia参照)

*2:講談社学術文庫白水uブックスで入手可能。また既に著作権が切れてるのでしょうが、青空文庫でも読めます。

*3:著書『清朝チベット仏教:菩薩王となった乾隆帝』(2011年、早稲田大学出版部)、『ダライ・ラマと転生』(2016年、扶桑社新書)など

*4:早稲田大学創立者。参議、大蔵卿、第1次伊藤、黒田、第2次松方内閣外相、首相など歴任

*5:著書『ルポ 戦場出稼ぎ労働者』(2010年、集英社新書)など

*6:「私、高世も微力ながら支援しています」などの言葉がない点は「支援してねえのか?」ですね。

*7:まあ、「人の情」として「引き継がない!」とは言いづらい。「引き継ぐ」と言わざるを得ないでしょうが本当に引き継ぐかどうか。

*8:「長引く政治混乱」とは「タクシン政権打倒の軍部クーデター」から始まった国内混乱のことか?。ただし、それは少なくともアノーチャーさんの話には関係ないでしょう。

*9:反タクシン派である軍部のクーデターにより国外亡命に追い込まれている(タクシン・チナワット - Wikipedia参照)。