今日の中国ニュース(2019年9月23日分)

香港デモ 習近平政権、長期戦へ方針転換 「期限」の国慶節まで1週間 沈静化できず消耗待つ - 産経ニュース

 習指導部が武力介入する選択肢は残っている。

 「デモ隊がよほど過激化しない限り」その可能性はほとんどないでしょうね。そんなことは産経もわかっているでしょう。

 中国メディアなどへの情報統制が奏功し、中国本土に香港の反政府デモが飛び火する兆しは今のところみえず、むしろ香港人を嫌悪する“愛国的”な気分が広がりつつある。

 いやいやむしろ中国本土の香港への見方は「情報統制」云々ではなく

「嫌香港」中国で拡大 「大陸をばかに」対立深まる (写真=ロイター) :日本経済新聞
 「香港人は大陸の人間を下にみている」と感じる人が増えている。香港の若者らは「自分たちは中国人でない」との主張を強めており、双方の感情的な亀裂は深まるばかりだ。
 街では「CHINAZI」と書かれた看板やポスターを見かけるようになった。中国とナチスをかけ合わせた造語だ。デモの際の「私たちは中国人ではない」というスローガンも定着しており、若者は自分たちと本土の中国人を区別するのが当たり前になっている。
 中国本土に住む人たちは主にSNS(交流サイト)を通じ、こうした香港の情報に触れている。快く思うはずがない。SNSでだれかが「香港人をどう思うか」と問いかけると、たちまち「傲慢だ」「大陸の人間をばかにしている」などの書き込みであふれる。
 もともと中国本土の人たちは香港人に複雑な感情を抱く。
 北京の民営企業で働く劉さん(29)は、数年前に香港旅行をした際に不愉快な思いをした。
 みやげ物店で中国語(普通話)を使ったとたん、店員が不機嫌な顔になり、法外な値段をふっかけてきた。
 「香港人は大陸の人間に優越感を持っている」。
 そう感じた劉さんは、もう香港に行く気がしない。
 香港の域内総生産(GDP)は1997年の返還時に中国のおよそ18%に相当した。中国本土の人にとって、香港人は自分たちの手に届かない豊かさを手に入れた「特別な人たち」だった。
 いまは違う。急速な経済発展で、香港のGDPはもはや中国の3%に満たない。北京や上海、深圳の経済規模はすでに香港を上回った。経済的には何の引け目も感じないほど豊かになったのに、香港人はなぜあんなに偉そうなのか。中国本土で広がる「嫌香港」とも呼べる感情の背後には、そんな思いがある。
 香港の若者が米国旗を掲げながらデモに参加する光景も、中国本土の人たちの自尊心を傷つけている。中国が米国と激しい貿易戦争を繰り広げるなかで、米国に助けを求める行為は祖国への裏切りに映る。北京では若者が「そんなに中国が嫌なら出ていけばいいのに」と話すのを耳にすることが多くなった。

という日経の見方のほうが正しいのではないか。香港側が「本土(大陸)の連中には俺たちの気持ちはわからない」として本土側と共闘する気がない(下手したら本土を見下してすらいる)し、一方そんな香港側に対して本土側も「香港がそんなに偉いのか。図に乗るのも大概にしろ。勝手にやってろ」という考えなのでしょう。
 中国の国家主席が香港の独立を許さないのは当然だろう - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)が指摘する通りではあるのですが、日経記事を信じれば、大陸住民側には「そんなに中国が嫌なら香港は独立すればいいだろ。独立してやっていけるものならな!」という突き放した見方も出始めたようです。


香港政府「覆面禁止法」導入を検討 - 産経ニュース
 デモが完全に平和的なら「それはおかしい」で終わる話ですが一部暴徒化していますからねえ。何とも悩ましいところです。


防衛政策タブー排除 比軍に装備供与 中国進出を念頭 - 産経ニュース

 フィリピン軍にODAの支援も加わる背景には、同国が南シナ海の領有権などで中国と対立を余儀なくされていることを念頭に「対中戦略上、外交安保面で協力強化が極めて重要」(政府高官)との判断がある。

 「反中国」産経の記事なので割り引く必要がありますがこんな新聞記事を読んで中国側が愉快なわけもないでしょう。
 仮に中国側から「中国封じ込めのためにフィリピン軍支援している、としかこの産経記事は理解できないと思うがそういう理解でいいのか?。そういうことを安倍政権自ら、産経に語ったのか?」
「産経記事の『政府高官』とはいったい誰のことなのか?」
「産経の事実誤認だというなら、安倍政権は産経に抗議したらどうなのか?」
「安倍政権は日中友好をどう理解しているのか?。こんな態度で本気で習主席を国賓として招く気があるのか?」などと問いただされたら、安倍政権はどう言い訳する気なんでしょうか?


香港デモで観光業が悲鳴 繁忙期の夏休み「客足9割減」:朝日新聞デジタル
 まあ実際そうなのでしょうね。別に朝日がデモ隊をネガキャンし、中国側を応援してるわけでもないでしょう。
 問題はそうした事態に対し、デモ隊や政府側がどう対応し、市民がどう動くかということでしょう。
 当面は政府としても「観光業支援」ということになるでしょうが、次第に市民からも「いい加減にデモはやめてくれ」という声が出てくるのかどうか。


第十一章:芸術を冒涜する
 「ロックとか前衛芸術とか、ウヨ宗教・法輪功が気に食わないもんに共産主義のレッテル張ってるだけだろ?」と思った方、それで大正解です(苦笑)。一応簡単に見てみましょう。

 2016年、「モーツァルト効果」の研究がさらに進み、彼の音楽が人間の認知や行動にポジティブな影響を与えることが分かった。驚くことに、モーツァルトの音楽を反対に弾くと、全く逆の効果があるという。アルノルト・シェーンベルク(Arnold Schoenberg)の無調音楽もまた、モーツァルトを逆に弾くのと同じ効果があった。つまり、有害な影響があったのである。

 ということで最初に因縁をつけられるのが「シェーンベルクの無調音楽」です。
 なお

モーツァルト効果(ウィキペディア参照)
 ドイツ教育省は様々な分野の研究者を集めて検討をすすめ、2007年に「モーツァルト効果は存在しない」と結論づけた研究結果を発表し、音楽を聞くだけでは知能が発達しないことを示した

漫画で解説:胎教って効果あるの?の巻 - 毎日新聞
 1993年、米ウィスコンシン大がモーツァルトの音楽を学生に聞かせた後、抽象的な思考能力が上がったという論文を発表しました。 そのため「モーツァルト効果」が一時、大流行しました。 しかし、米ハーバード大の研究グループが再度実験した結果、その説は否定されてしまいました。

モーツァルト効果って本当?頭が良くなるの? | ハフポスト
 終止符を打ったのは、モーツァルトの故郷であるオーストリアウィーン大学が出した研究結果です。2010年に発表された論文で、モーツァルトの音楽に特別な効果はないことがわかりました。

司書の出番 » 『音楽の感動を科学する―ヒトはなぜホモ・カントゥスになったのか―』 福井一著
『音楽の感動を科学する―ヒトはなぜホモ・カントゥスになったのか―』福井一著、化学同人、2010年
 著者の福井一さんは、音楽生理学、行動内分泌学についての研究が専門です。この本の中で、福井さんは音楽の科学的研究が進んでこなかった歴史的背景や、世の中に流布している「音楽の科学」のホントとウソについて詳しく述べています。モーツァルト効果(モーツァルトを聴くと頭がよくなるとされる効果)が学問的に否定された理由もコラムになっています。

福井一「音楽の感動を科学する」 | とのとののブログ
 著者の執筆動機は,「モーツァルト効果というインチキ科学に鉄槌を下す」ことにあったそうだ。その話はコラムの一つに集約され,脳と音楽の関係について分かりやすく説明されている。

とのことであり、現在においてはモーツァルト効果は否定されているようです。当然ながら大紀元の「シェーンベルク」云々はまったくのデマでしょう。

 無調音楽よりさらにネガティブな影響を及ぼすのはロック音楽である。
 多くの10代の子どもたちがロックの歌詞通りに自殺を図ることも珍しくない。また、数多くのロック・ミュージシャンが、うつ、薬物乱用、自殺願望などの問題を抱えている。

 「ロックの歌詞通りに自殺」云々とは「盗んだバイク」云々という「尾崎豊のロック曲」は「バイク窃盗を助長してる」レベルの与太ですね。
 もちろんロックミュージシャンも人間ですから「うつ、薬物乱用、自殺願望」という人もいるでしょう。問題はそれが「ロックが原因なのか」という話であって、どう考えても原因ではないでしょう。

 アバンギャルド(前衛芸術)の源は、共産主義の影響を受けたイデオロギーの流行である。

 言いがかりも甚だしいですね。いわゆる前衛芸術はもちろん共産主義を必ずしも理論としているわけではない。例えば「岡本太郎共産主義者だ」と言ったら正気を疑われるでしょう。

 フランスの写実主義者ギュスターヴ・クールベ(Gustave Courbet)は、パリ・コミューン参加者の一人である。

 確かにウィキペディアクールベ」によれば彼は「パリ・コミューン参加者の一人」のようですし、パリ・コミューンマルクスエンゲルスが高く評価したのも事実です。それにしたって「パリ・コミューン」は共産主義ではないし、クールベ(画家)なんてもはや「評価(もちろん良い評価)がほぼ定まった古典」だと思うんですけどね。「パリ・コミューン参加者の一人」だといってクールベを全否定しようとするのはウヨ宗教・法輪功くらいのもんでしょう。

 彼の有名な言葉は、「私は天使も女神も見たことがない。だから、そういうものを描くことに興味がない」である。

 それは「天使や女神を信じる人間」にとっては許せないことかもしれませんが、それ以外の人間にとっては「そういう考えもあるよね」で終わる程度の話です。

 19世紀末、これらの芸術運動が印象派を生み出した。その頃から、現代芸術家たちは伝統的な油絵の基準を捨て、精度、比率、構成、遠近法、明暗の配分などを無視するようになった。新印象派、ポスト印象派が後に続き、画家たちは自分の感覚の追及を作品の主題とした。この画風を提唱した主な人物はジョルジュ・スーラ(Georges-Pierre Seurat)、フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh)で、二人とも社会主義者である。

 クールベだけでなくスーラやゴッホまで否定する気のようです(呆)。つうかスーラやゴッホ社会主義者だなんて聞いたことない*1ですし、仮にそれが事実だとしても、そういうことと絵の価値と関係ないでしょうよ。法輪功だと「いわさきちひろ共産党員だ(これは事実です)」といって絵の価値を否定するのでしょうが。

 1944年、ピカソフランス共産党に入党している。

 ウィキペディアピカソ」によれば死ぬまで党員だったようですね。例の「ゲルニカ」もそうした左派思想の現れだったのでしょう。
 もちろんそんなピカソを「反共ウヨ宗教・法輪功」は全否定するわけです(呆)。産経新聞ですらそこまで狭量ではないと思いますが。

 すべての現代芸術家が共産主義を支持しているわけではない。しかし、彼らは神を否定し、神を排除した人生観を主張していることから、彼らと共産主義は非常に似ているのである。

 「無神論」と「共産主義」を同一視するとはさすが邪教法輪功です。もちろんほめてません。

・1965年、アバンギャルドとして知られるドイツのヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys)は、ハチミツと金箔で頭を覆い、死んだ野うさぎを担ぎ、立てかけた絵の内容を野うさぎに教える『死んだうさぎに絵を説明する方法』というパフォーマンスを披露した。3時間、ウサギの死骸を腕に抱きながら、ブツブツとつぶやくだけである。
・1961年、アバンギャルドの一人として知られるイタリアのピエロ・マンゾーニ(Piero Manzoni)は、自身の排泄物の缶詰90個を「芸術家の糞」と名付け、当時の金30グラムの相場で売り出した。
・これらアバンギャルドの行為は、芸術世界の文化大革命といえよう。

 そういう「芸術行為」を法輪功が嫌いなのは彼らの勝手です。俺だって理解できませんし。ただしそうした「芸術活動」を「共産主義ガー」「文革ガー」とデマるのは許される行為ではありません。


【環球異見】ソロモン台湾断交 台湾紙「米中覇権争い犠牲者」の証し、中国紙「米国の圧力の限界」(1/4ページ) - 産経ニュース

 台湾では2016年5月の蔡英文政権発足後、6カ国目となるソロモンとの外交関係の断絶を、冷静に受け止めている。呉●燮(ご・しょうしょう)外交部長(外相に相当)が16日夜、昨年2月の就任以降、断交が4カ国目になるとして「政治責任を取る」と辞任を示唆したものの、総統府が直ちに否定したのも、その表れといえる。
●=刊の干を金に

 もちろん外相(外交部長)辞任を総統府が否定した最大の理由は
・外相が辞任すると「蔡英文総統には責任はないのか」と蔡に飛び火しかねないから、でしょう。
 だからこそ辞任を否定し、「ソロモン諸島の断交は大した問題じゃない」と強がることに決めたわけです。

 政権与党、民主進歩党寄りの自由時報も解説記事で(中略)中国の思惑は外れると断じた。記事は、中国がソロモンとの断交を仕掛けたのは、来年1月の総統選への「介入」が目的で、「民進党に打撃を与え、(親中派野党の)中国国民党を助けるためだ」と指摘。だが、台湾とソロモンとの関係は長年、台湾からの「援助の一方通行」であり、中国が今後、台湾の「金銭外交の重荷」を肩代わりをすることは「多くの台湾人にとり悪いことではない」とした。
 記事は、中国が「断交」で政権に打撃を与えられると考えるのは国共内戦時代の「迷信」であり、世論の反発で逆に国民党の支持を下げると指摘。外交関係のない米国や日本、欧州諸国と関係を強化している蔡政権にとっては影響がないという論旨を展開した。

 まあ「ソロモン諸島との断交は痛くない」は完全な強がりですよね。「米国や日本、欧州諸国と関係を強化している蔡政権」というのも事実とはいいがたいでしょう。そしてそのことを蔡英文や支持者も本当はよく理解しているでしょう。


【祝】 高校生の台湾修学旅行が5万人を超え米国などに大差の1位 台湾からも断トツの1位 | ニュース | 日本李登輝友の会 │ 新しい日台交流にあなたの力を!

 去る8月27日、文部科学省は平成29年度(2017年度)の「高等学校等における国際交流等の状況について」を発表しました。
 日本から台湾への修学旅行生はなんと5万人を突破して5万3,603人、学校数も332校でダントツの1位で、(ボーガス注:人数は)2位アメリカの2万8,335人(208校)のほぼ倍となっていました。

 まあ、まじめな話「ああ、そうなの?」「ふーん、そうなんだ」「へえ、そうなんだ」であって祝うべき話でも悲しむべき話でもありません。
 「台湾ロビー(自民党などの右派首長、右派議員)の政治的ごり押し」で増えた場合は「政治の教育への不当介入」という意味で悲しむべき話でしょうがそのあたりはわかりません。

 本会では日台交流を進めるため、自治体同士による姉妹都市提携や高校生の台湾修学旅行が最適と考え、平成22年(2010年)の総会において、本会の事業計画「日台相互交流の推進」に初めて修学旅行を掲げ「修学旅行や日台留学生などの相互受け入れ、自治体や議会などによる姉妹提携や親善交流をめざした活動の促進を図る」と定め、微力ながらもその推進に力を入れてきました。

というあたり「台湾ロビーの政治的ごり押し」の疑いは否定できないと思いますが。

 それにしても不思議なことです。文部科学省が「報道発表」しているにもかかわらず、なぜかニュースとして報じられていません。日台の交流がいかに深化しているかを示すとてもいい調査だけに残念なことです。

 まあ報じてはいるのでしょうが「李登輝友の会」のような台湾ロビーが希望するほど大々的ではないのでしょう。でも、それ当たり前でしょうよ。
 別に台湾でなくても米国でも中国でも韓国でもどこでも同じですが「高校生の修学旅行先(海外旅行の場合)の1位の国はどこか?」なんてほとんどの人間は興味ない。台湾が1位でも「ああ、そうなの?」で終わりです。台湾ロビーだけでしょ、バカ騒ぎするの。

*1:たぶん法輪功のデマ