今日の中国ニュース(2019年12月14日分)

【揺らぐ覇権】「強靱な国家」こそ最大のレガシー 簑原俊洋(1/3ページ) - 産経ニュース蓑原俊洋*1

 ニクソン*2キッシンジャー*3国務長官)の大戦略での日本軽視

 何のことかと言えば事前に日本政府(当時は佐藤*4内閣)にほとんど何の相談も無くすすめられたニクソン訪中のことです。
参考

ニクソン訪中(ウィキペディア参照)
 当時西側でもっとも衝撃を受けたのは日本であった。この時点でイギリス、フランス、イタリア、カナダはすでに中国を国家承認しており、西独と日本は未承認で特に日本は台湾(中華民国)との関係が深く、まさに寝耳に水であった。しかもニクソンはある理由から故意に日本への事前連絡をしなかったという。当時ニクソンは日米繊維問題で、日本繊維業界の反発を恐れ、ニクソンが求める対米輸出規制に全く動かない佐藤首相に怒っていたと言われている。国務省ニクソン訪中発表の前日に前駐日大使だったウラル・アレクシス・ジョンソン*5国務次官を日本に派遣しようとしたが、日米繊維問題での佐藤の態度に反発していたニクソンは派遣に反対し、ジョンソン次官は急遽ワシントンに駐在している駐米大使の牛場信彦*6に声明発表のわずか3分前に電話連絡で伝えた。その時、牛場大使は「≪朝海の悪夢≫が現実になった」として唸ったという。
 朝海浩一郎・元駐米大使がかつて「日本にとっての悪夢は、知らぬ間に日本の頭越しに米中が手を握る状態が訪れることだ。」と語っていて、いつか米中接近があるのではという観測はこの当時あったが、本当に突然米中が手を握ったことに愕然とした。ジョンソン国務次官は後に日米両国の信頼関係を損なったとニクソンを批判している。

繊維交渉決裂、米が「失望と懸念」 71年の外交文書 (写真=共同) :日本経済新聞
 日本の繊維製品の対米輸出規制を話し合う日米繊維交渉が決裂した1971年春、ニクソン米大統領佐藤栄作首相に「失望と懸念を隠すことができない」と、強く非難する異例の書簡を送っていた。24日公開の外交文書で明らかになった。
 書簡については「佐藤栄作日記」に記述があるほか、米側で英文が開示されており、存在が知られていたが、日本政府が公開したのは初めて。他の公開文書と合わせ、繊維問題が首脳間でこじれ、日米関係が「戦後最悪」(信夫隆司*7日大教授)のレベルに陥っていく史実が浮かび上がった。
 71年7~8月の米中接近、ドルと金の交換停止という2つの「ニクソン・ショック」の際、日本政府は米側から事前通告がなく大混乱した。書簡にある大統領の首相への根深い不信感が、2つのショックがもたらす日米外交危機の引き金になったとみられる。

 安倍政権は「日中は完全に正常な軌道に回帰した」とみなし、中国の国家主席習近平国賓として招いて両国の協力関係が一気に強化されることに期待を寄せる。

 習主席訪日について「腰が引けてるとはいえ」安倍に悪口雑言する産経文化人・箕原です。

 米中が電撃接近した70年代とは逆に、中国の誤算によって2020年代は米中が決定的に対立・衝突するシナリオも十分あり得る。

 いやー、ありえないでしょうね。米中共にそんなことをするメリットはないでしょう。


米中合意、メンツを保った習近平政権 景気減速でぎりぎりの交渉 - 産経ニュース
 反中国・産経らしい記事ですが、トランプの方だって大統領選前に何の成果も出なければ国内の批判をあびたわけで、「中国が面子を保った」つう書きぶりはおかしいでしょう。
 一方、時事通信中国、譲歩勝ち取る トランプ氏の足元見透かし―対米貿易協議:時事ドットコム、つまり、「大統領選を有利にするためには早急に成果を出さざるを得ず、むしろ中国よりトランプの方が追い詰められていた」という記事内容で産経とは真逆のタイトルです。


中国、太平洋「米同盟」切り崩し ミクロネシア接近 :日本経済新聞

 中国の習近平(シー・ジンピン)*8国家主席は13日、北京市ミクロネシア連邦のパニュエロ大統領と会談した。同国は広域経済圏「一帯一路」構想に参加しており、習氏は会談でインフラ建設など経済支援を表明した。中国は太平洋地域で米国を軸とした同盟の切り崩しに動いており、米グアム領に近く軍事的に要衝の地にあるミクロネシアに接近している。

 「日経もこんな反中国記事を書くのか」と思うとげんなりですね。

*1:神戸大学教授。著書『排日移民法と日米関係』(2002年、岩波書店)、『カリフォルニア州の排日運動と日米関係』(2006年、有斐閣)、『「戦争」で読む日米関係100年:日露戦争から対テロ戦争まで』(2012年、朝日選書)、『アメリカの排日運動と日米関係:「排日移民法」はなぜ成立したか』(2016年、朝日選書)など

*2:アイゼンハワー政権副大統領を経て大統領

*3:ニクソン、フォード政権で国務長官

*4:運輸次官から政界入り。吉田内閣郵政相、建設相、岸内閣蔵相、池田内閣通産相科学技術庁長官などを経て首相

*5:チェコスロヴァキア大使、駐タイ大使、駐日大使、国務次官などを歴任

*6:駐カナダ大使、外務事務次官、駐米大使など歴任

*7:著書『若泉敬と日米密約:沖縄返還と繊維交渉をめぐる密使外交』(2012年、日本評論社)、『日米安保条約事前協議制度』(2014年、弘文堂)、『米軍基地権と日米密約』(2019年、岩波書店

*8:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席