今日の中国ニュース(2020年1月27日分)

【産経抄】1月27日 - 産経ニュース

・給料日の金曜夜、新橋で一杯引っかけ、ちょっと気が大きくなってタクシーに乗った。しばらくして真っ赤っ赤な東京タワーが目に飛び込んできた。
・びっくりして眺めていると、親切な運転手さんが「春節前夜に、中国からの観光客を歓迎するため真っ赤にライトアップしているそうですよ」と教えてくれた。公明党山口那津男代表も点灯式にかけつけ言祝(ことほ)いだという

 そんなことをしているとは知りませんでしたが、それはさておき。産経がどんなに反中国を叫ぼうとも「極右安倍政権」ですらそんなことには応じません。ましてや安倍以外の「石破元幹事長、石原元幹事長、岸田政調会長自民党派閥ボス」「最大野党立民党の枝野代表」ら「有力なポスト安倍政治家」はなおさら産経が期待する反中国などやらないでしょう。
 この件については

東京タワー、中国の春節祝い赤くライトアップ :日本経済新聞
 今回のイベントは華僑団体が組織する実行委員会が主催し、外務省や中国駐日大使館も協力した。春節を祝って東京タワーを赤く照らすのは初めて。程永華・駐日中国大使は「2019年は中日両国にとって非常に重要な一年となる。双方が引き続き歩み寄り、関係の改善と発展の勢いを一段と固めたい」とあいさつした。

東京タワー、「春節」カラーにライトアップ! 安倍首相も中国語で「明けましておめでとう」 : J-CASTニュース
 旧暦の大晦日にあたる2019年2月4日夜、東京タワー(東京都港区)が中国の旧正月春節)を祝う赤色にライトアップされた。点灯式には安倍晋三首相もビデオメッセージを寄せ、「大家、過年好!(みなさん、明けましておめでとうございます)」などと中国語を交えながらあいさつした。

を紹介しておきます。ということで今年2020年に初めてやったわけではなく、去年2019年が1回目で今年は2回目です。

 中国全土への渡航自粛を勧告してもおかしくないにもかかわらず、日本政府の対応は鈍すぎた。
 米国やフランス、韓国などは武漢に取り残された自国民を救出するためチャーター機やバスを用意した。ようやく26日に安倍晋三首相が希望者全員を帰国させる方針を示したが。
▼政府の動きの鈍さが、今春の習近平国家主席来日を慮(おもんぱか)ってのことなら本末転倒だ。

 おいおいですね。この種の話は「いい加減な対応では蔓延を助長する恐れがある」反面、いたずらに危機を煽ることはかえってパニックを産みかねません。つまり産経の言う「鈍い対応」とは単に「慎重な判断」にすぎないでしょう。「習主席訪日」云々という話ではない。
 なお

海外安全ホームページ: 広域情報
湖北省に対して感染症危険情報レベル3「渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」*1を,中国のその他の地域に対して感染症危険情報レベル1「十分注意してください」を発出しています。

ということで、既に湖北省については渡航中止勧告(レベル3)が、それ以外の中国地域についても渡航注意勧告(レベル1)が行われています(ちなみに「渡航自粛勧告」はレベル2。レベル4が最高レベルで「退避勧告」です)。

 この緊急事態に、国会ではサクラがどうした、こうしたとのんびりした議論ばかり。議員の諸君、ボーっと生きてんじゃねーよ!

 また「桜を見る会疑惑追及をするな」と言うへりくつです(よほど安倍御用新聞・産経にとって疑惑追及がつらいのでしょう)。そもそもこの新型コロナウイルス、どうでもいいとは言いませんが
1)現時点では感染力、死亡率ともに「過去のSARS(これも中国で蔓延)に比べ」それほど高くないと見られている。通常の風邪、インフルエンザ予防(手洗い、うがいなど)で十分
2)日本国内での感染者も少なく、かつ重篤ではない
3)中国が国民の海外旅行を原則禁止としたので日本国内での蔓延の可能性が低くなった
4)WHOも緊急事態宣言をまだ出していない
ということで「将来的な問題はともかく」現時点では産経が大騒ぎするほどの問題ではありません(将来的にも大騒ぎする問題ではないでしょうが)。
 いずれにせよ新型コロナウイルスを口実に疑惑追及をネグろうとはふざけるにもほどがあります。


【外交安保取材】日中「第5の政治文書」は必要か 過去の「覇権求めず」は空文化 - 産経ニュース
 アンチ中国の産経らしいですが

・第一の政治文書:田中*2内閣の日中共同声明
・第二の政治文書:福田赳夫*3内閣の日中平和友好条約
・第三の政治文書:小渕*4内閣の平和と発展のための友好協力パートナーシップの構築に関する日中共同宣言
・第四の政治文書:福田康夫*5内閣の「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明

に続く「一部で噂される第五の政治文書」の策定に向けた作業が仮に水面下で進行中で「4月上旬予定の習主席訪日」で発表されるにしても「どんな内容の文書を目指してるのか」が分からない以上、「必要かどうか」なんてことはわかりません。
 まず産経がすべきことは「いたずらに反対を叫ぶこと」ではなく
1)「第五の政治文書を目指してる」という一部マスコミ報道は事実なのか
 政府としての公式発表が未だないとはいえ、安倍が抗議しない以上、事実でしょうが。そもそもマスコミ報道自体、世論の反応を見る安倍の政治的リークであり「ウヨ以外の反発は少ない」と判断した安倍は「ウヨの反発を避けるため、(中身が固まってない今の段階では当面?、それとも習主席訪日直前まで?)目指す内容について公表しないが、第五の政治文書自体はつくる」という動きをしているのでしょう。
2)事実だとしてどんな内容を考えてるのか
を「国民に対し、習主席訪日前に語る」よう、安倍に要求することではないのか。「中身は分からないけど、我々はアンチ中国だから反対です」というのはまともな態度ではない。


【主張】習氏の「善隣外交」 スー・チー氏に失望した - 産経ニュース
 産経らしくて吹き出しました。多くの人間がスーチーに失望してるのはそんなことよりも「欧米の批判は当たらない、軍によるロヒンギャ弾圧などない(スーチー)」という「ロヒンギャ問題での対応」なのですが。
 一方で「人権に興味のない」「中国叩きのネタとして少数民族ウイグルチベット)問題を持ち出してるにすぎない」産経は「ミャンマー少数民族問題ロヒンギャ」には興味がないわけです。
 まあスーチーの場合「政治能力が評価されたわけではなく親父がアウンサンなので、親の七光りで担ぎ出された(そもそもは政治活動家じゃない)」上に、国民が彼女に期待したのは「ミャンマー民主化」であって「中国の人権問題に厳しい態度をとること」じゃありませんのでね。
 ある意味、「予想の範囲内」ではあります。

 非難を浴びるイスラム少数民族ロヒンギャの問題で自力解決を支持した中国に対し、ミャンマーは共同声明で「台湾、チベット、新疆ウイグルでの問題解決への努力を支持する」と表明した。中国によるウイグル人に対する大量の強制収容、虐待、拷問は世界が問題視している。少なくとも声明に明記することは避けるべきだった。

 まあ「お互い少数民族問題(中国はウイグルチベットミャンマーロヒンギャ)について欧米は余計な介入をするなということにしよう」というバーター取引ですね。国際社会はスーチーについては「ウイグルチベット云々」よりも「ロヒンギャ問題で欧米は余計な介入をするな」という態度をとることの方に失望してるでしょう。

 習氏にとって、より大きな成果は、「一帯一路」の一環である中国内陸部とミャンマーの沿岸部を道路や鉄道で結ぶ「中国・ミャンマー経済回廊」などインフラ開発の推進で合意したことだ。

 そういう中国との経済交流をしてるのはミャンマーだけではない。産経が「このインフラ開発には採算面(あるいは人権面や環境面)で問題がある」というならともかく、そうでないなら、ああだこうだいうべき話ではない。

*1:当初は武漢市(湖北省省都)のみ「レベル1」だったのがレベルが引き上がっています。

*2:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)などを経て首相

*3:大蔵省主計局長から政界入り。岸内閣農林相、自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)、佐藤内閣蔵相、外相、田中内閣行政管理庁長官、蔵相、三木内閣副総理・経済企画庁長官などを経て首相

*4:竹下内閣官房長官自民党副総裁(河野総裁時代)、橋本内閣外相などを経て首相

*5:森、小泉内閣官房長官などを経て首相