今日の中国ニュース(2020年3月30日分)

リベラル21 チベット高原の3月は……(阿部治平)

 地球規模で新型コロナウイルス感染が猖獗をきわめ、東京オリンピックが吹っ飛ぶかというこの時期に、チベットがどうだこうだというのはおかしいと思うものの、毎年3月が来るとどうしても何か一言いいたくなる。毎年3月にはチベット人地域に中共軍・武警・公安(特高)などが進駐して異様に緊張するからである。
注)中共軍:革命前の労農紅軍、革命後の人民解放軍はいずれも国家の軍隊ではなく、中国共産党の軍事部門なので、ここでは中共軍とする。

 太字強調は俺がしましたが、吹き出しました。なお「個人ブログなら何を書こうと基本的に本人の勝手」でしょう(まあ、とはいえ、例えば、個人ブログとはいえ、政治家ブログが自らの政治活動について、芸能人ブログが自らの芸能活動について、まるで語らないのも個人的にはどうかとは思いますが)。
 しかし、阿部の場合、個人ブログではなく「リベラル21」への投稿なのでこういう批判も一部から出てくるし、それを当人もある程度気にしてるようです。
 それにしても「中共軍」て(苦笑)。「人民解放軍」という一般的な名称(あるいはアンチ中国として「人民解放」なんて使いたくないというなら、単に「軍」)を使えばいいでしょうに。
 大体「革命前(中華人民共和国建国前)の労農紅軍」の話なんかこの記事に出てこないのに何で「革命前の労農紅軍」云々なんて書くのか。
 まあ、仮に「人民解放軍は建前では共産党の軍*1」ということを阿部がアピールしたい*2のだとしても「中共」という「差別意識」を疑われかねない表記はすべきでないでしょうね。「共産党軍」でいいでしょうよ。
 公安についての(特高)と言う但し書きも「おいおい」ですね。そこは(政治警察)と但し書きすべきではないか(まあ日本では公安という言葉自体が「公安警察」「公安検察」「公安調査庁」と言った言葉で分かるように「中国同様に(?)」政治警察を多くの場合意味しますが)。
 確かに「特高=戦前日本の政治警察」ですがね。特高に対して日本人の多くが持ってるネガティブイメージ(小林多喜二虐殺など)を中国の政治警察にイメージさせようとするげすな「阿部の反中国感情」を感じますね。と言うと阿部は怒り出すのでしょうが。

 私は、いまも2008年ラサ事件は、急進青年組織の極左的冒険主義によって不必要な犠牲を出し、民族運動に大きな損害を与えたものと考えている。

 「ダライ万歳&反中国」阿部ですら「むやみやたらに蜂起することは犠牲を増やすだけ」と思ってるようです。ただしその彼でも「ダライが亡命した例の騒乱」については「極左的冒険主義によって不必要な犠牲を出し、民族運動に大きな損害を与えたもの」とはいえないのでしょうが。

 反体制派の論客王力雄氏*3は、「2008年のチベット事件はチベット独立か否かの分水嶺であった。……これ以後はチベット独立が現実的なレベルに浮上したのであり、視野の及ぶところとなった。この変化を生んだのは、ほかではなく、中国権力構造の中で『反分裂』を分担する官僚集団である」と言う(前掲論文)。
 けれども、チベット人地域人民の意識が「独立が現実的なレベルに浮上した」というほどの高みに達したとは到底思えないのである。

 そりゃそうでしょうね。ダライ亡命政府自体が独立なんか主張してないわけですから。王力雄が本気でこんなことを言ってるならバカだし、虚言ならクズです。それにしても、さすがに阿部はこうした与太を批判する程度の常識はあるようです。

*1:ただし実質的にはもはや国軍ではないか。

*2:したい理由がよく分かりませんが。

*3:著書『私の西域、君の東トルキスタン』(2011年、集広舎)、『黄禍』(2015年、集広舎)、『セレモニー』(2019年、藤原書店