高世仁に突っ込む(2020年4/28日分)

米国のWHOへの資金拠出停止をめぐって - 高世仁の「諸悪莫作」日記

 WHOへの資金ストップは、トランプの度重なる愚行ですでに国際的な信用を大きく失ってきたアメリカの指導力にさらに決定的なダメージとなる。中国はここぞとばかりに24日、WHOに32億円の寄付を表明。いまさかんに繰り広げられているマスク外交と相まって、中国こそが世界のリーダーだという効果的なアピールを行っている。中国を有利にするばかりだ。

 高世のアンチ中国には、いつもながら呆れます。「WHOへの拠出金は税金のような物で拠出拒否など出来るもんではない(我々が『安倍自民なんか支持しない』からといって納税拒否するわけに行かないのと同じです)」「世界各国がアメリカのようなことを言い出して(WHOに限らず)国連機関の拠出金拒否など始めたら収拾がつかなくなる」という話です。
 「米国の政治力が落ちる」「中国の株が上がる」なんてそんな話は本筋じゃない。
 そして「マスク外交」はともかく「32億の寄付」は中国にとって「そうせざるを得なかった」と言う話でしょう。
 米国が「中国云々」を口実に拠出金拒否という無法を働き、WHOから「米国が拠出拒否でできた穴をなんとかして埋めたい。中国もそれなりに資金提供して欲しい」と言われたら、まさか断るわけにも行かないでしょう。
 なお、拠出金拒否なら「レーガン*1政権やオバマ政権」が「ユネスコは反イスラエルパレスチナに不当に肩入れしている」として「ユネスコ拠出金拒否」をしたことが過去にあります。何もアメリカが「拠出金拒否」と言う無法をしたのは「トランプのWHO拠出金拒否」が初めてではない(なお、トランプ政権になってからは拠出金拒否にとどまらずユネスコ脱退にまで至っています)。

 私はアメリカの外交にはいろいろ問題があるけれど、残念ながら国連に国際秩序のコントロールを期待できない*2現状では、アメリカの指導力はまだ必要だと考えていた。パレスチナ問題でのクリントン*3北朝鮮問題でのブッシュ*4、核軍縮でのオバマ・・結果的に成功してはいないが、一つの流れを作る指導力を発揮して、それを他の国々も認めていた。消去法でいくと、アメリカにリーダーシップをとらせるしかない。
 だから、アメリカがオウンゴールのような形でどんどん沈没していく、そのことに危機感を覚える。
 アメリカを全くあてにしないでこれから新たに国際秩序を作っていけるのか、これはたぶんここ100年くらいで初めて世界に突き付けられている大問題だと思う。

 ベトナム戦争で米国批判していたはずの「元左翼」高世がここまでアメリカブラボーとは驚きですね。
 事実認識として間違いだらけでしょう。
 何故パレスチナ問題が解決しないのか。大きな理由の一つは「米国内のイスラエルロビー」のために歴代米国政府が露骨にイスラエル寄りの外交をし続けたからです。
 むしろパレスチナ問題をここまでこじれさせた元凶の一つは米国である。
 「北朝鮮問題でのブッシュ」てブッシュが一体どんな成果を上げたというのか。
 むしろ「イラク戦争」でイラクを今の内戦状態にしてしまった「駄目政治家」がブッシュではないのか。
 「核軍縮でのオバマ」てオバマが核軍縮で何の成果を上げたのか。オバマがやったことは戦略核兵器削減条約を批准/米上院 米ロの新たな核軍縮へということでしかない。「米国も核兵器を削減するからロシアも削減してくれ」程度の話にすぎません。無意味とは言いませんが、高世が書くほど高く評価できる話ではない。  
 つまり、クリントンやブッシュはひとまず置くとしても「結果的に成功してない」のではなく「オバマ」にいたっては最初から核軍縮する気なんかないでしょうよ。「米国も減らすからロシアも減らしてくれ」程度の話は「核軍縮」といって大騒ぎするような話ではない。
 つうか「オバマの外交成果」としてあげるならそんなことより「トランプのせいでおじゃんになった」とはいえ「キューバとの国交正常化」ではないのか。
 それにしても、「米国が政治力を失うこと」に「米国民が危機感を覚える」、あるいは「日本が政治力を失うこと」に「日本国民の高世が危機感を覚える」のなら理解できますが「日本国民の高世」が「米国が政治力を失うこと」に危機感を覚えるのはさっぱり理解できません。
 それは
1)米国の政治路線は常に正しい(少なくとも他国の政治路線よりはマシ)
2)米国の政治路線は必ずしも正しくないが「ジャイアン・米国」にへいこらして、「利益を獲得する」スネオ路線が日本のとるべき道
3)日本の国益などどうでもいい。米国を持ち上げれば俺、高世の経済的利益になる(米国政府から機密費でももらってる?)
のいずれかの立場に高世が立って初めて成立する話です。
 そして「高世はともかく」俺はそう言う立場ではない。
 そもそも「米国がすぐさま政治力を喪失すること」は幸か不幸かないでしょう。米国の政治力、経済力、軍事力は未だ侮れない(長期的には米国の地位は低下していくとは思いますが)。
 なお、「米国がいわゆる世界の覇権国、盟主国」になったのは「1945年以降」のことにすぎないわけです。
 それ以前は米国と「英仏独伊など欧州諸国」の関係は決して「米国を盟主とするもの」ではなかった。戦後、NATOなどによって「米国を盟主とする路線」が採用されたにすぎません。今後「米国を盟主としなくなっても」何ら不思議ではない。
 そして米国が覇権国ではなくなって、「米国」「欧州諸国」「中国」「ロシア」「ASEAN諸国」など、様々な国々が「対等の立場」で政治を動かす形で何が悪いのか。 米国に限らず、英仏独でアレ、中国でアレ、ロシアでアレ、『特定の国が圧倒的な力を持つ体制』などというのはその『圧倒的な力を持つ国』が誤った方向に進んだら『止めるのが難しい』からそんな体制は俺はノーサンキューです。


【参考:オバマ『核軍縮』のインチキ性】

オバマ米政権の核兵器削減702発/冷戦後 歴代政権で最低/有識者「状況、悪化させている」
 米国防総省が発表した資料によると、オバマ政権下の7年間に米国が削減した核兵器の数は約700発にとどまっています。資料を分析した米国科学者連盟(FAS)の核専門家ハンス・クリステンセン氏は5月26日、削減ペースが冷戦終結後の歴代政権のなかで最も低い水準になっているとブログで指摘しました。
 国防総省によると、米国が保有する核兵器の数は、2015年会計年度の時点で、解体を待っている退役済みのものを除いて4571発です。オバマ氏が大統領に就任した2009年から15年の間に削減した核兵器の数は702発で、削減率は13%でした。
 ブッシュ前政権は約5300発を削減し、削減率は50%でした。
 またオバマ政権が昨年解体した退役済みの核兵器の数は109発で、政権発足以来の年間解体数としては最低でした。クリステンセン氏によると、これは1年間の解体数としては1970年以降で最低水準とみられます。
 米紙ニューヨーク・タイムズ5月27日付は同資料について伝えた記事で「核兵器のない世界というオバマ氏の目標と現実に著しい格差がある」と指摘しました。

人間、言行一致が大事だな。

 そうですね。だからこそ俺は「ジャーナリスト面しながら特定失踪者などと言うガセネタの垂れ流しに加担する」「言行不一致」が甚だしい高世が反吐が出るほど大嫌いです。ジンネットが倒産したことも「大変良かったことだ」「ジンネットって何の社会的価値もなかったよな」と大いに喜んでいます。
 というと、高世はおそらくマジギレするのでしょうが。
 そして「核なき世界」とほざきながら、ろくに核軍縮などしなかった「言行不一致」オバマも「米国最初の黒人大統領」「キューバとの国交正常化」「オバマケア」という「成果」を割り引いてもあまり好きな政治家ではありません(さすがにレーガンやブッシュ親子、トランプなどよりは評価しますが)。

*1:カリフォルニア州知事を経て大統領

*2:そうなる理由の一つはいわゆる「五大国の拒否権発動」であり、米国もイスラエル問題などで拒否権を発動してることを良く高世も無視できるもんです。

*3:アーカンソー州知事を経て大統領

*4:テキサス州知事を経て大統領。ブッシュ父大統領の子。