今日のロシアニュース(2020年5月9日分)

“コロナ”と北方領土、9日予定の首脳会談“まぼろし”に・・・|TBS NEWS
 コロナで日露首脳会談がぽしゃったことで「北方領土問題の挫折」が明々白々なことは事実ですが、それは「コロナが島の返還を挫折させた」ということではもちろんありません。


対ナチズム戦勝75周年:プーチン首脳外交|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ

 5月8日のロシア・タス通信は、プーチン*1大統領とドイツのメルケル*2首相が欧州及び世界のナチズムからの解放75周年を電話で祝ったことを伝えています。クレムリンによれば、「二人は、当時の悲惨な出来事に関する歴史的な記憶を保全することの重要性を強調し、両国がナチズムに対して戦ったドイツの愛国者のことを忘れない」としました。同通信はまた、ドイツ政府のザイベルト報道官が、第二次大戦の記憶を保全することの重要性について両首脳が見解を共有し、両首脳が「数百万人の犠牲者の記憶を大事にし、ナチス・ドイツが引き起こした戦争による計り知れない苦難を記憶する」としたこと、また、両首脳は「戦争及びその恐怖に関する記憶は永久に保全されなければならない」としたことを明らかにしたことも伝えました。
 同日のタス通信によりますと、プーチンは、フランスのマクロン*3大統領、イギリスのジョンソン*4首相、イタリアのコンテ首相とも電話で会談し、75周年を祝う言葉を交わしました。

 浅井基文先生のブログ記事をまずは紹介しておきます。
 浅井先生も指摘していますがここからわかること、それは常岡浩介や黒井文太郎のようなアンチロシアの放言「(欧米の対ロシア制裁などで)プーチン政権は追い詰められてる」は事実に反すると言うことです。
 もちろん「欧米の対ロシア制裁は痛い」。
 また「プーチン政権長期化による国民(特に若者)の飽き」や「コロナ不況のロシア経済への悪影響」などでプーチン体制も「千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで」というほどの絶対的体制ではない。
 しかし一方で、常岡や黒井が放言するほどプーチン体制は弱い体制ではないわけです。そんなに弱かったら「メルケルなどがプーチンと第二次大戦勝利を共にアピールすること」はないでしょう。
 また浅井先生も指摘していますが「こうしたロシア(ソ連)の枢軸国への勝利アピール」は単に「ナチドイツへの勝利アピール」だけではなく「大日本帝国への勝利アピール」でもあるでしょう。
 つまりはプーチンは「北方領土獲得はロシアにとって当然の結果であり、国際社会もそれを支持している。それを否定すること(安倍政権を含む歴代自民党政権の立場)は間違ってる」と「暗に示唆してる」ということです。
 プーチンに「北方領土を返す気がないこと」は浅井先生が言うように間違いないでしょう。
 またそうしたプーチンの思惑を、ドイツのメルケル首相、フランスのマクロン大統領、イギリスのジョンソン首相、イタリアのコンテ首相も「さすがにわかってる」でしょう。
 しかし
1)ロシアビジネス(シベリアの石油や天然ガス)を重視するからか
2)連合国の第二次大戦勝利をアピールすることで「ドイツのネオナチ」など、国内の極右勢力を牽制したいからか
とにかく、「北方領土獲得はロシアにとって当然の結果であり、それを否定すること(安倍政権を含む歴代自民党政権の立場)は間違ってる」とプーチンが「示唆したい」であろうことを理解しながらプーチンと共に「第二次大戦勝利」を祝ったわけです。
 北方領土問題で英仏独伊が「ロシアを支持してる」とはいえませんが「日本を支持する気など全くない(つまり、日露で話し合って円満解決して下さい)」であることは改めて明白になったと言えるでしょう。
 つまりは「以前から分かってること」ですが改めて「安倍の対露外交」は「北方領土返還を目指す」と言う意味では完全に失敗だと言うことが改めて露呈したわけです。

*1:エリツィン政権大統領府第一副長官、連邦保安庁長官、第一副首相、首相などを経て大統領

*2:コール内閣環境相キリスト教民主同盟 (CDU) 幹事長などを経て首相

*3:オランド政権財務相などを経て大統領

*4:ロンドン市長、メイ内閣外相などを経て首相