今日の産経ニュースほか(2020年10月5日分)(副題:菅の学術会議議員任命拒否など)

アンドリュー・バルトフェルドさんコメント『内閣支持率が爆上げで腹が立っています』に仰天すると共に呆れる
 爆上げと評価するかどうかはともかく、

JNN世論調査、菅内閣の支持率70.7%|TBS NEWS
・先月の調査結果より8.3ポイント上昇し、70.7%でした。一方、支持できないという人は12.0ポイント減って24.2%でした。
菅内閣の目玉政策を担当する新閣僚2人について期待するか聞きました。河野行政改革担当大臣に「期待する」人は63%、平井デジタル改革担当大臣に「期待する」人は47%で、それぞれ「期待しない」を上回りました。
菅内閣が打ち出した「不妊治療の保険適用拡大」について、「期待する」と答えた人は73%でした。「携帯料金の4割程度引き下げ」については、「期待する」が83%に達しています。

で支持率上昇だそうです。おそらく他の世論調査も大同小異でしょう。フジサンケイ辺りならともかくJNN(TBS)に世論調査結果を捏造する動機も無いでしょう。
 俺はもちろん「不妊治療の保険適用拡大」など「個別の政策」はともかく、菅内閣については支持しませんが。俺は安倍政権ですら個別の政策(スポーツ庁設置、性犯罪の厳罰化など)については評価するものもありますが、さすがに「モリカケ」「桜を見る会」「アベノマスク」という「政治私物化」安倍政権を政権としては評価しません。
 それにしても頭痛がしてきますね。
 菅のマスコミを使った世論誘導に踊らされてるだけじゃ無いですか。
 そもそも菅政権支持率上昇の理由とみられる「不妊治療の保険適用拡大」にしても、「携帯料金の4割程度引き下げ」にしても、平井が担当の「デジタル庁」にしても、河野の「はんこ廃止(はんこ廃止以外に目立ったアピールはないのでやはりこれが支持率上昇理由なんですかね?)」にしても、現時点では「言っただけ」です。何かまともな案が提出されたわけでは何もない。
 そもそも「河野のはんこ廃止」を除いて*1、「不妊治療の保険適用拡大」にしても、「携帯料金の4割程度引き下げ」にしても、平井が担当の「デジタル庁」にしても、おそらく政令や省令だけで処理できる話では無いでしょうから、つまり法律の制定や改正が必要でしょうから、実施するには「臨時国会開会」が必要*2でしょうが、それを先送りしてるのが菅です。何で「法律改正が必要な施策(まあ大抵の施策はそうでしょうが)」をぶち上げながら、具体的案も出さなければ、国会も開会しない菅に「本当に不妊治療の適用拡大等をやる気があるのか」とは批判的に思わないのか。
 また「携帯料金の4割程度引き下げ」なんて「怪しいことこの上ない」。何で4割程度下がるのか、具体的な説明は何もないからです。あるいは河野の「はんこ廃止」なんて「その方針自体は安倍政権時代に決定されていた」と言う代物ですし、「今後、別途何か出す」にしても「現時点での行革相としての河野のアピールポイント」が「はんこ廃止」というのは

◆中曽根*3内閣での電電公社、専売公社、国鉄民営化(いずれもNTT、日本たばこ産業、JRに改編)
◆橋本*4内閣での中央省庁等改革基本法の制定
◆小渕*5内閣での情報公開法制定
◆森*6内閣での省庁再編(「厚生省、労働省」を再編して厚労省、「運輸省建設省国土庁」を再編して国交省、「自治省総務庁、郵政省」を再編して総務省、「文部省と科学技術庁を再編」して「文科省」など)や独立行政法人制度の導入
◆小泉*7内閣での国立大学の独立行政法人化や郵政公社道路公団民営化(日本郵政株式会社、高速道路株式会社などに再編)
◆第一次安倍*8内閣での「防衛庁」の「防衛省」への格上げ
◆福田*9内閣での消費者庁設置、公文書管理法制定
自民党批判派においても消費者庁設置、公文書管理法制定は概ね評価されてるかと思います。
◆鳩山*10内閣での行政刷新会議、行政刷新担当相設置と事業仕分け
◆第二次安倍内閣での内閣人事局スポーツ庁の設置

など過去の「行革がアピールされた施策」に比べたらあまりにもインパクトに欠け、しょっぱすぎるでしょう(ここではインパクトだけを問題にしており政策としての妥当性は論じていません)。デジタル庁の設置は「河野の所管事項」という扱いはされていませんしねえ(むしろ「平井の所管事項」扱い)。正直「現時点での行革アピールネタ『はんこ廃止』があまりにもしょっぱすぎる」「一方で『税金の使いすぎ』『野党の批判を逃げるために予備費と言うのは姑息だ』という批判が出ている中曽根元首相の国葬については何一つ河野は批判しない」ので「支持しない人間がもっと多いのでは無いか」と思ったくらいでした。
(そもそも個別の政策に良い物があるとしても、それだけで『学術会議議員任命拒否』のような無法を行う菅を評価する気には俺はなりませんが)。
 ただせめてもの希望は

 菅総理が、日本学術会議の会員候補となっていた学者6人の任命を見送ったことについて聞きました。任命見送りが「妥当だ」と答えた人は24%にとどまり、「妥当ではない」が51%に達しています。
 東京が追加され、対象が全国へと拡大した政府の観光振興策「GoToトラベルキャンペーン」については、「使いたい」が48%の一方で、「使いたくない」が43%と拮抗しました。
 衆議院解散総選挙はいつ行うのが良いか尋ねたところ、「任期満了まで行う必要はない」がもっとも多く51%、ついで「来年前半」、「来年後半」の順で、「今年中」と答えた人は8%にとどまりました。

ですね。
 菅の行為全てが支持されてるわけでは無い。「妥当ではない51%」は俺にとって「全然低い」ですが「妥当」は「24%」で残りの「25%」はおそらく「よくわからないや無回答」であり、手放しであの無法が容認されてるわけでは無い。
 なお、「妥当24%」の大半はおそらく1)学術会議を左傾化していると難癖付ける産経のようなウヨ、2)支持する動機が「おらが村の先生が自民党だから(先生は地元に公共事業(道路、空港などの建設)を誘致してくれたなど)」なのか、何かはともかく、自民党のやることなら、どんな無法でも、基本何でも支持する自民支持者(従って民主党政権が同じ事をした場合、因縁を付けたりするデタラメが2)の種の連中です)でしょうから、考えを変えることは望み薄です(マスコミがきちんと批判すれば考えを変えるという人間はいないとは言いませんが少ないでしょう)。この24%が「モリカケ」「桜を見る会」について「何の問題も無い」と言った連中でしょう。
 「早急な解散が希望されてない」のはある意味当然でしょう。「菅政権支持」と答えた連中も多くは「カネも無いのに無銭飲食したあげく、金を払う時点になったら逃げよう」とする「無銭飲食(ただ食い、食い逃げ)」的な解散を恐れてるわけです。
 「不妊治療の適用拡大も、携帯電話料値下げも、デジタル庁も期待するから一応菅内閣を支持する(俺はそんなことで無法な菅を支持する気が知れませんが)」「しかし今解散されたら、自民に投票するとは限らない。期待して自民に投票した後になって、不妊治療の適用拡大も、携帯電話料値下げも、デジタル庁も全部反故にされても困る。せめて国会に法律の制定案や改正案を提出して成立をさせてから解散しろ」ということでしょうねえ。
 という状況では菅も「法律制定も目指さずに」、「早期解散」に打って出にくいでしょうし、「学術会議の件などがガンガン追及されて支持率が下がり」、「とにかく疑惑隠ししたい、そのためには解散を強行する、批判されても構わない、衆院過半数が維持できれば議席が減っても政権に居座る」という心理にでもならない限り、「法律制定してからの解散」ではないか。野党など菅批判派としてはそれまでにどれだけ、菅の問題点をアピールできるかが問われてるわけです。


中国を喜ばせた米国政治の劣化 冨山泰(国基研企画委員兼研究員) « 国基研ろんだん 国基研ろんだん « 公益財団法人 国家基本問題研究所
 「劣化」を中国が喜んでるかどうかはともかく、劣化させた元凶が「防疫失敗によるコロナ蔓延」「BLM運動へのイタズラな敵視で民族、人種対立を助長」「バイデンとのテレビ論戦でも不規則発言連発」「選挙で負けても裁判闘争をすると居直り、裁判勝利の下準備として保守派判事を任命しようと画策」の「トランプ」であり「トランプ退陣こそが必要」と言うなら異論はありませんがもちろん国基研はそう言うまともな連中では無い。
 「さすがに正当化が難しい」コロナ失政やテレビ論戦の不規則発言については意図的に無視し、BLM運動についてはトランプ同様にイタズラに敵視し、全てをトランプ批判派の言いがかりとし、「反中国の為にはトランプ当選を」と言うのだから呆れて二の句が継げません。そもそも「アンチ中国」と言う立場に立ったところで「まともな中国批判のバイデン」ならまだしも「ティックトックに対する行政措置」が違法行為として裁判所の差止命令を食らうような無法なトランプを支持するなど論外でしょう。トランプの場合「やり方が無茶苦茶」なだけで、バイデンが中国に甘いわけでは実は無い。
 「犯罪者相手にはガンガン発砲して射殺して構わない、そうしないと治安が守れない」レベルの暴論が「反中国」を理由にしたトランプ支持論です。「アンチ中国」と言う立場に立ったところで、まともな人間ならとても支持できる話では無い。


自民・船田氏「明らかに解釈変更」 学術会議人事を批判:朝日新聞デジタル
 野党に比べればぬるい批判であり、過大評価はできませんが今の自民党においては「立派にまともな人間」でしょう。このレベルですら言わない連中が今の自民党議員ですので。


学術会議 野党が内閣委で審議要求、与党は警戒 - 産経ニュース
 そもそも任命拒否について「落ち度が無い」と本気で思ってるのなら「野党の開会要求に逃げ腰になる必要はどこにも無い」。
 開会要求に応じて任命拒否理由を正々堂々と述べればよろしい。
 逃げ腰と言うこと自体が「自らの非を認めてるのも同然」であり、まさに「語るに落ちています」。


菅首相、学術会議会員任命「前例踏襲でよいのか」 - 産経ニュース
 おいおいですね。ならば最低限、「どんな理由」で前例を覆したのか、まともに説明してみろという話です。まともに任命拒否理由を説明もできない人間が何を言ってるのか。


座間9人殺害 自殺撤回「真意の承諾ない」と検察、弁護側反論「意思あった」 - 産経ニュース
 裁判所が同意殺人や心神耗弱を認めたら(つまり死刑判決を出さなかったら)多分マスゴミと被害者遺族が「また」発狂するんだろうなと思いますね。
 なお、検察の求刑は「複数殺人(9人殺害)&強盗殺人(殺害後、被害者の所持金を奪うなどしている)&強姦殺人*11」なので今の日本の判例では「同意殺人主張」「心神耗弱主張」以外に死刑回避の方法はおそらくないでしょう(一人や二人ならともかく、9人も殺してると強姦や強盗の事実を否定して「単純殺人プラス窃盗」「単純殺人プラス強制わいせつ(あるいはそもそも和姦)」認定されても、死刑回避という意味では余り意味が無い)。なお、同意殺人かどうかはともかく、被害者たちが自殺志願者だったことは事実です。
 また正直、「心神耗弱が成立するかどうか」はともかくこんな犯行をするのは「ある種のキチガイ」ではあるでしょう。
 まあ、既にマスゴミは「同意殺人や心神耗弱の主張」にかなり敵対的かと思います。
 いや実際、どうなのかは今後の審理でわかることですが、この種の事件だと「推定無罪」とか「被告人の防御権」とかいったことが完全に抜け落ちて「死刑しかない」的な感情的な報道を繰り広げるマスゴミもどうにかならないもんでしょうか。裁判する前から死刑と決めつけるのなら裁判する意味が無いし、それでは法治国家では無い。
 しかしどういう了見で、毎日新聞はこんな記事を書くのか - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)が批判する毎日記事は全くくだらないなと「改めて」思いますね。
 日本だって今回のような「複数殺人&強盗殺人&強姦殺人」のようなかなり凶悪な話だと「死刑しかない」的な報道になるわけですからね。

*1:これは省令や政令でも、もしかしたら処理できる話かもしれません。

*2:まあ、それ以前に具体的な案が現時点では出てませんが

*3:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官などを経て首相

*4:大平内閣厚生相、中曽根内閣運輸相、自民党幹事長(宇野総裁時代)、海部内閣蔵相、自民党政調会長(河野総裁時代)、村山内閣通産相などを経て首相

*5:竹下内閣官房長官自民党副総裁(河野総裁時代)、橋本内閣外相などを経て首相

*6:中曽根内閣文相、自民党政調会長(宮沢総裁時代)、宮沢内閣通産相自民党総務会長(橋本総裁時代)、幹事長(小渕総裁時代)などを経て首相

*7:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相などを経て首相

*8:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官などを経て首相

*9:森、小泉内閣官房長官などを経て首相

*10:細川内閣官房副長官新党さきがけ代表幹事、民主党幹事長などを経て首相

*11:強盗殺人と強姦殺人は確か法定刑が死刑か無期懲役しかありません。まあ、強盗殺人、強姦殺人に限らず「身代金目的誘拐殺人」「放火殺人」「保険金詐欺殺人」など「殺人プラスアルファの重大犯罪」だと量刑が死刑に近づくことになります。