「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2021年8/15分:荒木和博の巻)

大森勝久氏の新しい論文です: 荒木和博BLOG
政府には日本の安全と生存を守るために不可欠な各種ミサイルを配備する憲法上の義務がある | 新・大森勝久評論集
 現在進行中の危機「新型コロナ」については「コロナはただの風邪」呼ばわりし、危機であることを公然と否定する御仁・大森氏*1が「中国、ロシア、北朝鮮のミサイル危機」という「虚構の危機」を騒ぎ立てるのだから呆れて二の句が継げません。
 中国、ロシア、北朝鮮のミサイル保有をどう評価するにせよ、それは「今すぐ日本にミサイルをぶち込むかもしれない」なんて危機ではあり得ない。
 1)そんなことをして軍事的に勝利できるか(中国などの軍事力をどんなに高評価しても勝利の可能性は決して高くない。在日米軍自衛隊が一方的にやられることは考えがたい)、2)軍事的に勝利できたとして政治的に正当化できるのか*2、3)軍事的敗北、政治的敗北のリスクを犯してまでミサイル攻撃などするメリットがあるのか(あると思えない)という意味で完全に「虚構の危機」です。
 つうか「アムネスティインターナショナルや日弁連が冤罪認定している」が故に「それを無視して、政府が大森氏への死刑執行を強行すること」は「政治的批判を呼び、政権が危機に直面しかねないのでほとんど考えられない(このまま再審無罪判決が出ない場合、帝銀事件名張毒葡萄酒事件の死刑囚のように死刑執行されないまま、高齢化による獄死が一番可能性として高い)」とはいえ、形式的には「死刑執行の危機」にある人間「大森氏」が随分と脳天気なもんです。

(5)安倍*3首相(当時)の私的諮問機関の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(柳井俊二座長。柳井氏は国際海洋裁判所長。元外務事務次官)は、2014年5月15日に「報告書」を安倍首相に提出した。「報告書」は、「あるべき憲法9条解釈」として、「芦田修正」を首相に提言したのだ。閣議によって「芦田修正の9条が正当だ」と決定すれば、日本はその日に自衛権行使等のための軍隊を保持できて、自衛隊を軍隊にできる。それなのに、安倍首相は当日の記者会見で「芦田修正は採用しない!」と拒絶したのであった。

 これが
1)芦田*4修正論を採用したかったが、「ご都合主義ででたらめ」との批判を浴びて「政治的に無理」との判断から結局採用できなかった。つまり「検察庁法改定案廃案(第四次安倍内閣)」「入管法改定案廃案(菅*5内閣)」のようなケースなのか
2)そもそも最初から採用する気はなく、しかし、1)「安倍の集団的自衛権行使論」が「ソフトでマイルドである」、2)懇談会が安倍の言いなりではなく「自主性がある」かのように偽装するため「あえて、採用する気もない芦田修正論・採用論」を出させ「芦田修正論は採用しません」と安倍が表明した出来レース
のどちらなのかは不明です。
 いずれにせよ「明文改憲しなくても、芦田修正論を閣議決定で採用し、憲法解釈を変更すれば、現行憲法でも集団的自衛権行使できる」という方向を安倍は選びませんでした。
 しかし、それは安倍政権誕生以前から「吉田茂*6内閣から麻生*7内閣に至るまで」歴代自民党(吉田時代は自民党の前身である自由党ですが)内閣が

「安倍の祖父である岸*8首相」「中曽根*9首相」らの改憲右派

も含めてずっと「芦田修正論は採用しない」「芦田修正論は間違っている」という態度だった以上、当然でしょう。
 「産経、日本会議、国基研」といった日本ウヨですら多くのウヨは大森氏と違い「芦田修正論を採用すれば明文改憲不要」なんて態度ではありません。
 そのような状況下で「芦田修正論を採用しろ!」とは主張の是非以前に実現性皆無であり、「全く政治的に無意味な行為」です(なお、荒木が1)芦田修正論支持なのか、2)支持しないが、大森氏との人間関係を忖度して何も言わないのかは不明)。
 そして「芦田修正論を採用しないから安倍は反日*10」というなら安倍同様、芦田修正論を採用しない「岸や中曽根」「産経や日本会議、国基研」も反日になるでしょう。いや実際、大森氏はそう公言してますが。

 反日反米左翼(社会主義者共産主義者のことである。共産党立憲民主党であり、反日反米左翼はNHK、朝日、毎日、東京新聞など*11のマスメディア、憲法学会、大学・教育界を支配している)は、日本国憲法を「ブルジョア憲法だ」として否定している。日本国家を「ブルジョア国家だ」として否定している。

 吹き出しました。今時「左翼である日本共産党」「左翼のジャーナリストや憲法学者」ですら「日本国憲法ブルジョア憲法に過ぎない」なんて否定的評価ではないでしょうが、左翼ではない「立憲民主党*12NHK、朝日、毎日、東京新聞」、「左翼の学者もいるとは言え」必ずしも左翼ではない憲法学者に至ってはもちろんそんな評価の訳がない。

 自民党が長年言ってきた「憲法96条の手続きに基づいて憲法9条を改正して国防軍を保持する」との考えと運動は、全く実現性のない非現実的なものだ。

 むしろ「今までの政府見解を完全に無視していきなり芦田修正採用→そうすれば現行憲法のままでも国防軍を保持できる」の方がよほど現実性がない。

*1:正直「大森氏のような囚人へのワクチン接種」てどうなってるんでしょうか?

*2:軍事的に勝利できるとしても、中国が「隣国であるブータンやネパールへの軍事侵攻」「香港デモへの軍投入」をしない(しなかった)のはそういう話です。

*3:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*4:幣原内閣厚生相、日本自由党政調会長民主党総裁、片山内閣副首相・外相を経て首相

*5:第一次安倍内閣総務相、第二~四次安倍内閣官房長官を経て首相

*6:戦前、天津総領事、奉天総領事、駐スウェーデン公使、外務次官、駐伊大使、駐英大使など歴任。戦後、東久邇宮、幣原内閣外相を経て首相

*7:橋本内閣経済企画庁長官、自民党政調会長(小泉総裁時代)、小泉内閣総務相、外相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)、首相、第二~四次安倍内閣副総理・財務相などを経て現在、菅内閣副総理・財務相

*8:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、日本民主党幹事長、自民党幹事長(鳩山一郎総裁時代)、石橋内閣外相を経て首相

*9:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官などを経て首相

*10:まあ、大森氏の場合、芦田修正論云々だけでなく「安倍が大森氏ほどには反中露でないこと(例えば一帯一路への参加表明、李克強首相訪日時の北海道訪問への同行、習主席国賓訪日の計画(コロナのため中止されたままだが)、プーチン大統領の訪日など)」「大森氏と違い核武装論をさすがに首相在任中は公言しないこと」なども反日認定の理由ですが。

*11:産経や読売、文春、新潮など右派メディアが「など」に入るのかは不明ですが、右派メディアもほとんどは「芦田修正論を採用しない」ので、大森氏の立場では「反日」になります。

*12:日本新党新党さきがけ出身で、大平正芳を理想の政治家と語り「保守リベラル」アピールする枝野を「左翼扱い」とは呆れて二の句が継げません。