新刊紹介:「前衛」2021年9月号

 「前衛」9月号について「興味のある内容」のうち「俺なりに何とか紹介できそうな内容」だけ簡単に触れます。「赤旗記事の紹介」でお茶を濁してる部分が多いです。
◆座談会『東京都議選でかちとった歴史的勝利:総選挙での躍進、市民と野党共闘成功で新しい政権実現を』(白石たみお(都議、品川区)/曽根はじめ(都議、北区)/田辺良彦(党都委員長)/原のり子(都議、北多摩4区)/米倉春奈(都議、豊島区))
(内容紹介)
 もちろん共産党機関誌なのでこの座談会は基本的には

・1議席にとどまるとは言え議席が増えて良かった、これを衆院選での議席増につなげたい
・共闘相手の立民が議席増して良かった、これを衆院選での野党共闘につなげたい
・(コロナ問題など生活に密着した問題が多い限界(?)があるとはいえ)議席増には「保守層への働きかけ」による「支持の広がり」があると思う。そうした働きかけ、支持の拡大を今後も強めたい
・「中止には至らなかった」ものの、無観客開催になったのは世論調査結果、マスコミの批判、尾見会長ら医療関係者の批判もあったが、この選挙結果も大きく貢献したと思う

と「景気のいい話」ではあるわけですが、実際、「無観客開催の理由の一つ」は選挙結果でしょうし、「衆院選での議席増」につなげて欲しい(そしてそれは不可能性ではないのではないか?)と一支持者として強く期待しています。

参考
東京都議選の結果について/日本共産党東京都委員会
東京都議選 共産19議席に前進し勝利/定数2の日野・文京で新議席/自公過半数届かず
共産 都議選3連勝/女性議員14人 第1党
都議選勝利を力に総選挙での躍進を/東京・新宿 志位委員長の訴え
野党共闘で重要な成果/都議選で大きな力発揮


◆対談『「赤木ファイル」は何を明らかにしているのか:いまこそ森友問題の再調査、真相解明を』(宮本岳志*1×辰巳孝太郎*2
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

主張/赤木ファイル開示/改ざん強要の徹底解明拒むな
 学校法人森友学園への国有地売却をめぐって、財務省の公文書改ざんを強いられ、自死した近畿財務局職員の赤木俊夫さんが経過を記録した「赤木ファイル」が開示されました。妻雅子さんが「真実が知りたい」と起こした訴訟で、大阪地裁が国に開示を指示したものです。ファイルには、佐川宣寿理財局長(当時)から文書書き換えで「直接指示」があったとするメールがありました。本省の不当な要求に赤木さんが抗議したことも記されています。一方、一部黒塗りのため全容解明はこれからです。財務省は隠ぺい姿勢を改め、真相を明らかにすべきです。

改ざん問題 世界に伝えて/赤木雅子さん 外国特派員協会で会見
 森友学園への国有地売却をめぐる公文書改ざん問題で、国などを提訴している赤木雅子さんが24日、都内の日本外国特派員協会で記者会見しました。
 「改ざん前の公文書に名前があった安倍晋三前首相や麻生太郎*3財務相は、『再調査しない』と言える立場ではない。調査される側の人たちだ」と指摘しました。


◆国民不在と悪政の突撃隊:日本維新の会(上)(小松公生*4
大阪市の「オンライン授業」四週間、登校制限で「学び」を奪った「不当な支配」:維新の教育介入に市民の反撃続く(宮城登*5
(内容紹介)
 小松論文が「国政分野での維新批判」、つまり「自民党応援団」「自民の二軍」として「悪政の突撃隊」を務める「エセ野党」維新を批判しています。
 宮城論文は「地方行政(大阪市政)の分野」での批判。「大阪市のオンライン授業」を中心に、教育行政を批判しています。

【参考:自民応援団としての維新】

首相「第2の愛人」と化す維新:FACTA ONLINE2017年1月号
 自民党民進党共産党の反対を振り切り、TPP承認案を採決したことについて、安倍晋三首相は「強行採決」と認めていない。国会では「我が党は立党以来、強行採決をしようと考えたことはない」とまで強弁した。この際、採決の正当性を主張する論拠に使われたのが、日本維新の会だった。
「野党である日本維新の会は出席し、賛成した」
 維新は2014年衆院選後の首相指名選挙で「安倍晋三」に投票していない。閣僚ポストも渡されていないし、法案提出前に審査する「与党の特権」も与えられていない。
 確かに「野党」だ。民進、共産に次ぐ野党第3党だ。
 けれども、秋から冬にかけての臨時国会での立ち振る舞いはどうみても「与党」だった。
 はじまりは第2次補正予算案。続いてトランプ米政権誕生で死に体となるTPP承認案。そして年金カット法案と呼ばれる年金制度改革法案。維新は与野党が激突する議案に次々と賛成した。維新の同調がなければ自民党もここまで「強行採決」を重ねることはできなかったろう。
 極め付けは首相自らが旗を振るカジノ解禁法案だ。自民党は維新とタッグを組み、ついに連立相手の公明党抜きの形で初めて強行採決に踏み切った。
 いざ選挙となれば、野党に流れる政権批判票の一部を維新が吸収してくれた。維新は夏の参院選の大阪(改選数4)で2議席、兵庫(同3)で1議席を取る一方、民主党(当時)と共産党はともに1議席も得られなかった*6。松井知事は大阪での二人擁立について「共産党民主党に大阪での議席を与えたくない」と公言。「最大の敵」は自民党ではなく、民進党共産党なのは明らかだ。
 しかも維新は日常的に激しい民進批判を繰り広げてきた。維新議員が国会で民進議員を「アホ」と罵倒したのは象徴的だ。民進党が「与党のくせに野党のふりをしている変な政党」(枝野幸男*7)と反発するのも無理はない。

維新10年、「俺たちこそ自民」 政権との太いパイプ、アピール=訂正・おわびあり:朝日新聞デジタル2020.4.19
 「いよいよ2度目だね。もう1回住民投票をやるなんてすごいね」
 東京都心の高層ホテル最上階のレストラン。首相の安倍晋三*8は昨年12月27日夜、大阪維新の会創設者の橋下徹大阪市長松井一郎をこう言って持ち上げた。官房長官菅義偉*9を含めた年末恒例の4人の会食は、2時間半に及んだ。
◆持ちつ持たれつ
 安倍政権にとっては、ほとんどの野党が反発する法案でも、与党ではない維新が賛成すれば国会運営の「強硬色」を薄めることができる。維新にとっては、大阪では「反自民」の立場で既得権益批判を展開しつつ、各地域で自民が売りにする「政権との太いパイプ」を訴えることができる。
 持ちつ持たれつの両者は協力し合って大阪での主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)開催など*10を実現してきた。国政ではカジノを含む統合型リゾート(IR)関連法の成立に維新が協力。首相が悲願とする憲法改正をめぐっても、維新は衆参の憲法審査会での議論を行うことに前向きな姿勢を示す。

 この朝日記事でも解るように「安倍や菅との太いパイプ」を誇示して恥じないのが維新であり、およそ野党と呼べる連中ではない。それはともかく、こうした記事を書くだけ読売や産経に比べれば「朝日はまだまとも」といえるでしょう。だからこそ、安倍や菅、維新が朝日を敵視するわけですが。

【参考:大阪のオンライン授業】

松井市長発言検証こそ/共産党、大阪市教委と懇談/オンライン学習など
 オンライン学習については、通信環境が整っていないにもかかわらず松井一郎市長が4月19日の会見で突然、実施を表明したことから現場が混乱。5月17日に再び市長が会見で、通常授業に戻すと発言し、現在は通常授業となっています。
 宮本氏は、地方教育行政法で授業に関することは合議制の教育委員会のみが決めるとされていると指摘し、市長発言後、教育委員会会議は開かれていないことから経緯を明らかにするよう求めるとともに、「市長発言がすべての問題の出発点。そこを検証するべきだ」と強調。辰巳氏は「教委に諮ってから言うよう市長に言うべきだ」と述べました。

 1)法律上、教育委員会の合議で決定すべきところ、松井市長の命令だけで決定するという違法行為が行われたのではないか、と言う手続き上の問題、2)オンライン授業を実施できる通信環境が整備されてないにもかかわらず、思いつきで実施を命令し、現場の混乱を招いたとする問題が批判されています。


特集『家族介護が問う介護の今』
◆介護の担い手の変容と「ケアラー支援」の現在地:「介護の社会化」と家族(津止正敏*11
◆子ども・若者ケアラー(ヤングケアラー)を支える:当事者の経験と声を中心にすえた支援策を考える(斎藤真緒*12
◆高齢期の親たちの体験から考えるケアラー支援(児玉真美*13
(内容紹介)
 赤旗記事や津止本の紹介などで代替。
赤旗記事の紹介】
介護者 負担ずしり/日本ケアラー連盟アンケート/疲労やストレス増 36%/感染後代わりいない51%2020.5.6
きょうの潮流 2021年4月17日(土)
社会的孤立への対応 参考人/介護制度の充実こそ2021.4.20
ヤングケアラーに支援/早期発見へ政府が報告書2021.5.18
【津止本の紹介】
(新書)津止正敏著『男が介護する』ほか:朝日新聞デジタル
「男が介護する」など注目の新書5選(朝日新聞2021年3月6日掲載)|好書好日

【児玉真美氏の紹介記事】

“安楽死”をめぐって(5)フリーライター・児玉真美さんに聞く(後編) - 記事 | NHK ハートネット2020.11.4
※この記事は、11月4日放送のハートネットTV「特集 京都ALS患者嘱託殺人事件(2)“安楽死”をめぐって」の取材内容を加筆修正したものです。
 去年11月、ALS患者の女性が面識のなかった医師2人に殺害を依頼したとされる、京都ALS患者嘱託殺人事件。女性は生前SNS上で、日本でも“安楽死”(※注)を受けられるようになることを求めていました。この“安楽死”について、私たちはどのように考えればよいのか。重度障害のある娘の母親で、海外の安楽死について発信を続けるフリーライターの児玉真美さんに聞きました。
聞き手:
 児玉さんは、娘の海さんに重度の障害があります。安楽死をはじめ、海外の生命倫理分野について追いかけるようになったのは、海さんの存在が大きかったのでしょうか。
児玉:
 こういう生命倫理の問題を追いかけ始めたきっかけは、アメリカのアシュリー事件でした。家族でいつまでも介護したい、本人のQOL(生活の質)を維持したいなどの理由で、6歳の重症児(重症心身障害児)から健康な子宮と乳房をとって、さらに身長が伸びるのを止めた。その医療介入が2007年に倫理議論を巻き起こした事件なんですけど、その議論で「どうせこういう重症児は何にも分かんないから」「どうせ赤ちゃんと同じだから」という正当化がされたことに、私は納得できなかったんです。うちの娘は、確かに寝たきりで、知的な障害も重くて、イエスの意味の「ハ」以外の言葉を持たないし。でも、彼女は彼女なりに、何もかも分かってる。言葉も大半わかってるし、状況とか人をものすごくよく見ていて、自分の言いたいことは、アバウトな指さしや能弁な目つきやカラフルな音声を駆使して伝える。
聞き手:
 今回の事件を受けて世間の声を見ていると、「死ぬ権利」を認めるべきという声と、絶対に認めない声とでパックリと分断されている状況があると思います。児玉さんはどうお感じになりますか。
児玉:
 苦しい人は死なせてあげようっていうのは素朴な善意だと思うんですけど、私自身は海外の安楽死についてずっと追いかけてきて、知れば知るほど答えが見えなくなるので、なんでそんなに簡単に答えが出るんだろうと不思議な感じがあります。
 特に、日本のように、社会でも家族の中でも同調圧力が強い国で、個々の究極の選択を尊重してあげながら、なおかつ、社会的弱者に不当な圧がかからない社会を目指すのはとても難しいんじゃないでしょうか。
 海外の実態について詳しく知れば知るほど、積極的安楽死とか医師ほう助自殺が制度化されたときに、そこに例えば人口調整だとか、社会保障の縮減だとか、それから人体の資源化といった、社会経済からの要請みたいなものにその制度が取り込まれていって、結果的には、社会的なお荷物とみなされる人たちへの命の線引きと切り捨てのツールになっていく懸念が膨らんでくるんです。
 だから、「苦しいんだったら死なせてあげればいい」と素朴な善意で言う前に、世界では何が起こっているのか、もっと知るべきことがたくさんあると思うんですね。


◆「イージス・システム搭載艦」計画は中止以外にない:疑惑まみれ、導入ありきで膨張するコスト(穀田恵二*14
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
イージス搭載艦2隻9000億円/井上氏追及 防衛省、試算否定せず/参院外交防衛委2021.5.26

「イージス・アショア」破綻 断念後も負担277億円/既成事実化狙う/防衛省、破滅的支出に突進2021.7.11
 防衛省は、秋田、山口両県への配備を断念したイージス・アショアに代わり、ロッキード社のSPY7レーダーを搭載する「イージス・システム搭載艦」を採用する方針を決めました。6月18日の自民党国防部会では、米海軍が採用したレイセオン社製のSPY6レーダーと比較して、性能・経費ともに優れていると説明しましたが、その内容は欺瞞に満ちています。
◆疑惑解消されず
 防衛省は2018年6月~7月にかけて、SPY7と6を比較選定し、性能・経費両面で「より高い評価を得た」として、SPY7を選定しました。しかし、米海軍が既に採用していたSPY6ではなく、試作品さえできていないSPY7の選定には疑問が相次ぎ、(ボーガス注:田中*15元首相、橋本*16元運輸相らが起訴された)1970年代の自民党政権ロッキード社の癒着・汚職事件になぞらえ、「第2のロッキード事件」との見方も広がりました。

主張/陸上イージス代替/コスト青天井の計画中止せよ2021.7.25


◆コロナ禍の労働と惨事便乗型の「働かせ方」改革(藤田実*17
(内容紹介)
 まずコロナ禍の労働の現状として「非正規の雇い止めの増加」「(正規職員においても)賃金の減少」といった厳しい状況にあることが指摘される。
 その上で財界のコロナ便乗型政策として「賃金カット要求」「最低賃金引き上げ反対」「テレワークを口実とした労働時間規制の緩和」を上げ、批判している。


◆座談会『建設アスベスト訴訟最高裁判決を勝ち取ったたたかい:全被害者の全面救済へ』(原告:大坂春子/弁護団鈴木剛、西村隆雄、村山晃/支援団体:清水謙一)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
建設石綿 国・企業に責任/4訴訟 最高裁、初の判断/「一人親方」救済も決着2021.5.18
命かけたたたかいの勝利 国は直ちに基金の創設を/建設石綿訴訟 小池書記局長が表明2021.5.18
主張/建設石綿の被害/一人も取り残さぬ救済制度を2021.5.24
メーカー含む基金要求/建設石綿被害 山添氏「国が力尽くせ」/参院決算委2021.5.26
建設石綿給付金法が成立/補償基金創設 被害者らの運動実る2021.6.10
企業も補償基金 拠出を/建設石綿訴訟 全面解決求め集会2021.6.17
国と初の集団和解成立/北海道建設アスベスト訴訟/札幌高裁2021.8.6


特集『戦場と銃後の体験』
◆インタビュー『普通の日本軍兵士が見た日中戦争の侵略と加害:『中国戦線、ある日本人兵士の日記*18』をどう読むのか』(笠原十九司*19
(内容紹介)
 笠原氏が編集した小林太郎『中国戦線、ある日本人兵士の日記』(2021年、新日本出版社)の解説。
参考

弁護士会の読書:中国戦線、ある日本人兵士の日記
 南京攻略戦徐州作戦に参加した日本人兵士が毎日のように日記をつけていて、日本に持ち帰ったものが活字になっています。写真もついているという、大変貴重な日記です。
 内容は、日本軍の兵士たちが中国人を見境なく殺戮(さつりく)していくのですが、悪びれたところがまったくありません。日本では良き夫であるような人が中国戦線では平然と罪なき人々を殺し、食糧をふくめて財物を略奪しても罪悪感が皆無なのです。同時に、日記では身近な兵士仲間が次々に戦病死していくことも記述されています。末端の日本人兵士たちは、罪なき中国人にとっては残虐な加害者でしたが、同時に日本政府・軍部の被害者でもあったことがよく分かる日記です。
 それにしても、よくぞ日記を日本に持ち帰った(できた)ものです。そして、写真です。いったい、どこで現像していたのでしょうか。
 この日記には、有名な学者である笠原十九司、吉田裕*20のお二人が解説していますので、その作戦の背景がとてもよく理解できます。
 著者は日本大学工学部を卒業したインテリです。なので、南京攻略戦のときには発電所の修理に従事していたので、南京大虐殺を直接には目撃していないようです*21
 歩兵二等兵(27歳)から上等兵になり、病気で本国送還されて、1939(昭和14)年に満期除隊(このとき29歳)しています。私の父も病気で中国大陸から台湾に送られ、日本に戻ることができました。戦地では病気すると生命が助かるんですね。
 第16師団第9連隊第32大隊第9中隊に所属し、上海戦、南京攻略戦、徐州作戦、そして武漢三鎮の軍事占領という、日中戦争前半の大作戦のすべてに従軍した。
 よくぞ生きて日本に戻れたものです。強運の持ち主だったわけです。
 欧米の軍隊は、大作戦が終了すると、しばらく休暇ないし本国帰還などがあるが、日本軍には一度もなかった。そのうえ、現役除隊の期日がきても、一方的に延期され、継続しての軍隊生活を余儀なくされた。そうなんですよね、人権尊重という観念は日本軍にはまったくなかったのです。
 南京大虐殺を否定する言説をなんとなく信じこむ日本人が少なくないのは、「やさしかった父たちが、中国戦線で残虐な虐殺なんかするはずがない」、「誠実で温厚な日本人が、虐殺事件を起こすなんて考えられない。中国側が日本人を批判するためにでっちあげたウソだ」という言説による。しかし、日本国内では人間的に善良な日本人であり、地域や職場で誠実であり、家庭において優しい父や息子であった日本人男子が、ひとたび日中戦争の厳しい戦場に送られると、中国人を平気で虐殺し、残虐行為をし、中国人からは「日本鬼子」と怖がられる日本兵になっていた。
 日本軍が上海戦で苦戦したのは、ナチス・ドイツが中国軍に武器(たとえばチェコ製機関銃)を供与し、トーチカ構築を指導し、またドイツ人軍事顧問を送り込んでいたことによる。
 ヒトラーは、「日本にバレなければかまわない」という態度だった。すでに日独防共協定を結んでいたのに、です。
 蒋介石の国民政府は70個師団、中国全軍の3分の1、70万人の兵力を上海戦に投入した。戦死者は25万人。日本のほうも19万人もの大兵力をつぎこみ、戦傷者4万人以上(戦死者も9千人以上)を出した。
 日本軍は、「皇軍兵士は捕虜になるな」という考えだったので、中国軍に対しても、捕虜として保護することはしなかった。つまり、直ちに殺害した。それには、そもそも自分たちの食糧さえ確保できていなかったことも大きい。
 これまでの通説は、日中全面戦争は、無謀な陸軍が国際的で平和的な海軍を強引に引きずりこんだというものだった。しかし、歴史事実は逆。(ボーガス注:笠原『海軍の日中戦争』(2015年、平凡社)によれば)海軍航空隊は首都南京に対して宣戦布告もしていないのに戦略爆撃を敢行した。それは、50回以上、のべ5330機あまり、投下した爆弾は900トンあまりというものだった。
 南京攻略戦の責任者であり、大虐殺の責任者でもある松井石根*22大将は、成績優秀であったのに同期の大将のなかでは一番出世が遅れ、いちはやく予備役に編入されていた。そこで、59歳の松井は、軍功をあげる最後のチャンスとして南京攻略戦をとらえていたのではないか。そして、それいけドンドンの武藤章*23大佐がそれを支えていた。
 どこの世界でも、口先だけは勇ましい人に、慎重派はかないませんよね。
 著者の所属する第16師団*24は、9月に京都を出発していて、防寒の装備はもっていなかった。そして、食糧の供給も十分でなかった。なので、日本部隊は、いわば強盗集団の軍隊だった。これが輝ける「皇軍」の実際の姿だったんですね。
 そして、著者は捕虜として中国兵を日本軍を虐殺(即決殺害)した写真を撮って、日記に添付しています。
 南京にいた唐生智という司令官は、近代戦の知識も経験もなく、南京防衛戦を指揮する実力もないのに、野心から名乗り出て、防衛軍事司令官に任命された。しかし、自分たちだけはいち早く脱出し、部下の膨大な中国軍を置き去りにした。いやはや、日中双方とも、ひどい司令官だったのですね。なので南京大虐殺はいわば必然的に起きてしまったということです。この事実は、消しゴムで簡単に消せるものではありません。
 いやはや、日本人にとっては、とても重たい事実です。でも目をそむけるわけにはいきません。ぜひ、図書館で注文してでもご一読ください。
(2021年3月刊。税込3960円)

「中国戦線、ある日本人兵士の日記」書評 一兵卒が記録した総力戦の実相|好書好日
 著者は丸2年、南京攻略戦や徐州作戦など、戦争前半の大きな作戦に従い、華北・華中を目まぐるしく転戦する。除隊後、自ら撮った写真を多数貼り込んで記録として残した。その全文と詳しい解説により、戦場を日常として生きた兵士の目線が浮かびあがる。
 当時は珍しい大学出の著者も、「東洋の平和の為(ため)」と戦争目的を疑わず、万歳の歓呼に「勇ましく戦はねば」と自らを鼓舞して出征した。戦闘では敵愾心(てきがいしん)が高揚して、敵の被害を「愉快愉快」と綴(つづ)っている。
 もっとも、日々の大半は警備と行軍、そして「徴発」だ。行く先々で、家畜や農作物を「おみやげ」と称して略奪する記述が続く。戦時国際法に違反する、住民の「使役」や「敗残兵」の殺害と同様、そこに罪の意識は感じられない。
 無謀な戦線拡大を続ける軍部に翻弄(ほんろう)され、疲弊する兵士たち。兵站(へいたん)を疎(おろそ)かにした日本軍は、彼らに「現地調達」を強い、休養を与えず酷使した。人権を無視された者が、以前から蔑視していた中国民衆の生命を尊重するだろうか。被害者を加害者に仕立てあげる、差別の構造が見えてくる。
 解説は淡々とした記述の背後を読み解く。日記には、来簡の差出人や慰問袋の中身が、大事そうに細かく書き上げられた。戦地と銃後の家族をつないだ軍事郵便は、検閲と自己規制を通じて、戦争の建前を国民全体に信じこませた。その指摘に、民衆から軍事史を捉える視点が活(い)きている。
 戦後、生徒の笑いを絶やさぬ高校教師となった著者は、妻や娘にも平等に接し、「できれば人を殺したくなかった」と述懐した。遺族は、「ごく普通の市民」の加害の記録を残した父を、「誇り」という。そう語れる親子の関係こそ、戦後が生んだ貴重な遺産だ。


◆インタビュー『民衆と社会は戦争をどう支えたのか:「銃後」はどうつくられ変遷したのか』(大串潤児*25
(内容紹介)
 架空問答方式で書いてみます。架空問答ですので「大筋で内容は正しい」と思いますが、一言一句同じ訳ではありません。

聞き手
 日本の戦争において『銃後』とはどういうものだったのでしょうか?
大串
 「銃後」が重要視されるようになるのはいわゆる「総力戦」が開始されてからのことです。欧米ではそれは「第一次大戦」ですが日本において「総力戦」となったのは日中戦争が最初と言っていいでしょう。
 もちろんあらゆる戦争には銃後があります。日中戦争以前の「戊辰戦争」「士族反乱鎮圧」「日清戦争」「日露戦争」「義和団事変鎮圧」「第一次大戦(英国の参戦要求に応えて中国山東省やパラオのドイツ軍を攻撃)」「シベリア出兵」でも当然「銃後」はありますが、それは総力戦でないが故に当時、それほどには注目されなかった。
 例えば日中戦争での総力戦対応として「国家総動員法制定(1938年)」「大政翼賛会産業報国会の結成(1940年)」が行われたわけです。
聞き手
 大串先生が日本の『銃後』を考える上で重要と思うことや興味関心があることについてお聞かせ下さい。
大串
 銃後と言っても「日中戦争(あるいは太平洋戦争)開始から終戦まで」、銃後に変化がなかったわけではありません。「銃後の変化、推移」に着目する必要があります。
 わかりやすい例としては「空襲」「学童疎開」「学徒出陣」「勤労動員」がよく「銃後の例」として連想されるかと思いますが、これはすべて日本が敗色濃厚となった「戦争末期の出来事」なのです。サイパンが陥落して日本に爆撃できるようになってから「空襲」「学童疎開」のわけです。戦争末期に「兵隊や労働者」が足りなくなったが故の「学徒出陣」「勤労動員」であって、最初から「学徒出陣」「勤労動員」していたわけではない。
 戦争当初は「そうした悲惨さ」は全くなく、だからこそ「対米開戦は当初多くの国民に支持された」わけです。
 また、「空襲」や「沖縄戦」のようになると「銃後」も攻撃を受け戦死者を出しているので、「銃後と前線」の区別はかなりあいまいになります。
 なお、「銃後」というのは私は「小権力者が多数生まれた時代」あるいは「つるし上げの時代」と言っていいのではないかと思います。
 あえて言えば「日本版文革*26」と言っていいんじゃないか。
 何のことか。銃後について書かれたフィクション(小説、テレビドラマ、映画、漫画など)、ノンフィクションを読んだり、見たりした方はご存じでしょうが「婦人会や隣組の幹部」が「自分より下の立場の人間」の言動について「危機意識が足りない」などとしてつるしあげる。総力戦なのでそういうことが必要になってくるし求められる。
 漫画「はだしのゲン」でゲン一家を散々いじめた鮫島伝次郎はフィクションで、勿論誇張がありますが、つるし上げ自体はあったわけです。あの戦争を考えるときにはそうしたことにも注意が必要でしょう。「つるし上げへの恐怖」で戦争推進に従ったという面は明らかにある。そして「つるし上げの加担者」という意味では庶民にも「一定の戦争責任」はあるわけです。
 というか、戦争でも独裁でもそうですが、「上からの強制」だけでは多くの場合、うまくいきません。可能な限り「下の同意」を得ようとする。つまり「何らかの飴を与える」「ある程度自主性を与える(婦人会、隣組の幹部はその一例です)」などといった面が明らかにある。
 1980年代以降に、吉見義明*27『草の根のファシズム』(1987年、東京大学出版会)など、歴史学において「民衆の戦争協力」にスポットが当たるようになるのはそうした理解があります。民衆とは「単なる被害者ではなく加害者でもあった」。この点は前衛今月号の笠原先生のインタビューも指摘しているところだと思います。
 例えば、コロナ禍(その深刻さから戦争に例えられることもありますが)の「自粛警察」は「銃後でのつるし上げ(日本版文革)の一種」でないか。そうして考えれば「銃後」は決して今の日本社会と無関係ではない。
 また銃後と言った場合、私は以下について注意する必要があるかと思います。
【1】1945年以降の銃後
 最近は

・藤原和樹『朝鮮戦争を戦った日本人』(2020年、NHK出版)
孫崎享*28朝鮮戦争の正体:なぜ戦争協力の全貌は隠されたのか』(2020年、祥伝社

と言った著書も刊行されていますが、戦後日本は「朝鮮戦争ベトナム戦争」といった「米国の戦争の銃後(米軍の出撃基地としての在日米軍基地)」であったことを忘れてはならないと思います。今後「九条改憲自衛隊の海外派兵(おそらく米軍との共同軍事作戦)による新たな銃後」の恐れすらありますからなおさらです。
【2】植民地の銃後、障害者の銃後
 台湾、朝鮮など植民地の銃後には、内地の銃後との違いがあると思います。
 また、障害者にとっての銃後も重要な研究テーマですが、そうした研究はまだまだ不十分な点があると思います。
【3】『アジア太平洋戦争の銃後』が戦後に与えた影響
 例えば日本の労組が、産別労組の多い欧米と違い、企業別組合が多いことは有名ですが、これは「銃後に作られた産業報国会」をもとに、戦後、多くの労組が結成されたからだと言われています。
 また、産業報国会では、労働者の意欲向上のために、今で言うQC(品質改善)活動(トヨタ自動車のいわゆる「カイゼン運動」など)や企業内サークル文化活動が行われていました。つまりは「産業報国会と単純に直線でつなげること」はできませんが、戦後のQC(品質改善)活動や企業内サークル文化活動のルーツの一つは銃後の産業報国会だったわけです。
 有名な「うたごえ運動」も「企業内サークル」を基盤の一つにしており、皮肉にも「左翼文化運動」うたごえ運動は銃後にルーツの一つがあったわけです。あえて言えば、「戦争を阻止するどころか翼賛した、戦前の企業内サークル活動」への「労働活動家の反省」が戦後の「うたごえ運動」を生み出した「要因の一つ」かもしれません。また、そういう意味では「産業報国会それ自体」を美化する気はありませんが、「うたごえ運動」など「戦後の企業内サークル」のルーツの一つとなったという点を考えれば、過大評価は禁物ですが「全否定はできない」のではないか。
 このあたりは今後の研究が必要かと思います。

【参考】
 「銃後」でググってヒットした日本史関係の著書をいくつか紹介しておきます。

【刊行年順(刊行年が同じ場合は著書名順)】
◆一ノ瀬俊也*29『銃後の社会史:戦死者と遺族』(2005年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)
井上寿一*30日中戦争 前線と銃後』(2018年、講談社学術文庫)
 井上『日中戦争下の日本』(2007年、講談社選書メチエ)の文庫改題化。
◆加納実紀代*31『「銃後史」をあるく 』(2018年、インパクト出版会
◆重信幸彦*32『みんなで戦争:銃後美談と動員のフォークロア』(2019年、青弓社
◆加納実紀代『新装版・女たちの〈銃後〉(増補新版)』(2020年、インパクト出版会


◆暮らしの焦点『男性労働者の育休の状況と育児介護休業法改正』(笹山尚人*33
(内容紹介)
 まず、現状で男性労働者の育休取得率が低いことを指摘。
 次に2021年の育休法改正(全会一致で成立)について説明。『非正規雇用労働者が1年未満の雇用期間でも育児・介護休業を取れるようにする要件緩和などを盛り込んだ』点を評価する一方で、育休取得の阻害要因の一つとされる『いわゆるパタハラ』について「罰則規定がない」等の問題点を指摘。「パタハラ処罰規定の創設」などの再改正を求めている(パタハラについては例えば4人に1人が「パタハラ」被害経験 上司の妨害などで4割が取得諦め 厳しい男性の育児参加:東京新聞 TOKYO Web(2021.5.23)参照)。
参考
取得推進へ総合的対策を/育児・介護休業 倉林氏求める/参院厚労委2021.4.14
育休中の就業やめよ/倉林氏「休業保障されない」2021.4.16
育児介護休業法改正 倉林氏/長時間労働是正迫る/参院委可決2021.4.20


◆論点『京都のまちと自然壊す北陸新幹線「延伸」計画中止を』(池田文穂*34
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。共産党は「環境破壊の恐れ」「多額の費用負担」を理由に反対しています。
北陸新幹線/福井・京都の共産党議員ら延伸問題めぐり懇談
北陸新幹線「延伸」計画は中止をーよびかけと見解を発表 | JCP京都: 日本共産党 京都府委員会


ジェンダー覚書『日本版「選択的週休三日制」導入で幸福度はたかまるのか』(日野徹子)
(内容紹介)
 「週休三日制」について世界的には「時短(労働時間短縮)を意味している」と説明。しかし日本で財界が主張する「選択的週休三日制」は必ずしも「時短を意味していない(週休三日にするかわりに1日あたりの勤務時間が長くなる→長くしたくない場合は賃金カット)」ため手放しで評価できないとしている。
 むしろ「コストカットを目的」&「ダブルワークを前提」に「週休三日制を労働者が強要される」恐れすらあるとしている。


文化の話題
◆映画:『菅義偉首相の本質は何か:映画「パンケーキを毒見する」』(伴毅)
(内容紹介)
 菅批判映画「パンケーキを毒味する」の紹介。なお、このパンケーキとは例の「パンケーキ懇談会」のこと。
 ちなみに、この映画のプロデューサー「河村光庸氏」は

新聞記者 (映画) - Wikipedia参照
 東京新聞記者・望月衣塑子*35の同名の著作『新聞記者』(2017年、角川新書)を原案にした社会派サスペンスフィクション。企画・製作は河村光庸。

宮本から君へ - Wikipedia参照
 日本芸術文化振興会が、出演者の一人であるピエール瀧の不祥事(覚醒剤使用による逮捕)を理由として、助成金の交付内定を取り消したことが2019年10月23日までに判明。これに対して河村光庸が代表を務める映画製作会社「スターサンズ」は、助成金交付を求め裁判を起こし、2021年6月21日に、東京地方裁判所は「製作会社への助成金と出演者の犯罪行為は無関係だ」とし、助成金交付取り消し処分を違法とする判決を言い渡した(なお、実際には補助金不支給は、河村氏による『新聞記者』プロデュースへの報復ではないかと疑われてる)。

と言う御仁であり、「なかなか気骨のある御仁」かと思います。
参考
映画『パンケーキを毒見する』| 大ヒット公開中
映画「パンケーキを毒見する」見て/“取材姿勢に好感”“応援したい”/「赤旗」に注目 申し込み連日


◆写真:『視点』巡回展始まる(関次男)
(内容紹介)
 日本リアリズム写真家集団主催の写真展『視点』巡回展の紹介(詳しくは賞金30万円、東京都美術館と全国6か所で展示する「第46回 視点 全国公募写真展」作品募集 | CAPA CAMERA WEB参照)。


◆美術:大倉集古館『FUSION』展(武居利史)
(内容紹介)
 大倉集古館『FUSION~間島秀徳 Kinesis/水の宇宙&大倉コレクション~』展の紹介。


メディア時評
◆新聞:東京五輪・メディアの矜持と菅政権のジレンマ(千谷四郎)
(内容紹介)
 記事タイトルは「東京五輪」であり、もちろん「五輪翼賛報道」への批判もありますが、他にも
【1】

安倍前首相「コロナ禍で増税は間違ってもダメ」 「保守の会」で講演 - 産経ニュース2021.4.22
<独自>蔡英文総統から安倍前首相に謝意 ワクチン提供報道で - 産経ニュース2021.6.4
安倍前首相「失敗は必ず糧になる」 若者ネット番組で - 産経ニュース2021.7.15
台湾、安倍前首相の訪台意欲を「歓迎」 - 産経ニュース2021.7.29

などといった「安倍の首相としての再々登板」や「(首相退任後も子分・福田赳夫*36や女婿・安倍晋太郎*37により無視できない政治力を有した岸*38元首相や、首相辞任後も最大派閥・田中派を率い、盟友・大平正芳*39を首相にするなど無視できない政治力を有した田中元首相のような)安倍のキングメーカー、闇将軍化」を狙っていると思われる右派メディア(産経、読売など)による異常な安倍持ち上げへの批判(コロナ禍に政権を無責任に放り投げた人間が何様か、モリカケ桜を見る会疑惑へのまともな説明はされてない、など)
【2】
 北海道警による北海道新聞記者逮捕への批判
もあります。

参考
北海道新聞記者の逮捕 大学と警察に抗議/JCJ・新聞労連・メディア女性ネット2021.7.15


◆テレビ:開示された経営委の議事録(沢木啓三)
(内容紹介)
 NHK経営委員会の「番組編集への不当介入問題」が取り上げられています。
参考
かんぽ不正報道 上田会長を注意/NHK経営委 議事録公開/番組批判 放送法違反疑い2021.7.10
澤藤統一郎の憲法日記 » 開示されたNHK経営委員会議事録 ー 森下俊三は「もはや辞任は当然」2021.7.14

*1:衆院議員。日本共産党中央委員、大阪府委員会副委員長

*2:参院議員。日本共産党中央委員

*3:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、外相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)、首相、第二~四次安倍内閣副総理・財務相を経て菅内閣副総理・財務相

*4:著書『原発にしがみつく人びとの群れ:原発利益共同体の秘密に迫る』(2012年、新日本出版社)、『カジノ狂騒曲:日本に賭博場はいらない』(共著、2014年、新日本出版社)、『政党助成金に群がる政治家たち』(2015年、新日本出版社

*5:大阪市学校園教職員組合委員長

*6:大阪選挙区について言えば立民党が愚劣にも、現職の辰巳氏を無視して候補者擁立を強行したことが最悪でした。俺は今でも立民のふざけた行為が許せません。

*7:鳩山内閣行政刷新担当相、菅内閣官房長官、野田内閣経産相民主党幹事長(海江田、岡田代表時代)、民進党代表代行(前原代表時代)を経て立憲民主党代表

*8:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*9:第一次安倍内閣総務相、第二~四次安倍内閣官房長官を経て首相

*10:「など」の例としては2025年開催予定の大阪万博があげられるでしょう。

*11:立命館大学教授。著書『ケアメンを生きる:男性介護者100万人へのエール』(2013年、クリエイツかもがわ)、『男が介護する:家族のケアの実態と支援の取り組み』(2021年、中公新書)など

*12:立命館大学教授。著書『男性介護者白書』(津止正敏氏との共著、2007年、かもがわ出版)、『ボランティアの臨床社会学』(津止正敏氏との共著、2009年、クリエイツかもがわ)など

*13:フリーライター日本ケアラー連盟代表理事。著書『私は私らしい障害児の親でいい』(1998年、ぶどう社)、『アシュリー事件:メディカル・コントロールと新・優生思想の時代』(2011年、生活書院)、『海のいる風景:重症心身障害のある子どもの親であるということ』(2012年、生活書院)、『死の自己決定権のゆくえ:尊厳死・「無益な治療」論・臓器移植』(2013年、大月書店)、『殺す親、殺させられる親:重い障害のある人の親の立場で考える尊厳死・意思決定・地域移行』(2019年、生活書院)、『私たちはふつうに老いることができない:高齢化する障害者家族』(2020年、大月書店)

*14:衆院議員。日本共産党国会対策委員長選挙対策委員長(常任幹部会委員兼務)

*15:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)などを経て首相

*16:池田内閣建設相、佐藤内閣官房長官、建設相、運輸相、自民党総務会長(佐藤総裁時代)、幹事長(田中総裁時代)など歴任

*17:桜美林大学教授。著書『日本経済の構造的危機を読み解く:持続可能な産業再生を展望して』(2014年、新日本出版社)、『戦後日本の労使関係』(2018年、大月書店)

*18:2021年、新日本出版社

*19:都留文科大学名誉教授。著書『アジアの中の日本軍』(1994年、大月書店)、『日中全面戦争と海軍:パナイ号事件の真相』(1997年、青木書店)、『南京事件』(1997年、岩波新書)、『南京事件三光作戦』(1999年、大月書店)、『南京事件と日本人』(2002年、柏書房)、『南京難民区の百日:虐殺を見た外国人』(2005年、岩波現代文庫)、『南京事件論争史』(2007年、平凡社新書→増補版、2018年、平凡社ライブラリー)、『「百人斬り競争」と南京事件』(2008年、大月書店)、『日本軍の治安戦』(2010年、岩波書店)、『第一次世界大戦期の中国民族運動』(2014年、汲古書院)、『海軍の日中戦争』(2015年、平凡社)、『日中戦争全史(上)(下)』(2017年、高文研)、『憲法九条と幣原喜重郎日本国憲法の原点の解明』(2020年、大月書店)など

*20:一橋大学名誉教授、東京大空襲・戦災資料センター館長。著書『天皇の軍隊と南京事件』(1985年、青木書店)、『昭和天皇終戦史』(1992年、岩波新書)、『現代歴史学と戦争責任』(1997年、青木書店)、『日本の軍隊:兵士たちの近代史』(2002年、岩波新書)、『日本人の戦争観:戦後史のなかの変容』(2005年、岩波現代文庫)、『アジア・太平洋戦争』(2007年、岩波新書)、『現代歴史学軍事史研究』(2012年、校倉書房)、『日本軍兵士:アジア・太平洋戦争の現実』(2017年、中公新書)、『兵士たちの戦後史:戦後日本社会を支えた人びと』(2020年、岩波現代文庫)など

*21:とはいえ、前衛の笠原論文が指摘するように「南京事件の存在について、当時、全く知らなかった」ということは常識的に考えてあり得ませんが。

*22:南京事件当時、中支那方面軍司令官。戦後、南京事件関与を理由に死刑判決。後に靖国に合祀

*23:南京事件当時、中支那方面軍参謀副長。その後も陸軍省軍務局長兼調査部長、近衛師団長、第14方面軍(フィリピン)参謀長など歴任。戦後、太平洋戦争開戦(陸軍省軍務局長)、マニラ大虐殺関与(第14方面軍参謀長)を理由に死刑判決。後に靖国に合祀

*24:ちなみに第16師団長は「捕虜はせぬ方針(捕虜虐殺方針)」という記述で知られる『中島今朝吾日記』の著者・中島今朝吾

*25:信州大学教授。著書『「銃後」の民衆経験:地域における翼賛運動』(2016年、岩波書店

*26:実はこれは俺が思いついたことを書いたのであって、大串先生の言葉には「文革」云々は出てきませんが、架空問答なのでご容赦願います。このほかにも俺の架空問答には「俺が思いついた言葉」が結構出てきますが、その点もご容赦下さい。

*27:中央大学名誉教授。著書『従軍慰安婦』(1995年、岩波新書)、『毒ガス戦と日本軍』(2004年、岩波書店)、『日本軍「慰安婦」制度とは何か』(2010年、岩波ブックレット)、『焼跡からのデモクラシー:草の根の占領期体験(上)(下)』(2014年、岩波現代全書)、『買春する帝国:日本軍「慰安婦」問題の基底』(2019年、岩波書店)など

*28:ウズベキスタン大使、外務省国際情報局長、イラン大使等歴任。著書『日本外交 現場からの証言』(1993年、中公新書)、『日米同盟の正体:迷走する安全保障』(2009年、講談社現代新書)、『日本人のための戦略的思考入門:日米同盟を超えて』(2010年、祥伝社新書)、『日本の国境問題:尖閣竹島北方領土』(2011年、ちくま新書)、『不愉快な現実:中国の大国化、米国の戦略転換』(2012年、講談社現代新書)、『日本の「情報と外交」』(2013年、PHP新書)、『カナダの教訓:超大国に屈しない外交』(2013年、PHP文庫)、『これから世界はどうなるか:米国衰退と日本』(2013年、ちくま新書)、『日米開戦の正体』(2019年、祥伝社文庫)、『アーネスト・サトウと倒幕の時代』(2020年、現代書館)、『アメリカは中国に負ける:日本はどう生きるのか』(2021年9月刊行予定、河出文庫)など

*29:埼玉大学教授。著書『近代日本の徴兵制と社会』(2004年、吉川弘文館)、『明治・大正・昭和 軍隊マニュアル』(2004年、光文社新書)、『戦場に舞ったビラ:伝単で読み直す太平洋戦争』(2007年、講談社選書メチエ)、『旅順と南京:日中五十年戦争の起源』(2007年、文春新書)、『宣伝謀略ビラで読む、日中・太平洋戦争』(2008年、柏書房)、『皇軍兵士の日常生活』(2009年、講談社現代新書)、『故郷はなぜ兵士を殺したか』(2010年、角川選書)、『米軍が恐れた「卑怯な日本軍」:帝国陸軍戦法マニュアルのすべて』(2012年、文藝春秋)、『日本軍と日本兵』(2014年、講談社現代新書)、『戦艦大和講義:私たちにとって太平洋戦争とは何か』(2015年、人文書院)、『戦艦武蔵』(2016年、中公新書)、『飛行機の戦争 1914-1945:総力戦体制への道』(2017年、講談社現代新書)、『昭和戦争史講義:ジブリ作品から歴史を学ぶ』(2018年、人文書院)、『特攻隊員の現実』(2020年、講談社現代新書)、『東條英機』(2020年、文春新書)、『軍隊マニュアルで読む日本近現代史』(2021年、朝日文庫

*30:学習院大学教授。著書『危機のなかの協調外交:日中戦争に至る対外政策の形成と展開』(1994年、山川出版社)、『アジア主義を問いなおす』(2006年、ちくま新書→増補版、2016年、ちくま学芸文庫)、『昭和史の逆説』(2008年、新潮新書)、『吉田茂と昭和史』(2009年、講談社現代新書)、『山県有朋と明治国家』(2010年、NHKブックス)、『戦前昭和の社会 1926-1945』(2011年、講談社現代新書)、『戦前日本の「グローバリズム」:一九三〇年代の教訓』(2011年、新潮選書)、『戦前昭和の国家構想』(2012年、講談社選書メチエ)、『政友会と民政党』(2012年、中公新書)、『理想だらけの戦時下日本』(2013年、ちくま新書)、『日本外交史講義(新版)』(2014年、岩波テキストブックス)、『第一次世界大戦と日本』(2014年、講談社現代新書)、『終戦後史:1945-1955』(2015年、講談社選書メチエ)、『昭和の戦争:日記で読む戦前日本』(2016年、講談社現代新書)、『教養としての「昭和史」集中講義』(2016年、SB新書)、『戦争調査会』(2017年、講談社現代新書)、『機密費外交:なぜ日中戦争は避けられなかったのか』(2018年、講談社現代新書)、『論点別・昭和史:戦争への道』(2019年、講談社現代新書)、『はじめての昭和史』(2020年、ちくまプリマー新書

*31:1940~2019年。敬和学園大学特任教授。著書『越えられなかった海峡:女性飛行士・朴敬元の生涯』(1994年、時事通信社)、『まだ「フェミニズム」がなかったころ:1970年代女を生きる』(1994年、インパクト出版会)、『天皇制とジェンダー』(2002年、インパクト出版会)、『ひろしま女性平和学試論:核とフェミニズム』(2002年、家族社)、『戦後史とジェンダー』(2005年、インパクト出版会)、『ヒロシマとフクシマのあいだ:ジェンダーの視点から』(2013年、インパクト出版会

*32:著書『タクシー:モダン東京民俗誌』(1999年、日本エディタースクール出版部)、『「お話」と家庭の近代』(2003年、久山社)

*33:著書『フリーターの法律相談室』(共著、2005年、平凡社新書)、『人が壊れてゆく職場』(2008年、光文社新書)、『労働法はぼくらの味方!』(2009年、岩波ジュニア新書)、『それ、パワハラです:何がアウトで、何がセーフか』(2012年、光文社新書)、『パワハラに負けない!:労働安全衛生法指南』(2013年、岩波ジュニア新書)、『ブラック職場』(2017年、光文社新書

*34:日本共産党京都府委員会政策委員会事務局長

*35:著書『武器輸出と日本企業』(2016年、角川新書)、『安倍政治 100のファクトチェック』(共著、2018年、集英社新書)、『菅義偉・不都合な官邸会見録』(2021年、宝島社新書)など

*36:大蔵省主計局長から政界入り。岸内閣農林相、自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)、佐藤内閣蔵相、外相、田中内閣行政管理庁長官、蔵相、三木内閣副総理・経済企画庁長官等を経て首相

*37:三木内閣農林相、福田内閣官房長官自民党政調会長(大平総裁時代)、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党幹事長(竹下総裁時代)など歴任

*38:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、日本民主党幹事長、自民党幹事長(鳩山総裁時代)、石橋内閣外相を経て首相

*39:池田内閣官房長官、外相、佐藤内閣通産相、田中内閣蔵相、外相、三木内閣蔵相、自民党幹事長(福田総裁時代)などを経て首相