「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2021年12/31日分:荒木和博の巻)

1年間お世話になりました【調査会NEWS3547】(R3.12.31) : 荒木和博BLOG

 前にこの「調査会NEWS」でアメリカ映画「アルゴ」のことを書きました。イラン革命のとき取り残された大使館員をCIAの要員が救出する話ですが、これのことを予備役ブルーリボンの会の中で出したところ、「こういうのもありますよ」と吉本正弘幹事が教えてくれたのがやはりアメリカの映画、但しテレビ映画の「鷲の翼に乗って」でした。
 この映画もやはりイラン革命で取り残された米国民を救出する映画

 おいおいですね。仮にそれらの映画が「全くのフィクションではなく実話が元」だとしても「イランと北朝鮮」で状況が違うのにそんなもんが「自衛隊特殊部隊で拉致被害者救出(荒木らの放言)」の根拠に出来るわけがない。
 拉致ではないものの米国人(例えばワームビア君)が北朝鮮に身柄拘束されたときに米国が行ったことは外交交渉であり、米軍特殊部隊による救出ではない。
 またイランについて言えばイランアメリカ大使館人質事件 - Wikipediaでは米軍特殊隊を使ったイーグルクロー作戦 - Wikipediaは結局、失敗し問題は外交交渉で解決しました。

 この映画もやはりイラン革命で取り残された米国民を救出する映画なのですが、「アルゴ」と違うのは民間の話だということ。取り残された米企業の社員を社長*1(リチャード・クレンナ*2)が救う決断をする話です。
 (ボーガス注:社長に雇われた)退役した特殊部隊の隊長(バート・ランカスター*3)及び軍経験のあった社員によるチームの活躍で全員を無事に帰国させる、という映画です。
 政府に「救出して下さい」というのは無理なのかなとも思った次第です。

 おいおいですね。政府に「救出して下さい」というのは無理なのかなとも思ったとは、荒木は「自衛官OB団体である予備役ブルーリボンの会で救出する」、あるいは「救う会や家族会で米国のそういう企業でも雇って救出する」とでも言う気なのか。
 「やれるものならやってみな」で終わる話です。小泉訪朝以降、19年間、今までそんなことはやってないのに今頃何を抜かしてるのか。

 何時まで経っても動かないなら別のやり方も考える必要があるのではないかと思った次第です。
 同じ事をくり返して時間を費やすことはできない。来年はこれまでの反省を基礎に新たなことに取り組まなければと思っています。

 と荒木が言っても勿論「同じ事をくり返して時間を費やす」ことになるでしょう。なぜなら2002年の小泉訪朝以降19年間ずっとそうだったからです。
 そもそも「何時まで経っても動かないなら別のやり方も考える必要があるのではないか」「これまでの反省を基礎に新たなことに取り組まなければ」といってもそこからは「バーター取引による外交交渉」は最初から除外されています。
 しかし最も現実的な解決策は「バーター取引による外交交渉」でしょう。「バーター取引による外交交渉」を否定したら事実上出来ることは何もない。
 そこで荒木は「自衛隊で救出を」と言い出すわけですが、拉致被害者の居場所が分からないのだから出来るわけがない。当然、政府もそんな要求に応じない。
 荒木は

「鷲の翼に乗って」に感銘を受けた

といって「ロス・ペロー」のように救う会や家族会が傭兵部隊でも雇って救出できるかのようなことを言いますが、そんなこともできるわけがない。
 つうか、そんなことを北朝鮮相手にやったら「常岡浩介が家宅捜索食らった私戦予備」に認定されて荒木らが捜査の対象になりかねませんが、それ以前にそんな依頼を受ける傭兵部隊はどこにもないでしょう。結局、荒木には「同じ事をくり返して時間を費やす」ことしかできないわけです。
 とはいえ、「小泉訪朝から19年に及ぶ拉致敗戦」で荒木が「舌先三寸のでまかせ」とはいえ「何時まで経っても動かないなら別のやり方も考える必要があるのではないか」「これまでの反省を基礎に新たなことに取り組まなければ」と言い出したことが興味深い。荒木も「拉致の風化による政治力衰退」に焦っているのでしょう。


大森勝久氏の新しい論文です: 荒木和博BLOG
本来の憲法9条は政府と国民に国防軍を保持して国と国民を守れと命じている! | 新・大森勝久評論集
 いつもの大森氏の持論「芦田均*4の芦田修正論ガー(芦田修正論を採用すれば明文改憲しなくても集団的自衛権行使できる)」です。芦田修正論なんて学界通説でない上に、政府見解でもない。
 しかし「自らは死刑冤罪だ*5、と主張する人間」が「無罪主張や死刑廃止論などはそっちのけ」で右翼的な政治主張をする。
 しかもその主張は「習近平国賓訪問を画策する安倍*6首相は中国の手先」「芦田修正論を採用しない安倍首相は反日左翼」「芦田修正論採用を政府に求めない産経新聞日本会議、国家基本問題研究所など日本の多くの自称保守も反日左翼」などという非常識極まりない物(しかももともとは新左翼で極右に転向)というのだから「やれやれ(呆)」ですね。
 「芦田修正論を採用しないと反日左翼なら『改憲右派』と一般に評価される岸*7元首相や中曽根*8元首相も反日左翼なのか?。芦田修正論を採用しなかったのは安倍氏だけでなく、吉田*9首相以下、歴代保守政権の首相もそうなのだが?」と聞いたら本気か、「売り言葉に買い言葉か」はともかく「その通りだ、岸や中曽根は反日左翼だ」と言い出すんですかね?

 バイデン大統領は(中略)12月6日、来年2月からの北京五輪パラリンピックを「外交的ボイコット」すると発表した。政府高官を派遣しない。8日、オーストラリアもそれに続き外交的ボイコットを表明した。英国も表明した。カナダも8日に外交的ボイコットを表明した。

 一方でフランス大統領のマクロンは現時点において「外交ボイコットの予定はない」としています。「反中国」大森氏にとってはマクロンは非難の対象でしょうが。

 もし、2020年11月の米国大統領選挙でトランプ大統領が勝っていたら、このような民主主義国による対中露包囲は決して実現されなかった。

 トランプの問題点はそういうこと(対中国外交)よりも「ロシアゲート疑惑」や「私はバイデンに負けていない、不正選挙だ」というデマ垂れ流し、あるいは「白人極右の支持を受けるためにトランプが人種差別的言動をすること」なのですが。

 プーチンは2016年の米大統領選に大々的に介入した。ロシアの侵略を批判するヒラリー・クリントン*10の評判を落として、トランプ氏を当選させようとしたのだ。これはアメリカに対する侵略行動である。こうしてトランプ氏は当選した。

 「選挙への違法な介入(デマビラの配布など)」は「プーチンの行為に限らず」、それ自体が「非難に値する行為」であり「選挙結果に影響を与えたかどうかは関係ないこと(そもそも選挙結果に影響したどうか自体、時には判断が難しいこと)」を断った上での話ですが、まず第一にプーチンが「選挙を混戦に持ち込む意思」や「ヒラリーへの嫌がらせの意思」はあったとしても「トランプを当選させる意思まであったか」は疑問符がつきます。
 第二に「未だにトランプが無視できない政治力を有してること」を考えれば「プーチンの選挙介入」が選挙結果に影響したかどうかにも疑問符がつきます。

 櫻井氏は、(中略)安倍氏尖閣諸島習近平に貢いでも、択捉島国後島プーチンに貢いでも*11、彼女は反日主義者の安倍首相を非難することなく、支持し続けてきたのである。

 「貢ぐ」という表現の是非*12はともかく、「尖閣自衛隊を置くこと(桜井らウヨが長年政府に求めてきた)」を安倍がしなくても「北方領土はロシアの領土だ」というプーチン政権に安倍がろくに抗議しなくても、安倍が「二島返還論(従来の政府方針『四島返還論』とは異なる)に好意的な態度をとった」ときも桜井が安倍非難しなかったことは事実です。
 首相が「安倍以外」なら「大森氏が桜井を非難するように」果たして桜井はそこまで甘かったかどうか。


大晦日です 開城の話の続きも含めて(R3.12.31): 荒木和博BLOG
 6分8秒の動画です。北朝鮮開城に行ったときの話(R3.12.30): 荒木和博BLOGの続きだそうです。
 一応視聴します。
 荒木曰く「2002年の小泉訪朝からずっと、毎年、年始めには今年こそは拉致解決というがいつも大晦日に『すみませんでした』ということになる。今年で19年目です」。
 まあ、そもそも口から出任せですからね。来年(2022年)も再来年(2023年)も荒木は「全く同じ事」をためらいなく言うでしょう。
 なぜなら荒木には「拉致が解決しない事への苦悩」を感じるような「良心などない」し、そんな荒木を家族会も「いつになったら拉致が解決するんだ!」などと非難せずに容認するからです。
 なお、動画を見ましたが荒木曰く、「訪朝したときに北朝鮮の書籍を研究資料として購入してから韓国経由で日本に帰ろうとしたら、国家保安法違反の疑いがある、没収すると言われてしばらく押し問答になった。結局、韓国行政当局に渡してから『問題が無いと確認できたら』後で送ってもらうことになって1ヶ月後に届いた」。
 「韓国政府は形式的すぎねえか。(今は違うかもしれないが)当時まだそんなだったの?」とは思いますが、拉致解決とは全く関係ない。

*1:ロス・ペローがモデル

*2:1926~2003年。1982年公開の映画『ランボー』でランボーシルヴェスター・スタローン)の元上官トラウトマン大佐を演じたことで知られる(リチャード・クレンナ - Wikipedia参照)。

*3:1913~1994年。1960年に『エルマー・ガントリー/魅せられた男』でアカデミー主演男優賞、ゴールデングローブ賞主演男優を受賞(バート・ランカスター - Wikipedia参照)

*4:幣原内閣厚生相、民主党総裁、片山内閣副総理・外相、首相など歴任

*5:日弁連アムネスティは冤罪と評価してるようなので実際に冤罪なのでしょうが。

*6:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*7:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、日本民主党幹事長、自民党幹事長(鳩山総裁時代)、石橋内閣外相を経て首相

*8:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官等を経て首相

*9:戦前、天津総領事、奉天総領事、スウェーデン公使、外務次官、イタリア大使、英国大使など歴任。戦後、東久邇宮、幣原内閣外相を経て首相

*10:オバマ政権で国務長官

*11:安倍が「いわゆる二島(歯舞、色丹)返還論」に好意的な態度をとったことを意味するとみられる。

*12:「ロシアが実効支配する北方領土」と違い、尖閣の場合は日本が実効支配してるのに「貢ぐ」もないもんです。