新刊紹介:「前衛」2022年6月号

 「前衛」6月号について「興味のある内容」のうち「俺なりに何とか紹介できそうな内容」だけ簡単に触れています。「俺の無能」のため「赤旗記事の紹介」でお茶を濁してる部分が多いです
◆今月のグラビア『石垣島のソーロン(精霊)アンガマ』(小松健一
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。
【小松氏の写真集について】
[no.2256] 2022年4月20日 小松健一写真集『琉球 OKINAWA』(本の泉社/5月15日発売)ようやく刊行。小松健一作品展「琉球 OKINAWA」が、5月10日から沖縄・那覇を皮切りに名護、群馬・前橋、大阪、東京の5都市で開催される~!♡☆ - 写真家小松健一のオフィシャルサイト
石垣島のソーロン(精霊)について】
ソーロン アンガマ 後生の精霊 - やいま特集 | やいまタイム


新自由主義を転換し、「やさしく強い経済」を実現しよう(大門実紀史*1
(内容紹介)
 「やさしく強い経済」とは

強くなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない=レイモンド・チャンドラー(米国人作家): 日本経済新聞
今日の名言:タフでなければ生きていけない、優しくなければ生きていく資格がない レイモンド・チャンドラー #256

辺りが元ネタなのかなと思います。
 これをもじれば

「(日本企業が)強くなければ経済活動ができない。(弱者に)優しくなければ経済活動の意味がない」

つう話でしょう。まあ一方で「新自由主義による目先の利益による病床削減(人に冷たい経済)→コロナ禍→経済的打撃」ということで「人に優しいことは長い目で見れば強い経済にもつながる」という指摘もされていますが。
 まあ小生はすぐに「チャンドラーか」と気づきましたが、知らない人も多いでしょうから「元ネタはチャンドラーだ」とアピールした方がいいんじゃないか。
 
【参考:日本共産党の経済政策】
論戦ハイライト/「やさしく強い経済」 首相にせまる/参院予算委で大門議員2022.2.26
やさしく強い経済 VS 新自由主義/内部留保に課税を/党の提案は「一石三鳥」/大門議員が語る2022.3.7
やさしく強い経済へ/大門・本田氏招き 香川革新懇がつどい2022.5.1
【参考:チャンドラー】

プレイバック (小説) - Wikipedia
 1978年の角川映画野性の証明』(森村誠一原作、佐藤純彌監督、高倉健主演)で生島治郎*2の訳を元に「男はタフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない」としてキャッチコピーに使われたことで、一気に世間に広まることになった。

「強くなければ生きていけない…|【西日本新聞me】
「強くなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない」。
 米作家レイモンド・チャンドラーによる探偵小説の主人公、フィリップ・マーロウのせりふである。
▼この一節は日本では1970年代後半、映画の宣伝に使われて有名になった。当時は「男は」の主語がついていた。これは「ハードボイルドは男の世界」との思い込みによる勇み足だろう。マーロウは「男は」ではなく、自分のことを問われてこう答えている。
▼訳者によって表現が多少変わる。村上春樹さんの訳は「厳しい心を持たずに生きのびてはいけない。優しくなれないようなら、生きるに値しない」


特集「沖縄復帰50年で何が問われているのか」
◆復帰にこめた平和と命への思いと女性たちのたたかい(外間久子*3
◆沖縄問題の核心としての米軍基地の問題(徳田博*4
日米地位協定の抜本的改定に向けて(吉田敏浩*5
(内容紹介)
 上記の三記事では「力点を置く場所」はそれぞれ違いますが、沖縄基地問題が取り上げられています。なお、日米地位協定問題が分かりやすいですが「基地の被害が深刻なのは沖縄」であって「本土に基地被害がないわけではない」。
 吉田氏の著書『横田空域:日米合同委員会でつくられた空の壁』(2019年、角川新書)は沖縄ではなく「横田基地」を取り上げています。高世仁などが主張する「本土基地引き取り論」はそうした問題から逃げてるという意味で非常に問題だと思います。


◆なぜ沖縄に子どもたちの貧困は居座り続けたか(山野良一*6、二宮元*7
(内容紹介)
 「沖縄での子どもの貧困」の理由として当然「保護者の貧困」が背景にあると指摘。
 「保護者の貧困」の理由として
1)非正規労働者の多さ(2017年統計で全国平均38.2%に対して沖縄は43.1%)
2)低賃金正規労働者の多さ(2017年統計で年収300万円未満の男性正規労働者は全国平均30.3%に対して沖縄は47.3%)
が指摘されている。勿論こうした貧困状況が「基地労働」や「基地需要(基地建設や基地労働者相手の飲食店など)」を見込んで「基地が沖縄で支持される背景」であるし、そうであるからこそ「日本政府」が必ずしも「沖縄の貧困是正に乗り気ではない(まあ本土の貧困是正だって乗り気ではないし、やる気があれば解決するという単純な話でもないですが)」と主張される。


志位和夫著『新・綱領教室*8』のすすめ(田中悠*9
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
綱領を大いに語り躍進果たしたい/『新・綱領教室』の出版発表/志位委員長が会見2022.4.14
志位和夫著『新・綱領教室 2020年改定綱領を踏まえて』(上・下巻)/一つひとつ、理を尽くして語りかける/長久理嗣2022.4.21


◆同窓*10対談「平和、ジェンダー平等:憲法は力」(角田由紀子*11、仁比聡平*12
(内容紹介)
ジェンダー平等の実現のためには平和の実現が重要→憲法の重要性」という話が主としてされていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。


新自由主義的改革を転換し、じっくり教育・研究できる大学へ(畑野君枝*13
(内容紹介)
 クローズアップ/じっくり教育・研究できる大学へ 新自由主義的政策打開へ交流/愛知 大学教職員・研究者党後援会が集会 畑野・すやま氏ら参加での畑野氏の報告を文章化した物。「高等教育(大学教育)の無償化(当面は学費を大幅に減額)」「国立大学法人交付金の削減を辞めむしろ増加させること」「私学助成の増大」「奨学金の充実(有利子貸与の奨学金を減らし無利子貸与や給付(返還の必要がない)の奨学金を増やす)」などが主張されている。
参考
59、高等教育、大学改革(2021総選挙/各分野政策)│各分野の政策(2021年)│日本共産党の政策│日本共産党中央委員会


◆いまこそ校則を変えるチャンス:みんなで考え、みんなで変えていく取り組みを(梅村さえこ*14
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
中高生8割 校則に疑問/“説明受けてない”53%/共産党がアンケート HPで公表2021.7.20
主張/校則アンケート/「変えたい」の声にこたえたい2021.8.8
30日に共産党が校則シンポ/YouTubeで配信/会場参加も可能2022.4.15
声上げて校則変えよう/共産党プロジェクト シンポを開く2022.5.1


知的障害者とその家族の貧困(田中智子*15
(内容紹介)
 『知的障害者家族の貧困』(2020年、法律文化社)、『障害者家族の老いる権利*16』(2021年、全国障害者問題研究会出版部)などで「知的障害者の貧困問題」を論じている田中氏が「貧困の原因」「解決策」などについて論じていますが小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
【参考:田中教授の名前でぐぐってヒットした記事をいくつか紹介】

障害者をケアする母親に生じる貧困と不平等/田中智子 - SYNODOS2016.8.2
 先日、ある裁判を傍聴した。被告は、長年、入所施設を利用している障害のある子どもを、一時帰省中に殺害した母親だった。裁判の中で、母親は「この子を残しては死ねない」「(殺害したのは)仕方がなかった」「後悔はしていない」という言葉を繰り返した。
 障害者家族のあいだには、昔も今も「親亡き後」という言葉が存在する。一般的には、親亡き後の子どもの行く末を憂いてのことを指す言葉で、「子どもより一日だけ長く生きていたい」というのは偽ることのない親の本音であろう。

 貧困が深刻なら最悪の場合、精神的におかしくなって当然こうなります。

障がい児育児で疲弊する夫婦「それが運命」…専業主婦の妻に「恥ずかしながら不満を述べた」ことも : スポーツ報知2022.4.14
 長崎県の企業で働く40代男性の年長の息子は、最重度の知的障がいを伴う自閉スペクトラム症と診断され毎日、児童発達支援センターに通所している。男性は仕事から帰宅すると、障がいのある息子の食事を見守り、風呂に入れる。休日も1日中長男の介助で目が離せず、体力的にも精神的にも疲れる日々だという。
 佛教大学障がい者の家族への負担などを研究する田中智子教授は「障がい児育児*17は誰にでも起こりうる偶発的な事象。個々人の愚痴として映ることもあるが、社会的問題として認識転換されていくことが重要」とした。

 スポーツ紙・報知新聞にこういう記事が載るのは少々意外です。
 当然ながら男性は仕事から帰宅すると、障がいのある息子の食事を見守り、風呂に入れる。ではとても「会社の期待に応えて仕事をする」などできる話ではない。どうしても「出世が遅れる」し、場合によっては「低賃金を覚悟」した上で「時間の余裕があるパートタイム労働」ということにもなる。一方で「障害者児童」が成人した場合でも障害があるが故に「一般企業には就職が難しく」いわゆる共同作業所に就業することが多く、そして共同作業所の多くは「経営体力が弱いため」低賃金のわけです。貧困になるリスクが非常に高い。
 そして姉弟がいれば話は多少変わってきますが、「両親と障害児童一人」だと「年老いた両親がいつまでも児童を介護し続ける」という「ヤングケアラー(最近ある程度注目されている)」ならぬ「オールドケアラー」とでもいうべき事態も発生するわけです。
 なお、「ヤングケアラー」と韻を踏んでるのでしょうが、前衛論文において田中氏自身は「ロングケアラー(子どもが成長しても長期にわたってケアが続き終わりが見えないから)」と呼んでいます。なお、私見ですがこの問題は「もう一つの8050問題*18」と言ってもいいのではないか。
 多くの知的障害児は「引きこもってるわけではなく、共同作業所などで働いてはいる*19」ものの、重度の障害で親の介助なしでは日常生活が困難だし、共同作業所の賃金だけでは低額すぎて通常はとても生活できないため、親が「自らの貯金を取り崩す」などして子どもの生活費に充てるからです。親が子どもの面倒を見ないといけないという構図はいわゆる「8050問題」と全く共通します。


◆水素・アンモニア燃料は気候変動対策の切り札か(桃井貴子*20
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

エネルギー使用合理化法等改定案/笠井議員の質問(要旨)/衆院本会議2022.4.6
 昨年11月のCOP26(気候変動枠組み条約第26回締約国会議)グラスゴー気候合意には、水素・アンモニアが「排出削減措置」にあたるとの記述はありません。
 政府自身、水素・アンモニア発電の実現は2050年ごろの目標と言い、実用化のめどは立っていません。
 資源エネルギー庁が設立した「燃料アンモニア導入官民協議会」は、利害関係者ばかりが名を連ね、議事要旨は項目だけ。新たな癒着の温床になりかねないではありませんか。

「石炭火発延命」と批判/エネ合理化法改定案可決 笠井氏反対/衆院経産委2022.4.24

石炭火力延命の仕組みだ/エネ合理化法改定案 岩渕氏が批判/参院本会議2022.4.28
 日本共産党の岩渕友議員は27日の参院本会議で、エネルギー使用合理化法改定案について、化石燃料由来の水素・アンモニアなどを「非化石エネルギー」と位置付け、推進する「石炭火力を使い続ける新たな仕組みづくりだ」と批判しました。


暮らしの焦点
枯葉剤原料の国有林埋設問題(川辺隆史)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介などで代替。

九州20ヵ所に猛毒埋設 ベトナム戦争の枯れ葉剤成分 専門家「漏出の恐れも」 地元に不安|【西日本新聞me】2018.8.23
 情報を提供してくれたのは、北九州市立大国際環境工学部職員、原田和明さん(58)=北九州市小倉北区=だ。大手化学メーカー出身で枯れ葉剤の研究をライフワークにし、6年前には著書「真相 日本の枯葉剤*21」も出している。
 ベトナム戦争で米軍が使った枯れ葉剤の成分の一つで、全国の山林に埋められている除草剤「2・4・5-T剤」(245T)。国有林を管理する林野庁によると埋設地は一時、54カ所に上ったという。福岡県を除く九州6県21カ所を含む。なぜ、有害な化学薬品を地中に埋めることになったのか。担当者は言う。
 「毒性が疑われる前は農薬として使っていたんです」
 説明によると、林野庁は1960年代後半、スギなどの成長を阻む雑草を枯らすため、245Tを国有林に散布した。その後、奇形を生じさせる恐れがあるとして海外で問題になったため、71年4月に使用中止を決定。他の農薬の処分方法を参考に、同11月に地中に埋設するように全国の営林署に指示した。
 もっとも、林野庁が245Tを使用・埋設した時期はベトナム戦争と重なる。枯れ葉剤研究を続ける北九州市立大職員の原田和明さんは別の見方を示す。
 「日本で造られた245Tが輸出され、米軍の枯れ葉剤に転用されていたのでは」
 原田さんが注目するのは、1969年の衆院外務委員会の会議録だ。「国会の爆弾男」と称された楢崎弥之助*22・元衆院議員=福岡県選出=が、同県大牟田市の工場で造られる245Tを挙げ、「日本の工場で枯れ葉作戦に使われる化学兵器がつくられているんじゃないか」と追及している。政府側から明確な答弁はなかった。
 「ベトナム戦争で米軍が枯れ葉剤の使用を中止したことで、国策で製造していた245Tの在庫がだぶつき、国有林に埋めたのでしょう」と原田さんは言う。
 林野庁ベトナム戦争との関連について「記録がなくて分からない」という。
 吉野ケ里町や、五ケ山ダム下流域の福岡市など周辺自治体は毎年、245Tの撤去を求める要望書を林野庁に出している。同市はダムや周辺河川の水質検査を続けており、異常はないというが、市担当者は「絶対に流出しないという確証はない」と漏らす。

 使用目的が農薬であるにせよ「ベトナム戦争での使用*23」であるにせよ*24、安全性に極めて問題のある処理がされたことは確かでしょう。

夕張山中に大量の「枯れ葉剤」 国有林に埋まる猛毒の謎:朝日新聞デジタル2019.10.27
枯れ葉剤の原料 漏れ出す懸念も 負の遺産をどうする? | NHK | WEB特集 | おはよう日本2022.1.20
赤旗
枯れ葉剤成分 処理へ/田村貴昭氏要求に林野庁調査2022.1.31
全国山林に枯れ葉剤/田村貴昭議員が埋設地調査/熊本・宇土2022.2.15
埋設枯れ葉剤撤去へ/衆院予算委分科会 田村貴昭氏に林野庁2022.2.18


◆矛盾と破綻は明瞭:外環道工事はただちに中止を(とや英津子*25
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
主張/東京外環道陥没/大深度工事を根本から見直せ2021.3.4
外環道「必要ない」/山添氏ら調査に住民訴え/東京2022.2.2
外環道地下トンネル/工事再開「道理ない」/山添・笠井議員ら国交省に要請2022.2.6
外環工事再開やめよ/笠井氏 “暮らし・医療に回せ”/衆院予算委分科会2022.2.18
外環道工事 一部差し止め/掘削止め再検討を/原告・弁護団が要求2022.3.1
不安に背 掘進再開/山添氏「外環道工事止めよ」/参院予算委2022.3.10
主張/外環工事差し止め/大深度工事の安全神話捨てよ2022.3.12
外環道 工事続行やめよ/危険な工法 陥没の恐れ/東京・三鷹 住民が報告集会2022.4.10


メディア時評
◆新聞『戦況報道と「抑止力」の大合唱』(千谷四郎)
(内容紹介)
 ウクライナ戦争を口実に「核共有を主張する産経、読売など右翼新聞」が批判されている。
 また、そのほかにも「朝日の峯村問題」「ジェンダー平等についての新聞労連の取り組み」「北海道新聞記者不起訴に対する新聞労連などの共同声明」が取り上げられている。
参考
【産経、読売の核共有主張】

ロシアのウクライナ侵略と「赤旗」報道(下)/「核共有」など逆流を正面から批判2022.3.24
 全国紙では、「核共有」を正面から批判した論陣は見当たりません。「非核三原則墨守で日本の安全保障が揺らぐなら見直しが必要になる。核共有も含め、日本をめぐる核抑止態勢が万全かどうか率直に議論する時期にきている」(1日付主張)と「核共有」発言を擁護し後押しする「産経」は論外にしても、「読売」は12日付社説まで沈黙したうえで、「(核共有論で)一足飛びに論点を拡散させ、議論の混乱を招くことは避けなければなるまい」とし、「敵基地攻撃能力」の検討が「先決」だと尻をたたいています。「朝日」「毎日」も、プーチンの核脅迫発言を批判する社説のなかで「安倍元首相が不見識極まりない発言をした」(「朝日」1日付)、「耳を疑う発言が飛び出した」(「毎日」2日付)と指摘した程度。維新の提言は論じてもいません。
◆「赤旗」の真価発揮
 日本を核戦争の危険に導く危険な議論にたいして、正面から批判する議論が大手紙に見当たらないなか、憲法9条の立場にたって批判の論陣を張る「赤旗」の役割は明白です。

【峯村問題】

赤旗安倍元首相と「朝日」編集委員 週刊誌に“圧力”/「核共有」記事 公表前点検要求2022.4.8
◆ジャーナリズム研究者 丸山重威さん*26
 ずいぶん奇妙なことだと思います。安倍元首相が自分の主張について確かめたいのなら自分で言えばいい。圧力をかけようとしたのなら報道の自由から見て重大です。
 この編集委員はなぜ「ご自分でやられたらどうですか」と言わなかったのでしょうか。編集委員安倍氏と親しいことを売りにしたかったのだとすれば、何をかいわんやです。

安倍の代理で朝日記者が圧力をかけたインタビュー記事で安倍が「核共有」問題発言!一方、朝日記者には過去の誤報問題が浮上|LITERA/リテラ2022.4.16
 峯村氏の問題を取り上げた14日発売の「週刊新潮」(新潮社)は、峯村氏に「政界転身の意向」があったとして、「安倍さんに忠勤を励んだのも、自民党からの出馬を狙っていたからという見方がある」という朝日社内の声を紹介していた。
 もっとも、今回の「週刊ダイヤモンド」への圧力は、峯村氏個人だけにその責任を負わせるような話ではない。峯村氏を動かしたのは安倍元首相であり、最大の問題は、その言論介入体質にある。
 しかも、この介入事件にはいまも、大きな謎が残っている。それは、なぜ安倍元首相は自分のインタビュー記事をめぐって、別の新聞社の記者である峯村氏にわざわざ圧力をかけさせたのか、という点だ。
 ゲラをチェックしたり、発言部分の修正を要求するなら、安倍元首相がやればいいだけだろう。
 そんなところから、政治部記者の間では、「安倍元首相サイドがやろうとしたのはファクトチェックではなく、実際にあったやりとりを削除しようとしたのではないか。ところが、一旦、編集部に断られたため、『ダイヤモンド』にパイプのある峯村氏に頼んだのだろう」という推測が広がっている。

ジェンダー平等についての新聞労連の取り組み】

「美しすぎる市議」はダメ? 記者らがジェンダー表現ガイド本を出版:朝日新聞デジタル2022.4.13
 ジェンダー平等の実現に向けて、新聞やウェブ記事の表現を見直そうと、日本新聞労働組合連合に加盟する全国紙や地方紙の記者ら20人が、「失敗しないためのジェンダー表現ガイドブック」(小学館)を出版した。

北海道新聞記者不起訴に対する新聞労連などの共同声明】

逮捕は「報道の自由侵害」 北海道新聞記者処分で声明―労連:時事ドットコム2022.4.13
 北海道新聞社の記者が旭川医科大(北海道旭川市)に無断で侵入したとして、建造物侵入容疑で逮捕され不起訴処分となった問題で、新聞労連は13日、「記者の逮捕は、憲法21条が保障する報道の自由を侵害する行為だ」とする声明を出した。
 声明では、記者を現行犯逮捕した大学職員と、その後勾留を続けた警察について、「過剰な対応。市民の基本的人権を脅かすことにつながりかねない」と訴えた。

取材の自由と「知る権利」を守るための共同アピール ~北海道新聞記者の逮捕・不起訴処分を受けて~ | 新聞労連(日本新聞労働組合連合)


◆テレビ『表現の自由への放送の姿勢』(沢木啓三)
(内容紹介)
 道警ヤジ排除訴訟「原告勝訴判決」(但し道警が控訴)について、多くのテレビ局が「安倍元首相や自民党、北海道警の報復を恐れてるのかと疑いたくなる消極的な報道姿勢」であったことを批判している。
参考

きょうの潮流 2022年4月19日(火)
 3年前、札幌で安倍首相(当時)の街頭演説中にヤジを飛ばした市民2人が警察官に排除された事件。「言論弾圧だ」と2人は裁判に訴えました
▼この問題に焦点を当てたのが北海道放送の「ヤジと民主主義」(2020年放送)です。担当したのは20代のディレクター。初めて手がけたドキュメンタリーで、「権力に忖度(そんたく)せず、おかしいことはおかしいという」と本紙のインタビューに応えています
▼今年3月、札幌地裁は北海道警の行為は「表現の自由の侵害」とする判決を出しました。「政治家の演説に対して直接抗議や疑問の声を届けることは、民主主義社会において重要な権利行使の局面」としています
▼気になるのは地元北海道を除いて、この判決を多くのメディアがまともに取り上げていないことです。言論の自由にかかわる題材なのに、ジャーナリズムとしての見識が疑われます。ちなみに「ヤジと民主主義」はユーチューブで見ることができます。

ヤジと民主主義〜警察が排除するもの〜 - Wikipedia


文化の話題
◆映画『わが青春つきるとも:伊藤千代子の生涯』(伴毅)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。
「劇映画 伊藤千代子の生涯」制作を支援する会ホームページ
伊藤千代子 - Wikipedia

伊藤千代子の生涯、映画に 苫小牧ゆかりの社会運動家 22年春公開 | 毎日新聞2021.12.7
 戦前、治安維持法違反容疑で逮捕され、24歳で病死した社会運動家、伊藤千代子(1905~29年)の生涯を描いた映画「わが青春つきるとも―伊藤千代子の生涯―」が来春、公開される。

井上百合子「夢のようで不思議な気分」初の主演で“和製ジャンヌ・ダルク” - シネマ : 日刊スポーツ2022.1.18
 女優井上百合子(26)、窪塚俊介(40)らが18日、都内で、映画「わが青春つきるとも-伊藤千代子の生涯-」(桂壮三郎監督、今春公開予定)の製作発表会見に出席した。
 同作は、1920年代の活動家・伊藤千代子の生涯を描いた物語。

 スポーツ紙・日刊スポーツにこういう記事が載るのは少々意外です。

新人・井上百合子初主演で権力に抗して声をあげた“伊藤千代子の生涯”を描く : 映画ニュース - 映画.com2022.1.19
 映画「わが青春つきるとも 伊藤千代子の生涯」の製作発表記者会見が1月18日、都内のホールで行われ、プロデューサーで監督も務めた桂壮三郎、主演の井上百合子、共演の窪塚俊介竹下景子らが登壇した。
 本作は、戦争反対などが「国賊」「非国民」扱いされた昭和初期の時代に、主権在民侵略戦争反対、そして女性の地位向上を願い社会活動に生きた若き革命家・伊藤千代子の希望と苦難の生涯を描くもの。原作は藤田廣登*27「時代の証言者 伊藤千代子*28」で、脚本・監督補佐は宮負秀夫が手掛けた。主人公の伊藤千代子をオーディションで選ばれた井上が、新人ながら映画初主演で演じきった。千代子の同志で最愛の夫・浅野晃*29を窪塚、新渡戸稲造*30とともに東京女子大学を創立した安井てつ*31を竹下が演じたほか、金田明夫*32石丸謙二郎嵐圭史が共演。さらに印南唯、宜野座万鈴、塚瀬香名子、角田萌果*33、田上唯、平田舞、曽川留三子らが出演。
 4月より順次全国公開予定。


◆美術『Chim↑Pom展:ハッピースプリング』(武居利史)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。
Chim↑Pom展:ハッピースプリング | 森美術館 - MORI ART MUSEUM
Chim↑Pom - Wikipedia


◆スポーツ最前線『プロボクシング村田諒太*34の夢の舞台』(小林秀一)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

【独占告白】ボクシング 村田諒太 “世紀の一戦”の真実 | NHK | WEB特集 | ボクシング2022.4.14
 ことし36歳。キャリアの終盤に入る中で、2年4か月ぶりの試合として実現したのが、“史上最強”といわれる男・ゴロフキン選手との「世界王座統一戦」だった。
 4月9日、ついに決戦のときを迎えた。
 下馬評は圧倒的にゴロフキン選手有利。
 そして第9ラウンド、村田さんが前に出た瞬間のことだった。
 ゴロフキン選手の強烈な右フックが顔面をヒット。
 村田さんはリングに崩れ落ちた。
 それを見た村田さんのセコンドから、試合をやめることを意味するタオルが投げ込まれる。
 26分11秒に及ぶ激闘は、村田さんのノックアウト負けで終わった。
 そして、私たちが1か月半前に聞いた、「勝っても負けても引退するかもしれない」という言葉。
 試合を終えた今、どう思っているのか、率直に尋ねた。
村田さん
「ゴロフキンは名実ともに最強のチャンピオンだと思っているので、その選手に対してぶつかっていければ、思い残すところがないという気持ちはありました。準備においてできる限りのことはやった。
自分の中では今までやってきたベストを尽くした。そういう気持ちもあって、『次は無いんじゃないですか』ということを言ったのかな。
確かにもっとやりたい、もっと強くなれる、だけどそこは冷静な判断をしていかなきゃいけない。だからこの期間にしっかりその判断を下せるようにしなきゃいけない。
可能性としては…、というか今の僕としては、このあたりがいい『辞めどき』なんだろうとは思っています。ただ、まだ答えは出せない。そんな感じですかね」

ゴロフキン戦後の村田諒太について、米記者たちの見解は2分。「最善の引き際」「現役続行ならすぐにタイトル戦」|格闘技|集英社のスポーツ総合雑誌 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva2022.4.21
 「ここが引き際ではないか」という声も多かった。代表的なものは、『Boxingscene.com』のライアン・バートン記者のこんな言葉だ。
 「村田は2度も世界王者になり、十分なお金も稼いだはずだ。現在の世界ミドル級でも最強と思える選手と戦い、堂々とした負け方だった。これ以上、いったい何を目標に戦うべきなのか。健康な体を保っているなら、今こそ最善の引き際なのではないかと思う」
 今後、現役を続けるとしても、36歳になった村田にゴロフキン戦以上の舞台が巡ってくることは想像しがたい。五輪金メダリスト&プロの世界王者という勲章を手土産に、第2の人生に足を踏み出すのもいいのだろう。

*1:参院議員。党中央委員。著書『「属国ニッポン」経済版』(2003年、新日本出版社)、『新自由主義の犯罪:「属国ニッポン」経済版2』(2007年、新日本出版社)、『ルールある経済って、なに?』(2010年、新日本出版社)、『カジノミクス』(2018年、新日本出版社)、『やさしく強い経済学』(2022年、新日本出版社

*2:1933~2003年。ミステリ作家。翻訳家。1967年、『追いつめる』で直木賞受賞(生島治郎 - Wikipedia参照)

*3:沖縄県議(日本共産党

*4:琉球大学教授

*5:著書『ルポ戦争協力拒否』(2005年、岩波新書)、『密約:日米地位協定と米兵犯罪』(2010年、毎日新聞社)、『沖縄:日本で最も戦場に近い場所』(2012年、毎日新聞社)、『「日米合同委員会」の研究』(2016年、創元社)、『日米戦争同盟:従米構造の真実と「日米合同委員会」』(2019年、河出書房新社)、『横田空域:日米合同委員会でつくられた空の壁』(2019年、角川新書)、『日米安保と砂川判決の黒い霧:最高裁長官の情報漏洩を訴える国賠訴訟』(2020年、彩流社)、『追跡! 謎の日米合同委員会』(2021年、毎日新聞出版)など

*6:沖縄大学教授。著書『子どもの最貧国・日本』(2008年、光文社新書)、『子どもに貧困を押しつける国・日本』(2014年、光文社新書

*7:琉球大学教授。著書『福祉国家新自由主義』(2014年、旬報社

*8:2022年、新日本出版社

*9:党常任幹部会委員(党書記局次長)

*10:前衛記事によれは両氏は福岡県立小倉高校出身

*11:弁護士。明治大学名誉教授。「希望のたね基金」顧問。著書『性の法律学』(1991年、有斐閣選書)、『性差別と暴力:続・性の法律学』(2001年、有斐閣選書)、『性と法律』(2013年、岩波新書

*12:参院比例代表予定候補。党中央委員。弁護士

*13:衆院議員。党中央委員(学術・文化委員会副責任者)

*14:参院埼玉選挙区予定候補。党中央委員(党校則問題プロジェクト責任者)

*15:仏教大学教授

*16:勿論「老いる権利」と「貧困是正」は密接に関係があります。「貧困」であれば「老いる前」に病死したり、将来を悲観して自殺したりする可能性が高いからです。

*17:ダウン症などの生まれつきであれ、「事故や病気による後天的な物(例:昔だとポリオによる小児麻痺)」であれ確かに「誰にでも起こりうる偶発的な事象」ではあります。

*18:7040問題でも、9060問題でもいいのですが一般には8050問題と言われる。平たくいえば「中年引きこもり(50歳代など)を高齢の親(80歳代など)が面倒を見る問題」です(8050問題 - Wikipedia)。被告人(父親)が「元農水事務次官」ということで話題になった元農水事務次官長男殺害事件 - Wikipedia(76歳の父親が44歳の息子を殺害)などは「8050問題」の一例です

*19:勿論一方で「中年世代の知的障害児の引きこもり」も当然あります。

*20:気候ネットワーク東京事務所長

*21:2013年、五月書房

*22:1920~2012年。社民連書記長、国対委員長など歴任

*23:根拠が明確ではない「陰謀論」の疑いが否定できないので、「そういう指摘がある」と紹介するにとどめておきます。

*24:勿論「戦争目的」の方が罪が重いですが

*25:都議(日本共産党

*26:共同通信社会部次長、整理部長、編集局次長、ラジオテレビ局次長など歴任。著書『新聞は憲法を捨てていいのか』(2006年、新日本出版社)、『安倍壊憲クーデターとメディア支配』(2015年、あけび書房)

*27:著書『小林多喜二とその盟友たち』(2008年、学習の友社)

*28:2005年、学習の友社

*29:但し、後に右翼団体「大東塾」系列の「新国学協会(後の不二歌道会)」同人を務めるまでに右傾化。1970年11月25日の三島由紀夫自決に際しては、追悼詩「哭三島由紀夫」を捧げている(浅野晃 - Wikipedia参照)。

*30:国際連盟事務次長、第一高等学校校長、東京植民貿易語学校(現・保善高等学校)校長、東京女子大学学長、東京女子経済専門学校(現・新渡戸文化短期大学)校長など歴任

*31:東京女子大学学長(1923~1940年)

*32:映画では千代子の高校時代の恩師である土屋文明。文明については、赤旗伊藤千代子を詠んだ歌とは?参照

*33:映画では塩沢富美子(日本共産党中央委員で経済学者である野呂栄太郎の妻)

*34:ロンドン五輪男子ボクシングミドル級金メダル