「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2022年12/5日分:荒木和博の巻)

◆荒木ツイート

 令和4年12月5日月曜日「荒木和博のショートメッセージ」第965号。割り切れたら楽なのですが、世の中のことは割り切れません。その割り切れなさのモヤモヤとつきあっていくことが大事だと思います。
世の中ことごとく割り切れません(R4.12.5) - YouTube

 8分13秒の動画です。
 ここで荒木が

 何で誘拐犯(北朝鮮)にお土産を出さないと行けないのか!。拉致被害者家族のその割り切れない気持ちは分かります。
 しかし、それで拉致被害者が帰ってくるんですか?
 日本政府(小泉政権)だって好きで、平壌宣言で経済支援を約束したんじゃないんです。
 それしか手がないと思って苦渋の決断なんです。何も北朝鮮シンパではない。
 「ダッカ事件超法規的措置」と同じなんです!。
 福田赳夫首相だって好きで赤軍派を釈放したり、身代金を払ったんじゃない。福田首相は別に赤軍派シンパじゃない。
割り切れたら楽なのですが、世の中のことは割り切れません。その割り切れなさのモヤモヤとつきあっていくことが大事だと思います。
 そのことを家族会には理解してもらいたい。2002年の小泉訪朝からもう20年も経ったんです。横田滋氏など高齢でなくなったご家族もいます。
 このままではいつまで経っても拉致は解決しません。

と言えば荒木を見直すのですが勿論荒木はそんなことは言いません。
 何を言い出すのかと思ったら「今、磯部浅一226事件の実行犯の一人、死刑判決)の獄中日記を読んでる」。
 「はあ?」ですね。
 「磯部の獄中日記」と拉致解決と何の関係があるのか?
 それにしても

 「自分に反対する人間は悪である、殺しても構わない(226事件では斎藤*1内大臣、高橋*2蔵相、渡辺*3陸軍教育総監が暗殺された)」という磯部はあまりにも物事を単純に考えすぎている。
 そうした単純な考えが例えば「毛沢東文革」のような悲劇を生んだ

云々と荒木が言い出したのには呆れました。
 さすがに「殺しても構わない」ではないものの「自分に反対する人間は悪である」で「田中均氏の外務省追放」「蓮池透氏の家族会追放」を実行した家族会連中こそ「磯部のような独善」ではないのか。だからこそ家族会は多くの人間から見捨てられ今の惨状ではないのか。
 そんな家族会と馴れ合ってきた荒木が「独善は良くない」とは全く悪い冗談です。
 また、「独善」の例として「文革」を持ち出す辺りも反共右翼の荒木らしいところです。
 なお、磯部の獄中日記ですが以下の通り、なかなかすさまじい代物です。

『獄中日記』 磯部浅一
八月三日
 中佐*4の命日*5、読経す、中佐ほどの忠臣を殺した奴にそのムクイが来ないでたまるか、今にみろ。
八月五日
 佐幕流の暴政時代*6、南*7朝鮮総督、杉山*8教育総監、西尾*9次長、寺内*10大臣、宇佐美*11侍従武官、鈴木貫太郎*12、牧野*13、一木*14、湯浅*15、西園寺*16等々、指を屈するにいとまなし、今にみろ
八月六日
一、天皇陛下 陛下の側近は国民を圧する漢奸で一杯でありますゾ、御気付キ遊バサヌデハ日本が大変になりますゾ、今に今に大変なことになりますゾ、
ニ、明治陛下も皇大神宮様も何をしておられるのでありますか、天皇陛下をなぜ御助けなさらぬのですか、
三、日本の神々はどれもこれも皆ねむっておられるのですか、この日本の大事をよそ忙しているほどのなまけものなら日本の神様ではない、磯部菱海はソンナ下らぬナマケ神とは縁を切る、そんな下らぬ神ならば、日本の天地から追いはらってしまうのだ
八月十日
「私は決して国賊ではありません、日本第一の忠義者ですから、村長が何と言っても、区長が何と言っても、署長が何と言っても、地下の衆が何と言っても、屁もひり合わないで下さい、今の日本人は性根がくさりきっていますから、真実の忠義がわからないのです、私どものような真実の忠義は今から二十年も五十年もしないと、世間の人にはわかりません」
「もし警察や役場の人などがカンショウなどして、カレコレ文句をいうようなことがあったら、決して頭をさげたらいけません、もしそれに頭をさげるようでしたら、私は成仏できません、村長であろうと区長であろうと、磯部浅一の霊骨に対しては指一本、文句一口いわしては磯部家の祖先と、磯部家の孫末代に対してすまないのです、葬式などはコソコソとしないで、堂々と大ぴらにやって下さい、負けては駄目ですよ、決して負けてはいけませんぞ、私の遺骨をたてにとって、村長とでもケイサツでも総理大臣とでも日本国中を相手にしてでもケンカをするつもりで葬式をして下さい」
 「磯部の一家を引きつれて、どこまでも私の忠義を主張して下さい」
 右は家兄へ宛てた手紙の一節だ、しかして括弧内は刑務所長によって削除されたるところだ
八月十日
 天皇陛下は十五名*17の無双の忠義者を殺されたのであろうか、そして陛下の周囲には国民が最もきらっている国奸らを近づけて、彼らのいいなり放題におまかせになっているのだろうか、陛下われわれ同志ほど、国を思い陛下のことをおもう者は日本国中どこをさがしても決しておりません、その忠義者をなぜいじめるのでありますか、朕は事情を全く知らぬと仰せられてはなりません、仮りにも十五名の将校を銃殺するのです、殺すのであります、陛下の赤子を殺すのでありますぞ、殺すと言うことはかんたんな問題ではないはずであります、陛下のお耳に達しないはずはありません、お耳に達したならば、なぜ充分に事情をお究(きわ)め遊ばしませんのでございますか、なぜ不義の臣らをしりぞけて、忠烈な士を国民の中に求めて事情をお聞き遊ばしませぬのでございますか、何というご失政ではありましょう。
 陛下がどうしても菱海の申し条をおききとどけ下さらねばいたし方ございません、菱海は再び陛下側近の賊を討つまでであります、今度こそは宮中にしのび込んでも、陛下の大御前ででも、きっと側近の奸を討ちとります。
 おそらく陛下は、陛下の御前を血に染めるほどのことをせねば、お気付きあそばさぬのでありましょう、悲しいことでありますが、陛下のため、皇祖皇宗のため、仕方ありません、菱海は必ずやりますぞ。
 悪臣どもの上奏したことをそのままうけ入れあそばして、忠義の赤子を銃殺なされましたところの陛下は、不明であられるということはまぬかれません、かくのごとき不明をお重ねあそばすと、神々のおいかりにふれますぞ、いかに陛下でも、神の道をおふみちがえあそばすと、ご皇運の涯てることもござります。
 統帥権を干犯*18したほどの大それた国賊どもをお近づけあそばすものでありますから、三月事件*19が起ったのでありますぞ、佐郷屋*20、相沢*21が決死挺身して国体を守り、統帥大権を守ったのでありますのに、かんじんかなめの陛下がよくよくその事情をおきわめあそばさないで、何時までも国賊の言いなりになってござられますから、日本がよく治らないで常にガタガタして、そこここで特権階級がつけねらっているのでありますぞ
八月二十八日 
 竜袖にかくれて皎々不義を重ねてやまぬ重臣、元老、軍閥等のために、いかに多くの国民が泣いているか。
 天皇陛下この惨タンたる国家の現状を御覧下さい、陛下が、私どもの義挙を国賊叛徒の業とお考えあそばされていられるらしいウワサを刑務所の中で耳にして、私どもは血涙をしぼりました、真に血涙をしぼったのです。
 陛下が私どもの挙をおききあそばして、「日本もロシヤのようになりましたね」と言うことを側近に言われたとのことを耳にして、私は数日間気が狂いました。
 「日本もロシヤのようになりましたね」とははたして如何なる御聖旨かにわかにわかりかねますが、何でもウワサによると、青年将校の思想行動がロシヤ革命当時のそれであるという意味らしいとのことをソク聞した時には、神も仏もないものかと思い、神仏をうらみました。
 だが私も他の同志も、いつまでもメソメソと泣いてばかりはいませんぞ、泣いて泣き寝入りは致しません、怒って憤然と立ちます。
 今の私は怒髪天をつくの怒りにもえています、私は今は、陛下をお叱り申し上げるところにまで、精神が高まりました、だから毎日朝から晩まで、陛下をお叱り申しております。
 天皇陛下何というご失政でありますか、何というザマです、皇祖皇宗におあやまりなされませ。
八月三十日
 一、余は極楽にゆかぬ、断然地ゴクにゆく、地ゴクに行って牧野、西園寺、寺内、南、鈴木貫太郎、石本*22等々、後から来る悪人ばらを地ゴクでヤッツケるのだ、ユカイ、ユカイ、余はたしかに鬼になれる自信がある、地ゴクの鬼にはなれる、今のうちにしっかりした性根をつくってザン忍猛烈な鬼になるのだ、涙も血も一滴ない悪鬼になるぞ。

*1:第一次西園寺、第二次桂、第二次西園寺、第三次桂、第一次山本内閣海軍大臣朝鮮総督、首相、内大臣など歴任

*2:日銀総裁、第一次山本、原、田中、犬養、斎藤、岡田内閣蔵相、首相など歴任

*3:陸軍航空本部長、台湾軍司令官、陸軍教育総監など歴任

*4:永田鉄山陸軍省軍務局長を暗殺し死刑となった相沢三郎陸軍中佐のこと

*5:相沢は1936年7月3日に死刑が執行された(相沢三郎 - Wikipedia参照)

*6:安政の大獄」が行われた井伊大老時代のことか?

*7:参謀次長、朝鮮軍司令官、第二次若槻内閣陸軍大臣関東軍司令官、朝鮮総督等を歴任し、戦後、戦犯(南は満州事変当時、陸軍大臣)として終身刑判決(但し後に仮出所)を受けた南次郎のこと

*8:陸軍省軍務局長、陸軍航空本部長、参謀次長、陸軍教育総監、林、第一次近衛、小磯内閣陸軍大臣、北支那方面軍司令官、参謀総長などを歴任し戦後自決した杉山元のこと

*9:関東軍参謀長、参謀次長、近衛師団長、陸軍教育総監支那派遣軍総司令官などを歴任した西尾寿造のこと

*10:台湾軍司令官、広田内閣陸軍大臣、陸軍教育総監、北支那方面軍司令官、南方軍総司令官などを歴任した寺内寿一(第一次桂、第一次西園寺、第二次桂内閣陸軍大臣朝鮮総督、首相を歴任した寺内正毅の長男)のこと

*11:陸軍騎兵学校長、侍従武官長などを歴任した宇佐美興屋のこと

*12:海軍次官連合艦隊司令長官、海軍軍令部長侍従長、枢密院議長、首相など歴任。226事件(当時、侍従長)では狙撃され重傷を負ったが一命を取り留めている。

*13:第一次西園寺内閣文相、第二次西園寺内閣農商務相、第二次山本内閣外相、宮内大臣内大臣等を歴任した牧野伸顕(大蔵卿、内務卿を務めた大久保利通の次男。吉田茂首相の義父)のこと。226事件で襲撃され、牧野は無事だったが護衛の警官が殉職している。

*14:法制局長官、第二次大隈内閣文相、内務相、宮内大臣、枢密院議長などを歴任した一木喜徳郎のこと。枢密院議長在任中、天皇機関説の提唱者として、弟子である美濃部達吉とともに右翼に攻撃された。

*15:岡山県知事、静岡県知事、警視総監、内務次官、会計検査院長宮内大臣内大臣等を歴任した内務官僚・湯浅倉平のこと

*16:第二次、第三次伊藤内閣文相、首相などを歴任した「最後の元老」西園寺公望のこと。226事件では愛知県豊橋市の陸軍教導学校の生徒120人を使って西園寺を襲撃する計画があった。しかし将校の中から生徒を利用することに反対意見があったため、襲撃計画は中止された。

*17:15名が誰かは二・二六事件 - Wikipediaで確認できます。

*18:陸軍統制派・永田鉄山らによる真崎甚三郎陸軍教育総監更迭劇のこと

*19:1931年3月に発覚した陸軍統制派のクーデター計画。浜口内閣を打倒し、宇垣陸軍大臣を首相とする計画だった。正直「真崎甚三郎内閣を画策して、岡田首相を襲った磯部とどこが違うのか」と言いたくなる話ですが「統制派のクーデターは汚いクーデター、我々のクーデターはきれいなクーデター」なのでしょう(三月事件 - Wikipedia参照)

*20:浜口首相を狙撃した右翼・佐郷屋留雄のこと

*21:永田鉄山陸軍省軍務局長を暗殺した相沢三郎陸軍中佐のこと

*22:226事件軍法会議で判士を務めた石本寅三のこと