今日の産経ニュース(2023年7/12日分)

不登校の子供の居場所をメタバースに 自治体に広がるオンライン支援 - 産経ニュース
「メタバース登校」 不登校の小中学生の新たな学びの場になるか - #学校教育を考える - NHK みんなでプラス
 「考えが古い人間」なので「リアルの方がいい」気がしますが、何の人間関係もないよりは「メタバース」でもつながりがあった方がいいとは思います。


タレントのryuchellさんが死去 自殺か - 産経ニュース
 まだ27歳(1995年9月生まれ)であり、自殺が事実なら何とも衝撃です。周囲が何とかできなかったか。


【我流~社会部発】「殺人は許されぬが…」という前置きのうさん臭さ 安倍氏銃撃1年 - 産経ニュース(社会部長 牧野克也)
 政治部だけでなく、産経は社会部もこんなに低レベルかと絶句します。
 「山上の犯行」の時だけこんなことを言っている産経の方がよほど胡散臭い。
 「介護疲れによる殺人」など一般に同情されることが多い殺人「全て」について「下手に同情すると同様の殺人が今後も続いてまずい」「どんな理由があれ殺人は悪、同情の余地なし」「殺人を正当化する胡散臭い議論」として否定するかと言えば、そんなことはしないわけですから。
 勿論「統一協会被害者・山上に同情の余地はない」、「安倍が統一協会と癒着して何が悪い」、ましてや「そもそも安倍は統一協会とつながりなどない(明らかなデマ)」だの言うのは論外です。
 なお、この記事についたブクマをいくつか紹介しておきます。

[B! 統一教会] 【我流~社会部発】「殺人は許されぬが…」という前置きのうさん臭さ 安倍氏銃撃1年
yabusaki
  「共感することで結局はテロ容認に直結するロジックになってしまう」 つまり尖閣ビデオ流出事件のsengoku38一色正春*1)を今も肯定的に紙面に載せ続ける産経さんは国家公務員法違反を容認してるってこと?

 ですよねえ。この記事での産経の理屈(山上への同情はテロを助長)を「一色事件」にスライドさせれば産経の行為は「一色の犯行(国家公務員法違反)への共感→同様の犯行を助長」ということになり「問題行為」でしょうに、全くご都合主義でデタラメです。

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「戦争は許されないが日本の戦争はやむを得ない自衛戦争だった」とか「植民地政策は許されないが日本の統治は他の国より善良だった」みたいなのには(ボーガス注:産経らウヨは)こういう事言わないよね。

 「日本の侵略や植民地支配」を「産経らウヨ」が「日本のおかげで近代化した」(韓国、台湾の植民地支配)「蒋介石反日政策が悪い」(日中戦争)「ハルノートABCD包囲網で追い詰められた。ルーズベルトにはめられた」「日本のおかげで東南アジアが独立できた*2」(太平洋戦争)などと詭弁で正当化するのに比べたら「統一協会被害者」山上への同情の方がよほどましでしょう。
 それにしても、戦後、血盟団事件の菱沼五郎が小幡五朗と改名し「茨城県議会議長(自民)」に出世したことや、同じく血盟団事件の四元義隆が戦前は刑務所から出所後、「近衛*3首相、鈴木貫太郎*4首相の私設秘書」を務め、戦後も中曽根*5元首相ら自民党政治家と親密な関係と言われたこと(四元義隆 - Wikipedia参照)をどう思うのか産経に聞きたいところです。「自民はテロを擁護するのか!」とは批判しないのでしょうが。
 さて話を産経記事に戻します。

 無差別テロに自分や家族が巻き込まれても、犯人に憐憫の情を抱くのか。

 そもそも山上のテロは「安倍一人を狙った物」であり「文世光事件(1974年)での朴正熙の妻殺害(朴を狙ったが誤って妻を殺害)」のように「流れ弾が別人に当たって死傷させる可能性が否定できない」とはいえ、「テルアビブ空港乱射事件(1972年)」「松本サリン事件(1994年)」「地下鉄サリン事件(1995年)」「911同時テロ(2001年)」のような「当初から複数殺害を狙った」無差別テロではない。
 「犬養首相暗殺(1932年の515事件)」「浅沼稲次郎社会党委員長暗殺(1960年)」のような特定人物を狙ったテロ、「無差別テロでないもの(山上の犯行)」を「無差別テロ」云々で非難するのだから無茶苦茶です。

 山上被告に感化されたような現職首相襲撃事件

 犯人が「山上に影響された」と自白したわけでもないのによくもデタラメが言えたもんです。
 そもそも「刀剣友の会事件(社民党朝鮮総連、野中*6官房長官田中均氏などが被害者)」の時には「社民党などを嫌ってること」でろくにテロを非難もしなかった産経が良くもふざけたことが抜かせたもんです(まあ、例は産経がろくに批判しないテロ事件なら「刀剣友の会事件(建国義勇軍事件)」でなくても「朝日新聞阪神支局襲撃事件」「加藤紘一*7宅放火事件」でも何でもいいのですが)。あのとき家族会のバカ共が田中氏を擁護するどころか、テロ被害について「自業自得であるかのように侮辱し、あげくの果てに個人攻撃で外務省退官に追いやったこと」が「拉致敗戦を生んだと言っていい」でしょう。俺は家族会のバカ共には何一つ同情しません。むしろ軽蔑し憎悪しています。
 横田滋や有本嘉代子が死んだときも「いい気味だ(嘲笑)」「田中氏に忘恩行為をした報いだ、自業自得だ」と思っただけで同情の念はかけらも起こりませんでした。今後横田早紀江など他の家族会メンバーが死んでも同様の「負の感情」しか起きないでしょう。

 かつて政党政治の腐敗や民衆の貧困といった時代背景の下でテロが吹き荒れた。

 「浜口*8首相狙撃事件(1930年)」「血盟団事件*9、515事件*10(1932年)」「永田鉄山陸軍省軍務局長暗殺(1935年:犯人の名前から相沢*11事件とも言う)」「226事件(1936年:斎藤内大臣、高橋蔵相、渡辺陸軍教育総監を暗殺し、鈴木侍従長(後に枢密院議長、首相)に重傷を負わせた)」等の「右翼テロ」のことでしょうが山上の事件は「統一協会とそのシンパ安倍への憎悪」であって「右翼テロ」ではないので比較すること自体が馬鹿馬鹿しい。
 なお、戦後の右翼テロとしては「浅沼稲次郎社会党委員長殺害(1960年)」「風流夢譚事件(嶋中宅襲撃事件:1961年)」「河野一郎*12宅放火事件(1963年)」「三島事件(1970年)」「本島長崎市長狙撃事件(1990年)」「刀剣友の会事件(2002年)」「加藤紘一宅放火事件(2006年)」等があります。産経が「三菱重工ビル爆破(1974年:極左過激派)」「地下鉄サリン事件(1995年:オウム真理教)」「911同時テロ(2001年:アルカイダ)」などの「非右翼のテロ」「左翼のテロ」ばかり非難し、これらの右翼テロをろくに批判しないのは言うまでもない。
 なお、

政党政治の腐敗や民衆の貧困といった時代背景

というのは俺は「端的に言ってデマ」でありむしろ昭和戦前期・右翼テロの多くはそうしたことよりも

◆浜口首相
 右翼が統帥権干犯行為と見なしたロンドン海軍軍縮条約を締結し、右翼「佐郷屋留雄*13」の恨みを買い狙撃され重傷(翌年、その傷が元で病死)。
 なお、海軍内部で軍縮条約賛成派を条約派、反対派を艦隊派と呼んだ。
 条約派としては財部彪*14、谷口尚真*15、山梨勝之進*16、左近司政三*17、寺島健*18など、艦隊派としては東郷平八郎*19伏見宮博恭王*20加藤寛治*21、山本英輔*22、末次信正*23などがいる。最終的にはいわゆる大角人事 - Wikipedia艦隊派の政治的圧力に屈した大角*24海軍大臣条約派の多くを予備役編入)によって艦隊派が海軍の主流となっていく。(条約派 - Wikipedia艦隊派 - Wikipedia参照)。
◆犬養*25首相
 軍が強く要望した満州国承認(関東軍の謀略で建国)に消極的だったため、海軍青年将校・三上卓*26らの恨みを買い暗殺。犬養死後、後継の斎藤*27首相によって満州国が承認された
永田鉄山*28陸軍省軍務局長、渡辺錠太郎*29陸軍教育総監(真崎の後任総監)
 右翼(永田、渡辺を暗殺した陸軍皇道派青年将校を含む)が統帥権干犯行為と見なした真崎甚三郎*30陸軍教育総監更迭に関与したことで陸軍皇道派青年将校の恨みを買い暗殺

ということで「統帥権干犯(あるいは、満州国承認、真崎甚三郎の重用*31など自分たち軍の要望に好意的でないことへの反発)」を問題にしていると思います。だからこそ犬養、永田、渡辺暗殺の実行犯たちは陸軍や海軍の軍人でした。「政党政治の腐敗や民衆の貧困」が強調されるのは、それこそ「あのテロを正当化したい(あるいは日本軍を批判したくない)右翼連中の汚いイメージ操作」でしかないと思います。「統帥権干犯(あるいは自分たち軍の要望に好意的でないことへの反発)に反発してテロを起こした」では「文民統制」が常識化した今の日本では同情されにくいですからね。そもそも「政党政治の腐敗」云々がテロの理由なら政党政治家でない「永田陸軍省軍務局長、斎藤内大臣(海軍軍人出身)、渡辺陸軍教育総監」が暗殺されるのは変な話です。
 永田や渡辺はまさに「皇道派荒木貞夫*32や真崎甚三郎の政敵」だったからこそ荒木等を「領袖と仰ぐ陸軍将校に暗殺された」のであり「政党政治の腐敗や民衆の貧困」云々などというきれい事では全くない。あえて言えば永田や渡辺の暗殺は「陸軍の内ゲバ(統制派VS皇道派:最終的には統制派が勝利)」でしかない。

*1:2010年12月17日に辞職届を提出。12月22日、海上保安庁により停職12か月の懲戒処分。同時に辞職届が受理され同日付で海上保安官を辞職。著書『何かのために:sengoku38の告白』(2011年、朝日新聞出版)、『日本を守りたい日本人の反撃』(田母神俊雄との共著、2012年、産経新聞出版)(一色正春 - Wikipedia参照)

*2:いずれも日本免罪が目的とは言え、「東南アジアの独立」と「ルーズベルトの罠」と言う矛盾する主張が平然とできる辺りが無茶苦茶です。その理屈を無理に整合しようとすると「ルーズベルトが日本を罠にはめたために東南アジアは独立できた(ルーズベルトは東南アジア独立の功労者)」になってしまいます。

*3:貴族院議長、首相を歴任。戦後、戦犯指定を苦にして自殺

*4:海軍次官連合艦隊司令長官、海軍軍令部長侍従長、枢密院議長、首相を歴任

*5:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官等を経て首相

*6:村山内閣自治相・国家公安委員長小渕内閣官房長官自民党幹事長(森総裁時代)等を歴任

*7:中曽根内閣防衛庁長官、宮沢内閣官房長官自民党政調会長(河野総裁時代)、幹事長(橋本総裁時代)等を歴任

*8:加藤高明、第一次若槻内閣蔵相、第一次若槻内閣内務相等を経て首相

*9:井上前蔵相、団琢磨三井財閥総帥を暗殺

*10:犬養首相を暗殺

*11:1889~1936年。1935年7月15日に真崎甚三郎が陸軍教育総監を更迭された。更迭の黒幕の一人が永田だと憤激した相沢は8月12日に永田を殺害。10月11日に予備役編入。1936年6月30日に陸軍高等軍法会議で死刑判決が確定。7月3日に銃殺刑が執行された(相沢三郎 - Wikipedia参照)。

*12:鳩山内閣農林相、岸内閣経済企画庁長官、自民党総務会長(岸総裁時代)、池田内閣農林相、建設相、副総理、佐藤内閣副総理等を歴任

*13:1908~1972年。1933年に死刑判決が確定するが、1934年恩赦で無期懲役減刑。1940年に仮出所。1954年、血盟団事件の中心人物である井上日召と共に右翼団体「護国団」を結成、井上が団長、佐郷屋が副団長(後に団長)となる。1959年には右翼団体全日本愛国者団体会議(全愛会議)」の初代議長となる(佐郷屋留雄 - Wikipedia参照)。

*14:加藤友三郎、第二次山本、加藤高明、第一次若槻、濱口内閣海軍大臣を歴任

*15:連合艦隊司令長官、海軍軍令部長など歴任

*16:海軍省艦政本部長、海軍次官佐世保鎮守府司令長官、呉鎮守府司令長官など歴任

*17:海軍省軍務局長、海軍次官佐世保鎮守府司令長官など歴任。予備役編入後、第三次近衛内閣商工相

*18:海軍省教育局長、軍務局長など歴任。予備役編入後、東条内閣逓信相(鉄道相兼務)

*19:連合艦隊司令長官、海軍軍令部長東宮御学問所総裁など歴任

*20:佐世保鎮守府司令長官、海軍軍令部長軍令部総長など歴任

*21:連合艦隊司令長官、海軍軍令部長など歴任

*22:海軍省航空本部長、横須賀鎮守府司令長官、連合艦隊司令長官など歴任

*23:海軍省教育局長、海軍軍令部次長、連合艦隊司令長官横須賀鎮守府司令長官など歴任。予備役編入後、第一次近衛内閣内務相

*24:海軍省軍務局長、海軍次官横須賀鎮守府司令長官、犬養、斎藤、岡田内閣海軍大臣など歴任

*25:第一次大隈内閣文相、第二次山本、加藤高明内閣逓信相等を経て首相

*26:1905~1971年。1933年禁錮15年の判決を受け、小菅刑務所に服役。1938年、憲法発布50年祝典の恩赦による減刑で4年9か月で仮出所。1941年、血盟団事件井上日召、四元義隆、菱沼五郎らと「ひもろぎ塾」を設立し近衛文麿のブレーンとして活躍。1943年、大政翼賛会の傘下団体である大日本翼賛壮年団の理事に就任。1961年、三無事件に関与(三上卓 - Wikipedia参照)

*27:第一次西園寺、第二次桂、第二次西園寺、第三次桂、第一次山本内閣海軍大臣朝鮮総督、首相、内大臣を歴任。内大臣在任中に226事件で暗殺される。

*28:陸軍省動員課長、軍事課長、軍務局長を歴任

*29:陸軍航空本部長、台湾軍司令官、陸軍教育総監等を歴任

*30:陸軍士官学校長、台湾軍司令官、参謀次長、陸軍教育総監等を歴任

*31:「真崎の重用」の場合、「軍縮条約反対」「満州国承認」と違い「軍の総意」ではなく「真崎を幹部とする皇道派限定」の要求ですが

*32:犬養、齋藤内閣陸軍大臣、第一次近衛、平沼内閣文相など歴任。戦後、終身刑判決となるが後に仮釈放。